Yoshiさんの映画レビュー・感想・評価

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東京2020オリンピック SIDE:B(2022年製作の映画)

3.1

このレビューはネタバレを含みます

 先にSIDE:Aを視聴して、その際に、2020年から21年にかけてのイヤな感じを思い出した、と思っていたのだが、SIDE:Bを視聴して、もっといろいろあったことを思い出して、いっそうイヤな気持ちを味>>続きを読む

東京2020オリンピック SIDE:A(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 本作でも引用されているが、1964年の東京オリンピックには市川崑監督の記録映画が存在する。その作品は、「オリンピックは人類の持っている夢のあらわれである」というフレーズから始まる。このフレーズが成り>>続きを読む

さようならCP(1972年製作の映画)

3.4

 本作が公開された1972年当時の人々にとっては、特に当時この映画を見た人々にとっては、例えば「青い芝の会」が何を訴えてどのような活動をしているのかなどの知識が当然に共有されていたと思われるが、私がこ>>続きを読む

DISTANCE/ディスタンス(2001年製作の映画)

3.9

 「黒澤明『一作一生』全三十作品」(都筑政昭 著)という書籍によると、黒澤明が1991年に山田洋次との対談で、こんなことを語っていたそうである。
 「どこに映画があるかというとね、カットとカットのつな
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歩いても 歩いても(2007年製作の映画)

4.2

 男性と女性が同じ時間と空間を共有したとして、男性はそこが単一のレイヤーにしか見えないが、女性はいくつものレイヤーが同時に見えている。というとても大事なことを見事に描いた作品。
 本作も、是枝監督らし
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幻の光(1995年製作の映画)

3.7

 もう四半世紀以上前のことになるが、宮本輝の小説を貪るように読んでいた時期があった。幻の光もその頃に読んだ作品の一つで、本作は、宮本輝らしい、人の心の影の部分が、とてもよく映像化されている作品だと感じ>>続きを読む

誰も知らない(2004年製作の映画)

4.3

 実際にあった事件を下敷きとしているということを知っていたせいもあるが、ネグレクトのドキュメンタリーを見ていると錯覚するようなリアリティーに圧倒された。
 是枝監督自身がのちに語っているところによると
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ワンダフルライフ(1999年製作の映画)

4.2

 何か立派な生きた証を残さなくとも、誰の人生にも素晴らしい瞬間がある、というのが、是枝裕和監督が本作に込めたメッセージで、それがとてもよく伝わってくる良作。
 このメッセージを、ストーリーや演技で観客
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罪と女王(2019年製作の映画)

4.5

 主要キャストの中で、最も社会的地位の高い人物が最も醜悪な嘘をついて、最も立場の弱い人物がその歪みをすべて押し付けられる、というきわめて救いのない作品。
 キャッチコピーに「女は、守るために、残酷にな
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 「 ゴンーーーーー」という低い鐘のような音に続いて、「ドーソーソーファミファミレーレードレミーレミファーミドミーレー」のリフ。もうこれだけで、「トップガン」の世界に引き込まれる。まるで、36年間の空>>続きを読む

独立愚連隊(1959年製作の映画)

3.7

 本作品は1959年の作品。終戦が1945年のことだから、まだ14年しか経っておらず、大人は誰でも戦争の記憶がある時代の作品であり、中国大陸の前線はきっとこんな感じだったのだろう、と感じさせる生々しい>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

4.1

「ウルトラマン80」なんかは幼少期にリアルタイムで見ていたのだが、全体的にはウルトラマンのシリーズをそれほど真剣に見て育ってこなかったので、数多く散りばめられている(であろう)小ネタは拾えなかった。>>続きを読む

無法松の一生(1958年製作の映画)

4.6

この映画にあるもの。大監督と大俳優と大女優。明治の記憶と大正の記憶。男らしさと女らしさ。身分の違い。そして無欲の愛。
これらは全て、2020年代の現在からは失われてしまったもののように思えるが、映画が
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アポロ 11 完全版(2019年製作の映画)

4.1

 映画を見るとき、無意識のうちに、制作された時代によって映像および音声のクオリティーに対する要求度を補正するものだと思う。
 アポロ11号が月面に着陸した1969年、例えばスティーブ・マックイーン主演
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家族ゲーム(1983年製作の映画)

4.3

数年前、「結果にコミットする」というフレーズがCMで使われて流行った。
父という役、母という役、長男(高校生)という役、次男(中学生、受験生)という役をそれぞれ演じているかのような、まるで家族ごっこと
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キング・オブ・コメディ(1983年製作の映画)

4.0

ロバート・デ・ニーロ演ずるルパート・パプキンは、コメディアンとして成功したいという、強い強い情熱を持っている。しかし、その情熱が向かっている方向は、常人から見るとかなりおかしい。

現実にこういう人が
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(1974年製作の映画)

3.5

本作は1974年の作品で、70年代らしい当時の街並みなどをきれいに映像に残しており、魅力的である。
ただ、いくつか80年代的なものを先取りしているところがあり、そこが面白いところであると感じた。

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TATTOO「刺青」あり(1982年製作の映画)

3.6

宇崎竜童はミュージシャンであって、プロの俳優ではないのだが、そこから来る「演技してる感」の無さによって、主人公である竹田明夫の粗暴さがうまく表現されているように思う。

一方で、関根恵子は本作の公開時
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タクシードライバー(1976年製作の映画)

3.8

【トラビスの命題 その1】
 孤独である
【トラビスの命題 その2】
 このゴミ捨て場みたいな町を掃除してもらいたい

この2つの命題を連立方程式のように解いた結果が「ひとり浄化作戦で自分の存在を確認
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ジョーカー(2019年製作の映画)

4.5

本作は冒頭から悲しみに満ちているが、悲しいと感じているのは、鑑賞している私であって、主人公アーサーは悲しいのではない。寂しいのである。

私は、寂しいという感情は、人間関係のトラブルを引き起こすという
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あるマラソンランナーの記録(1964年製作の映画)

2.8

本作の主人公は、作品中では名前が語られないのだが、1970年メキシコオリンピックのマラソンで2位となった名ランナー、君原健二氏である。

ほとんどが君原氏のトレーニングの映像という、大変ストイックな作
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なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

「正義の教室」(飲茶 著)という哲学入門書で、以下のような考え方が紹介されている。

「自分たちが生きている社会の構造をきちんと把握しよう。そして、その構造上の欠陥を見つけ出し、それを修復してもっと豊
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アキラ AKIRA(1988年製作の映画)

4.4

 作品全体から発せられているスピード感やカッコ良さが、古びていない。時空を超えた作品である。
 その一方で、バブル時代に存在した日本社会のバイタリティーが映画の形で結晶化したような作品とも感じられる。
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熟れた快楽(2016年製作の映画)

3.6

 原題「Gleißendes Glück」は、直訳すると「輝く幸せ」となるが、「熟れた快楽」という日本語の題名より、原題の方がこの作品の内容を正確に表しているように思う。ある女性が、暴力的な夫の支配か>>続きを読む

十九歳の地図(1979年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

 1989年に日本はバブル景気の絶頂に達するが、そのたった10年前に、それも東京で、このような貧困の風景がフィルムに収められたということが、意外に感じたのだが、1974年生まれの私としては、冷静に子供>>続きを読む

マラドーナ(2008年製作の映画)

3.5

 マラドーナが活躍した時代というのは、世界のサッカーシーンがまだグローバル化しきっていない時代であって、それ故だろうか、マラドーナの周辺の空気感がとてもラテンアメリカ感が強いのが印象的だった。選手とし>>続きを読む

少年(1969年製作の映画)

3.6

 実話を元に脚本が作られたということだが、令和4年の感覚で見ると、戦争の爪跡というのは、こういう非常に屈折した形でも現れるのか、ということが大変興味深く感じた。オープニングからして、日の丸の赤い部分を>>続きを読む

こおろぎ(2006年製作の映画)

3.1

・全体を通して、何を伝えたかったのかよく分からない。私にとっては難解な作品だった。鈴木京香の美しさを堪能するための作品だとしたら、高評価。
・西伊豆の風景が良い。室内外を問わず、画はきれい。
・音響に
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太陽の塔(2018年製作の映画)

3.5

この作品は、太陽の塔の建設秘話や苦労譚のような内容ではない。
タイトルが「太陽の塔」であるより、「太陽の塔を哲学する」であったり、「太郎の思想 〜太陽の塔から考える〜」だったりした方が、内容を的確に表
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さらば愛しき大地(1982年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

ストーリーは割と単純で、事故で子供を失った男性が、覚醒剤によって身を持ち崩していく、という物語。表面的には、覚醒剤の恐ろしさがメッセージとして伝わってくるが、その他にいろいろなコントラストが重層的に描>>続きを読む

極私的エロス 恋歌1974(1974年製作の映画)

3.6

 主な被写体となっている武田美由紀が、とにかく高い熱量でエネルギーを発散しているのだが、その内容が何なのか、とても分かりにくい。映像とは別に録音した音声を、後から映像にかぶせる手法も使われており、何を>>続きを読む

ゴッド・スピード・ユー! BLACK EMPEROR(1976年製作の映画)

2.3

未来からの視点で過去を裁いてはいけないということは重々承知の上で、それでもやっぱり、ブラックエンペラーに代表される当時の暴走族に対して、共感できるところはなかった。ただの甘えた連中の反社会的行動記録に>>続きを読む

ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

主人公の家福悠介は、多言語演劇に取り組んでいる。しかも演出家としては、俳優たちに対して抑揚なしでセリフを読むように求める。
家福の運転手を務めるみさきは、無駄に話すことのない、寡黙な人物である。
この
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MIFUNE:THE LAST SAMURAI(2015年製作の映画)

3.2

三船敏郎を語ろうとすると、同時に黒澤明を語ることになる。
それは当然のことであり、この名優と名監督は切っても切れないコンビである。
しかし、このコンビが放つ光が眩し過ぎて、それ以外のものが影に隠れてし
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