視点の鋭さと舞台設定の妙。全員が同じ入場料で存在できる世界で、何故かアンバランス。遊園地という楽しげな場所だからこそ浮かび上がる格差にぞっとさせられる。
さもすればどうでもいいと思われそうなよくある青春群像劇を、どうでもよくない物語へと昇華させている。
現実味のない現実を生きる現代の若者への讃歌。的確かつメタ的な表現もしっかりと腑に落ちるような構造で>>続きを読む
尾行というドラマチックなテーマでありながら、ごくありふれた展開に収斂されていくため、主題がぼやける。観る側をリードするナラティブがない。
さすがはエドガー・ライト。ただ走る人物を追うだけのショットが上手い。
ショービジネスと男性優位社会に虐げられる女性が、現在でもそれらの亡霊にまとわり付かれ続ける姿が痛ましい。片棒を担いで来た映画業界>>続きを読む
高尚なものとして見るのか、とてつもなく変なものとして見るのかの判断を絶え間なく迫られるのが疲れる。
30分で終わるような話を、力ずくで引き延ばしてるもんだから退屈で仕方ない。相当数のアニメーターを起用した手数のみが顕在化し、ユーモラスな演出は希薄だ。写実的な人間の表情が妙にリアルで気持ち悪い。
話運びの巧妙さと大胆さが共存できている。役者の表情を逃さない手腕と、それだけで物語を構成てぎるんだという自信を感じられる。
グランピングという流行ではあるが、あまり誰も手をつけてこなかったロケーショ>>続きを読む
基本的な危険回避能力の欠如によるイライラはついて回るが、スプラッター性も機能しているし、何よりキャラクターとしての斬新さと説得力は群を抜いて素晴らしい。ラストはブルースのみで攻略して欲しかったことと、>>続きを読む
退廃的な世界の中に、純真さを纏って立ち上がる夫婦間の愛情をSFの中に上手く落とし込めていた。反面、2人の男性の人生を背負わされる女性の姿を目の当たりにして居た堪れなくなった。
ホラー映画の基本的なノウハウで推進してくのに、かなり現代的な集団心理を描いているように見えるのが不思議だった。トキシックマスキュリニティの先にある末路が痛々しく、死者へ思いと崇拝が紙一重ですれ違う展開>>続きを読む
大胆なカメラワークと怒涛のように押し寄せるメタ的な展開に翻弄さてつつ、どこに着地するかわからないフラストレーションが心地よい。
ルックに関しては『夢のチョコレート工場』からのリファレンス。毒々しさは『チャーリーとチョコレート工場』から。双方の要素のバランスと、ハートウォームなナラティブとのチグハグ感に納得できず。
冒頭から昭和初期の日用品や家屋、雑貨類、乗り物、街並みの描き込みに驚愕した。そのどれもが丁寧かつ魅力的に描かれ、膨大な数の資料を参考にし、時代への郷愁に繋がるような仕事をしようという心意気がひしひしと>>続きを読む
のび太の部屋には『夕陽のガンマン』のポスターが飾られ、『夢をかなえてドラえもん』のジョン・ウィリアムズ風味の劇伴がハリウッド的。しずかちゃんの「七万年の時差ボケね」という詩情のあるセリフも良い。
何度目かの。
大人からの抑圧がウォンカを育み、子ども相手に正面からむきになったりする幼稚さのロジックを、フラッシュバックによって説得力を持たせている。
ティム・バートンのアシッドな作家性との相性が>>続きを読む
スタジオ撮影っぽさが逆に工場感のリアリティを生んでいる。ティム・バートン版と比べても遜色のない仕上がりなのが意外だった。
ミステリー的な展開として物語を追い始めたが、そこかしこに要素を散らばした割には、肩透かしな結果と無理矢理に感じるこじつけに上手く乗れず。一族の結末としては、水木とゲゲ郎がいなくてもそうなったんじゃない>>続きを読む
史実という名目の裏にあったであろう人間模様を、誇張と皮肉、ダークな笑いに変換している。しかしすべてがうまく噛み合っているとは言い難い。たけしの芸能界や社会での処世術を形容したかのような秀吉の立ち振る舞>>続きを読む
国産アニメとしての気高さすら感じられる傑作。映画的なアングル、ユーモア溢れる演出が全ショットに張り巡らされている。
石川進の演技も素晴らしい。
青森県立美術館 映画上映会
世界に誇る日本のアニメ
年代でさかのぼる厳選映画4本
1960ー1985
35mmフィルム版上映にて
猫たちの純真な眼差しがこちらを見透かしているようで、身が引き締まる思>>続きを読む
いとも簡単に邂逅してしまう3人のキャラクター達に唖然とした。それぞれに出会うべきタイミングがあり、シチュエーションに基づくストーリー展開にするべきであるのに、スタジオ都合の投げやりな姿勢は許容範囲を超>>続きを読む
初代ゴジラの評価が決定的になる前に、フランチャイズ化してしまった弊害が見て取れる。
氷山を爆撃するショットは神々しくずっと見ていられる。
父と娘、夏、バケーション、久方ぶりの再開。ソフィア・コッポラの『SOMEWHERE』をも想起させる。
親しくも決して相容れない2人の関係は、大人と子どもであること以上に大きな壁がある。ベランダ、電話>>続きを読む
VFXの凄まじさが使うべきタイトルに使われたという満足感でいっぱいだった。脚本、特にセリフと演出面での相変わらずな山崎貴感を打ち消す程の素晴らしさだった。
序盤の特攻兵が帰還する島での一連のシーンは>>続きを読む
モノローグの度に音楽と環境音が完全に止まる演出に度肝抜かれた。完璧なようでいて、どこか可愛げのあるキャラクターにも求心力がある。
デンゼル・ワシントンは仕草の演技が素晴らしい。ナプキンを取り出して机に並べるまでの手の動きや、視線を向けて歩き出すまでの間合いなど、独特のタイミングが良いテンポ感を生み出す。
脚本の上手さも際立って>>続きを読む
何度目かの。
良くも悪くも後のフィルモグラフィに連なる土台がここに。VFXに関してはさすがの領域。
本作を観るに当たり最も懸念していた、SSWという存在にあらゆる事象を背負わせてしまわないかという点はクリアしていたと思う。純粋に歌手として描けていたのは良かった。
あらゆる局面で有害な男性性に翻弄さ>>続きを読む
何度目かの。
再撮影や再編集、共同監督へ変更など歪な素材をほぼ違和感なく、万人が満足する作品に仕上げたなと思う。
物語上ではそうかもしれないが、ラストのレイアとベイダーの登場は本当に余計だと感じる>>続きを読む
壮大な山岳地帯や海辺、砂漠地帯などの実景にAIロボットが、説得力を持って浮かび上がっているルックには驚かされた。実景に照射されるロケットの青い照準がリアルすぎてかなり怖かった。かつて見たことのない映像>>続きを読む
重厚そうな題材と長すぎるランニングタイムを懸念していたが、開始早々に映画を観ているんだというありありとした実感で、幸せの坩堝に叩き落とされた。
石油が掘り起こされてからのオセージ族の乱舞の後ろに流れ>>続きを読む
こんなボクシング映画を観たことがない。想像もしないアプローチに面食らった。タイトルバックのかっこよさが凄まじい。
いい大人になってこれを真顔で作れる岩井俊二は、良い意味でどうかしてると思う。
何度目かの。
汚れた世界から逃れられない孤独感だけではなく、一緒に抜け出して救おうとした誰かでさえ、それを望んでいなかった絶望感まで描いたことが素晴らしい。
売春宿に乗り込むシークエンスは統制され>>続きを読む