蛇らいさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

わたしは目撃者(1970年製作の映画)

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スプラッター描写のキレの良さには感服。落下の美学が通底して素晴らしい。

零落(2023年製作の映画)

3.0

時折見せる印象的なインサートがかなり効いている。心情を表現したかのような雄弁さと美しさが共存している。ワンカットでいながら、流れるカメラワークで人物に寄っていくショットで起伏を生む。

漫画というアー
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.5

本作の良いところは殺し屋がしっかり社会の枠組みに入れられているところで、逆に言うと殺し屋という完全な社会不適合者でさえも、社会の仕組みからは逃れられないジレンマさえも示唆している。

その中で非正規雇
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エンパイア・オブ・ライト(2022年製作の映画)

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窓や柱の区切りをフィルムの一コマに見立てて、手前と奥側の被写体を動かしたり、ドリーを使って画角を動かしたりするアイデアは流石だ。

ロジャー・ディーキンスの撮影もさることながら、トレント・レズナーとア
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べイビーわるきゅーれ(2021年製作の映画)

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良過ぎるプロットだからこそ高望みしてしまう部分もあるが、これくらいのルーズさが強みなのかもしれない。

『パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女』もそうだったが、殺し屋然としない世俗的な部屋着
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西部戦線異状なし(2022年製作の映画)

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モノクロームでもなく、フィルム撮影でもない。戦争映画と戦争の現在地。戦争が起こる現実で、部屋の中で観る戦争という構図は、くしくも意図されたものか。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

3.5

各キャラクターの描き分けと、見せ場の配分の良さが秀逸。しっかりと愛着の湧くパーティーになっているし、キャラクターの特徴を生かした作劇で見応えのある仕上がり。

基本はコメディタッチの作風で手数も多い印
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パーフェクト・ドライバー/成功確率100%の女(2020年製作の映画)

3.4

主人公のキャラクターがアウトローな設定でありながら、一般的なアパートに住んでいるという描き方がとても良かった。キャラが物語や境遇に奉仕し切らず、自由さが感じられた。

『LOGAN/ローガン』『THE
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お!バカんす家族(2015年製作の映画)

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ネタの数が多いに、笑いのクオリティもキープできていて凄い。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.2

悪を成敗するというヒーローに背負わされた宿命を、序盤の血だらけアクションで分かりやすく本質を突いたのは良かった。正義という大義名分の名の下に行われる暴力について言及するのは、作品として健康的だ。しかし>>続きを読む

戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

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旧日本軍の狂った様式美が綿密に描かれている。完全に戦争映画の体裁を取りながら、浮かび上がる主題への運び方がなめらか。

メインテーマをスピーカーを通して初めて聴いたが、ローがしっかり鳴ってるのが以外だ
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エスター ファースト・キル(2022年製作の映画)

2.4

ホラー映画のトンマナを丁寧になぞりつつ、ツイストの効いた脚本は楽しめた。蓄光ライトで浮かび上がるものと、エスター本人だけではなく、誰しもが秘める二面性を示唆する演出は上手い。

大人と子どもの違いを見
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

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当時の年齢と時代を考慮したら間違いなく凄いことなのだうけど、そこから現在の庵野秀明(シンシリーズ)の進歩が見られない。

イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

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物語の語らなさがしんどかった。
バリー・コーガンの演技のアプローチが毎作品一辺倒。

ブラック・フォン(2022年製作の映画)

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超常現象への信頼度が生死を分ける構造は、ホラー映画ファンへの最高な目配せだなと感じた。

とはいいつつ、最後は物理攻撃で倒す可愛げもあって好き。イーサン・ホークのちょうどいい裸の筋肉加減もキモくていい
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対峙(2021年製作の映画)

3.8

一つの部屋に被害者と加害者の両親が集まるワンシチュエーションで、起伏のないカメラワークとショットの構図に、最初はこれで2時間はしんどいだろと思っていたが、簡単に裏切られた。

カットが堆積する毎にダイ
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スター・ウォーズ エピソード4/新たなる希望(1977年製作の映画)

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何度目かの。

フィル・ティペットやラルフ・マクウォリーが形成したルックを、完璧なショットの中で暴れさせたらそりゃ凄い。コミカルさとクールさのバランスの取れたストーリーテリングが秀逸。画面のどこに、何
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RRR(2022年製作の映画)

2.3

一定数の評価と支持を受けるている理由も理解できるし、一方向に振り切る気持ち良さも感じられたが、自分には向けられたものではないのだと確信した。

圧倒的な手数と完璧とも言えるパワープレイの連続に、自分の
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フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.3

映画についての映画という括りにおいて、本作とそれ以外と言ってしまえるほどに、段違いの映画脳を見せつけられて打ち震えた。

撮るという行為が恒常的に孕む危うさと、それに伴い求められる覚悟をストーリーとし
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SOMEWHERE(2010年製作の映画)

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虚無を本当に虚無として描いてて面食らった。同じ退屈でも、娘と過ごす退屈だけが光り輝いて見えるのが美しくもあり、寂しかった。

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

2.7

意味を持たせない事と、脈絡がない事は別だなとつくづく思う。意味のない行動が他のバースにジャンプするという設定自体に脈絡が無いのは、物語を構築することに興味がないのかと感じた。

ジャンプする、元のバー
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BLUE GIANT(2023年製作の映画)

3.7

カタルシスの波が3回、4回と押し寄せる。しかもそれは、確実に各エピソードとキャラクター造形にしっかりと起因している。

監督、立川譲が『モブサイコ100』でも魅せた多彩で映画的な飛躍の演出が、観客の体
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バイオレント・ナイト(2022年製作の映画)

2.6

特筆すべきことはないが、万人が狙った面白さのレベルとポイントをしっかり抑えている点では優秀。

元子どもに再会することもざらにあって、大人になっても悪い子は悪い子のままであることが人間への諦めのような
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

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夕景をバックにしたシルエットの美しさ、ドリーズームの奇抜さなど、ジャンル映画にすらなる前の作品への抜擢で、これほどまでにスピルバーグかと驚かされる。

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

2.9

人の心に残った傷は死ぬまで消えることはないが、映画業界で起こった出来事は映画業界にいる者が示しを付けるという意味では、なすべき誠意だと感じた。

現段階で人々がセクハラをしない理由は、世間的な視線や、
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ヴァージン・スーサイズ(1999年製作の映画)

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正反対の世界で、全く同じ人たちが真逆の生活をしていたらと想像を巡らす。死がこんなにも生きることを語るとは思わなかった。

ちひろさん(2023年製作の映画)

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ちひろさんの部屋、弁当屋の屋上、私物化した廃墟、海辺など、一見平凡なロケーションを、映画的なバチバチにキマったショットで昇華する。

するりと滑り落ちるような、掴みどころのない卓越した演技でちひろさん
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アントマン&ワスプ:クアントマニア(2023年製作の映画)

2.2

カーンというサノスになり変わるヴィランのの長編初登場という重要な起点にも関わらず、設定やキャラクター性の分かりづらさが桁外れ。次作のアベンジャーズまで3年もあるので、それまでに語れればいいと言う計算な>>続きを読む

アントマン(2015年製作の映画)

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何度目かの。

無職の前科者っていうろくでもない設定だったの今更思い出した。こののっぺりとした雰囲気が最新作までもつれるとは思いもしなかった。

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

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何度目かの。

映画的な飛躍のスマートさが常軌を逸している。特にラストのジャズクラブのシーンは人物の関係性と現在地から過去の記憶と、取り戻せはしない可能性の回想を思い出の曲を演奏している上でやってのけ
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バビロン(2021年製作の映画)

2.6

予告編のほと走るつまらなさそうな印象を裏切ることのない映画だった。極論、映画愛の物語ではあるものの、登場人物たちは映画と映画界、時代に踊らされた人たちに過ぎない。

酒を飲んでドラッグに溺れ、たまたま
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タイタニック:ジェームズ・キャメロン25周年3Dリマスター(2023年製作の映画)

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3D+24fps+2Kへダウンコンバート版にて。

タイタニック自体初見で様々な驚きがありつつ、当時の爆発的な興業と人々の熱狂が容易に想像できる納得の作品だった。

ストーリー破綻寸前のディカプリオの
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ほの蒼き瞳(2022年製作の映画)

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重厚で質の高い映画撮れるよなっていうスコット・クーパーへの印象がだんだん薄れてきた。

そして僕は途方に暮れる(2022年製作の映画)

3.8

これといって欠点が見つからないから凄い。三浦大輔作品を最近初めて触れたのだが、演劇の演出家・作家出身だということに驚いた。

監督の前作『娼年』も本作同様に、自らが手がけた舞台が原作。舞台ならではのワ
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ウエスト・エンド殺人事件(2022年製作の映画)

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あえてコスプレ然とするシアーシャ・ローナンが最高にクール。この規模で気の抜けた良作はたまに欲しくなる。

娼年(2018年製作の映画)

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画面の暗さがどうにかならなかったのかと思う。内容と裏腹に映画的な飛躍がほとんどなく、平坦に物語が進んでいく