milagrosさんの映画レビュー・感想・評価 - 15ページ目

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チャップリンの殺人狂時代(1947年製作の映画)

3.9

よくしゃべるチャップリン。動きの笑いから、言葉の笑い、物語の笑いへ。

神田川淫乱戦争(1983年製作の映画)

3.6

黒沢清のルーツが分かる。ヒッチコックのプロットにゴダールの大胆不敵さを。ビール飲みながら昼間から観たい映画。ふざけているけど、あの暗闇は怖い。どんどん物が吸い込まれていく。

狂い咲きサンダーロード(1980年製作の映画)

4.0

かっこいい、かっこわるい、がぐるぐる回って、結局かっこいい。
バイクを乗り回すのも、右翼活動するのも、全部いっしょ。何にもないから燃えるのだ。
ガキの活躍に死ぬほど笑った。ラストも痺れる。

ざくろ屋敷 バルザック「人間喜劇」より(2006年製作の映画)

4.1

映画だから、絵はそのまま停止してはいられない。物語と一緒に絶えず動き変化していく。そこに現れるのは深い闇の怖さと、光の温かさ。
バルザックの古典は、この映画によって、永遠の命と永遠の死を両方手に入れた
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リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

3.8

はじめての岩井俊二なのでドキドキ。

変な学生映画みたいな雰囲気で、ぼんやりした虚ろな色調で進む映画に、最初はすごい戸惑ったのだけれど、途中からこれは空っぽの人たちを空っぽに撮った空っぽの映画なのだと
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海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.2

やっぱり是枝さんの本領は、こういう細々した家庭の小さな映画で発揮されるのだと実感。登場人物が並んで歩けば、もう最高。
『永い言い訳』にプロットはけっこう似てるように思ったけど、あっちがギラギラ冷たい鋭
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ハート・オブ・ドッグ〜犬が教えてくれた人生の練習〜(2015年製作の映画)

4.1

監督ローリーのモノローグが優しく響く映像詩。ぼやけた夢のような映像と選び抜かれた一つ一つの言葉が体を包む。語っていることは物凄く個人的なことなのに、いつまでも聞いていたいしみていたい。死についての率直>>続きを読む

溺れるナイフ(2016年製作の映画)

3.5

期待しすぎたのか、少しがっかり。
超ロングのショットやすばやい編集など映像の見所は多いが、音楽が悪すぎる。リズムがガタガタ。なんで常に変な音楽流してないと気がすまないの。

主演二人の存在は抜群だが、
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侠女/俠女 第一部:チンルー砦の戦い(1971年製作の映画)

3.8

アクションシーンの瞬発性と躍動は素晴らしい。物語展開には疑問が残るが、ヴィジュアルが強すぎて有無を言わせない。

台北ストーリー(1985年製作の映画)

4.0

ファーストカットがきまりすぎててクラクラ。煙草を吸うシーンは、今までみたなかで一番かっこいい。

永い言い訳(2016年製作の映画)

4.2

もうタイトルが素晴らしい。僕たちは永遠に言い訳を呟き続けているのかも。
もっくん演じるダメな男に寄り添う優しい映画。竹原ピストルさんの一瞬で豹変する演技がすごい。
白色の使い方も効果的。髪を切ることが
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幸福(しあわせ)(1964年製作の映画)

3.8

ヌーヴェル・ヴァーグの軽快なカメラと劇的音楽を伴った楽しい楽しいピクニックは、実はとっても恐ろしい。燃えるように消えていく画面の儚さと美しさ。

恋物語(2015年製作の映画)

4.3

同じ女性の同性愛がテーマの『アデル』よりも『キャロル』よりも、僕はこの映画のほうが好きだ。さりげないけど、馴染みやすい。派手ではないけど、暖かい。
同性愛とかそんなことも忘れて、素敵なキスシーンとベッ
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普通の家族(2016年製作の映画)

4.1

マニラの街のガヤガヤした音が響く街路で、二人の少年少女は家族を営もうとする。二人の瞳、特に少女の目の強さと生命力からは、映像でしか感じられない確かなリアルと衝撃がある。
ネオレアリスモの現代版をみた感
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ミューズ・アカデミー(2015年製作の映画)

3.9

ミューズと愛についての、ゲリンの尽きることない壮大な遊びと探検。
難しく考え出したらきりがないので、届くようで届かない登場人物たちの会話の響き、存在の美しさを堪能するのに専念しよう。

この世界の片隅に(2016年製作の映画)

4.6

もう何が何でも、一人でも多くの人に見てほしい。これは、世界の片隅に住む僕たちに今こそ必要な、これからもずっと必要な映画だ。

こんな戦争映画がかつてあっただろうか。日付を刻んで年表みたいに物語は進むか
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JAWS/ジョーズ(1975年製作の映画)

4.0

オープニングが最高。
アウトサイダー同士、警官とサメはシマをかけて闘うのだ。

怒り(2016年製作の映画)

3.7

東宝がつくった映画に言うのもなんだけど、これは3、4時間の尺にすべき題材の映画だと思う。各エピソード1つ1つが重いので、もっと時間をかけて人間の描写をしないと、映画がこのストーリーに負けてしまう。結果>>続きを読む

何者(2016年製作の映画)

4.1

ズキズキくる痛い映画だった。そのあとグッときた。登場人物と同世代なのもあるけど、この群像劇が伝える、彼ら若者の必死さとか切実さがズンと響いた。演劇という自分を客観的にみる言葉と、ツイッターの偽善的かつ>>続きを読む

映画よ、さようなら(2010年製作の映画)

4.3

映画館を出たときに、僕たちの心の中で再び映画は始まるということ。
往年の名画の音楽を響かせながら、軽やかにステップを刻むホルヘの勇姿に涙する。無声映画のような純粋なアップの表情の輝き。
映画と生きるっ
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オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.3

これは映画にしかできない表現だろう。筋がないから、文字にしたら退屈すぎる。そんなのっぺりしたバカンスの日々を、生き生きと撮している。
砂浜を駆ける馬、転がるボールを追いかける四人、そして波を越えていく
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アクエリアス(2016年製作の映画)

4.0

都市を写した写真から始まって、ブラジルの様子を、じわりじわりと、でも確実にカメラにおさめる。
アップしたり、ひいたり、唐突にフラッシュバックしたり、忙しい。けど、そこに地続きの映像としての一体感が

ブロンドの恋(1965年製作の映画)

3.8

ヌーヴェルバーグなんだけど、何だかだらけてて、そこがいい。ベットで戯れるいい年した家族の3人組、あの涙にはいろいろ意味があると思うんだけどな。

バース・オブ・ネイション(2016年製作の映画)

4.0

こんな映画が今作られるから、アメリカ合衆国という国は嫌いになれない。グリフィスが残した、呪われた大作に真っ向から挑む勇気。
印象に残ったのは、黒と白。純白の儚さは、泥と汗と血によってどす黒く染まってい
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八月(2016年製作の映画)

4.2

内モンゴルから届いたこの愛すべき映画には、ホウ・シャオシェンやエドワード・ヤンの映画のような甘く瑞々しい、そして痛いほど繊細な少年時代への追憶と、彼らの映画を越えていく、現在への強い意志が宿ってる。映>>続きを読む

鳥類学者(2016年製作の映画)

4.1

ミゲル・ゴメスといい、この監督といい、ポルトガル映画のおおらかな世界はとても好き。こんなに美しい川と空と森と人を調和させるのはすごい。人間の裸がエロくなくて、生物だ!ってかんじで映えてるのもいい。これ>>続きを読む

愛の喪失/ネヴァー・エヴァー(2016年製作の映画)

3.8

凄く良くできた映画ではないけど、そんなに皆が言うほど難解じゃないと思う。素直に夫の死を消化しようともがいてるのが印象だから。
ゴシックの雰囲気がいいね。特に前半の流れはキレがあって好き。マチューさんの
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ミスター・ノー・プロブレム(2016年製作の映画)

3.4

白黒の映像美、以外に誉めるところがあまり見つからない。固定のキッチリしたカメラワークかと思ったら、手持ちも使ったりしていて、なんだか不気味。
ブラックコメディかなと思った。いかにもいい人が本当は一番腹
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アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

4.2

あまりに切なくて、苦しくて、でもそれでも幸せなそんな瞬間が人生にはあるのだと、思い出させてくれる映画。この映画の余韻の素晴らしさは書いても書ききれない。

幾度となくすれ違い、そして結ばれていく視線の
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荒野の決闘(1946年製作の映画)

4.0

くっきりとした陰影の鮮烈さがすごい。土地と空と人が、この上なく調和していて、そこにある物語がシンプルで力強く、もう最高。

マリア・ブラウンの結婚(1978年製作の映画)

4.0

ファスビンダーの映画の大胆不敵さ、その丸裸の剥き出しの生活が強烈。神話のような悲劇的な喜劇を観ているよう。

日本春歌考(1967年製作の映画)

3.8

よくわからない、ふらふらしたかんじ。虚しく響く軍歌にフォークの歌合戦。少年たちは妄想で抵抗する。

昇天峠(1951年製作の映画)

3.8

何がしたいんだ!って画面に呟いてしまう、そんなブニュエル映画。
荒唐無稽のロードムービーのはては、地獄か天国か。

黄金時代(1930年製作の映画)

3.9

人間って凄いなあと途方にくれる作品。
爆弾がスクリーンに投げられたのも納得。

哀しみのトリスターナ(1970年製作の映画)

3.9

ブニュエルのイコン、女性の足が切り落とされたとき、少女は覚醒する。
美しさと裏返しの醜さを、ここまで徹底して描けるのはブニュエルだけだ。

A2(2001年製作の映画)

4.2

誰が正しいとか正しくないとかはとりあえず置いといて、オウムの信者の人たちと右翼の人たちは、とにかく面白い。笑えるっていうのは大事だと思う。逆に市民のシュプレヒコールには全く笑えないし、この映画の中で一>>続きを読む