Ryomaさんの映画レビュー・感想・評価

Ryoma

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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

3.6

正直に言っちゃうと、画面の美的センスは皆無。
しかしこの作品はそいういう「ショットの詩」で魅せる作品ではなく、「脚本の抉り力」で魅せる作品であると思うから、画面のセンスではなく脚本の良し悪しで評価すべ
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ボストン市庁舎(2020年製作の映画)

4.1

妙だな。この心地よさは何なのだろう?
僕は一つの結論を出した。
この心地よさは、きわめて自然な発話のリズムにある、と。
英語特有の跳ねるような発話のリズムを、できるだけそのままの状態で増幅も減衰もさせ
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春原さんのうた(2021年製作の映画)

4.0

これはほんとうに素晴らしい作品。観終えてから日を重ねるごとに心の中で様々なシーンが煌めきだし、ぼうっと上がる湯気のように記憶の宝箱を満たす。「詩」が育ってゆくのだ、ゆっくりと拡張する記憶の中で。
何気
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裏窓(1954年製作の映画)

3.9

何を隠そう映画っていうのは区切られた長方形の中でしか存在しえない「箱庭」であって、その箱庭的構造をうまーく(ともするとメタ的に)サスペンスに落とし込んだ古典的傑作。

ファーゴ(1996年製作の映画)

4.1

ゆっくりと弛緩される笑いの底を流れているのは、ドクンドクンする人間の醜悪。

童年往事 時の流れ(1985年製作の映画)

4.0

安易な結び付けかもしれないが、例えば「となりのトトロ」に通じる、アジア人の心の奥底に眠る「心象風景」を刺激する映画だと思う。
土に照り付ける陽光のギラギラ、蒸された大地の匂い、青草の不吉なざわめき、雨
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フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊(2021年製作の映画)

4.3

天才、天才、天才。
まず画が天才。物語り方が天才。ときどき挟まれるギャグが天才。
とにかく映画の身体性が”やわらかい”と感じました。

捜索者(1956年製作の映画)

4.2

光と闇が直列に差すその境目、曖昧模糊ながら血の滴る刃のように鋭く区切られた長方形の境目=家への扉が、眩暈がするほどにゆっくりと広がっていくエンディングショットは、一人の男、そしてその男に纏わりつく無常>>続きを読む

ザ・ビートルズ Get Back:ルーフトップ・コンサート(2022年製作の映画)

3.5

この時期のギンギンのジョン&ポールが大画面で叫び揺れ動いている、もうそれだけで最高。
ルーフトップコンサートって同じ曲を何回も演奏している。ゆえにただただコンサートの映像を見せられ続けては退屈だ。しか
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偶然と想像(2021年製作の映画)

4.1

この監督は「会話」を「音楽」のように機能させる。
言葉と言葉がときに快く、ときに悶えながら、発せられ、連なり、流れて、ぶつかって、進んでゆく。まーさに音楽的な心地よさ。
しかしそんな「言葉たち」は、奔
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ベルリン・天使の詩(1987年製作の映画)

4.5

マイルドな語り口のタルコフスキーって感じがする。というのも、映画にしては少々文学的すぎる台詞の氾濫と、独自の静謐さを湛えたモノクロームの画面、それらが絡まり合って混ざり合ってつづれ織られていく様子が「>>続きを読む

パリ、テキサス(1984年製作の映画)

4.6

この世の中に存在する無数の「物質的仕切り」の中でも、最も「半仕切り的」と言えるであろう「マジックミラー」は、何ともいえず不気味というか、神秘的というか、はたまた真実的というか・・・、とにかく微妙な感覚>>続きを読む

イタリア旅行(1953年製作の映画)

3.8

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
夫婦、男と女を結ぶ糸は、微妙な距離感を自覚して、伸びたり縮んだり波打ったり、簡単にほどけてしまいそうだけど、思ったよりも強く繋がれていて、その「糸」の繊細な
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ストレンジャー・ザン・パラダイス(1984年製作の映画)

4.3

この映画のざらっとした煙たい灰色の画面から伝染してくるのは、誰しも心の中に秘めているであろう「見知らぬ荒涼とした土地をただあてもなく彷徨ってみたい」という退廃的な心地よさを湛えた願望であって、その不健>>続きを読む

ある夏の記録(1961年製作の映画)

4.1

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
私たちが共同的に幻想する「真実」という概念は、重層的・多面体的な構造を持ってゆらゆらと浮かんでいる。いま光が「真実」を照らしつける。多面体のような「真実」は
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ビリディアナ(1960年製作の映画)

4.0

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
現代において、「俗っぽいもの」は「聖っぽいもの」よりもシリアスであるにもかかわらず、いまだに私たちは共同的な幻想として、「聖」は「俗」より強い(はずだ!)と
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セールスマン(1969年製作の映画)

3.9

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
どこそこに「生」を根付かせてうごめいている実際の人間たちの瞬間瞬間の前にカメラを差し出したからといって、彼らの「魂」から漏れ出る微かなまでの「生」への予感を
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鳥の歌(1995年製作の映画)

3.6

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
確かに脚本は凡庸かもしれない。が、それ以上に、めくるめく異国情緒を湛えたアンデスの風景を映し続ける画面が終始、透き通っていた。

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.9

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
やさしい眼差しで冷たいものを見る。柔らかな棘が僕の瞳を刺す。貫かれた余韻は温かく、ちょっと虚しい。

クローズ・アップ(1990年製作の映画)

4.1

現代アートハウス入門というイベントで鑑賞。
「映画」という膜の存在を敏感に自覚しながら、「ドキュメンタリー」と「フィクション」の危うい境界の線上を、颯爽と駆けていくバイクの二人。揺れる花のピンクが強く
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グッドフェローズ(1990年製作の映画)

4.5

火の玉のように駆け回り転がり落ちていく、ある男の堕落の物語。
僕は常々「映画は絵画より音楽に近い」と言っているのだけれど、「グッドフェローズ」ほど音楽的な映画を他に探すのは、難しいんじゃないかな?
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ファイト・クラブ(1999年製作の映画)

4.2

とにかく楽しませてくれる映画で、しかしスコセッシが言うところの「テーマパーク映画」などでは決してなく、隙のないショット、なめらかなカメラワーク、疾走するカット割り、裏切りの脚本・・・、等の様々な映画ら>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

4.7

箱庭的世界観の中で繰り広げられるサイケ・トリップ。妄想から溶け出す夢の女の肖像が宙を舞ってキスをする。チュッ。しかし二人を引き離すかのように立ち昇ってくる謎の無機の壁。めくるめく逃避行の背景にしがみつ>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス(1984年製作の映画)

4.0

映画の「おいしさ」とは、「面白い動き」である。それは演者の動きはもちろん、カメラワークの動き、カット割りのリズム、ストーリーの流れ、音楽の波打ち・・・、全ては動いているのだ。それもそのはず、映画は英語>>続きを読む

オアシス:ネブワース1996(2021年製作の映画)

3.2

コンサート映画っていうのは劇映画と違って「物語」が無いので、その代わりに、「音楽」が物語・脚本の役目を果たすものだと思う。
しかし、この映画は肝心の「音楽」演奏中に、ナレーションや解説音声などの「音楽
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.8

車とともに、ゆっくりと、着実に、流れてゆくものは何なのだろう?
例えば、言葉。会話と沈黙の狭間に生み落とされた言葉たちは、感覚の裏側を転がって、車窓に映る街並みとともに、ゆっくりと流れてゆく。
そして
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逃げた女(2019年製作の映画)

3.8

何気ない会話とそっと添えるようなカメラワークだからこそ、「何か本質的なもの」が散っていってしまうことなく、ゆっくりとしかし着実に、観客の体の中へ染み込んでいき、次第に心地よくなっていくのだろう。
そし
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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.1

灰色でぎこちない空気を纏った17歳の少女たちの「存在」は、不安定に揺れている。彼女たちがバスやら電車やらを使って移動するだけで、たとえ物語の上では何も起こっていなくても、そこにいる彼女たちの存在は、決>>続きを読む

スパイの妻(2020年製作の映画)

3.8

スクリーン上に揺らめいている銀色の光が、「この映画は傑作だ」と切実に訴えてくる。

クラッシュ(1996年製作の映画)

4.2

たとえばこの映画から、なにか現実的な教訓・哲学を引き出すことはほとんど意味を持たないように思う。「こういう性倒錯の人って〇〇だよねー」とか「肉と鋼のクラッシュが生むシンフォニーは私たちにとって・・・」>>続きを読む

ライトハウス(2019年製作の映画)

4.1

うん、シュルレアリスムだと思うよ、この映画。
シュルレアリスムって言っても、それを文学や映画などの「物語」「時間芸術」でやろうとすると、やはり「線的な」シュルレアリスムと「円的な」シュルレアリスムに分
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戦場のメリークリスマス(1983年製作の映画)

4.0

この映画を観たのは、かれこれ一か月以上前。
タイムスリップしたかのような昭和レトロな映画館のへたれたシートの黴臭い匂いと共に、この映画特有の緑がかった画面のひりひりするテクスチャーが、記憶の隅っこにし
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アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.6

トーキングヘッズファンでストップメイキングセンスファンの僕は、もちろん期待大大大で劇場に駆けつけた。
結果、想像以上に素晴らしかった。もはやストップメイキングセンスに肉薄するレベル。よくありがちな、た
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愛のコリーダ(1976年製作の映画)

3.7

極端なものってなんか分からんままグイっと惹かれるよね。
そういう「極端」を赤色渦巻く濃密「性」世界でぐるぐるコトコト煮詰めて映画にしたって感じ。ただやっぱ軽薄さは拭いきれないかな。(観客と共に予期され
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2001年宇宙の旅(1968年製作の映画)

5.0

もう何も言うことはありません。
完璧です。映画の極致です。

ドゥ・ザ・ライト・シング(1989年製作の映画)

4.6

映画や文学で「社会問題」を描くのは難しい。それは社会問題っていうのが元来リアルで具体的な性質を帯びているからであって、それを「物語」で描こうとすると、どうしても直接的というか凝り固まったイマジネーショ>>続きを読む

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