DZ015さんの映画レビュー・感想・評価

DZ015

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コンタクト(1997年製作の映画)

5.0

たまたま開いた本で、つけたテレビで、選んだ映画でまさに今の自分が必要としていた言葉や文章に出会うことが度々ある。大のSF好きである僕が1997年のこの大作をなぜ今日までスルーしていたのか納得。

オカ
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プリシラ(2023年製作の映画)

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待望のソフィア・コッポラ監督新作。エルヴィス・プレスリーの妻プリシラの物語というコッポラ監督の真骨頂的作品。今この時代にコッポラ監督がフェミニズムにどう向き合うのかも興味津々でしたが、変わらずのセレブ>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

5.0

海外移住のため離れ離れになった幼なじみの2人が、24年の時を経てニューヨークで再会する7日間。

素晴らしすぎた。まるで良質な小説。終始行間にぎっしり物語がある。思い出し泣き不可避の奥深さ。繊細極まる
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市子(2023年製作の映画)

5.0

好きというのが憚られるほどに重い作品ですが、脚本演出構成映像杉咲花さんの演技すべてが好みだった。生まれること、生まれてしまったこと、生きることと生きる権利と。

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

5.0

全編がサビのような情報量に3時間が一瞬。とはいえ処理が追いつかずわからないシーンが多々あるので自分の理解力に問題があるのでは?と不安になるも、あの町山さんをして「5回観て大体わかった」と語られており一>>続きを読む

サタデー・フィクション(2019年製作の映画)

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待望のロウ・イエ監督最新作。太平洋戦争勃発直前の上海租界の7日間。全編モノクロ、音楽なしという潔さ。スタイリッシュな映像に泥臭い物語という本領発揮。演劇と現実が交錯しまくる非現実感に満ちたスパイアクシ>>続きを読む

オオカミの家(2018年製作の映画)

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まずは張り子の人形でこれほどの感情表現が出来ることに驚き。単なるストップ・モーションアニメにとどまらず、全体がぬるぬると動くこの感覚はまるで生きた美術館に飲み込まれたよう。その労力に感服。ひたすらシュ>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

5.0

待望のPART2。すべての面でPART1を軽々凌駕、同時代に生きていることに感謝するレベルだった。しかしこれほどのスペクタクル巨編でありながら刺さってくるのはポール(ティモシー・シャラメ)とチャニ(ゼ>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

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素晴らしかった。13歳のバスティアンと16歳のクロエ。絶妙な年齢差。男子なら誰もが思い当たるあの仄かな憧れがとてもリアルに表現。甘酸っぱい初恋物語に終始するのかと思いきや、通底する「死」のイメージ。二>>続きを読む

悪魔がはらわたでいけにえで私(2023年製作の映画)

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日本にこんなぶっ飛んだ感性の監督がいてくれて嬉しい。

年齢と共にかなり血が苦手になったのですがドバドバ出るこの作品は何故かぜんぜん大丈夫だった。荒療治でしょうか。悪魔たちが可愛いし散りばめられる数々
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かがみの孤城(2022年製作の映画)

5.0

原作未読ですが全方位好みの世界観だった。あらゆる方向に揺さぶりをかける演出、ここが頂点かと思いきや更にその先(奥)がある展開。上映後の舞台挨拶で原監督が「オファーが来たからやった」と淡々と語っておられ>>続きを読む

クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶモーレツ!オトナ帝国の逆襲(2001年製作の映画)

5.0

「懐かしいってそんなにいいものなのかな」

この名作を新文芸坐にて35mmフィルム、しかも原監督の舞台挨拶(という名の一時間にわたる濃密な制作秘話)付きで鑑賞という至福。ひろしの回想シーンは何度観ても
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ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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敬愛するケリー・ライカート監督最新作。

創作とそれに伴う感情制御の難しさ、家族の面倒くささなど、とてもわかりみ感の強い作品だった。4回目の起用となるミシェル・ウィリアムズとの相性は本作でも最高で、1
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イノセンツ(2021年製作の映画)

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不思議な力に目覚める4人の子供たち。

予想よりも直球のホラーテイスト。美しく広大な北欧が舞台でありながら団地、子供たちだけの世界という閉塞感。直接的な痛みの描写が強烈ですが、主人公イーダの心の痛みを
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

5.0

余裕で期待値超え。愛と性と生と死と。強烈な皮肉と含蓄。テリー・ギリアム監督も嫉妬するのではというブラックジョークとレトロフューチャーな映像美。ファッション、色彩も眼福。そして何と言ってもエマ・ストーン>>続きを読む

ソウルに帰る(2022年製作の映画)

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韓国で生まれフランスで養子縁組されて育った25歳のフレディ。揺れ動くアイデンティティ。

素晴らしかった。演技未経験とは信じ難いほど見事に葛藤と苦悩を全身で表現する主人公フレディ役パク・ジミン。本業は
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枯れ葉(2023年製作の映画)

5.0

突然の引退宣言から6年、カウリスマキ監督が帰ってきてくれた。しかもこんなにも素敵なラブストーリーと共に。嬉しすぎる。

貧しくとも矜持を失わず生きるアンサとホラッパの出会い。ラジオからはウクライナ侵攻
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アシスタント(2019年製作の映画)

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映像美に反して心削られる問いかけられ系作品。ハーヴェイ・ワインスタインによる性的暴行事件が題材の実話。映画プロデューサーを夢見るジェーンが就職したのはハラスメントの巣窟。自分をどの立場に置いても暗澹た>>続きを読む

リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

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ほっこりとした前向きさを残してくれる傑作。2分間のタイムループから抜け出せなくなった人々。斬新な設定を活かし切る脚本が素晴らしい。コメディータッチながら哲学的寓意に満ちておりかなりぐっと来た。ぬるま湯>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

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素晴らしかった。1980年代のパリ。シングルマザーのエリザベートと難しい年頃の子供たち。窮地に追い込まれても魚のように生きるエリザベートにシャルロット・ゲンズブールがハマり役。エマニュエル・ベアールと>>続きを読む

福田村事件(2023年製作の映画)

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関東大震災直後に実際に起きた虐殺事件・福田村事件。まさにコロナ禍に起こった分断と同じ構図で「過去」の事件とは思えず、その恐怖は肌感覚。古今東西結局人間の営みにそう違いはなく、人間関係に尽きるのだなと改>>続きを読む

CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

5.0

大傑作。13歳のレオとレミはいつも一緒の大親友。少し幼い『君の名前で僕を呼んで』的な作品かと構えずに鑑賞すると大変な目にあった。もっと覚悟が必要な作品だった。友情を少し超えたような感情を覚えたことは多>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

5.0

素晴らしすぎて2度鑑賞。役所広司さん、外国人監督の撮る東京、都会の孤独、余白、カセットテープ、ラジカセ、フィルムカメラ、古本、60~70年代洋楽等々自分の「好き」がぎっしり詰まっていた。今どきの日本人>>続きを読む

VORTEX ヴォルテックス(2021年製作の映画)

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認知症を患う妻と心臓を患う夫と頼りない息子。まさか鬼才ギャスパー・ノエ監督に泣かされるとは。何かしらの製作で関わっているのかと思いきや主演(80歳初)でびっくりのホラー映画の巨匠ダリオ・アルジェント。>>続きを読む

ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい(2023年製作の映画)

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人を傷つけたくないからぬいぐるみに悩みを吐露する「ぬいぐるみサークル」の物語。一時「誰も傷つけない笑い」なんて言葉が流行りましたが、実はそんなこと不可能なのはみんな知っていた。極端な話「ご飯美味しかっ>>続きを読む

コンパートメントNo.6(2021年製作の映画)

5.0

好きすぎた。お洒落なキービジュアルからこんな揺さぶれ方をするとはまるで思わなかった。フィンランドの留学生ラウラと寝台列車で同室となる粗野なロシア人炭鉱労働者リョーハ。最悪の旅になるかと思いきやのロード>>続きを読む

aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

5.0

素晴らしすぎた。11歳のソフィと父、思い出の夏旅行を記録したビデオ。楽しさの中に漂う不穏。父娘の物語でこの視点ははじめて観た気がする。巻き戻せる機器に残された巻き戻せない人生。

誰しも子供が生まれた
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その道の向こうに(2022年製作の映画)

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素晴らしかった。静かで熱くて厳しくて優しい物語。

内面の美しさが滲み出すようなジェニファー・ローレンス。
包容力の権化のようなブライアン・タイリー・ヘンリー。
アンビエントな音楽が良すぎると思ったら
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キリエのうた(2023年製作の映画)

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まずはアイナさん剥き出しの歌を聴かせてくれた岩井監督に深謝。
Kyrie名義のアルバムは本当に素晴らしかった。

3時間の長尺を感じさせない良作であることは間違いないのですが、アイナさんの露出の多さと
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スワン・ソング(2021年製作の映画)

5.0

素晴らしすぎた。近未来、不治の病と診断され、ある実験を提案された主人公のキャメロン・ターナーの選択。大好物の切ない系SF大傑作。自分の心の奥にある梅干しの種の中身みたいなものがキューっと締め付けられ号>>続きを読む

フローラとマックス(2023年製作の映画)

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音楽恋愛映画の名匠ジョン・カーニー監督待望の新作。シングルマザーのフローラと反抗期の息子マックス。こんなにも真っ直ぐな物語なのに深く刺さってくるのはジョン・カーニー監督が心底本気で音楽の力を信じている>>続きを読む

蛇イチゴ(2003年製作の映画)

5.0

西川監督デビュー作。

平泉成さん大谷直子さんが夫婦役という最強。宮迫さんが気持ち良いほどの小悪人役という西川監督の先見の明。つみきみほさんもとても良く、キャスティングの素晴らしさもデビュー作から確立
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夢売るふたり(2012年製作の映画)

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火事ですべてを失った夫婦。シリアスな物語かと思いやコメディ色強め。安心して観ていられるキャスティングも素晴らしい中、松たか子さんが出色。

自分と相性が良すぎる西川監督作品ですが、この作品では少年恵太
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ノベンバー(2017年製作の映画)

4.0

予備知識ゼロでの鑑賞ですが、このキービジュアルからまるで想像できない作品だった。「対比」がキーワードであらゆる相反する要素が同居。ロマンでリアル、上品で下品。寓意と皮肉。繊細に色調を変えるモノクロの表>>続きを読む

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