ゆきさんの映画レビュー・感想・評価

ゆき

ゆき

みんな元気(2009年製作の映画)

3.8

裏返し

「心配させたくなくて」その思いやりをどう形にするか。
難しいが、親の心子知らず。頼って欲しいのが親心なんだろうか。
『東京物語』をオマージュしたイタリア映画のリメイク。
幻想を見るほど子供た
>>続きを読む

東京物語(1953年製作の映画)

4.1

ええ方、幸せな方

日本を見た。あくまで家族の話。
学生の頃に観たときと、働き始めた頃に観たとき。そして地元を離れ長くなった今、歳と共にこの作品に思入れが深くなってきた。
環境に馴染み、変化するのは当
>>続きを読む

滑走路(2020年製作の映画)

4.1

分岐点

全ての核になる事実がわかってから、人物同士の繋がり方により深みが出る展開。その先を知っていてこそ、最終シーンに感情は揺さぶられる。
主要キャストではないかもしれないが、坂井真紀のシーンも印象
>>続きを読む

ずぶぬれて犬ころ(2018年製作の映画)

3.4

命の燃やし方

登場シーンから直感主義の顕信。
人に支えられ、才能に愛された男と日々に鬱々とした少年の人生の重ね方が印象的。
俳人・住宅顕信という存在はおろか、字数にとらわれない自由律俳句というジャン
>>続きを読む

はるヲうるひと(2020年製作の映画)

3.7

真っ当

「麻痺なんて贅沢」こんな哀しいセリフと役者さんの熱演に見入る時間だった。
しょっぱい人生を送る義兄弟。
何かを掴もうと日々を消化し誤魔化しながら、救いを求める当てもない人々。
聞き慣れない方
>>続きを読む

ネッド・ライフル(2014年製作の映画)

3.7

宿命

家族の物語がついに終幕。
17年の集大成を見てしまった。
サイモンはいくつになっても名前のワッペンを外さない。
キャストの並びはコアファンの方ならもっとワクワクするとかしないとか。
滑稽な関係
>>続きを読む

フェイ・グリム(2006年製作の映画)

3.6

虚構

「ヘンリー・フール3部作」の第2作は国境をぶち抜いたスパイ映画だった。笑
シングルマザーとしての覚悟からかフェイの表情ががらりと変わった。
サイモンは名探偵かのような面持ちに。
複雑そうな単語
>>続きを読む

ヘンリー・フール(1997年製作の映画)

3.8

激走

才能に気づいてしまったなら仕方ない。
正体不明の浮浪者に詩の才能を見出された不器用な男の快進撃。
静かに燃え始める探求心が愛おしい。
サイモンの表情が揺らぐほど、人として再生し始めたように見え
>>続きを読む

2人のローマ教皇(2019年製作の映画)

3.9

尊重

ふたりの対話のリズムと知的なユーモアに吸い込まているうち、あっという間にエンドロール。
正直、カトリック教会に関して情報は薄い。ましてや、教皇という立ち位置は想像すらつかない。そえでも、もっと
>>続きを読む

ファーザー(2020年製作の映画)

4.1

順調

アンソニーの世界の「太陽」は娘・アンなのか。
マジックみたいなシーン展開。
コロコロと“フラット”(家)に足を踏み入れる人間が変わる。
反復するセリフと気難しいアンソニーの表情のバリエーション
>>続きを読む

ジョー・ブラックをよろしく(1998年製作の映画)

4.1

自然の運び

美しく、上品で丁寧。時にユーモアもあって、人間として気持ちの奥がくすぐられるドラマが展開する。
“悪”となる存在への対応も優雅だった。
「生きた証」を称賛するかのように打ち上がる花火。
>>続きを読む

佐々木、イン、マイマイン(2020年製作の映画)

3.9

もしあの時

過ぎていく世界は、さよならも言えないほど早くはない。
怒涛のエンディング。こんなんされたら好きにならずにいられないだろう。
一本の細い細い線の上をたどるような物語。
パッと手を離したよう
>>続きを読む

茜色に焼かれる(2021年製作の映画)

3.9

愛の最終形態

田中良子は演技が上手だ。
日常音を誇張した144分の中でルールの中に身を置くことと生きる意味を問われた気がする。
同じセリフをコロコロと表情を変えて繰り返す登場人物たち。
普遍的な「ど
>>続きを読む

明日の食卓(2021年製作の映画)

4.0

かつて子供だった全ての人へ

あくまで母親と息子の話。
父親でもなく、娘でもない。母と息子という関係のうえで生まれる感情が根源にある日常の片りんを見た。
悲観を盾にする母はユウくんに完成度を求める
>>続きを読む

もう終わりにしよう。(2020年製作の映画)

3.5

イエスマン

何も見たんだろう。探求の旅なのだろうか。
呼び名も仕事も変わる。最後にはあだ名ですらなくなる。
この時間が続く意味はどこに?正直、私に先は見えなかった。
それでも終わりは決まってる。ラス
>>続きを読む

私というパズル(2020年製作の映画)

3.7

不肖の娘

感情移入する隙間はないほど、想像を超える苦悩が詰まっていた。
十月十日、胎児と過ごしてきた妻の悲しみと、無力感に追われているようにも見える夫の苦しみ。
助けたいと手を差し伸べる人たちの考え
>>続きを読む

ホース・ガール(2020年製作の映画)

3.5

君の現実

鑑賞後の余韻は軽いホラーだった。
精神疾患による現実の歪みを目の当たりにするのだが、あるシーンで主人公が「可愛そう」としか思えなくなった。
お酒の力を借りて、思わずズンバを踊っちゃう愛せる
>>続きを読む

シングルマン(2009年製作の映画)

3.8

全てはあるべきところに

色味の変化が印象的な一作。
パートナーを失った時、失意の中で同じ言動に至るだろうか、とふと考えてしまった。
ミステリアスな空気感が終始漂う。総じて色気がすごい。
しっとりした
>>続きを読む

ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

3.6

逃げ場

猜疑心は人を殺す。
彼の「声」はどこにあるべきだったのか。
母親に後押しされ、夢を追い出した青年の目がもう一度見たくなるエンディング。
鑑賞後は、いろんな"タラれば"が頭をよぎった。
彼が周
>>続きを読む

月に囚われた男(2009年製作の映画)

3.7

存在意義

100分未満のライトな作品。
宇宙空間を舞台に、一人の男を軸にしたヒューマンドラマだった。
不信感がカギになる展開は設定よりもSFチック。
派手な演出はなく、サム・ロックウェルに魅入る時間
>>続きを読む

ブーメランファミリー(2013年製作の映画)

3.5

揉め事

自堕落な子供たちが実家に再集結したとき、問題は明確化。
人生山あり谷ありと言わんばかりに問題は畳み掛ける。
後半はノワール感も漂うファミリードラマへと変化していく。
互いに寄りかかって、喧嘩
>>続きを読む

チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

3.7

レスリーチャン

不足感に付け足しても幸福感には至らない。
映画会社のシーン、好きな作品のポスターが貼ってあってワクワクした。
チャンシルさんが人生をかけた「映画」。
情熱の矛先を俯瞰した時、言い切れ
>>続きを読む

チャンス商会 初恋を探して(2015年製作の映画)

4.1

返り咲き

子供は親の心に居座る岩のようなものだ。
なんだかんだ観るのは3度目だ。ラストシーンを思いだして冒頭から泣く。
星七つと王様の長い長い恋路。
キャラクターの味付けがしっかりしている一作。
>>続きを読む

ヒキタさん! ご懐妊ですよ(2018年製作の映画)

3.8

たった1匹

駄目金玉の逆襲劇を見た。
不妊治療という、あくまでプライベートな問題を重くなりすぎずに見守る時間。
真っ直ぐなタイトル通りの展開で、予想よりもリズミカル。
言われるがままだったヒキタサン
>>続きを読む

罪の声(2020年製作の映画)

3.9

心地のいい場所

「証言者」が秀逸すぎる一作でした。
小栗旬をストーリーテラーとした展開。
ミステリー的な過去への紐付けを行う前半、ヒューマンドラマへと化す後半。
知るはずのなかった他人の人生が真実味
>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.7

心臓

ふと思い出すことってある。
変化球ファンタジーだった、くれなずめ。
不在の人物を核とした展開。馬鹿だな〜と笑ったら不意に泣かされる。変な映画だ!(褒めてます)
舞台劇の映画化なので、言葉数は多
>>続きを読む

アンダードッグ 後編(2020年製作の映画)

3.8

敗者の輝き

リングに立つ理由を掘り下げる後編。
時間の経過が掴みづらい分ナマモノ感は薄く、過去の繋がり方も然りドラマティックすぎる演出が多くなった印象。
攻め切るための鍛錬と守り切るための鍛錬を重ね
>>続きを読む

アンダードッグ 前編(2020年製作の映画)

4.2

かませ犬

ロバート山本の言葉、表情でこんなにも泣く日が来るとは。
プロローグ的な前編。しかし、ドラマが詰まってる。
主軸となる3人の人生を構成する要素がしっかり伝わる展開。
欲求の矛先が生々しく、完
>>続きを読む

こどもしょくどう(2017年製作の映画)

3.5

希望の宛

食べることは生きることに直結してる。
子供目線で描かれた人生の大きな壁。
大人が見下ろしながら選ぶ解決策には当然至らない。
胸が締め付けられるシーンが続くし、正直明るい物語ではない。
言葉
>>続きを読む

5月の花嫁学校(2020年製作の映画)

3.6

良き人

何より自由であること。ハツラツとした笑顔の根源だ。
凝り固まった価値観と時代に翻弄される女性たちの姿を追う一作。
フランスの重鎮女優たちの共演により、情熱的なコメディになっていた。
素敵な衣
>>続きを読む

ダメージ(1992年製作の映画)

3.4

急下降

「むさぼる」という言葉を具現化したような作品だった。
原動力となる感情が愛情なのか疑うほど、互いの周囲を無視した加速度で突き進む2人。ダンスしているような身体の合わせ方が印象的。
これはフィ
>>続きを読む

ポンヌフの恋人(1991年製作の映画)

4.1

まどろめ、パリよ。

足と片目。失ったものを補うために寄り添うような二人。
愛の証を確かめ合って、「愛ではちきれそう」なんて言葉にできてしまう関係。
生活の安定よりも、二人で“生きる”ために苦水だって
>>続きを読む

風が吹くまま(1999年製作の映画)

4.0

日常音

風向きは自分だけでは決められない。
「女の仕事も、男の仕事も3つ」生産性などないような、ユーモアで誤魔化した日常会話が続く。
便利品もここでは手間のかかる戦利品だ。
中々たどり着けない「牛乳
>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.8

最後の手助け

遠回りも悪くないと教えてくれる一作。
終始無音で、ささやかな会話と日常の景色が繰り返される。
表情の変化が乏しい主人公。ただ、意思は固い。
彼は、翌朝6時に自分の様子を確認してくれる相
>>続きを読む

ムクシン(2006年製作の映画)

4.2

何もわからないままの恋

ピュアだけどちょっと苦い、エンディングまで朗らかな優しい時間。
多言語が飛び交う、異なった環境で育つ10歳と12歳。
自分史上一番好きな2人乗りが見られるこの作品。
駆けるオ
>>続きを読む

思い、思われ、ふり、ふられ(2020年製作の映画)

3.9

本音の置き場所

想像よりもしっとりとした物語に仕上がっていて、いい意味で裏切られた。
少女マンガが原作であることからか、フレッシュなキャストだからか、王道の「青春ラブストーリー」を彷彿させるヴィジュ
>>続きを読む

>|