ゆきさんの映画レビュー・感想・評価

ゆき

ゆき

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水は海に向かって流れる(2023年製作の映画)

3.7

高校生からすれば、広瀬すずも綺麗なお姉さん。

想像より入り組んでて、原作を読みたくなる一作でした。
くすっと笑えるカットが多くて、結構入りこめた123分。
言葉のリズムって大事だ。

何を隠そうこの
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渇水(2023年製作の映画)

3.5

流れを変える。

いろんな形の枯渇を潤していくような展開。
自分の怠慢を棚に上げて、制度に準ずる相手に当たる。
人の侘しさみたいな部分を強く見せつつ、人間味には希望を含ませていく100分。
もっとずっ
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イノセンツ(2021年製作の映画)

3.9

昼光の下、己の力に気付く。

あくまで物語の中心は子供、無垢さが招く血生臭さになかなか食らった。
大人なら足掻くことができるかもしれない負の環境も、子供ではどうしようもない。“能力”は快楽度数が高い方
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CLOSE/クロース(2022年製作の映画)

4.2

ボーイズ

2人で走る花畑と一人で走る花畑は全く見違える。
ロケーションにも主演の少年二人にも、終始魅入る104分。
彼らは演技未経験とのこと、才能という言葉で括り切れない魅力。目配せが非常に印象的だ
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

4.1

逆行

豊かな余白、説明的になりすぎずにピースを散りばめる101分。
父との休暇。夢の様に過ぎ去る時間を記録したビデオを父と同じ歳になり見るという設定がまず好き。
鏡やアナログテレビに写し込む完ぺきで
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小説家の映画(2022年製作の映画)

3.9

合う人にはいい映画

会話の濃度で関係性を憶測して、ニヤニヤしてしまう92分。
書けない小説家が「映画」に至るまで。
「もったいない」という言葉を人に向けて使うのは不躾だ。だとしても大きい声を出してし
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別れる決心(2022年製作の映画)

3.8

堕ちる

じっとり、ねっとりしてた。
残忍な事件と並行しながら艶めかしい目線が交わされる一作。
“ふたりのこと”
タン・ウェイの空気感がとても好き。未解決事件でありたい、という欲。
覗き見ているような
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同じ下着を着るふたりの女(2021年製作の映画)

3.7

色目

血肉を分けた娘に対して苛立ちが抑えられない母親と、長年の恨みを持ちながら母親に見て欲しい娘。
母親は確かに苦労をしている。娘は正直変わり者。
ずっと平行線で、ずしっと食らうような言葉と実際の暴
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怪物(2023年製作の映画)

4.1

実際

私は田中裕子さんの言葉の温度感に非常に弱い。今作もぼろ負け。
三視点で同じ日に至るまでを並行して見せていく展開。
わかりやすい対比と適度な余白でじわじわと思考を巡らせる時間だった。何も見聞きせ
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なぎさ(2021年製作の映画)

3.7

トンネル

喪失と向き合いきれない青年の記憶を辿る時間だった。
家庭環境とか兄妹間の感情とか、受け止めきれない事実も目の前の不条理も、いろいろ重ね合わせていく展開。
場所に憑くというか、生きている側が
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波紋(2023年製作の映画)

4.0

喝采

表情の振り幅に魅了されまくった120分。ポスターのシーンに含みがすごくてニヤけが止まらない帰り道だった。
唐突に登場する、スパイス強めな俳優さんたち。
不意な一言が「自分に返ってくる」という教
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パリタクシー(2022年製作の映画)

4.0

寄り道

人生に行き詰ったタクシー運転手。長距離運転を狙って乗せたお客は壮絶な人生を超えてきた92歳のマダム。
怒りに囚われる運転手・シャルルは、怒りを超えてきた彼女との会話で最期の迎え方を見つめ直す
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冬の旅(1985年製作の映画)

3.9

流浪

“女”であること以外、彼女はあえて選び続けた。
家も仕事も持たないこと、人気のない冬に自由を求めること。
彼女の死から始まる物語は、様々な感情から彼女と時間を共有した人たちの記憶を巡る展開で進
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午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

3.8

生活

喪失から始まる物語。
起伏よりも安定を求めていく展開。
子供がいて当たり前の環境が長い主人公と居場所なんて無いに等しかった少女の出会いが鍵になる。
詳細を語らずとも見え隠れする絶望という節目。
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聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

3.9

狂信

神のみぞ知る、この町のその後。
女性ジャーナリストに焦点を当てつつも、信仰が生む歪みも影に潜ませながら終始不穏さを漂わせる118分。
実在の殺人鬼をモデルとしたこの物語は、町の男性の誰もが犯人
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AIR/エア(2023年製作の映画)

4.2

Just do it

まさにアメリカンドリーム。大仕事の行く末を見守る112分。
「ただの靴」をビッグネームに選んでもらうための駆け引きにハラハラして、ユーモアあふれる人間模様にクスクス笑えて、大満
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ザ・ホエール(2022年製作の映画)

3.9

救い

室内のみのワンシチュエーション。
“死”というリミットまでの数日間。抗うわけでもなく愛した事実と向き合う。
喪失の果てで止められなかった過食、その結果の醜態。
姿を見られることへの抵抗感がひし
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シャドウプレイ 完全版(2018年製作の映画)

3.8

一张游戏一场梦

2019年にフィルメックスで鑑賞してから、ついに完全版。
やはり美ノアールでした。
スピード感と愛憎の入り混じり方、画で見せつけてくるこだわりの強さ。演出の妙だ。
土地開発という夢の
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夢の裏側 ドキュメンタリー・オン・シャドウプレイ(2019年製作の映画)

3.8

裏側

フィクションが世に届くまで。
作家性を保つため、夢見た完全なる一作の完成を追求していく。
検閲という壁や芸術へのこだわりと現実の狭間。たくさん言葉を交わしながら制作チームも演者も本気でぶつかっ
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アダマン号に乗って(2022年製作の映画)

3.8

奇跡

精神医療についてのイメージが少し変わる一作でした。
現代ドキュメンタリーの巨匠が紡ぐ優しい世界。
デイケアセンターの仕組みとして、これが通常ではないことはわかっていても理想像としてずっと続いて
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エゴイスト(2023年製作の映画)

4.1

偉大なる母

出会っちゃったんだものしょうがない。
友人との定例会の様子から始まる物語。感覚的に惹かれあって恋仲になった人と関係が濃くなるほど、友人たちとの話題は変化する。
洋服とガム。TPOに合わせ
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ぜんぶ、ボクのせい(2022年製作の映画)

3.7

視線

見つめる先が希望なのか願望なのか。
しんどい環境の人たちが寄り合う時間を見た。
子供ながら苦渋の選択をした主人公。関わる人次第で価値観が大きく左右される繊細な年代に濃ゆい経験を積んでいく展開。
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Winny(2023年製作の映画)

3.9



「世の中を良くするため」と語る天才に降りかかった惨劇と組織の中の醜態。二つの闘いを見た。
「杭は一人では打てない」と水面下で手を組みながら工作されていくアンフェアな刑事司法。何かを“悪”として矢
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なのに、千輝くんが甘すぎる。(2023年製作の映画)

3.5

上書き完了

「地味」という単語が似合わなすぎるヒロイン。彼女の慌ただしい感情を見守った98分。
意地悪も邪魔もない、間接的な悪意だけ。「片思い業界」というすごく優しい世界線だった。
キャラクターが掴
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KAPPEI カッペイ(2022年製作の映画)

3.6



ずっとギャグ漫画、でもピュアラブ。
やりすぎてるくらいのお馬鹿さを本気で見せつけてくる一作でした。
濃ゆーいふざけたキャスティング(褒めてます)、絶妙に全部ダサいのが最高に良い。でもバトルシーン
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HOMESTAY(2022年製作の映画)

3.8

死んだつもりで生きてみる

ユーモアと人の陰りがいい塩梅に混在している感じ。
タイでの実写化「ホームステイ ボクと僕の100日間」も好きだったけど、日本の実写版もなかなか好みでした。
瀬田監督が映す演
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茶飲友達(2022年製作の映画)

4.1

family

「性欲は生きる欲」。
最期を意識しながら生活する世代が選ぶのは煎茶ではなくて玉露。
希望を満たすか、何かに依存するかで日々を奮い立たせている人たちを見た。
高齢者の現実問題だけではなく
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ロストケア(2023年製作の映画)

4.0

家族の呪縛

殺人か救いか。1人の男性が行為に至るまでを追う、他人事とは言えない114分。
顔のアップが多いけれど、気にならないほど演者さんの熱量が素晴らしかった。
ガラスに写し込む表情や差し込む光の
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せかいのおきく(2023年製作の映画)

3.8

くそみそ

笑うところだぞ?と小粋な会話や表情でツボをくすぐってくる90分。
序章から始まり、3人の若者を軸にした江戸の日常を切り取る。どんなものも最後まで使い尽くすのが暮らしの術である。
汚穢屋(お
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The Son/息子(2022年製作の映画)

4.1

Life goes on.

引き金が何か、息子も自分自身も見失っていく男性の行方を見た。
離れて暮らす17歳の息子の異変。完璧な父親像を抱いていたピーターの希望通りには回復しない息子。
上手くいかな
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いつかの君にもわかること(2020年製作の映画)

4.2

No.1 DAD

父・ジョンと息子・マイケル、一緒に歩くシーンの対比がとても印象的だった。
マイケルの意思も見え隠れする中で、ジョンの人生最大で最期の決断の行方を追う一作。
会話量は少ない。これを地
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