マサキシンペイさんの映画レビュー・感想・評価

マサキシンペイ

マサキシンペイ

映画(266)
ドラマ(0)
アニメ(0)

フォレスト・ガンプ/一期一会(1994年製作の映画)

3.5

名作とされるものを履修するつもりで。

50〜80年代の激動の時代のアメリカを良い感じに生きた、俊足のピュアな知的障害者の話。
思わず笑ってしまう脚本のジョークが光ってはいるため中弛みはしていない、が
>>続きを読む

君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

3.7

宮崎駿という人間、最晩年の悲壮な道楽。
商業的観点からみて、これほどまで娯楽性を無視し、啓蒙的意図すらかなぐり捨てて、作品をこのクオリティで成立させられるアニメーション作家は、後にも先にも宮崎駿以外に
>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.2

ほろ苦く怪奇なプラトニックラブストーリー。
パク・チャヌク、2022年カンヌの監督賞を獲得した技巧的で難解な作品。


家庭を顧みず殺人事件を追う優秀な刑事の男。
夫の変死に悲しむどころか笑みを漏らす
>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

3.2

ハリウッド映画を支えるタレント馬の調教を家業としてきた黒人一家。彼らの牧場に忍び寄る正体不明の影。

新進気鋭のジョーダン・ピール監督、話題の新作。

B級パニックスリラーとしてはそこそこ楽しんで観ら
>>続きを読む

フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

3.7

ウェス・アンダーソンの可愛らしくも斜に構えた映像美が効いたオシャレ映画。配役も豪華。
レア・セドゥの綺麗な大きいおっぱいが観られるだけで値打ちもんですね。いや〜お美しい!眼福〜!

架空の世界のフラン
>>続きを読む

スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム(2021年製作の映画)

4.3

「大いなる力には、大いなる責任が伴う」

スパイダーマンの時空を超えた戦い。
ドクター・ストレンジの魔法による不慮の事故で多元宇宙の扉が開き、パラレルワールドからスパイダーマン・ヴィランのオールスター
>>続きを読む

花束みたいな恋をした(2021年製作の映画)

4.0

押井守との遭遇から始まる恋。
リアリティが強すぎて2021年現在に20代後半のサブカルチャーファンにしか脚本のディテールが伝わらないながらも、だからこそ鋭利で胸を抉る秀作ラブストーリー。

自身のセン
>>続きを読む

マリッジ・ストーリー(2019年製作の映画)

4.5

Netflix制作の話題作。

個人的に夫婦の不和をテーマに据えた作品は苦手である。戦争映画やホラーの幾倍、精神を消耗する。
鑑賞に際し、全体のストーリーテリングの技巧よりも、登場人物への感情移入に視
>>続きを読む

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.7

白夜のスウェーデンを舞台に、閉鎖的なコミュニティの奇祭を描くホラー。
傑作『へレディタリー/継承』に続き期待が高まるホラー界の新星、アリ・アスター監督の意欲作。おぞましいシーン全てに花と日光が降り注ぐ
>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

3.9

パルムドール獲得の話題作。しかし注目すべきはポン・ジュノ監督のみならず、21世紀以降の韓国ではこのレベルほどの作品があらゆるキャストの手でゴロゴロ量産されているから恐ろしい。

コメディとシリアスがユ
>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.2

人間は弱く、正しく在れない。
静かで苦いヒューマンドラマはイーストウッドのそれを彷彿とさせた。

アメリカの田舎町。
娘を強姦殺人により失った母。しかし捜査は遅々として進まず、その怒りの矛先は地元警察
>>続きを読む

ダークナイト(2008年製作の映画)

3.8

「ジョーカー」というキャラクターの魅力が最も鮮やかに描かれた映画。
非常にファンが多く評価も高い今作だが、個人的にはジョーカーを演じたヒース・レジャーの夭折によって伝説化され過大評価されている作品のよ
>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.9

悲哀に吊り上がる口角。憤怒で燃える街。
格差社会の断裂に咲く悪の華、ジョーカーの誕生はあまりにも劇的で美しく、たまらず感涙した。
この社会はunhappyだ。

「あなたもいつかは社会人になるのよ」
>>続きを読む

スパイダーマン:ファー・フロム・ホーム(2019年製作の映画)

4.1

MCUフェーズ3の大トリにして、かつてない捻りの効いたストーリー。今までのシリーズのようなトリッキーなスパイダーアクションではなく、敵役の能力描写のサイケデリックな映像美に力が入り、魅せ方にも新しい要>>続きを読む

天気の子(2019年製作の映画)

3.6

彼女か、世界か。

『君の名は。』の次作として注目を集め、賛否両論が巻き起こった話題作。

自然主義的な宮崎駿やサイバーパンクの退廃に耽る押井守を思えば、新海誠は現代東京の原寸大の背景を100%肯定的
>>続きを読む

ベイビー・ドライバー(2017年製作の映画)

4.3

洒落た青春映画。
天才的なドライビングテクニックを持つが故に、強盗グループに弱みを握られ、逃走係として犯罪に巻き込まれる青年の物語。

非ミュージカルでありながら、映像に合わせた音楽ではなく、音楽に合
>>続きを読む

未来のミライ(2018年製作の映画)

1.8

駄作。ひどい完成度。端的に言って面白くない。
ムカつくガキのワガママと、細田守の意味不明な空想描写の羅列ばかりで観ていてかなりうんざりした。

細田守監督作品の全般を観ていて常に思うことだが、映像作品
>>続きを読む

アメリカン・サイコ(2000年製作の映画)

3.4

複製された記号に金を積む顕示的消費に飽食し、かけがえのない命を奪う惨殺の充足を求める。

テーマ性はデヴィッド・フィンチャーの『ファイト・クラブ』に似ている。
安寧が約束された資本主義社会で市場を回す
>>続きを読む

KAMIKAZE TAXI(1995年製作の映画)

3.9

他にない独特のゆるいギャグと悲壮感が魅力的な作品。

極右議員先生お抱えの反社組織のボスに恋人を殺され、ハライセに議員の金を盗んで組織を追われた若いヤクザのタケオ(高橋和也)と、逃げる道中で出会った武
>>続きを読む

π(1997年製作の映画)

4.3

万物は数である。ピタゴラスの演繹。
ユークリッド幾何学の果てに出現するラプラスの悪魔、狂気と妄想に取り憑かれた数学者の物語。

『ブラック・スワン』のダーレン・アロノフスキーの長編デビュー作。収益など
>>続きを読む

ライク・サムワン・イン・ラブ(2012年製作の映画)

3.8

人との距離のはかり方。
イランの巨匠キアロスタミ監督・脚本による日本語劇。

ギリギリ風俗ではなくて実入りが良いからという雰囲気でデートクラブのバイトをしている女子大生のアキコ(高梨臨)。
若き日の亡
>>続きを読む

友だちのうちはどこ?(1987年製作の映画)

4.7

87年イラン、傑作。
鑑賞者を童心に返す非の打ち所がない完璧な描写力。

書き取りの宿題をノートにしてこなかったことでこっぴどく叱られ、次忘れたら退学とまで脅された隣の席の友だち。
なのにアハマッドは
>>続きを読む

サマリア(2004年製作の映画)

3.8

キム・ギドクの独特な論理と耽美主義が貫かれた難解な佳作。聖書からの引用がギドク的なクセのある解釈でメインテーマに置かれるので、二重にハイコンテクストな読解を行わなければ、多くの脚色の意図を見失ってしま>>続きを読む

ファンタスティック・プラネット(1973年製作の映画)

3.7

ドラーグ族の青い顔面と真っ赤な眼球が強烈に脳裏にこびり付く名作SFアニメーション。

シュールなビジュアルの世界観という予備知識で、ダリのような美術意匠を想定して鑑賞に臨んだ(僕はダリの作風があまり好
>>続きを読む

名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

3.7

個人的に、ゲームは初代から最新の7世代まで全てのシリーズをストーリークリアしてバトル廃人と化した経験もあるほどのポケモンファンである。5000時間は費やしてると思う。バカだと思う。そして、こういうの割>>続きを読む

アベンジャーズ/エンドゲーム(2019年製作の映画)

4.8

MCU、11年間のシリーズを締め括る22作品目、3時間の大傑作。
21世紀の神話。スターウォーズも目指した「大きな物語」をこの上なく最高の形で実現している。
マーベルコンテンツのフルパワーであることは
>>続きを読む

ドント・ブリーズ(2016年製作の映画)

3.8

若者3人が空き巣に入った家の住人は、盲目の異常者だった。良いB級スリラー。

ホラーゲームではお馴染みの盲目系クリーチャー。『バイオハザード2』のリッカーや、『LAST OF US』のクリッカーが有名
>>続きを読む

運び屋(2018年製作の映画)

4.9

ハートフルなクライムコメディ
とどまることを知らないクリント・イーストウッドの年の功。老獪。88歳にして監督、主演、そして傑作。
号泣した。正直、彼の監督作品の中で一番好き。

娘役はイーストウッドの
>>続きを読む

スパイダーマン:スパイダーバース(2018年製作の映画)

4.6

50年以上の歴史を持つスパイダーマンというコンテンツのフルパワーが発揮された異次元アニメーション体験!

昨年大ヒットしたPS4用のゲームソフト『Spider-Man』のシナリオに連続するような、ピー
>>続きを読む

キャプテン・マーベル(2019年製作の映画)

3.7

ガールズパワー炸裂のヒートアクション。
その能力は神(ソー)に並ぶか、名は体を表しマーベルヒーロー随一。
スピードとパワーが迸る派手な戦闘と、フューリーを演じるサミュエル・L・ジャクソンの味が活きた軽
>>続きを読む

わらの犬(1971年製作の映画)

3.7

バイオレンス映画の名作。

インテリで温厚な夫と、似つかわしくないセクシーな妻は穏やかな環境を求め、アメリカの喧騒から離れたイギリスの片田舎に移り住む。

しかしそこで待ち受けるもの。
淀んだ天候。排
>>続きを読む

アクアマン(2018年製作の映画)

3.8

ジェイソン・モモアのゴージャスなヒゲと筋肉に適うダイナミックな冒険活劇。
古き良きハリウッド映画の大味さ、時代と逆行する重厚長大なコンセプトがむしろ心地良い。

国を治める帝王学=スーパーヒーローに求
>>続きを読む

アシュラ(2016年製作の映画)

4.0

全員悪人。コリアン・フィルム・ノワールの秀作である。

ドギョン(チョン・ウソン)は、強い方につくことをポリシーに、汚職に手を染める悪徳刑事。病床の妻の医療費を稼ぐ為に。

権力の為なら暗殺すら辞さな
>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

3.4

儀式としての舞踏。フロイト派の哲学者ラカンの複雑な理論図式の絡まりを連想させるように、捻れて折れ曲がるダンサーの身体。

同性愛を繊細なタッチで描いた『君の名前で僕を呼んで』の監督ルカ・グァダニーノが
>>続きを読む

ソーセージ・パーティー(2016年製作の映画)

3.4

男のソーセージは女のホットドックパンの割れ目に埋もれたい。
スーパーの中が乱交『パーティー』や〜!

ホーキング博士をネタにしてるとしか思えない賢いガムの見た目と喋り方でめちゃくちゃ笑った。

一緒に
>>続きを読む

虐殺器官(2015年製作の映画)

3.6

人気絶頂で夭折したSF作家、伊藤計劃の代表作の映像化。

感情と痛覚に「マスキング」を施し、冷静な兵器として戦地での暗殺業務を全うする米国軍人クラヴィス・シェパード。訪れた地が内戦の地獄と化す謎の言語
>>続きを読む

>|