映画は時代のテーマを写すアートフォームであるわけですが、2000年以前は、LOVE(愛)の時代で、2000年以降のこの20年は、フィロソフィー(哲学)の時代だった。
そして、2020年代からはリリジ>>続きを読む
エリセの新作をリアルタイムでみれた多幸感。
初監督作品から2本、あまりの傑作を撮ってしまった故に、30年映画を作れなくなったしまった監督、エリセなりの回答なんではないでしょうか。
芸術という自分>>続きを読む
1970年代前後の美術史において、
「もの派」という表現があるんですが、
未加工の自然的な物質・物体、石や木を、素材としてでなく主役として登場させ、在るがままの姿で存在させることによって、ものの在りよ>>続きを読む
10歳くらいになるまでの子供にとって、
最も必要なことは、
自分は生まれてきて良かったんだという絶対的、そして無条件な肯定だと思う。
この映画はその点を説明的でなく、
画でちゃんと描いている。説得力>>続きを読む
選択肢が多すぎて、
何がベストなのか、選びきれない女性の一瞬(私たちの5、6年なんて一瞬だよ)切り取っているのが、まあなんとモダンなんでしょう。
しかし、そんな彼女(私たち)の人生にも、
ままならな>>続きを読む
劇中でてくる全てのキャラクター、構造物は何かしらのメタファー。大叔父は高畑勲または手塚治虫、青サギは鈴木敏夫、主人公はもちろん宮崎駿、インコたちは我々「大衆」。
今作は。宮崎アニメ特有のダイナミズム>>続きを読む
忘れ難い者たちの親密さ。
人生で何度も何度も見返す映画なんだろうな。
個人的にこの映画から思い起こされるのは、クレイロの「Reaper」という曲です。
ある学生が、地元から遠く離れた大学へ行き、>>続きを読む
権力とキャンセルカルチャーの話であり、
エゴに塗(まみ)れたターが、セルフ・プロデュースのコントロールを失っていく贋物の神の物語。
しかし、失ってやっと気付いたのです。
今まで自分が崇高な芸術だと>>続きを読む
まるで宗教映画じゃないか。
映画の神から啓示を受け、
映画の奴隷になったスピルバーグの物語。
しかし、なんて軽やかで、瑞々しくて、おどろおどろしくて、なんてチャーミングな映画なんだろう。
映画とい>>続きを読む
ダニエル・デイ=ルイス、引退作が1番かっこいいなんて、すごい。
映画って基本ストーリーなんてどうだって良いアートフォームで、「ファントムスレッド」は撮影と編集の頂点でしょう。
関係ないけど、アルマ>>続きを読む
「コンパートメントNo.6」素晴らしかった。
2時間弱で登場人物の気持ちの揺らぎ・動きを動的に映す、ああ映画ってこうだよなあ。と。ギャロの「バッファロー”66」を思い出した。
ルカ・グァダニーノって、映像作家としての運動神経が並外れてると思ってて、わたしは宮崎駿と重ねてみてしまう。特に音楽の使い方とカット割、そして残酷なまでの「美しいもの」至上主義。
「君の名前で僕を呼ん>>続きを読む
厳しい自然、荒涼とした海と荒野、晴れた空に虹、理由のない絶交。
全ての物語はメタファー、
仮の姿として語られる。
絶交には特に意味すらなく、
閉鎖的な地獄は今現代も続く。
彼方の内戦のように。
素晴らしかった。
あえてカタルシスを描かず、
淡々とそして静謐な演出に痺れました。
「ジャンヌ・ディエルマン ブリュッセル1080、コメルス河畔通り23番地」を見ながら、エドワード・ヤン「牯嶺街少年殺人事件」のことを考えていました。
構造自体は同じで、登場人物がある行動を取るまでの>>続きを読む
本作において「身籠る」などという言葉は一切使われていません。それは未来を受け入れる意味合いを含んでいるから、消滅させる決心をしたものにわざわざ名前をつける必要はない、だから、邦題は「あのこと」と過去形>>続きを読む
やりたいことは明確に「男性性の解体」なんだろうけど、イシューが物語を超えてしまってはいけないでしょう。やらなければいけない事(ディズニーがやる意味はあると思うが)をやってる1時間40分。「逃げるが恥だ>>続きを読む
原作の平野啓一郎作品には、「分人主義」という考え方が通底音として流れています。
「個人」は、分割することの出来ない1人の人間であり、その中心には、たった一つの「本当の自分」が存在し、さまざまな仮面(>>続きを読む
村上春樹と新海誠の関係性を興味深くみてるんですが、「君の名は」が新海誠なりの「1Q84」であり、「天気の子」が「世界の終わりとハードボイルドワンダーランド」だとすると、本作は(隠す気もないと思うですが>>続きを読む
A24「その道のの向こうに」あまりにも素晴らしかった。
今のアメリカに必要なものは、スーパーヒーロー映画じゃなくて、本作の様な「ケア」と「コミュニケーション」を丁寧にかつ正面から描いてる作品じゃない>>続きを読む
本当に力のある監督だなあ。
日本でこのような会話劇を見れる贅沢。(声出して笑う箇所が何度もありました)伏線とか、ネタバレとか、そんなもの関係のない物語と演出の強度。
どう言ったらいいのかな。
ポップ>>続きを読む
世界がファシズムに覆われていく1930年代のヨーロッパとアメリカを舞台に、ある一つの窮地を救うのは右でも左でもない、芸術と音楽を愛する普通の三人というテーマは良かったですね。
世界が急速に右傾化して>>続きを読む
優秀な監督は、映画における時間の使い方が上手い。時間の伸縮をコントロールできる、全てはリズムとテンポ。
あまりにも映画作りについてのの映画で泣いてしまいました。
冒頭で、トムクルーズは上司に呼びだされ、
『予算を打ち切って無人機計画にする。パイロットは絶滅する』と言われます。その時の、トムクルーズ演じ>>続きを読む
李相日監督作品の中でも、ベストくらいに良かった。特に「雨と傘」と「橋を渡る」演出、素晴らしくないですか。雨から濡れないようにする傘、もちろん「雨」とは、この世界で感じる生きづらさのメタファー。そして、>>続きを読む
ウェスアンダーソン作品の本質は、ナラティブを語ることではなくて、「運動」による快楽だと思う。つまり、ピタゴラスイッチ的快楽です。だから、演者に演技をさせないですよね。演者は、あくまでもピタゴラスイッチ>>続きを読む
「なぜ今スピルバーグがリメイクする必要があったのか?」
まず、ウエストサイド物語とは、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」を50年代のアメリカに移し替えた物語でした。移民であるプエルトリコ系>>続きを読む
狭っくるしい高級車から解放されて、自転車を手放し運転する屈託のない笑顔のアダム・ドライバーで泣かされてしまう。
クリント・イーストウッド版「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」
「ワンス〜」では、69年のハリウッドを舞台に、「古き良き時代が終わり、取り残された人々と新しい時代に適用できた人」の物語でし>>続きを読む
「癒す」ことと「大人になる」ということ。
MCUは、フェーズ4を通し一貫して、「癒す」物語と向き合ってきました、そして、その集大成の様な映画が本作です。そして、巨大化したMCUナラティブに同一化されず>>続きを読む
「魂の彷徨い」の話であり、「演技」についての話であり、「有害な男性性」の話でもある。
演じる事で、家福は赦され、物語・フィクションを通し、みさきは救われる。みさきは家福にとって、『ワーニャ叔父さん』>>続きを読む
家父長制の解体と魔法の家の崩壊を重ね合わせ、軽やかに呪いを解いていく物語。家族とは、守るものではなくて、理解するものだよ。と。今年ベスト級に面白かったです。こういう物語を、子供の時に見たかったな。持た>>続きを読む