ちゅうさんの映画レビュー・感想・評価

ちゅう

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ラストナイト・イン・ソーホー(2021年製作の映画)

4.0

無駄の少ないよく出来たサスペンスホラー。
ベイビードライバーのエドガーライトらしく音楽がよい。
もちろんベイビードライバーみたいに派手に音ハメしてノリノリではないけれど、時に派手に時に抑制の効いた推進
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さよならテレビ(2019年製作の映画)

4.1

"ドキュメンタリーは現実ですか"

テレビの今を映し出すという名目で始まった東海テレビによる東海テレビ内部への取材。
そこにある現代の闇とそれを切り取る側としてのマスコミのさらなる深い闇。
キャスター
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スペース・スウィーパーズ(2020年製作の映画)

3.6

地球の環境が悪化して宇宙に進出しようとしている近未来の話。
主人公達は宇宙に漂っている物を回収することを生業としているのだが、回収した漂流物の中に子供がいることを発見したところから事件に巻き込まれてい
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search/サーチ(2018年製作の映画)

3.9

僕は隣にいるあの人のことを本当に知っていると言えるだろうか。
ただ知った気になって、あの人の言動を真実だと信じ込んでいるだけなのではないだろうか。


今作はPCに映し出されている画面のみで映画が構成
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インターンシップ(2013年製作の映画)

3.7

人にとって最も大切なものはチャーミングさだし、気づきさえすればみんなチャーミングになれるし、みんながチャーミングだと幸せに生きれる。
そう信じさせてくれるめちゃめちゃハッピーな映画だった。


ヴィン
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愛してるって言っておくね(2020年製作の映画)

3.5

想いは良いものも悪いものもその人に寄り添う。

暖色のあたたかみが愛のあたたかさを感じさせてくれるから、短くてセリフのない映画なのに心にちゃんと届く。

喪失感と悔恨が棘となり深い傷をえぐるけど、人を
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ミセス・ノイズィ(2019年製作の映画)

4.0

人は表面的なことを綺麗に取り繕えば取り繕うほどその表面に現れるものに価値を置くようになって、その奥にあるものを見ないようになっていく。
うまく取り繕えない人に対しては、ただ"めんどうな人"とレッテルを
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はりぼて(2020年製作の映画)

4.1

綺麗な言葉で取り繕う政治家たちの実際は、どうしようもないくらい腐敗していて内実のない”はりぼて”だった。
富山市議たちの不正を暴いたチューリップテレビが制作したドキュメンタリー。


僕がこの作品を観
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パリのどこかで、あなたと(2019年製作の映画)

3.9

人はほんのささいなことからでも自分を抑圧しはじめてしまうし、それによって意識的にも無意識的にも自分を責めてしまう。
他人と関わってもそんな自分を投影してしまってうまくいかない。
自律した自由な個人とし
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魔女がいっぱい(2020年製作の映画)

3.4

アンハサウェイは口が裂けてもアンハサウェイだったな。


チャーリーとチョコレート工場みたいにシュールな感じなのかと思ったら、バックトゥザフューチャーみたいな王道のアドベンチャーだった。

コメディ色
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羅生門(1950年製作の映画)

4.0

人はどうしようもないものだけど、それでも人には一筋の希望がある。


”わしには… わしの心がわからねえ”

芥川龍之介の小説「藪の中」を原作に、羅生門で雨宿りする三人の描写を加えて制作された映画「羅
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劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン(2020年製作の映画)

4.5

言葉はどこまでも運ばれていく。
込められた気持ちは、いつまでも朽ちることなくそこにあり続ける。
時間を、空間を越えて届くその感情が胸の奥で永遠にゆらめいている。


兵器として育てられた孤児ヴァイオレ
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スパイの妻(2020年製作の映画)

3.8

あの普通じゃなくて頭がおかしいように見える、僕たちが敬遠している彼(彼女)は本当に"狂っている"と言えるのだろうか。
"狂っている"のは本当は僕たちの方なのではないのか...


黒沢清の映画はほとん
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ピクニック(1936年製作の映画)

3.5

モーパッサンの短編「野あそび」をジャン・ルノワール(印象派絵画で有名なルノアールの息子)が映画化したもの。
戦争が起こったため未完のままとなった。

未完のためなのか狙いなのか、特にクライマックスの抽
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劇場版「鬼滅の刃」無限列車編(2020年製作の映画)

4.4

強者の自己犠牲というこの映画の描く倫理は普遍的であるけど、この腐りきった世の中へのカウンターとして鮮烈で、強烈に心の中に食い込んだ。
腐臭のする鬼をこの腐った社会のメタファーとして、倫理で対抗すること
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.1

社会的な抑圧が個人をここまで傷つけるということに胸が苦しかった。
女性に対する抑圧を知っているつもりだったけど、それを主観的に体感するのは別次元のものだった。

家事、子育てといった生活の維持の負担を
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オン・ザ・ロック(2020年製作の映画)

3.9

エネルギッシュな父の語る言葉は身勝手だけど正直で、娘としては苛立たしい部分もあるだろうけど、それゆえに豪快さにつながる部分もあるからチャーミングで憎めない。

そんな父をビルマーレイはとてもよく演じて
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

3.0

アイデンティティを常に揺るがされることのつらさについて考えさせられた。
生きているだけで自分を異物と思わされるのはとてつもなくつらいことだろう。

そして、トランスジェンダーの人が具体的にどういうこと
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TENET テネット(2020年製作の映画)

4.3

”起こったことは仕方がない
だけど行動しない理由にはならない”


非常に運命論的、決定論的な物語だと感じた。


普通のタイムトラベルものだと、過去に戻って過去を変えることで現在を変えるというものが
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なぜ君は総理大臣になれないのか(2020年製作の映画)

4.6

”政治家に向いていない政治家”、衆議院議員・小川淳也の17年にも渡るドキュメンタリー。
四国にある普通の家庭に生まれ、東大、総務省官僚とエリート街道を歩んでいた彼が”政治家になりたいんじゃなく、政治家
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眠る虫(2019年製作の映画)

-

この瞬間の一つ一つはこの瞬間だけのもので、そのまま流れていく...

まるで夢を見ているみたいだった。


こういう映画を観るとまだまだ映画を観る力量が足りてないなと思う。
幽霊、風、石、植物の葉、流
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メメント(2000年製作の映画)

3.9

今僕が抱えている過去の記憶は本当に客観的な事実だったんだろうか...


TENETの公開を前にクリストファーノーランの作品を観ようと思い、先週インターステーラーで大いに感動したので引き続き鑑賞しまし
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mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.5

思春期というものは名状し難いものをはらんでいて自分にもコントロールできない感情に突き動かされる。
僕はストリートで育ったタイプではないけれど、90年代を幼少期から思春期へと過ごした身としてはとてもよく
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パヴァロッティ 太陽のテノール(2019年製作の映画)

4.1

"彼は歌を生きた"
"有名な歌を歌うとき、差し出せるのは自分の人生だけだ"


彼は人生を、世界を存分に楽しんで生きた。
それはもちろん周りの人たちを幸せな気分にさせたし、遠くで見ている僕たちまでも楽
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オフィシャル・シークレット(2018年製作の映画)

4.1

やっぱりこれも法外の正義か…


最近、アニメぐらいしか観る気力がなくて「PSYCHO-PASS サイコパス」というアニメを観ていた。
このアニメは作中のセリフでも言及されている通り法外の正義を扱って
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ブックスマート 卒業前夜のパーティーデビュー(2019年製作の映画)

3.8

バカをやって恥をかいて絶望に突き落とされて、ほろ苦くてそれでも美しく甘い。
青春はどのような形であれ、人生の最高の瞬間の一つだと思わせてくれる。

行動しただけ何かを得れるという感覚は歳を重ねるほど擦
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赤い闇 スターリンの冷たい大地で(2019年製作の映画)

3.6

ジャーナリズムがやるべきことは、客観的で検証可能な事実を伝えることだとアグニエシュカホランド監督は言う。
どんな信念があろうと事実をねじ曲げる人はジャーナリストとは呼べない、と僕も思う。


ホロドモ
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ワンダーウォール 劇場版(2019年製作の映画)

4.0

”本当にそれでいいのかどうかが分かんないんです”


去年、京都に旅行に行ったときに京大を見てきた。
受験生を対象にオープンキャンパスをやっていて、夏休み中にもかかわらずなかなかの人出だった。
これな
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千と千尋の神隠し(2001年製作の映画)

4.4

映画館から出てきたとき、僕もこことは違う世界から帰ってきたように感じた。
僕(あるいはあなた)がそういう風に感じるとき、この世界は必ず変容している。


素晴らしかった。
わりと酷評のある作品だけど僕
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Curve(原題)(2016年製作の映画)

3.0

怖いというより痛かった😢

ちょっと前に話題になってて怖いという評判だったのでホラー苦手過ぎてなかなか観れなかったんですけど、時間ができたので観てみました。


セリフもなく、想像を喚起させるようなシ
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ダンケルク(2017年製作の映画)

4.2

ただただしんどい体感の中で戦争を痛感する。

突然の銃声、こちらへまっすぐ向かってくる爆撃機。
"救助"という自分の力ではどうすることもできない、待つことしかできない幸運を願いながらひたすらサバイブす
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パブリック 図書館の奇跡(2018年製作の映画)

4.5

実を言うと子供の頃は図書館が苦手だった。

しーんとしていて、屹立する棚に阻まれて狭苦しくて、周りの大人たちは黙々と自分のことに集中している。
物言わぬ物体を開くとカビ臭くて、見たこともない漢字がびっ
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はちどり(2018年製作の映画)

4.6

純粋で感受性が強くて、けれど、どこに辿り着いたとしても価値を感じられないぐらい、見渡す世界は窮屈すぎる。
今をやり過ごすのにもがむしゃらで、野放図に動きまわることしかできない。
少女の醸し出す空気は、
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レイニーデイ・イン・ニューヨーク(2019年製作の映画)

4.4

歌声が美しいアンニュイイケメン・ティモシーシャラメとミス破壊力のある笑顔かわいいおバカちゃん・エルファニングが織りなす小粋でちょっと笑える雨のニューヨーク。


めっちゃよかった。


ミッドナイトイ
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WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)

3.7

過ちと後悔と今

音楽と光を利用したとても感覚的な描き方だった。


途中で主人公が兄から妹へ変わるのだけど、主人公が変わることでテーマも過ちから後悔に変わっていく。
普通過ちを犯した人の後悔を描くと
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カセットテープ・ダイアリーズ(2019年製作の映画)

4.3

音楽は人生の鎮痛剤だ、とどこかで読んだ記憶がある。
僕はこの言葉に根源的に実際的にとても共感する。
殺人的にぎゅうぎゅうでしんどい通学電車の中、酷い言葉で心をずたずたにされた日の眠れずに過ごす夜更け、
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