コンドーさんの映画レビュー・感想・評価

コンドー

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くれなずめ(2021年製作の映画)

4.0

結婚式と二次会の間をモラトリアムな時間として描く感じが素敵だった。

内輪ノリだってとことん貫けば、
公にも心を打ってくるんだなと。
松居監督の他作品、「わたし達のハァハァ」「アズミ・ハルコは行方不明
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

3.2

センセーショナルな映像が畳み掛かってくるだけで、感情を揺さぶられなかった。善悪で片付けられない、グレーな感情を喚起されると思っていただけに残念。

始まりから終わりまで、
「ネット上には危険な人がうじ
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DAU. ナターシャ(2020年製作の映画)

3.7


舞台は、1950年代のソ連の秘密研究所の食堂。あらすじは、そこの食堂で働く女性が研究員のフランス人の男性と関係を持ち、それが原因で国家保安機関に呼び出されて拷問を受ける。以上。

文字にしてしまえば
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あの頃。(2021年製作の映画)

3.7

ハロプロという固い結び目によって繋がる主人公達の青春は、ユーモラスな関西弁のやり取りも相まって、面白かったし、輝いていた。

だが、作品の終盤のテーマとして、「あの頃」との向き合い方が浅いと感じた。時
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マリアの旅(2020年製作の映画)

4.0

マリアがスペインに行くまでは壮大なスペクタクルの物語かと思ったが、穏やかなロードムービーだった。観終わった後、思いの外、身体が軽やかになっていたので、渋谷まで歩いて帰りました。

ヴェロニカの容態が悪
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Malu 夢路(2019年製作の映画)

3.8

死と向き合いながら生きることとは。

妹・ランは、幼かった自分を含めて心中を図ろうとした母親を見捨てずに、最期まで独りで看取り続けた。一方で、姉・ホンは、心中未遂後は祖母に引き取られて、芸術の英才教育
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82年生まれ、キム・ジヨン(2019年製作の映画)

4.2

この作品は、自分自身の問題に広がっていく。

キム・ジヨンが抱える問題は、抑圧された自我を解放することで解決される。しかし、これはジヨン独りの問題なのだろうか。いや、社会、はたまた私自身の問題でもある
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海辺の映画館―キネマの玉手箱(2019年製作の映画)

4.0

三時間ぶっ通しでスクリーンに食らいついたけど、まとまった言葉にならない。じっくりと噛み砕きながら観たというより、大林監督の脳みその中身をびしょびしょに浴び続けた感覚。

遺作として後世に伝えたい想いが
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屋根裏の殺人鬼フリッツ・ホンカ(2019年製作の映画)

4.2


最初は犯罪者・フリッツの生い立ちや、彼が殺人に手を染める経緯を描いた作品かと思っていた。しかし、序盤から救いようのないドスケベが無慈悲な殺人を繰り返していたので、彼の業を肯定することはできなかった。
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ミッドサマー(2019年製作の映画)

4.0

終始胃がキリキリしっぱなしで、終わった頃には何か言葉を発さないと正気を保てなかったくらい、精神的に参ってしまった。

主人公達が人類学を研究していること、またドラッグ常用者であることが肝だと思った。ホ
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音楽(2019年製作の映画)

4.0

学ランのヤンキー、聖子ちゃんカット、ファミコンといった要素はいわゆる80年代っぽいのに、今っぽいロックフェスに出演したりと時代背景は謎に包まれている。

インタビュー記事にて、「寓話的な雰囲気はある」
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許された子どもたち(2019年製作の映画)

4.5


最後の絆星(キラ)の「再生」はどちらを表すのだろうか。
過去を完全に忘却した再生か。
被害者への追悼を捧げようとする再生か。
悲しいことに、恐ろしいほどまっさらな絆星の笑顔からは前者を感じずにはいら
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ひとよ(2019年製作の映画)

4.0

家庭内暴力に明け暮れる父親を轢き殺した母親は聖母なのか殺人鬼なのか。
答えはどちらでもない。葛藤の末、その曖昧さを受け入れる三人の兄妹に胸を打たれた。

母親に対する、許せるところと許せないところ、好
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楽園(2019年製作の映画)

3.6

スポットを当てる人が多過ぎて、それぞれの感情の蓄積が浅い印象を受けた。

原作でも主人公周辺の人物を巡回するように描いているが、最終的には主人公に収束されていくから、ずっしりとした感情の塊がのしかかっ
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愚行録(2017年製作の映画)

4.0

ストーリー、色合い、音楽、役者の振る舞い、何もかもがジメジメっとしていた。

人を値踏みするようにいやらしい目つきで見たり、嘲笑ったり、うわべだけの会話をしたり。
こうした人間の薄汚い所作が強調される
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まったく同じ3人の他人/同じ遺伝子の3人の他人(2018年製作の映画)

4.5

好奇心は他人の人生すらも操作してしまうものなのか。

三つ子とは知らずに別々の家庭で生きてきた男達が奇跡的に再会し、今までの時間を取り戻すかのように怒涛の勢いで関係を深める。
やがて、三人は真実を知る
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ミスミソウ(2017年製作の映画)

3.0

『許された子どもたち』の予習としてチェック。
内省的な内容かと思っていたので消化不良だ。

主人公・花子の「目には目を」な復讐が始まった時点で、冷めてしまった。
ただただ猟奇的な惨劇の連続で、何も背景
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宮本から君へ(2019年製作の映画)

4.5

いけー、宮本!

「とある事件」により悲嘆にくれる靖子を守るために、もっと理性的な手段があることはどんな阿保だってわかる。
しかし、宮本が選んだのは、もっとも馬鹿だけど、もっとも靖子に愛を伝えられる手
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ニッポン国 vs 泉南石綿村(2017年製作の映画)

4.7

終わってしまったことは忘れればいいじゃないか

という、ぐーたらなポリシーで日々を浪費しがちな自分。なぜなら楽だから。

一方で、8年間にわたってアスベスト訴訟を続ける人々。ドキュメンタリーゆえの生々
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人生フルーツ(2016年製作の映画)

4.2

監督の匂いを感じさせずに、距離を置いて撮影されたからこそ、夫婦の魅力ある人間性と、貫徹した暮らしぶりの尊さを感じることができる。扇動的なBGMやナレーションも用いていない。
最近は、被写体を通して監督
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美しい星(2017年製作の映画)

3.7

父親はお天気キャスターで、隣の若い女子アナを愛人に持ち、母親はママ友に誘われてネズミ講を始め、娘はチャラい男にスカウトされて大学のミスコンに参加する。こうした俗な要素とSFが程よく融合して、コメディ感>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

4.7

主人公が生きることを諦めなかった映画こそ素晴らしい的なことを蒼井優がどっかで言ってた気がするけど、激しく頷きたい。

主人公の美香と慎二は世の中をうまくやり過ごしていく能力はひたすら低い。それは世の中
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からっ風野郎(1960年製作の映画)

3.2

革ジャン一枚を羽織ってイキがる三島由紀夫はカッコ良さより、可笑しさが先行しちゃう、ごめんなさい。
そんな三島由紀夫が演じるヤクザ・朝比奈にはイマイチ迫ってくるものがない。恋人・ヨシエにわりと理不尽に暴
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偽大学生(1960年製作の映画)

4.2

他人のために愛想を振りまき過ぎた結果、見舞われる悲劇をユーモラスに描いた作品。主人公・大津は田舎の母親のために、憧れの大学生(全学連)のために、はたまたその全学連と敵対する警察のために偽り続ける。彼は>>続きを読む

カモとねぎ(1968年製作の映画)

4.5

タイトル名に惹かれて鑑賞。
オープニングの雰囲気で当たりと確信。
前半は登場人物みんなが胡散臭いから、肩の力を抜いてゲラゲラ笑える。後半はちょいとシリアスな場面もあったけど、昭和感満載でノスタルジック
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M★A★S★H マッシュ(1970年製作の映画)

3.8

野戦病院で働いてるとは思えないくらい陽気な外科医達。シリアスな雰囲気はまったく帯びていない。暇さえあれば、酒を飲んでスケべなことをするし、自殺しようとする同僚がいれば、「死ぬ前にオーディオプレイヤーく>>続きを読む

夜明け前の子どもたち(1968年製作の映画)

4.5

重症心身障害を抱える子達に、精神と肉体を解放させるためにプールを作らせようと試みる。苦労しながらもプールが完成、感動の終了。そんな綺麗にシナリオ立てられたドキュメンタリーではない。子供、その療育者、そ>>続きを読む

そっちゃないこっちゃ コミュニティ・ケアーへの道(1982年製作の映画)

4.0

人生を精神的に豊かなものにするために、苦節しつつも楽しむ。めちゃくちゃ尊いことだと思う。
堅苦しいレビューになっちゃったけど、このドキュメンタリー見終えて真っ先に思った。

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.8

もし主人公・ヨシカが男だったら、俺はスクリーンに目も当てられず悶えたに違いない。もはやホラー映画と化していただろう…。

自意識過剰を鎮める薬を松岡茉優というオブラートに包んで服用した感じ。ありがとう
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生きる(1952年製作の映画)

4.0

観ている中でいろんな感情が喚起される。
バースデーソングを背に階段を降りていく渡辺の姿に胸が熱くなる。しかし最後、勢いよく立ち上がって倒れた椅子を戻す部下(木村)の姿に、誰もが渡辺のように変わることは
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やくざ番外地(1969年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の敵対する組にかつての弟分がいたり、可愛がってる妹がそこの組長に恋しちゃったりと、ドラマティック過ぎるストーリー。だが、義理と人情に揺さぶられる丹波哲郎をはじめとする、キャスト全員の熱演によって>>続きを読む

刺客列伝(1969年製作の映画)

3.5

高橋英樹に「正解は越後製菓!」のイメージしかなかった浅学さを恥じる。貴殿への眼差しが変わった、漢過ぎるぜ。