豚肉丸さんの映画レビュー・感想・評価

豚肉丸

豚肉丸

「生きる」大川小学校 津波裁判を闘った人たち(2022年製作の映画)

4.6

東日本大震災時学校側の誘導ミスによって児童を亡くした遺族たちが裁判を起こすドキュメンタリー映画

ドキュメンタリー映画としての意義が全面に押し出されていて良い。裁判の記録としても当事者の声を風化させな
>>続きを読む

コンクリート作業(1954年製作の映画)

3.3

ダムの建設現場を撮影したドキュメンタリー映画

ゴダールの初短編作品。
内容と言えば本当にダムの建設現場を撮影したドキュメンタリーでしかなく正直かなり普通のテレビ番組的であるものの、しかしベルトコンベ
>>続きを読む

親密さ(2012年製作の映画)

5.0

演劇を制作するお話

再鑑賞。
何もかもが最高すぎてビビる。
演劇制作を進める恋人を徹底したリアリズム調で映しながらも突然「戦争」という嘘すぎるフィクションを絡ませて会話と暴力について思索した前半と実
>>続きを読む

Here(2023年製作の映画)

4.6

長期休暇を取って故郷に帰省しようとしている移民男性が森の中で偶然前出会った植物研究者の女性と再会するお話

バス・ドゥヴォス監督、やはり映像が素晴らしくて最高。心地良い映像の時間が常に流れ続けている。
>>続きを読む

Playback(2012年製作の映画)

4.5

病院で出会った高校時代の友人に導かれるようにして高校生の頃に時間が戻るお話

ジャンプカットの多用と時間の反復が最高。反復を繰り返しながらも至る所にズレがあり、ただの繰り返しに陥っていないのが面白い。
>>続きを読む

ナミビアの砂漠(2024年製作の映画)

4.3

彼氏を捨てフリーランスのクリエイターの男に乗り換えて同棲生活を始めるお話

物を投げる→大声で怒鳴る→ドアを蹴る→階段から転がり落ちる
の連続したアクションに爆笑してしまった。後半に進むにつれて(意識
>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

4.2

美青年がブルジョワの家庭内に侵入し家族を虜にしていくも、美青年が去ってからブルジョワ一家に崩壊が起きるお話

前半は普通のパゾリーニなのだが中盤で男が家を去ると宣言してからがかなり面白い。家族と家政婦
>>続きを読む

きみの色(2024年製作の映画)

4.8

人の色が見える少女が突然学校を辞めた少女と偶然出会った青年と共にバンドを組むお話

良すぎる!!
物語を推進させる力強い導入がある訳でもなければ突発的な爆発力も無く、テレビシリーズのエピソードを繋ぎ合
>>続きを読む

キルマゲドン(2023年製作の映画)

4.6

殺人鬼カップルが妊娠を機に殺人を止めて子育てを始めるお話

冒頭の露悪的なゴアゴアしい殺害描写の数々から中盤からのホームビデオの移行に大爆笑した。耳をつんざくような悲鳴とノイズ、ゴアに塗れ妊婦を殺し胎
>>続きを読む

ゴースト・トロピック(2019年製作の映画)

4.7

終電で寝過ごしてしまったおばあちゃんが家まで歩いて帰ろうとするお話

「眺める」ことに徹したショットの数々が最高。本作は主人公の道程をただ淡々と眺めるだけの映画であり、私たち観客が主人公を眺めることと
>>続きを読む

ふれる(2023年製作の映画)

4.3

母を亡くし喪失感を抱える少女が陶芸にふれるお話

撮影、台詞、場面の積み重ね方などどれをとっても丁寧で良い。特にパンを活かしたカメラワークは驚きもあり、自然体で心地良いショットの連続ながらもその細部に
>>続きを読む

I Saw the TV Glow(原題)(2024年製作の映画)

4.6

子供の頃に見たお気に入りのテレビドラマと友人の失踪が、大人になってから現実を侵食し始めるお話

前作『We're All Going to the World's Fair』を観た時「滅茶苦茶A24っ
>>続きを読む

ストーカー(2002年製作の映画)

4.6

孤独な現像技師のおじさんが常連の家族の一員になろうとするお話

面白すぎる。ウォルマートことソウマート内の徹底的に無機質な色彩(リミナル・スペース的な)とその店内の巨大さが男の孤独さを無慈悲に表してい
>>続きを読む

照射されたものたち(2020年製作の映画)

3.7

戦争・虐殺の記録が三画面に分割されて提示されるドキュメンタリー

初リティ・パン。
アーカイブ映像と死の記録、そして白塗りの男たちによる舞踏が混ざり合い「戦争・虐殺で亡くなった人たち」への弔いが果たさ
>>続きを読む

ケイト・プレイズ・クリスティーン(2016年製作の映画)

3.6

テレビの生放送中に自殺した女性の再現ドラマを演じることになった女性のお話

自殺した女性の背景を知るうちに演じる女性に精神的な変化が起こり始める...という題材自体は面白いものの、見せ方が微妙。自殺し
>>続きを読む

71フラグメンツ(1994年製作の映画)

4.5

ある事件を迎えるまでのそれぞれの人生が断片的に積み重なっていくお話

面白すぎる。ただ人の人生の断片を見せつけられるだけにも関わらず印象的な長回しとハネケらしい嫌な空気感が詰まっていて最高。誰に寄り添
>>続きを読む

アウステルリッツ(2016年製作の映画)

4.1

元強制収容所の建物に訪れる観光客の姿を映したドキュメンタリー映画

ナレーションやインタビューの映像は一切無く、カメラは観光客の姿を映すことのみに終始する。固定カメラによる長回しは観客自らも強制収容所
>>続きを読む

Mad Mutilator(原題)(1983年製作の映画)

4.2

森の中に潜む謎の殺人鬼が次々に人を惨殺するお話

演技・撮影・編集のどれもが酷くて本当にどうしようもないSOVゴア映画にも関わらず、どこか惹きつけられる魅力が宿っていて確かに面白い。観る前はこの映画が
>>続きを読む

殺人の追憶(2003年製作の映画)

4.8

頻発する連続殺人事件の真犯人を追うお話

ストーリーテリングが面白すぎる。「怪しい人物・証拠を見つける→尋問→失敗」の繰り返しでしかなく、真犯人が最後まで明らかにされないのは観る前から明白にも関わらず
>>続きを読む

スタック(2020年製作の映画)

4.0

ジムのマットに忍び込んで覗き見をしていた男が体操選手によって押し潰されるお話

良作短編ホラー。被害者となる男を徹底的な悪者として描写することで胸糞悪くないように設定しながらも「足で押し潰される」とい
>>続きを読む

ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.6

様々な階級と男女の関係が入り混じったパーティが大崩壊に至るお話

アンドレーとサン・トーパンが喧嘩をする場面、今まで顔ばかりを映していたカメラが突然離れて部屋の全体像を捉えるようになる。舞台劇のような
>>続きを読む

墓泥棒と失われた女神(2023年製作の映画)

4.6

刑務所から出所したばかりの墓泥棒が恋人の影を追いながら墓泥棒を繰り返すお話

全編バチバチにキマったショットの連続......のような映画ではないものの、時々声を出してしまうぐらいに良いショットが存在
>>続きを読む

鬼火(2022年製作の映画)

4.2

ポルトガル皇太子が環境保護に目覚めて消防団に入隊するお話

予想以上の男性器ミュージカル映画で面白い。男性器とミュージカル要素が意外に強め。
物語は身分差恋愛という王道ロマンスの体裁を取りながらも二人
>>続きを読む

MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.7

頭の中で鳴り響く謎の爆発音に悩まされる女性が、その音を追い求めようとするお話

最高。心地良さと不穏さが共存して絶妙な空気感を醸し出している。音響技師に頼んで爆発音の再現を作ってもらう......とい
>>続きを読む

パリ、夜は眠らない。(1990年製作の映画)

4.6

80年代ニューヨークで誕生したゲイカルチャーを切り取ったドキュメンタリー映画

ゲイやドラァグクイーンの人々が集まっては自身の望む姿に変身し、その姿で競い合う定期的な舞踏会イベントの様子とそこに集まる
>>続きを読む

幸福なラザロ(2018年製作の映画)

4.4

現代社会から断絶された村の中で村人たちから都合良く働かされるラザロのお話

後半部分の露骨さと語りの退屈さは気になるものの、全体的には良い。あるギミックを境に前半で描かれていた「小作人制度」という構造
>>続きを読む

僕はイエス様が嫌い(2019年製作の映画)

4.5

キリスト教系の小学校に転校してきた男の子がイエス様が見えるようになるお話

撮影が丁寧で良すぎる。スタンダードサイズの丁寧なリアリズム調と荒唐無稽なスピリチュアルが融合することでシュールでありつつも子
>>続きを読む

ウマ娘 プリティーダービー 新時代の扉(2024年製作の映画)

4.7

学園に入学したウマ娘の少女が同期で最強のウマ娘に出会ってしまうお話

ウマ娘一切知らない状態で鑑賞。
アニメーション映像の快楽と興奮に満ちていて凄すぎる。シネスコの画面はレース場面はさることながら日常
>>続きを読む

好きになるその瞬間を。 告白実行委員会(2016年製作の映画)

4.2

最悪な形で出会った先輩に恋をし、悶々とするお話

登場人物全員の原動力が「好き」って気持ちなの凄すぎる。群像劇のペースで様々なキャラクターが出てきて、それぞれがそれぞれに方向性を向けて恋をしてるのが凄
>>続きを読む

営倉(1964年製作の映画)

4.5

米海軍刑務所内部で行われる暴力を鮮明に描き出した演劇を撮影したドキュメンタリー映画

ジョナス・メカス監督作品ではあるが、彼の日記映画スタイルとは異なり演劇を撮影することのみに終始する。そのため日記映
>>続きを読む

In A Violent Nature(原題)(2024年製作の映画)

4.7

蘇った殺人鬼が森を徘徊しながら若者たちを殺して回るお話

「タル・ベーラが撮った13日の金曜日」と評されている通り、確かに殺人鬼が森の中を徘徊する様子を永遠と背中から追うように映していて面白い。しかし
>>続きを読む

ドリーの冒険(1908年製作の映画)

4.0

少女が窃盗犯に誘拐されるお話

固定ショットで全てを映しきっているのが面白い。この時代の技術的に仕方ないとは言え、決定的なアクションの瞬間にカットが切り替わったりクローズアップされたりするのではなく、
>>続きを読む

Backflip(2022年製作の映画)

4.4

バックフリップを習得したいが怪我を負うのが怖い男がバーチャル上の自分のアバターにバックフリップを習得させようとする短編映画

素直に笑った。
機械学習で何千回と同じ動作を永遠と繰り返させることで自然と
>>続きを読む

牛泥棒(1943年製作の映画)

4.7

牛泥棒の犯人を見つけ出して私刑を行おうとするお話

手堅く纏まっていて面白すぎる。大勢のキャラクターの性格を一人一人わかりやすく特徴づける手法、「群衆」の描き方、観客すら映画の中に組み込まれる厭で露悪
>>続きを読む

トラペジウム(2024年製作の映画)

4.7

アイドルグループを結成するために他校に友達作りに行くお話

東ゆうが好きすぎる!

「アイドルを夢見る少女が現実を知る...」と根本的な物語の筋はよくあるアイドルものだけれども、主人公を狂信的なキャラ
>>続きを読む