chiakihayashiさんの映画レビュー・感想・評価

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月刊『女性情報』に時々映画評を書かせてもらっていました。1978年に女性が作った映画が見たいと開催された「女たちの映画祭」にコミットして以来、女性監督の作品優先で映画を見てきました。

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悲しみに、こんにちは(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

1986年生まれのカルラ・シモン監督が自身の子ども時代の体験をもとにつくったデビュー作。ベルリン国際映画祭やスペインのアカデミー賞であるゴヤ賞で新人監督賞。

6歳のフリダは荷物が段ボールに詰められる
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祝福~オラとニコデムの家~(2016年製作の映画)

3.3

コピーは「少女はこの世界に負けないように立っている」。

2017年、山形国際ドキュメンタリー映画祭大賞にしてヨーロッパ映画賞最優秀ドキュメンタリー賞。試写で見せてもらったときは、どうにも掴み所がなか
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Vision(2017年製作の映画)

3.3


吉野の山深い里を舞台にしたスピリチュアル・ファンタジー。海中での少年少女のラブシーンがこの上なく美しかった『2つ目の窓』(2014)で十分には展開できず仕舞いだった河瀨直美監督のスピリチュアルなヴィ
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ポップ・アイ(2017年製作の映画)

4.4

@試写

ミドルエイジ・クライシスと言うよりは人生の黄昏時を迎えたオジサンが、偶然幼い頃に飼っていた象のポパイに再会、彼を故郷に連れ帰ろうとするロードムービー。

いや、こんなポップかつシリアス、しか
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寝ても覚めても(2017年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

@試写会

濱口竜介監督が「『寝ても覚めても』ほど恋に落ちることの魔法か呪いのような不思議な力を、真に迫って描き切った恋愛小説を私は知りません」と柴崎友香の小説を映画化。

そうかぁ、田山花袋の『蒲団
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アフター・ルイ(2017年製作の映画)

4.5

@レインボーリール東京2018

レインボーリール東京(東京国際レズビアン&ゲイフィルムフェスティバル改め)でも女性監督作品優先でほぼレズビアンを描いた映画ばかり見てきたけれど、アラン・カミングが主演
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女は二度決断する(2017年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

 やっと書けたレビュー。

 2000年から2007年にかけて「国家社会主義地下同盟」というネオナチの極右テロ集団に9人の外国人と女性警官1人が殺害され、太い釘を800本も詰めた手製の爆弾テロで22人
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ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

『少年は残酷な弓を射る』でティルダ・スウィントンと共に親子の関係性のコワイほどの真実を抉り出したリン・ラムジー監督、6年ぶりの新作。今回はカンヌ国際映画祭の脚本賞及びホアキン・フェニックスが主演男優賞>>続きを読む

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)

4.0

『資本論』全三巻を4年近くかけて読破した哲学のお勉強仲間がみんなで見に行くというので混ぜて貰って、試写と同じくほぼ前知識ゼロで鑑賞@岩波ホール。

え!? 監督はアップリンクで公開中のドキュメンタリー
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ボストン ストロング ダメな僕だから英雄になれた(2017年製作の映画)

3.2

主人公は気はいいヤツなのだけれど、離婚をした父親は見るからにマッチョだし、母親は酒に溺れつつもおばちゃんパワーで全開で子離れができていないし、そりゃ彼がルーズでヘタレなところがあるのも無理ないよね。そ>>続きを読む

BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

4.7

このレビューはネタバレを含みます

 映画ならではの学びを得たと呼べる作品。リクツで理解するより前にココロの奥深くがさざ波が立つように揺さぶられて、その分やわらかくなったアタマがゆっくりと考え続け、それが次第にカラダに刻み込まれていった>>続きを読む

RAW〜少女のめざめ〜(2016年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

女性の秘めた欲望をこのうえなく洗練されたかたちで描き直したのがソフィア・コッポラ監督の『ビガイルド 欲望のめざめ』だとしたら、この『RAW 少女のめざめ』はホラー映画というジャンルを借りて、それを極端>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ちょっと気づいたことがあるので書き足し(こんなふうに後を引くのはやっぱり相当な熱量を持った作品だから)。

数々のドレスにはため息が出るし、デザイナー役のダニエル・デイ=ルイスはとてもハンサムで入念に
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

-

@試写

もともとは山崎努に導かれて沖田修一監督が熊谷守一に関心を持ち、映画化された作品だけれど、私にとってはなんといっても樹木希林さんの映画だった。

熊谷守一本人は「仙人」と呼ばれることを嫌がって
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わたしは、幸福(フェリシテ)(2017年製作の映画)

3.6

 中国は近くて遠いが、アフリカとなると遠くて遠い(だいたいが多種多様な国々をアフリカとひとくくりにしてよいものか?)。「ワールドミュージック界の雄」(この言葉も何故「ワールド」なのだろう?)と言われて>>続きを読む

ルージュの手紙(2017年製作の映画)

4.0

 30年後に突然現れた継母は、自己チューで、オトコに弱く自分に甘く、かつギャンブルで食うほど頭脳犯で度胸も満点。でも、扮するのはカトリーヌ・ドヌーヴだから、憎めないばかりではなく、可愛いカッコイイ! >>続きを読む

メッセージ(2016年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

@DVD

プロットはふたつ。

地球外生命体が同時に地球の12箇所に出現する。そのうちのアメリカでエイリアンとのコミュニケーションを図る言語学者がヒロイン。

AIのディープラーニング機能に助けられ
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妻の愛、娘の時(2017年製作の映画)

3.8

@東京フィルメックス

現代中国の3代にわたる女性たち。コミカルなドラマを通して、特に結婚生活における女と男の関係の変化が見えてくる。

祖母が亡くなった。先に亡くなった祖父の墓ははるか田舎の故郷にあ
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天使は白をまとう(2017年製作の映画)

4.6

@東京フィルメックス

今年の女性監督の作品ベスト5に入る秀作。あらゆるシーンが象徴的に現代の中国の−−−−のみならずアジアの−−−−女性への抑圧の構造を指し示している。なにしろ浜辺に立っているマリリ
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苦い銭(2016年製作の映画)

3.6

@試写

『3億人の中国農民工 食いつめものブルース』の著者・山田泰司によると中国は「都市戸籍を持つ4億人が農民戸籍を持つ9億人から搾取するといういびつな構造を持つ」という。(http://busin
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否定と肯定(2016年製作の映画)

4.3

@試写

「歴史修正主義者」とフランスの『ル・モンド』紙に名指された首相をいだく国の人間として、自分の無知にいささか茫然としながらも圧倒されるような思いで見た。

この場合の歴史修正主義とはなんと「ホ
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女の一生(2016年製作の映画)

4.1

@試写

前作『ティエリー・トグルドーの憂鬱』で社会に対する洞察といい、映画技法といい、感嘆させられたステファヌ・ブリゼ監督。彼が20年前から構想していたというモーパッサンの原作の映画化。

ヒロイン
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ロダン カミーユと永遠のアトリエ(2017年製作の映画)

3.6

@試写

邦題の副題はミスリーディング。とはいえ、イザベル・アジャーニが製作・主演、彼女が一児をなしたブリュノ・ニュイッテンが監督を務めた『カミーユ・クローデル』(1988)他、カミーユ・クローデルの
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希望のかなた(2017年製作の映画)

4.0

@試写

フィンランド名物(笑)のアキ・カウリスマキ監督作品の名物(?)と言えば、孤独な登場人物たちの能面ならぬ蝋人形のようなテッパンの無表情。それが、まさに陽を受けて蝋が溶けるかのように、彼女/彼ら
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ポリーナ、私を踊る(2016年製作の映画)

3.8

プリマを目指すバレリーナの物語といえば、なんといってもいくつかの少女漫画が思い浮かぶのだけれど、この映画が新しいのはヒロインが文字通り自己表現する〈自己〉を自ら産み出すまでを描いた物語であることだろう>>続きを読む

被ばく牛と生きる(2017年製作の映画)

3.9

無惨な死骸となった牛たちが並ぶ牛舎の光景には、息を呑み、言葉がない。

福島・浪江町で300頭以上の被ばく牛を飼い続けている「希望の牧場」の名物(?)牧場長の吉沢正巳さんのことは、〝変わり者〟(当然!
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ワンダーウーマン(2017年製作の映画)

3.9

 この映画についてはいろいろ議論があったけれど、私がほぉ!と思ったのはまず、アマゾン族の女優さんたち。ヒロインのダイアナ/ワンダーウーマンの母親である女王や、ヒロインを厳しく鍛える叔母で将軍の存在感が>>続きを読む

ル・コルビュジェとアイリーン 記憶のヴィラ(2015年製作の映画)

4.2

@試写

原題The Price of Desireは意味が取りにくいとしても、邦題はミスリーディングであるだけでなく、明らかにアイリーン・グレイの評伝映画として撮った監督に対する、同時にアイリーン・
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ブルーム・オブ・イエスタディ(2016年製作の映画)

4.0

ホロコーストについては語られすぎたことと語られずにきたことがある、と監督は述べている。誰も反対しないけれども陳腐な紋切り型に陥りがちな語られすぎたこと。一方、語られずにきたこととは、例えば監督自身の立>>続きを読む

愛を綴る女(2016年製作の映画)

3.9

@試写

「恋に恋する」というような生やさしい情熱ではなく、性的な官能も含めて、〝ほんとうの愛〟に生きることを求めてやまないヒロインが、17年に及ぶ精神的な彷徨の末に、すぐ身近に〝愛のほんとう〟があっ
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ゴッホ~最期の手紙~(2017年製作の映画)

3.6

@試写

画家ゴッホの最後の日々とその死の謎をひとりの青年が追っていく物語なのだけれど、まずは〝動く絵画〟というか、ゴッホの絵のなかに入っていくような作られ方に感嘆する。

ゴッホの絵画を再現したセッ
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不都合な真実2:放置された地球(2017年製作の映画)

4.2

@試写

2007年、アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞を受賞した『不都合な真実』(プレゼンターはレオナルド・ディカプリオだった)から10年、第2部は世界を飛び回るアル・ゴアに密着取材をしただけあって
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ノクターナル・アニマルズ(2016年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

@試写

画面の隅々までスタイリッシュに構築されたこの映画の世界で、幾重にも逆説的に描かれる2,3のテーマについてだけ、書き記しておく。

冒頭のシーン。たっぷりと贅肉を携えて脂肪そのものの女性たちが
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婚約者の友人(2016年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

@試写

第一次大戦、ドイツから「祖国のために闘え」と父親に送り出された、パリに留学したこともある詩を愛する青年。まったく偶然に彼と塹壕で真正面から対峙し、たまたま彼よりも引き金を早く引いたのは、パリ
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シンクロナイズドモンスター(2016年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 酒浸りの負け犬になってニューヨークから故郷の田舎町に戻ったグロリア(アン・ハサウェイ)は、小学校時代の同級生オスカーと再会、彼が父親から受け継いだバーでアルバイトをすることに。で、何故か突然、ソウル>>続きを読む

アンダー・ハー・マウス(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

@第26回レインボーリール東京

屋根葺き職人と呼ぶべきか、大工のように屋根に上って働くダラスは、私生活では女が放っておかない、言ってみれば女たらし。でも、どんな女性にも身心ともに満たされることがない
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