作中で「わからないけど、わかるよ」という台詞があるけど、よくも悪くもそれを貫徹する映画。たしかに説明はないけれど、ある喪失を抱えた女性と、彼女を支える周囲の人物とのコミュニケーションが繰り返され、「あ>>続きを読む
ブニュエルみたいな欲望丸出しの人間たちの可笑しみとスイス国家への皮肉や批判がごちゃごちゃになってて、でも全部
際立ってて大変おもしろい。ヒロインの美しさと儚さもすばらしい。こんな映画があることに希望を>>続きを読む
見終わった直後よりも時間を置いてからのほうが完成度の高さがよくわかる。いまを生きている人たちの思考とか、社会の限界とか、典型を少し外れたところで普遍的に描きながらも、あの二人の話として独立させているの>>続きを読む
恐ろしいほど東京都心しか映らずこわかった。1番西が松濤?
石橋静河の立ち位置を好きになれるかなれないかでこの映画の捉え方はけっこうかわりそう。顔合わせのセッティングからしてかなり打算的というかおせっか>>続きを読む
深田監督の映画のなかでも『淵に立つ』と同じくらいピンとこなかった。クィアな目線をのぞかせる物語はよかったのだけど、それが映像になったときに象徴性とか説明性が強すぎて少し野暮ったい。こういう感情だろうな>>続きを読む
みな記憶の囚人であることがわかって、嫌な気分になるが、ここからはじめる以外にないなとも思った。
グラウベル・ローシャの映画みたいな筋書きなんだけど、狂気が狂気として成立しないような、のっぺりとした血の匂いしかしないところがおもしろかった。
うまく盛り上げれそうなところも妙に野暮ったくおもしろい。
『意志の勝利』並みかそれ以上の統率された群衆を、現実がリアルに生み出していたことを考えるための2時間だった。ひとりひとりが何を考えてるかわからないけど、あの広々とした土地をこえて無数の人が喪に服してい>>続きを読む
開始からずっと続く圧迫感がつらいがそれだけ身体にくる映像だった。見てる人は誰と共犯関係を結ぶんだろうか。終盤で漏れだす一言の重みがすごい。
三面分割が単なる欲張りにみえてしまう。慎み深さがまるでないように思う。ぜんぶ等価にされた悲劇はつらい。
発砲シーンとか会議シーンの迫力すごくリアルだった。重厚なつくりのようで後半のどこいくかわからん構成は見てて危うくかんじたけど、屋根の上での再開に普通に感動した。歴史の上だと簡単に分類しそうな人たちの複>>続きを読む
芦田愛菜はすごくよかったんだが、室内の取り方とか監督の演出が微妙。なんであそこアニメーションなのかわからん。
西部劇の荒野が、既存の社会の反映としてではなくて、探求の舞台として映されててよかった。
拳銃から広がる展開とか、父と母への執着からの逆転したジェンダー表象とか、まるくゆったり終わらせそうなところでの唐突な暴力とか、どれも唸るほどうまい。もってかれた。お父さんの味。
オリンピックを信じるよりも、この映画が爆音で押しつけてくる怪しい都市伝説と
彼女たちの電波の魅力に身を委ねるほうがずっと楽しい。
見たあとはかなり疲弊したし、すごい映画だと思ったけど、いま振り返るとあまり覚えてないシーンが多い。ただスナイパーが粛々と人を殺していくのをただ眺めている少年の顔は忘れられない。
こういうほがらかで柔軟なかんじのカメラと被写体との関係性が見ていて一番しっくりくるなと思った。
あとこれは家の映画としてはあらゆるフィクションを凌駕する凄みがあった。
セレブ妻の主観的な視点で統一されており、ダメ夫の事業の詳細はわからずともズブズブ沈んでいくかんじのリアルさがよかったし、ラストもうまい。
最後のほうの展開が安易すぎるし、もっとこだわってほしかったと思うのは無責任でしょうか。売れたいと思う欲が演出に出ちゃってる。
この映画のことをひたすらずっと考えてる。ほんとうにかなしいことは受け入れなくていいから、それでも抱き抱えて生きていくことの喜劇がありありと映ってる。
みんなでカメラをまわすことで匿名性をつくりあげるという発想がおもしろかった。意識の面では匿名かもしれないけど、身体の感覚とかふとした興味のあらわれは如実に反映されているのでそのへんは記名的でもある。>>続きを読む
なにかに遠慮しているような笑い方が耳に残った。撮りたくても撮れないんだろうか、それかもう撮らなくてもやっていけるんだろうか。
みんな照れてるようでそれでいてのびのびやっててほんとすばらしい。うだるような時間と空間のひずみ。
社会と個人の紐帯の描き方がほんと絶妙だと思う。全部を還元させきらず、余白を作ること。先生すごくよかった。
結婚式の馴れ初めムービーの超豪華版というかんじで、けっこうよかった。ドングリ投げる動作がいい。日本がどんどん没落していくなかで、なんで中島みゆきにみんなすがりつきたいのがわかる必死のカラオケがかなしか>>続きを読む
このゆるさと鋭さの共存はなんなんだ。レンズのダンスとか正気かと思いながらけっこう好きだった。
永遠と石炭の売買交渉が続くけど、値段ばかりで仕事そのものについてはよくわからん。それであの黒い石をひたすらおろしてハンマーで砕こうとしている人の虚しいかんじをみると、なんかいろいろ考えてしまう
どれもまぁまあおもしろいけど(ブラジルのはひどい)、オムニバスで成功した作品ってないよなって再確認した。
映画で自画像をつくっていくんじゃなくて、自画像を映画に溶かしてるようなかんじ。それにしても風景のショットがぜんぶすごい。
ものすごい展開のはやさで終始死にとりつかれているような陰惨さがある。戦争の影はまちがいない。それでもあの円を描く二本の釣竿が彼らをどこかで救ってくれてるような気がする、