KunihiroMikiさんの映画レビュー・感想・評価

KunihiroMiki

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サブスタンス(2024年製作の映画)

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お前らはどうせ、どんなに真摯なメッセージを受け取っても、劇場から出て飯屋に入る頃にはうまく噛み砕いて飲み下して翌日から変わらぬ価値観で生きていくような生き物なのだから、この映画のことは絶対に忘れられな>>続きを読む

カップルズ 4Kレストア版(1996年製作の映画)

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食い物にする者、される者=男と女、台湾と欧米資本…を記号的に動かしたかと思えば、混沌としはじめてひっくり返る。「恋愛時代」と地続きのエドワードヤン流の資本主義/グローバリゼーションへの批評はやっぱり神>>続きを読む

ノー・アザー・ランド 故郷は他にない(2024年製作の映画)

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映されているものの価値が高すぎて、ドキュメンタリーとしてどうのこうの考える必要がなかった。
刻まれました。

蝶の渡り(2023年製作の映画)

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昨年、眠気のなかでなんとか見通したオタール・イオセリアーニの『唯一、ゲオルギア』で知った、周囲の国々からの干渉に何度も翻弄され奪われ、踏まれ、そしてそれでも芸術やワインといった文化を捨てなかったジョー>>続きを読む

湖の見知らぬ男(2013年製作の映画)

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アランギロティ監督お初ですが、ものすごい手腕ですね。

刺激的なことしか起こっていないのに、それらを極限まで低刺激に、センセーションに引っ張られないようボー〜っとした感じに撮る。そこで浮かんでくる余白
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それぞれのシネマ 〜カンヌ国際映画祭60回記念製作映画〜(2007年製作の映画)

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みんな〜〜最高だったぜ〜〜!

なにを撮るか、どうやって撮るか、世界はこうだ、私という人間はこうだ、あなたはどうだ?
映像で語ろう、会話を見つめよう、時間を慈しもう。音が視覚を、風景が、役者の目が音楽
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ミュージック・フォー・ブラック・ピジョン ―ジャズが生まれる瞬間―(2022年製作の映画)

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ECMのドキュメンタリーと近いものがあるけど、こちらのほうが好み。監督のドキュメンタリストとしての視点が明確。ヤコブのような存在、日本にはいないなあ。

ピンク・フロイド・アット・ポンペイ(1972年製作の映画)

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本編の内容と関係ないけど、ギルモアの足元にあるエフェクターの少なさが結構衝撃だった。あれだけであんなに効果的でインパクトのある音を出しているんだと思うと、現代は化粧のナチュラルメイクみたいに隠し味的な>>続きを読む

ジュラシック・ワールド(2015年製作の映画)

1.0

別に劇中で人が死んでもいいし、女性が肌を露出してドキっとさせるシーンを盛り込んでもいいよ。でも、あまりにいたずらで短絡的で必然性が薄い。物語の創作としてあまりに浅い。エンタメってこういうことじゃないで>>続きを読む

天国の日々 4K(1978年製作の映画)

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シンレッドラインから遡るかたちでテレンスマリック作品を観る。
着地際のパラグライディングみたいに地表付近でフワッと浮きながら繋がれるシーンとシーン。神々しい…。4k版で観る価値のある映画ナンバーワンか
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キューブリックに魅せられた男(2017年製作の映画)

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面白すぎるだろ…。
キューブリックのこだわり方が実は独裁的ではなくかなり民主的な制作術を実践していたことをはじめて知った。関わった俳優やスタッフが皆疲弊するという武勇伝ばかり聞こえていたなかで、キュー
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Ryuichi Sakamoto | Playing the Orchestra 2014(2024年製作の映画)

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オーケストラで聴く教授のハーモニー、生命力がすごい。ピアノソロともバンドやコンボアンサンブルとも違う、奏者たちと溶け合った塊としてのサウンド。譜面の中に奇跡が含まれてるんだなと思わされた。

シン・レッド・ライン(1998年製作の映画)

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10代の頃に観て???だった、シンレッドライン。
こんなに覇気やアドレナリンを含んでいない戦争映画はないよな。こういう戦争映画が必要じゃないか、というテレンスマリック先生の気迫を感じた。見返してよかっ
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ブラックホーク・ダウン(2001年製作の映画)

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公開当時に観た時はまだ高校生で、モガディシュの戦闘の背景を知らずにただ戦闘アドレナリン系として観ちゃってた。

今見ると、世界の警察たるアメリカの尊大さや傲慢さ、そういう政治的な打算のなかで戦地に送り
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パーフェクトブルー(1998年製作の映画)

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後々の作品に比べると、シナリオはすこし凡庸に思えたけど、錯乱するつなぎと渇いた暴力の空気の切れ味は最高だった。

ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

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まさかこんなにすごいお話だとはつゆ知らず! 風刺に終始せずあらゆるパーソナリティの両面性または反転性が見て取れて、共感ベースではなく、群像から人間の業を描いてるようにすら見えてくる。

シェルタリング・スカイ(1990年製作の映画)

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見返したくなる。ナルシスティックかつちょっとしたセカイ系の先祖みたいな感じでも、映像と間と音楽が官能的で、なんだかリアルだ。

春江水暖~しゅんこうすいだん(2019年製作の映画)

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念願の2度目の春江水暖。
よく言われるように、ストーリー性が希薄と言ってしまえばそれまでなのだが、移ろいそのものを映しているのだとしたら、作為的に押し進めるための筋書きは当然必要ない。
グーシーの親友
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ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

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ある作品のことを思い出すときに、ずいぶん昔に見た作品だと思ったら2-3年前だったりすることがある。大抵、そういう作品は面白いとかつまらないとかそういうことではなく、自分にとって毒にも薬にもならなかった>>続きを読む

リアル・ペイン〜心の旅〜(2024年製作の映画)

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斜めな生き方の人物を置いて記号化されたキャラクターたちの言動を使って物語を進める、というステレオタイプな構図かと思わせて、全く真逆の、生き生きとありありと心情を愛でる神がかった演出の映画だった。

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イノセンス 4Kリマスター版(2004年製作の映画)

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散々繰り返し見てきたはずなのに、今まで何を観ていたんだろうと恥ずかしくなるくらい、今回ようやく理解できたことが多くあった。

4Kの鮮明さについては、オープニングから、あれ?イノセンスの始まりってこう
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紅夢(1991年製作の映画)

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第三夫人が処刑される1番キツイシーンで1番美しい撮り方をしてたり、まずあの屋敷のセットが最高すぎるし、ヤバイ撮り方してるシーンだらけで良かったんだけど、チャンイーモウの女性観はやっぱおかしいと思った。>>続きを読む

名もなき者/A COMPLETE UNKNOWN(2024年製作の映画)

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先日、渋谷センター街を歩いていると、街路のスピーカーからLike a rolling stoneが流れていた。風景との整合性云々よりも、あのノイズまみれで意識散漫の地獄のような雑踏にあっても、ディラン>>続きを読む

ブルータリスト(2024年製作の映画)

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冗長さは全く感じなかったし、映像体験としてはすごく良かった。が、架空の話としてこういった話を展開するのであれば、もっと焦点を定めるところは定めたり、メタファーから浮かぶものがもっと普遍性を帯びるような>>続きを読む

ブルーベルベット 4Kリマスター版(1986年製作の映画)

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スクリーンでリンチの作品観るのは大学生のころにリアルタイムで観たインランドエンパイア以来だった。 酩酊作用が強い。理屈を超えた力があった。

シャッター アイランド(2009年製作の映画)

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こういう話をスコセッシが撮ると、やっぱスコセッシで、重めのボディーブロー

(2025年製作の映画)

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なんて緻密な映像表現……めちゃくちゃ面白かった。筒井康隆の解像度の高すぎる心理描写、狂気の本質をきちんと掬い取ってる。先生が観ても、そうそうそういうことなんだよ、と言ってくれそうな。

すばらしき世界(2021年製作の映画)

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なにか生きづらさとか社会の理不尽さのようなものが主眼の映画なのだとしたら、演出や話の運び方が予定調和で安易なところが多い気がするが、介護の職場での葛藤の描き方などには西川監督らしい、グレーゾーンで揺れ>>続きを読む

男はつらいよ 寅次郎の告白(1991年製作の映画)

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出演時間だけでいったらかなり少ないはずなのに、吉田日出子の存在感!! 満男、身体が頑丈だなあ!
独り身のおばあちゃんとか、テキ屋見習いのヤンキーとか、ああいう脇役の置き方が本当にワクワクする。