ゆきさんの映画レビュー・感想・評価 - 16ページ目

ゆき

ゆき

映画(1955)
ドラマ(141)
アニメ(0)

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

生命活動

不快感がずっと続く、濁りのある会話。
憶測不要の体感型、しかしときに傍観させようとする意地悪な見せ方。なんてこったよ。
シンメトリーすぎて日常感がない時間は、実に居心地悪い。しかし目が離せ
>>続きを読む

複製された男(2013年製作の映画)

3.6

カオスとは未解読の秩序である

「DUNE」の予告拝見し、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督作の再鑑賞を。
過去鑑賞時、全く理解できなかった記憶があったためいろいろ読み込んでから鑑賞。
あれ?こんなに主人公愛お
>>続きを読む

靴ひも(2018年製作の映画)

3.9

僕の友達

「サポートが必要なだけ」
監督のインタビューを事前に拝見し鑑賞。実際にスペシャルニーズ(障害を持つ)の息子さんをもつゆえに抱いた感情が起爆剤になっているとのこと。
障害や偏見、家族の隔たり
>>続きを読む

運命は踊る(2017年製作の映画)

3.7

神か悪魔か

踊らされているのか、自ら踊っているのか。
焦燥感に煽られてずっと続く緊張。
落胆して希望が戻って、その後という3部に分かれているが、展開はスロー。多くは語らず、視覚で変動を追っていく。
>>続きを読む

彼が愛したケーキ職人(2017年製作の映画)

3.8

側面

わかっていて近寄った方と、徐々に気づいてしまう方。
静かに互いの理解を深めていき、事実にも近づいていく展開。
お母さんの言葉が一番ずっしりとしていて、すべてを理解した上で両者を包むこむようだっ
>>続きを読む

インペリアル・ドリーム(2014年製作の映画)

3.6

それなりの理由

喪失は人を強く、賢くする。
「息子のため」と奮起する姿と、悪循環で限りなく生産性が低い現実に気持ちは曇っていく。
表現と結果は違えど、子のための決断が続く展開。
環境に抗えない閉塞感
>>続きを読む

ボーイズ’ン・ザ・フッド(1991年製作の映画)

3.8

平和を広めよう

冒頭のメッセージから、チクチクと痛む。
外を知らないだけで選択肢はとても狭まる。
環境は人をつくるし、集団を生む。集団は偏った総意も作りうるし、誤った力にもなりかねない。
当たり前が
>>続きを読む

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

3.9

暴力の盲人

暑さは人を苛立たせる。
ずっと前に見たとき、自分の日常とはかけ離れた「生活」にインパクト負けして少しトラウマになっていた一作。歳も重ねいい大人になったので再鑑賞。脚本・監督・主演としてス
>>続きを読む

ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.0

泣いたら落ち着くわ

存在を自分でも認めきれない凪沙と感情の吐き出し方を知らない一果。
名前のない関係と美しいとは言えない歩き方が印象的。
水川あさみと佐藤江梨子、二人の「母」のインパクトも強い。
>>続きを読む

浅田家!(2020年製作の映画)

4.1

今を生きる力

名優ぞろい。嫌味が全くない、とても良い話だった。
優しさと温かさ、辛らつな現実から眼を背けないこと。
原点回帰はいつも家族であって、始まりも家族だ。
プロポーズの仕方の不器用さが好き。
>>続きを読む

沈まない三つの家(2013年製作の映画)

3.4

両親

父と母。天秤にかけるのは難しいのは幸せな証拠である。
「お母さんの方が、一瞬早く私を見たから」娘がどちらかを見切るのは感情の揺らぎにハマるかハマらないかの差だと思う。
かけらが至る所に落ちてい
>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

3.8

水浴譲

待っているのは破滅だけなのに、なぜか希望を抱いてしまった。
すっとダンスする集団に入って、光る靴にまみれるシーンが好き。
物の落下や独特な色味、生活感はあるけれどどこか幻想的な映像が続く。
>>続きを読む

薄氷の殺人(2014年製作の映画)

3.7

快方

不純物ばかりで相容れず、でも拒絶することもできないジレンマ。
極寒の季節が気持ちの隙間を強調する。
時間を取り戻すかのように、目に生気を戻しながら事件に食いついていく男。
欲情型の人間であるこ
>>続きを読む

憂鬱な楽園(1996年製作の映画)

3.7

多情多悔

気怠くとも、生きる。ただ、日々を生きる。
思うようにいかない金銭問題や人間事情。
バイクを走らせても解決することなく、開発途中の町には何とも言えない閉塞感が漂う。
繰り返し確認する過去のや
>>続きを読む

みをつくし料理帖(2020年製作の映画)

3.6



食は心の栄養源。
幼少期のエピソードもありつつ、環境が変わっても関係性は変わらない女の友情が美しかった。
角川春樹、現役最後に手がけたという今作。きちんとヒールもいて、わかりやすい展開。
NHK
>>続きを読む

おいしい家族(2019年製作の映画)

3.6

受容

クラクションでスタンドバイミーを奏でる笠松将が最高。
「自分らしさ」という個性について各々考えを見つめる展開。
サラっとしているけれど、優しい物語でした。
個々にちゃんと向き合っている関係性は
>>続きを読む

名前(2018年製作の映画)

3.7

素性

徐々に明かされる二人の人生が交差した理由。
余計なことが無く、正男と笑子二人の時間が交互に展開されるのでとてもシンプル。
「本当の」自分なんてみんなわかるのだろうか。いろんな顔を持っているのは
>>続きを読む

THE NET 網に囚われた男(2016年製作の映画)

3.8

網にかかる

どちらに転んでも地獄。
「こんなにきれいな国で不自由があるのか?」そう疑問を抱くほど純粋な男が知った、未知の世界の影。
どの環境においても、力になるのは家族なんだなあ。
選択と思考が相い
>>続きを読む

26年(2012年製作の映画)

3.6

運命共同体

不遇な繋がりで同じ目的を持った若者たち。
ある惨劇の「被害者遺族」であるゆえに、大切な人の命が目の前で終わりを迎え残されたものも壊れていく様子を目の当たりにしている。
悲劇はアニメーショ
>>続きを読む

JSA(2000年製作の映画)

3.8

調和

分断された二国間の「線」に翻弄される者たち。
どちらの国の人間かではなく「個」として交流を持つ姿は、オープニングの映像があるからこそ余計に染みる。
真相解明ではなく「曖昧に」済ませること。不条
>>続きを読む

ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.7

緩やかな死

日々変化する情勢と日常。抗うこともできず、女だけが集まれる空間「美容室」に集った10人のヒステリックな客たち。
何日かかるんだ!と言いたくなるスローなセットと脱毛。
想像が追い付かない出
>>続きを読む

オマールの壁(2013年製作の映画)

3.9

変化

たった8メートルの壁。それがこんなにも運命をわけるなんて。
愛情表現はまっすぐで、眼のきらめきはとっても澄んでいるのに日常の空気は常によどんでいる。
原動力があってこそ挑める壁。手を伸ばす気力
>>続きを読む

パラダイス・ナウ(2005年製作の映画)

3.8

覚悟の上のキス

被害者と殺人者が並列する世界。
盲目に思える「神」への信仰と淡々と進む現実。
静けさが緊迫感を煽り、実に息が詰まる。
男女関係の描き方がとても丁寧で、実体験にも思える張り裂けそうな揺
>>続きを読む

すばらしき映画音楽たち(2016年製作の映画)

3.9

鳥肌もの

「作曲家」の生みの苦悩や達成感に重きを置いたドキュメンタリー。
自分の才能の限界と常に闘いながら、世の中に発信していく超人たち。
音楽がもたらす影響を心理的アプローチからも考えさせてくれる
>>続きを読む

ようこそ映画音響の世界へ(2019年製作の映画)

4.1

魔力

音は紛れもなく演者だった。
仕事に誇りを持つ人たちを見た。エンターテインメントの陰には細分化された影役者が絶対に必要。
認めない人がいることも時代の常であり、変化を求めない人もいる。
ただ、映
>>続きを読む

TENET テネット(2020年製作の映画)

4.1

中間地点

起こることは起こる。
順行する時間と逆行する時間に挟み撃ちにされ、脳内は完全にディファレンスワールド。
時間と闘っているうちに一瞬合点がいくのだけれど、再び疑問符が頭をよぎる150分。
>>続きを読む

黄金時代(2014年製作の映画)

3.7

都是自由的

あるがまま、成すがまま生きようとした女性の人生を見た。
生を全うしてから多くの人が存在を認めるという不遇と美しいだけでは成り立たない人生の不条理さが詰まってた。
戦争と時代の変化と言う歴
>>続きを読む

ロングデイズ・ジャーニー この夜の涯てへ(2018年製作の映画)

3.8

故事刚才开始

人は誤解で成り立ってる。
形を変えて関係がどんどん繋がっていく。
掴み切れない浮遊感と、ファンタジーともとれるセリフの数々。
3Dで見れたらもっとあの世界に身をうずめられたのかも。
>>続きを読む

凱里ブルース(2015年製作の映画)

3.8

夢見心地

ラストシーンが洒落すぎてる。完敗だ。
正直、人の見わけがつくまでちょっと時間がかかりました。
感情の揺らぎはとても丁寧でゆっくりと描かれてる。
ぶつ切りの時間軸とシーンの切り替えが印象的な
>>続きを読む

クローズド・ノート(2007年製作の映画)

3.6

本物の恋

すごく丁寧で、ゆったりと優しい言葉で溢れる時間。
久々に見たくなって再鑑賞。
今思えばなんてキャスティングなんだ。
「ちゃんと掴まってて、腰に手まわしていいからさ。」そんな何気ない言葉に揺
>>続きを読む

望み(2020年製作の映画)

3.7

今までと同じ生活

注目が集まる事件、渦中おかれた少年とその家族。
息子であり兄である「家族」の規士の立ち位置は見えず、家族はそれぞれに自身の生活を見据えていく。
規士の行く末に自分の望みをかける姿が
>>続きを読む

泣くな赤鬼(2019年製作の映画)

3.5

目掛

期待する者と期待される者、そして輪に入れない者の葛藤を見た。
縁者さんの一人一人はとっても魅力的なのですが、文字で追っていた方が感情が動いたのは正直な感想。
「夢を叶える道具」と辛らつな言葉を
>>続きを読む

8番目の男(2018年製作の映画)

4.0

迷路だって道

人の人生に介入する覚悟はあるか?
リーガル・サスペンスと称された作品ですが、貧困問題を根底にした圧倒的なヒューマンドラマでした。
有罪無罪の決断を迫られる圧。多数決に反する勇気。
ちょ
>>続きを読む

スウィンダラーズ(2017年製作の映画)

3.7

死ぬまで地獄を味わうぞ

クズ野郎とイカサマ野郎の小競り合いを見た。
どの段階で騙しの裏が動いているのかはっきりしているから痛快。
着想は「マスター」と同じくチョ・ヒパル詐欺事件…?
行ったり来たりの
>>続きを読む

善惡の刃(2016年製作の映画)

3.7

活動源

10年を奪われた青年と行き止まり寸前の弁護士が共に再起を目指す。
法廷ドラマではなく、弁護士の変化と青年の希望に注目した展開。
安定して杜撰な韓国警察と検事の存在を露呈させる。
エンディング
>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.2

幽霊

食わず嫌いで勝手に苦手ジャンルの括りに置いていた一作。IMAXレーザーにて初鑑賞でした。
ずば抜けた発想力と言葉のユーモアがニクイ。
アルマゲドンが最後の「宇宙」だと思っていた身には、感度高過
>>続きを読む