chiakihayashiさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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ペトルーニャに祝福を(2019年製作の映画)

3.7

@試写
 繁栄というものを知らないままにすっかりサビれてしまったような地方都市で仁王立ちをしているヒロインの姿が忘れられない(試写を見たのはもう1年も前か。コロナで公開が延期になっていた)。

 ペト
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海辺の彼女たち(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

@試写
 〝現代の奴隷制度〟と言われる日本の技能実習制度。マスメディアが報じるニュースだけでもどんなに過酷な状況に置かれているかが察せられるが、それをドキュメンタリー映画さながらのリアリティで描く。
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AVA/エヴァ(2020年製作の映画)

3.2

このレビューはネタバレを含みます

 ヒロインのエヴァ(ジェシカ・チャスティン)は凄腕の殺し屋。指令を受けた標的を殺す前に「いったいあなたは殺されなければならないどんな悪いことをしたの?」と聞かずにはいられなくなったために組織に消されそ>>続きを読む

ハイゼ家 百年(2019年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

@試写
 1955年東ベルリン生まれの監督のファミリーヒストリー。祖父から3代、ハイゼ家の男たちがそれぞれに不条理な迫害に耐えて続いた家族史が、ほぼモノクロームの映像と監督自身のナレーションで全5章2
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ニューヨーク 親切なロシア料理店(2019年製作の映画)

4.8

 2020年に見た映画はさすがにコロナ騒ぎで減って86本、ところが女性監督作品は51本と半分を超えてなんと3分の2に迫る勢い! その中でもグレタ・ガーウィグ監督『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの>>続きを読む

SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.6

@試写
 この映画のオーディションから始まる。条件は成人女性(18歳以上)で12歳に見えること。3人が選ばれ、巨大なスタジオに女の子らしい部屋が3つ造られ、それぞれに私物も持ち込まれる。3人が実際に1
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約束の宇宙(そら)(2019年製作の映画)

4.0

@試写
 宇宙飛行士と言えばかつては男の子たちのスーパーヒーロー。だが、この映画は〝ママは宇宙飛行士〟とも言うべき物語。

 1年間の国際宇宙ステーション滞在というチャンスが突然に巡ってきたヒロインの
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狼をさがして(2020年製作の映画)

-

@試写
 タイトルの「狼」とは1974年から75年、旧財閥系企業や戦後も繁栄を続ける大企業を標的に連続爆破事件を起こした東アジア反日武装戦線の「狼」「大地の牙」「さそり」のことであり、近代文明によって
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ある人質 生還までの398日(2019年製作の映画)

4.5

@試写
 2020年に見た女性監督の映画51本のうち、ほぼほぼベストワンなロネ・シェルフィグ監督『ニューヨーク 親切なロシア料理店』の敵役であるヒロインの夫役の男優サンが、パンフレットにキャスト・プロ
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ストレイ・ドッグ(2018年製作の映画)

3.8

 あの美しいニコール・キッドマンが飲んだくれの孤独な刑事役。ちょうどキッドマンがフリルやレースや豹柄(!)が好きな母親役を好演した『ある少年の告白』(ジョエル・エドガートン監督、18年)と同時期の作品>>続きを読む

チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

4.6

@試写
 映画をこよなく愛しているヒロインのチャンシルは40歳、独身。ところが永年プロデューサーとして支えてきた映画監督が打ちあげの席で急死。そうなると映画の仕事一筋だったとはいえ、プロデューサーとは
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

@試写
 舞台は18世紀(1770年と特定されている)フランス、ブルターニュの孤島。島に向かう小さな舟に若い女性が乗っている。と、彼女の大きな荷物が海に落ち、彼女はほとんど躊躇わずに舟から飛び込んで荷
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THE CROSSING ~香港と大陸をまたぐ少女~(2018年製作の映画)

4.0

 ヒロインは深圳から香港の高校に通う16歳のペイ。トラック運転手として深圳と香港を往復していた父は、ペイには優しいものの、香港に別の家庭を持っている。若くて美人の母は賭け麻雀に明け暮れ、男関係もだらし>>続きを読む

ウルフウォーカー(2020年製作の映画)

4.5

 これはもう、自然の描き方にうっとりしたアイルランド発のアニメ。なんとかしてオオカミを殺さずに共存の道を探ろうとする勇敢な少女ロビンがヒロイン。ヒロインと友だちになるウルフウォーカー(Wolfwalk>>続きを読む

マローナの素晴らしき旅/マロナの幻想的な物語り(2019年製作の映画)

3.8

 女性監督の作品をとりあえず優先、そしてジェンダーの観点から新鮮なものを−−−−という我ながら偏った(笑)基準で映画を選んでいるのだけれど、考えてみればその基準でもアニメを観る機会が多くなっている。悲>>続きを読む

行き止まりの世界に生まれて(2018年製作の映画)

3.8

 アカデミー賞長編ドキュメンタリー賞にノミネートされ、オバマ前大統領が2018年の年間ベストムービーに挙げたという作品。1989年生まれで10代から趣味でスケートビデオを撮り始めたアジア系の青年が、フ>>続きを読む

ハニーボーイ(2019年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

 父親との痛みに満ちた過去を映画化することで乗り越えるという直球のセラピー映画。

 映画俳優である主人公(ルーカス・ヘッジズ)は荒んだ生活を送っていて、遂に飲酒運転で事故を起こし、刑務所に入る代わり
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クシナ(2018年製作の映画)

3.5

映画を見てからひと月以上経ったけれど、やっと書き終えることができた。@渋谷UPLINK

 日本の新人の女性監督たちの作品まではとても追えないのだけれど、今作は手にしたチラシに「女だけが暮らす男子禁
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ナイチンゲール(2019年製作の映画)

4.3

 19世紀、オーストラリアのタスマニア島は〝生き地獄〟として知られる流刑地だった。男が女の8倍というアンバランスを緩和させるべく、軽犯罪の女性たちが送り込まれた。この作品のヒロインも貧しさ故にパンを盗>>続きを読む

グッド・ワイフ(2018年製作の映画)

4.0

 1982年、メキシコの経済危機、高級住宅街で煌びやかな〝マウンティング合戦〟を繰り広げていた妻たちの足元に亀裂が走る−−−−というプロットだから、風刺を効かせたコミカルな映画と思いきや、ひたすらとり>>続きを読む

リトル・ジョー(2019年製作の映画)

3.9

ヒロインはバイオ企業で新種の花の開発に勤しむ研究者。シングル・マザーでひとり息子のジョーとの夕食はいつもスシなどのランチボックス。彼女が遺伝子工学で作り出したのは、ウツを防ぎ、人間を幸せにする香りを>>続きを読む

タッチ・ミー・ノット~ローラと秘密のカウンセリング~(2018年製作の映画)

3.4

このレビューはネタバレを含みます

 2018年ベルリン国際映画祭の金熊賞(最高賞)と最優秀新人作品賞をW受賞したルーマニア出身の女性監督の作品。邦題の副題の俗っぽさが恥ずかしいほど、虚実入り混じった構成は現代アートにも似て実験的。主題>>続きを読む

ハリエット(2019年製作の映画)

3.7

ハリエット・タブマンという女性を知ったのは、もう30年近く前、ビリー・ホリディの小さな伝記を書いた若いアフリカ系アメリカ人の女性が来日した集まりだった。先達のアフリカ系の女性たちを讃える自作の詩を彼>>続きを読む

罪と女王(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

 デンマークからアカデミー賞への代表作品に選ばれ、女性初のデンマーク・アカデミー賞(ロバート賞)作品賞ほか9部門を受賞。毎年ユーロスペースで開かれているトーキョー・ノーザンライツ・フェスティバルで満員>>続きを読む

ぶあいそうな手紙(2019年製作の映画)

4.4

@試写
 これはいいな! 愛すべき小さな物語。〈人間、最後の最後までわからない。〉というのがキャッチコピーだけれど、〝高齢者〟の身には、クスクス笑って観つつ、どこか切実でもあり、ラストにはちょっぴり励
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はちどり(2018年製作の映画)

3.8

 急速な経済発展を続ける時代のソウル。ウニは14歳、中学2年生。両親は商店街で小さな餅屋を営み、繁忙期には一家総出で夜遅くまで働く。団地住まいで、食卓での父は高圧的である。ソウル大学へ行く以外に未来は>>続きを読む

異端の鳥(2019年製作の映画)

-

このレビューはネタバレを含みます

@試写
 東ヨーロッパのどこかの片田舎、後にソ連軍とドイツ軍が出てくるのでやはり第二次大戦中だとわかる。主人公の少年は13歳。彼はまず疎開先の村から追放される。黒い瞳に黒い髪−−−−少年はユダヤ人かロ
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馬三家からの手紙(2018年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

 馬三家労働教養所とは中国政府が反体制的とみなした人物を裁判なしで収容する監獄。アメリカ・オレゴン州の普通の主婦だったジュリー・キースがスーパーで以前に買った中国製のハロウィーンの飾りの包装をといて見>>続きを読む

恐竜が教えてくれたこと(2019年製作の映画)

4.0

 動画による絵本のように可愛らしい1本。舞台はオランダ北部のテルスへリング島。家族とバカンスにやってきた11歳の少年サムの初恋もからんでのちょっとした大冒険(語義矛盾じゃないよね、11歳にとっては)を>>続きを読む

アドリフト 41日間の漂流(2018年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

 私的に映画史上最強のヒロインがもうひとり現れた!

 これまでは、フェルナンド・メイレレス監督がノーベル賞作家ジョゼ・サラマーゴの短編を映画化した『ブラインドネス』(2008)のジュリアン・ムーア扮
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シェイクスピアの庭(2018年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

「ケネス・ブラナー、反省してるね(笑)」と試写の会場で出会った女性3人の意見が一致。

 シェイクスピア俳優としても知られる彼が、断片的な史実をもとにシェイクスピアの晩年を創作して主演・監督。

 グ
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コロンバス(2017年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

 この映画、私、たぶん大好きだ−−−−と始まってほどなくそう感じた。カメラが切り取る静謐さを湛えた光景、画面が切りかわる落ち着いたテンポなど、まずは映画としての佇まいに惹かれたのだけれど、紡がれるスト>>続きを読む

ブラインドネス(2008年製作の映画)

4.7

 突然に視界が〝白い闇〟になるという未知の感染症に襲われた国家。ノーベル賞作家の小説が原作のこの怖しい寓話のヒーローは、どうしても女性でなければならない。彼女は眼が見えるという優位さを、他者のケアのた>>続きを読む

スキャンダル(2019年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 TV業界で絶大な権力をふるっていた大物のセクシュアルハラスメントを告発した女性たちを描く。昨年末『ロングショット』でホレボレしたシャーリーズ・セロンが製作・主演、アカデミー賞主演女優賞にもノミネート>>続きを読む

フィッシャーマンズ・ソング コーンウォールから愛を込めて(2019年製作の映画)

3.8

これは男たちの面構えを愉しむ映画。

 リーダー格の頑固なオッサンであるジム(ジェームズ・ピュアフォイ、50歳)の惚れ惚れとするようなヒゲ面、ジイさんたち(デヴィッド・ヘイマンに〈ダニエル・ブレイク
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ロング・ショット 僕と彼女のありえない恋(2019年製作の映画)

4.0

  副題通りのラブ・コメディで、「僕」は正義感が強すぎて突っ走っちゃうジャーナリスト。このご時世、当然のように失業して、金なし、地位なし、おまけに一見超ダサイので、当然のように「恋にはオクテ」。一方「>>続きを読む