蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 13ページ目

アンモナイトの目覚め(2020年製作の映画)

3.6

アンモナイトの発掘を人生の様相に昇華させ、様々な視点から2人の人間の違いを照らし出す。

互いが他者に採掘され、壊さないように岩の中から掘り当てようとする姿が何とも印象的だ。時が止まった化石は、誰かの
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めいとこねこバス(2002年製作の映画)

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トトロ族、後世に受け継がれたネコバスの歴史が凝縮された14分。

過去に人間と共存できず、滅びた何体ものトトロ族の亡霊らしき黒い影がいる場所へと、めいは誘われる。人間への畏怖からか、めいの周りを避ける
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ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

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撮影は『ノマドランド』のジョシュア・ジェームス・リチャーズ。会話がないシーンも、まるで言葉がお互いの間を行き来するようなカメラワークに見惚れる。

キャラクター(2021年製作の映画)

3.2

Fukaseの殺人鬼役の演技が素晴らしすぎる。挙動と話し方から滲み出る不穏さが物語の推進力として一役買っている。発狂しながセリフを発するときは、ボーカリストゆえの音程の取り方をコントローさえしている様>>続きを読む

ジャッジ!(2013年製作の映画)

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広告代理店出身の監督がまだ観れる映画作れるようになってるのって何本も撮ってきた結果であって、CMとかMVで培ったものってそんなに意味成しててない。

脚本に関しても商品としての完成度があるものを納品す
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オクトパスの神秘: 海の賢者は語る(2020年製作の映画)

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たこと恋に落ちるおじさんの話。たこが人間に対してどんな交流をしてくるのか、たこの一生にも物語が存在する事実だけで、一本の映画として成立するほどのドラマ性を孕んでいる。

猿楽町で会いましょう(2019年製作の映画)

3.8

衣装、美術で登場人物のキャラクター性とストーリーのフックを語る手際の良さに序盤から驚かされる。

主人公の女の子、ユカが着ている『Technics』のロゴT、もう1人の主人公、修司は『ナイト・オブ・ザ
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ミッドナイト・スカイ(2020年製作の映画)

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少女と離れた通信基地に移動するくらいまではすごく良かった。そこから映画自体が宇宙空間に放り出された様な納まりの悪い方へ流される。

シカゴ7裁判(2020年製作の映画)

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感情移入という点で国の違い、リベラルな立場による障壁はないのだが、やはり過激なデモ活動家たちがそこに相まみえると疑問が残る。

クルエラ(2021年製作の映画)

2.6

監督は『ラースと、その彼女』『アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル』のクレイグ・ギレスピー。突飛な設定の主人公を演出を得意とする点で、この映画に一役買っている。

原案には『プラダを着た悪魔』や『ヴ
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2分の1の魔法(2020年製作の映画)

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その場所の歴史に基づいたボードゲームが、魔法アイテム捜索のヒントになるという現実世界とのクロスオーバーにわくわくする。

WEEKEND ウィークエンド(2011年製作の映画)

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カミングアウトをすることがゲイにとっての人間的な有徳である、という見え方がしてしまう。終盤の友人にカミングアウトし、駅での野次を睨み返すシーンからも読み取れる通り、それらの変化をゴールにしている。>>続きを読む

VIDEOPHOBIA(2019年製作の映画)

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その疑心暗鬼は正しくて、本当の自分は自分の内側にしかいないのかもしれない。

ラースと、その彼女(2007年製作の映画)

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記載はないが、第80回アカデミー賞脚本賞ノミネート作品。

他を相対化せず、自然と見えてくる景色が美しく映る。そこにたどり着くまでのプロセスがくれるものを信じたくなる。

101匹わんちゃん(1961年製作の映画)

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鉛筆で描いたような荒削りな線画が躍動するのが観ていて楽しい。カーチェイスのシーンも最高。ジョージ・ブランスのスコアも素晴らしい。

81年版の吹き替えでは山田康雄も参加。

ミナリ(2020年製作の映画)

3.7

監督の幼い頃を描いた私小説的な側面もえるせいか、子どもたちの視線の先に見えている世界のように感じた。

親たちが口論しているシーンでは、手持ちのカメラワークが心情の揺れや、未熟さゆえに大人と対等に渡り
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永遠の人(1961年製作の映画)

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重要なカットで多用されるトラックアップ、トラックバックが、阿蘇の雄大な景観と相まって、人間の心の内を大々的に浮かび上がらせている。

同時期の黒澤映画『悪い奴ほどよく眠る』でもそうだが、自殺現場のロケ
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サウンド・オブ・メタル ~聞こえるということ~(2019年製作の映画)

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人間の五感が心を麻痺させているという気づきさえもたらす、圧倒的な擬似体験に酔いしれる。何かを得る、失うだけが人生ではない。元からそこにずっとあったじゃないかと発見したときの人間の輝きを映し出す。

ルパン三世 ルパンVS複製人間(1978年製作の映画)

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SF映画要素を全面に押し出し、ルパン三世の精神性にも踏み込んだ長編作品屈指の傑作。

マモーの本拠地にリベンジしに行こうとするルパンとそれを止める次元とのやり取り。
次「行くな!ルパン!」
ル「俺はぁ
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昭和残侠伝(1965年製作の映画)

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仁義を切るって実際にやってたとしたら、すごい映画的だなと。仲間が死んだらめそめそするのかわいい。

同郷、菊池俊輔を偲んで。

21ブリッジ(2019年製作の映画)

3.4

かなり久々に良い銃撃戦を見たなというのが1番に浮かぶ。これって意外と重要なことで、シンプルかつ普遍的なスリラー映画だからこそ際立つ気骨のあるアクションは、蔑ろにされがちなディテールのひとつだ。

ガン
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トムとジェリー(2021年製作の映画)

2.3

序盤、主にカットとパンするテンポとアニメーションの動きが早すぎて見づらい様な気がしていたが、本編が進むに連れて徐々に慣れたのか、抑制されてたのか、その点についてはクリア。しかし、オリジナルのスコット・>>続きを読む

悪い奴ほどよく眠る(1960年製作の映画)

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他の作品と比べ、キレの悪さはあるものの、黒澤映画特有の溢れ出るダイナミズムは健在。

田中邦衛を偲んで。

あのこは貴族(2021年製作の映画)

2.5

階級社会の階層が違う2人を強引にこじ付けて相対化しようとする意図に辟易とした。社会と人間の大前提すぎる事象をあたかも気づきを与えている的な上から目線と論点のピントのズレは否めない。

精神論のみで突き
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

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久々に身震い級の奴。

159分ながら、ユーモアに満ちたセリフ回しとドライな作劇で、残酷なグロ描写とは裏腹に訪れる多幸感に包まれる。ローファイかつ淡白なカッティングと撮影、オフビート推進する物語と目の
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サンダーロード(2018年製作の映画)

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影のようについて回る、悲壮と後悔を引き連れて明日も生きる。それだけでいい。

藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.0

大金がどこかに散らばることなく、1つのバッグの中に留まっている。奪い合わなければいけない事情が浮かび上がらせる社会への批評性は、原作譲りか。

繰り広げられる不毛な争いを劇中にて不在である誰かが高みの
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騙し絵の牙(2021年製作の映画)

2.6

あえてこちらの予測するタイミングから外したカッティングが、映画全体の小気味良さを演出している。さらに追い討ちをかけるような変拍子の劇伴が、キャラクターの交錯する心理を表現しているかのように感じた。>>続きを読む

ノマドランド(2020年製作の映画)

3.6

ドキュメント調に過去と現在が語られ、あらゆる選択肢、現状、可能性について示唆される。

誰かと一緒に暮らすこと、定職に就くこと、自然に身を委ねる生き方、放浪生活、コミュニティへの参加、心を開くこと、自
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チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

2.6

ストーリーにキャラクターが変化するための口実は用意されているものの、成り行きがそうさせているようなだけにも感じ取れてしまう。

気の知れた女優の家でとりあえず家政婦としてバイトをして、フランス語学の先
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白蛇伝(1958年製作の映画)

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宮崎駿、高畑勲がどれだけ影響を受けたかが随所に見られる。国産長編アニメ第1号でありながら、卓越した豊かさに驚かされた。

大塚康夫を偲んで。

明日への地図を探して(2020年製作の映画)

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毎日のルーティン化した日々を生きるという普遍的な人々の倦怠を、時間がループする世界に当てはめた斬新さを褒めたい。結果として生じる人生観の変化を可視化した一作。

しかし、2人が結ばれるエンドにしなくて
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わたしの叔父さん(2019年製作の映画)

3.2

今後の生き方を決めなくてはいけない場面に直面したときに、迫られる二つの選択。

フラットに見れば、叔父さんから離れて夢を追うことが主人公にとってプラスに物事が働くように感じる。しかし、見過ごしてしまい
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