ブロオーさんの映画レビュー・感想・評価

ブロオー

ブロオー

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

3.8

束縛抑圧と異常性欲はハネケにはいつものことなのですね。
車椅子のじいちゃんが殺されたがっているのがいいし、たぶん協力者を求めて街を散歩しているだろうシーンもいい。ラストシーンも海が綺麗だし、じいちゃん
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ピアニスト(2001年製作の映画)

4.7

ハネケ作品の中ではダントツで好きだった。
同居している母親があまりにもガミガミうるさいし、エロビデオ個室行くところとか感情を完全に失っている。クラシック音楽突き詰めて理性的になりすぎたのか、欲望のはけ
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白いリボン(2009年製作の映画)

3.5

それほど面白くない。
教師が恋したエヴァという娘が唯一愛らしい。
牧師の飼っている小鳥をハサミで十字架に突き刺したのが絵的には白眉で、あとは雪の積もっているシーンは白黒だと美しい。キャベツ畑を荒らして
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ファニーゲーム(1997年製作の映画)

3.3

音楽当てゲームが一番穏やかだった。
ゲームはやる側が神の権力を振るうので、ミスったら巻き戻しもあり。
ただ、アナが車を呼び止める賭けに負けたのが辛い。あそこは賭けに出ずに着実に歩いていかないといけなか
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娼婦ケティ(1976年製作の映画)

3.6

天才的な仕事だと思う。ラストシーンからエンディングに繋がるところは鮮やか。
船で姉が行方不明になりハッチを開けたら姉と男が寝ている。弟は男にトイレへと連れて行かれる。家族兄弟飢えに苦しんでいて、売春を
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ポーラー・エクスプレス(2004年製作の映画)

4.1

よかった。ファンがいることがよく分かる作品。
主人公があまり多くを語らないタイプで観やすい印象だった。全体的に『銀河鉄道の夜』と『千と千尋の神隠し』と重ねて観ていた。機関車のシーンはただただ素晴らしい
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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.9

ジョージ・ベイリーが他人を自由にするために多くの不自由を引き受けていて、こうした慎ましい態度がなんとか報われて欲しいと、観ているこちら側も天使と同じ視点に立って祈ってしまった。
世界恐慌が起きて、新婚
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グリンチ(2000年製作の映画)

3.8

シンディが本当に可愛い、癒される。
純粋であることがどれほど救いであるか思い知る。ただやはり純粋の形を着るのが幼女になってしまうのは半分やりきれない気持ちにはなってしまう。
子供が生まれるということを
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グレムリン(1984年製作の映画)

3.3

モグワイがかなり男臭い。
酒場で暴れているシーンや映画館でガヤガヤしているシーンは男子校のノリを思い出してけっこうキツい。可愛くて恐いケダモノかと思ったら汚いおっさんだったよ。
ただクリスマスのキラキ
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バットマン リターンズ(1992年製作の映画)

3.9

かなりうるさい映画だから苦手かなと思ったけど、良かった。
普通らしく人間でありたいという願いが困難でなかなか生きづらいだろうなと感じた。
事前情報も少し入っていて、仮面舞踏会のシーンは裏の姿が暴かれる
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HANA-BI(1997年製作の映画)

3.9

季節感が湧かない。
人間的な生きた感覚がない。心が壊れてしまっている。再生の物語かと思ったらそんなことはなく、どんどんとずり落ちていくだけだ。
どうせ死ぬなら最期くらいパーッと華やかにいきたいというこ
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Kids Return キッズ・リターン(1996年製作の映画)

4.6

いい映画だ。
一歩踏み外せば転げ落ちていくような、危ない橋を渡るしかない人生。
どんなことをやってみても上手くいかず、ある分野では人生が軌道に乗ったかもと淡く期待を抱いたりするが、そこでも失敗する。自
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GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊(1995年製作の映画)

3.8

面白い。
話を展開させず、世界の情景だけを映しているシーンがある。中華文明と現代アメリカテクノロジーが雑居している街並みはブレードランナーの焼き直しとも言えるが作られた世界に没入する感覚が味わえるので
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めまい(1958年製作の映画)

4.3

名作です。
好きなシーンは3つあって、1番良かったのが服とか髪やメイクを整えることで、死んだはずのマデリンと擬似的に再会を果たすところ。現実に少しの夢を添えてくれるという物語の魅力が詰まっている。
2
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ホテル・ニューハンプシャー(1984年製作の映画)

3.7

倫理観がない人間が多くて、そこはジョン・アーヴィング節なんだろうか。
人間なんてそもそも倫理観どれくらいあるのかよく分からない。ただ、人生は奇跡に満ち溢れているということがよく伝わってくる。
レイプや
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万事快調(1972年製作の映画)

1.3

つまらない。
人物に焦点を当てることは決してなく、社会的な立場でしか人を捉えていない。ある一つの時代の一つの国家くらいの大きな視点を強要される。映像ではなく書面上で充分と感じる話だった。全く賛同できな
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ガープの世界(1982年製作の映画)

5.0

素晴らしい作品だった。
書きたいことが多いが、どれだけ書けるものだろうか。
序盤は大林宣彦に似た雰囲気を感じていて、監督が作家性を出したときは、笑いのセンスがダイレクトに映画の雰囲気を決めてしまうなと
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日本殉情伝 おかしなふたり ものくるおしきひとびとの群(1988年製作の映画)

3.5

明らかにおかしなシーンがある。裸への異常なこだわりは何なんだいったい。
純愛が多くて異常な人間が多くても嫌いになることはなかった。人間なのでどこかおかしなところはそれぞれあるでしょうし、でも純粋さだけ
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ジャッキー・ブラウン(1997年製作の映画)

3.6

毎回ロジックを理解しようと思って見ているのに今回もよく分からなくなった。警察がなんであんなことになったのかよく分からない。
おじさん二人がいい感じの雰囲気を出していて、ジャッキーが「歳をとるのはどうな
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ウォーリー(2008年製作の映画)

3.7

まともな精神状態では観ることが出来なかった。
ロボット同士の恋愛が、たった今の自分にはあまりに息苦しい。ロボットの手が美しく描かれていて、ウォーリーが星屑を掬い上げるシーンは綺麗だった。音楽も素晴らし
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マジシャン・プレスト(2008年製作の映画)

3.5

5分とは思えない出来。
一つ一つのネタはけっこう面白い。毎回意図しないネタで拍手を受け続けることになるマジシャンはちょっといいかもしれない。

武蔵野夫人(1951年製作の映画)

3.3

ツトム君が日本に帰ってきたシーンは美しい。
ラストで戦後の東京の街の現実を突きつけられてツトムが抱いていた武蔵野に対する思いが過去のもので、もうかなわないと分かるのは残念だ。出てくる夫婦関係もひどくて
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毎日が夏休み(1994年製作の映画)

4.0

いいですね。
人生に疲れている人をターゲットにしていて、まんまと心打たれた。内容は深みがなくてほとんど刺さらない 笑
スギナのナレーションがこなれていて「枕を並べて寝るとはこのことだろうか」とかあから
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櫻の園(1990年製作の映画)

3.2

自分の生活圏からかけ離れた映画だったので、あまり残らずにそのままスーッと流れていってしまった。
杉山さんは序盤は出てこず噂の人として描かれているが、後半に出てきた瞬間から佇まいやら顔立ちやら魅力が溢れ
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エドワード・ヤンの恋愛時代 4K レストア版(1994年製作の映画)

5.0

面白かったです。
期待値がかなり高くてどうなるかと思ったけど、最高でした。
何人かいる主要人物がいざこざするという話だけど、その中に惹かれる人物が多くいていい。
チチはいいし、財閥の御曹司のアキンも頭
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美味しんぼ(1996年製作の映画)

3.4

情報量が少なくて、あまり考えないで観た。肩肘張らず気楽に観られるのは嬉しい。
漫画だとあるあるの描写が実写にするとわざとらしく感じるのはそういうものだけど、ギャグとして笑いました。美食家の審査員や新聞
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ローカル・ヒーロー/夢に生きた男(1983年製作の映画)

4.4

傑作です。
観始めから音楽がいいなと思っていたら、だんだんスコティッシュの音楽が流れてきて良かった。大学時代にケルト音楽のサークルにちょっと身をおいていたこともあり、スコットランドの音楽や岩のごつごつ
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さくらももこワールド ちびまる子ちゃん わたしの好きな歌(1992年製作の映画)

3.7

アニメーションの面白さがあった。
自分の好きな歌を絵に描く、アニメーションにするという喜びと創造性に満ちた趣向はいいと思う。湯浅がどれくらい関わっているのか分からないけど、アニメのために曲を書き下ろし
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君たちはどう生きるか(2023年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

漫画版の「風の谷のナウシカ」に近い内容になっていたので、こちらの方が「風立ちぬ」よりも最後の作品としてはいいと思う。
ただ話としてはそれほど面白くはない。映画館でハウルを観た人はこんな感情になってたの
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バートン・フィンク(1991年製作の映画)

3.9

おかしい作品だと思います。
ヘンタイは苦しみ続けながら生きるほかないということなんだろうけど、市民の代弁者という自負があったバートンにとってはつらい現実だ。
前半はかなり丁寧に描かれているのでゆったり
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犬王(2021年製作の映画)

3.8

アニメーションはやっぱり上手い。観ていて面白いし、水とか火とか風とかの動きを描写するセンスは抜群だと思う。
湯浅監督は水中にずっとこだわり続けていて、今回も鯨とか出てきたりするが、いよいよついていけな
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ドライヴ(2011年製作の映画)

4.9

2回目の鑑賞。
日本語吹き替え版で観ました。ずっと低音が響いていて、拍動を思わせる感じが素晴らしいし、色合いもいい。ホットラインマイアミはかなりここから影響を受けていたのだと改めて分かった。
音楽の使
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アポロ10号 1/2: 宇宙時代のアドベンチャー(2022年製作の映画)

5.0

いい作品でした。
作家性がある作品というより、個人的な作品といった出来上がりで、こうした随筆的な作品が作られることはいいことだと思う。ただ、やっぱり映画というメディアの特質上、随筆文のような個人的な作
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第三の選択/UFOと米ソ宇宙開発の陰謀!人類火星移送計画が極秘裡にすすめられている!?(1977年製作の映画)

2.9

細野晴臣さんのラジオで紹介されていたので鑑賞。
陰謀論的なフェイクドキュメンタリーを作ってわざと流すという試みは面白いし当時は成功したのだろうけど、こういうものは同時代にしか影響力がない気がする。
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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

2.5

あまりよくなかった。
音楽が細野晴臣で、宮沢賢治の作品のアニメ化ということなので、期待が高かった。
動きがほとんどなくて、アニメーションとしての魅力が乏しい。いいシーンもいくつかあるが長い時間をただ待
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

4.7

2回目の鑑賞。
2022年の7月1日に映画館で観て以来だった。
話の内容としてここまでいろいろ展開を詰め込み過ぎなくてもいいかなと感じたが、ラストシーンがとてもいいし、ダラダラした長さも愛しいと思える
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