DZ015さんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ニューオーダー(2020年製作の映画)

4.0

いわゆるSF的世界観のディストピアスリラーを予想しつつ鑑賞。しかしそんな生ぬるいものではなかった。今我々のすぐ近くにある真のディストピア。いやすでに世界のあちこちに存在するディストピア。

ミシェル・
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アフター・ヤン(2021年製作の映画)

3.9

家族同然の人型ロボットのヤンが「故障」する日。

圧倒的整合感の大傑作『コロンバス』以上に静謐な、もはや禅のような世界観。やはり信頼出来るコゴナダ監督2作目。今作も小津安二郎監督リスペクトなカット毎の
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エルミタージュ幻想(2002年製作の映画)

5.0

90分間ワンカット、編集なし。全編を世界遺産エルミタージュ美術館内で撮影。凄まじい没入感。19世紀の舞踏会の夜。案内人は監督自身の目線と19世紀フランスの外交官。ときに時空も超え語られる300年の歴史>>続きを読む

常田大希 混沌東京 -TOKYO CHAOTIC-(2021年製作の映画)

5.0

まさにナチュラル・ボーン・アーティスト。
天才としかいいようがない。
なのに米津玄師に「文明で育ってきたのか?」と言わしめるご飯の食べ方。
愛すべきキャラクター。

ハッチング―孵化―(2022年製作の映画)

4.7

少女が見つけた謎の卵から孵化したものは。

天才女性監督がまたひとり。ホラーか虚像家族物語か、どちらに重きを置くかで評価が分かれる作品には違いありませんが、個人的にはエグすぎる描写を差し引いても最高の
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TITANE/チタン(2021年製作の映画)

4.5

幼少時の交通事故で頭蓋骨にチタンプレートを埋め込まれたアレクシアの半生。

デビュー作で大傑作の「RAW 少女のめざめ」以上に観る人を選ぶ強烈さ。しかし前作同様かっこよすぎるクレジット・タイトルからグ
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1640日の家族(2021年製作の映画)

3.8

生後18ヶ月から4年半、少年シモンを我が子同然に育ててきた家族のもとに、実の父親から突然その子を引き取りたいと連絡が。

シンプルな感動作を予想していましたが「子を育てるということ」「子供の幸せ」につ
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パリ13区(2021年製作の映画)

5.0

台湾系フランス人のエミリーとシェアメイトでアフリカ系フランス人のカミーユ。33歳で大学に復学したノラの人間模様。

素晴らしき傑作。わずか105分の中に恋愛をはじめ生きることのあれこれがぎっしりと詰ま
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川っぺりムコリッタ(2021年製作の映画)

5.0

素晴らしすぎた。荻上監督作品は「かもめ食堂」「めがね」の2作品しか観ていないのであのゆるい感じを予想していましたが、もっとぐさぐさと深く刺さってくる作品だった。心を引っかかれるような描写多々。登場人物>>続きを読む

C.R.A.Z.Y.(2005年製作の映画)

4.8

素晴らしかった。2021年12月に急逝してしまったジャン=マルク・ヴァレ監督の日本未公開作品。僕にとっては完璧な監督のひとりなので本当に悲しかった。まずは劇場公開して下さった配給会社ファインフィルムズ>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

久々にこんなにワクワクした。劇場でもつい下を向いてしまう迫力。

前情報なしが一番の作品なので内容には触れませんが、これまでの三作、テーマは異なっても「ジョーダン・ピール三部作」と言っても過言ではない
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ボイリング・ポイント/沸騰(2021年製作の映画)

4.0

ロンドンの人気レストラン。波乱の一夜を90分ワンショットで。

レストランものに駄作なし(当社調べ)なので当然の如く傑作であると同時にレストランもの最強の鬱作品。現在仕事で追い込まれ気味の方は絶対に観
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ラッカ(2017年製作の映画)

3.6

22分とは思えない見応え。ニール・ブロンカンプ色濃過ぎ。
何故チープにならないのか逆に不思議なほど。

DEATH DAYS(2021年製作の映画)

4.3

生まれたときから自分が死ぬ日(デスデイ)を知る世界を生きるひとりの男。

Gucciの新CM(ショートフィルム)があまりにも素晴らしいのでどなたが手掛けられたのか調べ辿り着いた長久允監督。短編というこ
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ストーリー・オブ・マイ・ワイフ(2021年製作の映画)

4.4

1920年代のマルタ共和国。出会ったその日に結婚を決めたヤコブとリジー。

「心と体と」(大傑作)のイルディゴー・エニェディ監督新作。「ストーリー・オブ・マイ・ワイフ」というタイトルながらほぼ夫の物語
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恋する惑星 4Kレストア版(1994年製作の映画)

3.9

こんなにも村上春樹作品に影響された世界観だったのか。先日「花様年華」が見事に刺さり、遂にウォン・カーウァイ監督作品を観るときが来た気がしている。すべてが「なんかいい」この作品。歴史に名を残す一作である>>続きを読む

アイム・ユア・マン 恋人はアンドロイド(2021年製作の映画)

3.8

恋愛から距離を置く女性学者と彼女の理想のパートナーとなるよう設計されたアンドロイド。

ロマンティック・コメディと謳われサブタイもだいぶやらかしていますが、むしろ哲学的で心と孤独の在り方がメインテーマ
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こんにちは、私のお母さん(2021年製作の映画)

4.4

母と共に巻き込まれた交通事故をきっかけに1981年にタイムリープした女子高生ジア・シャオリンが若き日の母と再会。

大号泣。前半はもうどうしようもないコメディ(良い意味で)なのですが「後半全力で泣かせ
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Two Balloons(原題)(2017年製作の映画)

3.8

たった9分間にロマンと示唆が詰まっている。音楽が良いなと思ったらPeter Broderick!

あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

3.8

とにかく全男子がケイト・ハドソンの魅力にやられる映画

ライフ・ウィズ・ミュージック(2021年製作の映画)

5.0

「たったひとつの体よ たったひとつの心を裏切らないで
たったひとつの体よ 私の味方でいて」

素晴らしすぎた。シンガーソングライターのSiaが自身の半生を投影させて描く初監督作。アルコール依存のズーと
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リコリス・ピザ(2021年製作の映画)

3.9

1973年、ハリウッド近郊のサンフェルナンド・バレー。子役の高校生ゲイリー・バレンタインは10歳年上のカメラアシスタント、アラナ・ケインに一目惚れ。

素晴らしかった。Haimは普通に聴いていましたが
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ニトラム/NITRAM(2021年製作の映画)

3.8

1996年4月タスマニア島、ポート・アーサーで発生した無差別銃乱射事件の実録サスペンス。

途中からずっと祈るような気持ちだった。主人公ニトラムを演じるケイレブ・ランドリー・ジョーンズの目の演技が凄い
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PLAN 75(2022年製作の映画)

4.8

75歳以上が自ら生死を選択できる制度が施行された近未来の日本。

素晴らしかった。もっとドライな近未来SF的作品を予想していましたが、とてもエモーショナルに響く作品だった。小津作品に影響を受けた海外
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ブルー・バイユー(2021年製作の映画)

5.0

韓国に産まれ3歳で養子としてアメリカに渡ってきた青年アントニオは30年以上も前の書類不備で国外追放命令を受ける。

とても観たかった作品ですが劇場じゃなくて良かったと思う大嗚咽。ファーストカットから秒
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エル プラネタ(2021年製作の映画)

3.4

お洒落すぎるキービジュアルからアート映画を想像。実際全編モノクロに黄色の字幕という映像はとことんスタイリッシュ。しかし内容は冒頭から強烈なエグみが。虚実入り交じる母娘の日々と、まるで「映画」そのものの>>続きを読む

GAGARINE/ガガーリン(2020年製作の映画)

3.3

パリ郊外のガガーリン公営住宅に暮らす16歳のユーリ。老朽化による解体計画を知る。

実際に解体前のガガーリン団地で撮影を行ったほどリアルな物語なのに、ガガーリン団地がまるで胎内かのようにユーリを包み込
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牯嶺街(クーリンチェ)少年殺人事件 デジタル・リマスター版(1991年製作の映画)

4.4

1961年、戒厳令下の台湾で実際に起きた14歳の少年によるガールフレンド殺人事件を元にした作品。

ずっと観たかったのですがなんせ4時間。タイトルから少年殺人を中心に描く作品かと思いきや、抑圧的な時代
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EVA エヴァ(2011年製作の映画)

4.0

レトロ風味の近未来設定、SFのていを借りた切ないドラマ、と僕の好きな要素しかない大変ありがたい作品。全体的なビジュアルも好み。ひねりはないけどきっと定期的に観たくなる。マックスというおじさん型お世話ロ>>続きを読む

うみべの女の子(2021年製作の映画)

3.0

可愛らしいタイトルとキービジュアルからは想像出来ない重さ。「中学生の恋愛」なんて甘酸っぱいものではない衝撃的性描写。

自分の中に湧き上がるモヤモヤに対処できないあの時期の感覚、田舎町の閉塞感、素晴ら
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銀河鉄道の夜(1985年製作の映画)

3.9

細野さんによるサントラは聴きまくったものの映画を観ていないことに気づき鑑賞。予想より宗教色が強かったが寂寥感に満ちた映像美とエモーショナルな物語により鼻白むことはまるでなく、この世界観に入り込んだ。そ>>続きを読む

星空(2011年製作の映画)

5.0

孤独を抱えた13歳の少女と心を見せない転校生の少年。

こんなに素晴らしい物語の原作が絵本であることが驚き。それぐらい揺さぶられた。ファーストカットから好きを確信、その後も思わず声が出そうな演出目白押
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

優しすぎる世界。ラジオジャーナリストのジョニー(ホアキン・フェニックス)と9歳の甥っ子ジェシー(ウディ・ノーマン)の共同生活。ジョニーのインタビューに答える子どもたち。台本なしというリアルな言葉が刺さ>>続きを読む

ジョニーは行方不明/台北暮色(2017年製作の映画)

4.2

じっくり行間を読ませてくれるとても好きなタイプの作品。車中生活の男性フォン、おそらくアスペルガー症候群の少年リー、謎めく美女シュー。台湾の都市台北に暮らす三人それぞれの背景はほとんど明らかにされないが>>続きを読む

花様年華(2000年製作の映画)

4.0

かつての「渋谷系」がそうだったように、おしゃれイメージが先行するものには強烈な拒絶反応を示す人間なのでウォン・カーウァイ監督もその一派と認識、これまで完全にスルーだった。先日何かのきっかけで「実は自分>>続きを読む