クリストフォルーさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

クリストフォルー

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シネマ歌舞伎 人情噺 文七元結(2008年製作の映画)

4.4

もうすぐ、没後10年を迎える、不世出の役者、十八代目中村勘三郎。もちろん、勘九郎時代から知ってはいたが、松竹が《シネマ歌舞伎》を始めてくれたおかげで、歌舞伎役者としての彼の凄さを知ることができた。
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パシフィック・ウォー(2016年製作の映画)

4.1

太平洋戦争下の太平洋で、テニアン島に2発の原爆を輸送し、護衛艦無しの航行を強いられた巡洋艦USSインディアナポリスと、特攻兵器・回天を搭載して、孤高の戦争を続けざるを得ない日本海軍の潜水艦・伊五八。戦>>続きを読む

パコと魔法の絵本(2008年製作の映画)

4.3

2008年版の『MIDSUMMER CAROL ガマ王子vsザリガニ魔人』の公演案内チラシに、秋に中島哲也により映画化されると告知されていて、大慌てで公演チケットを予約した。いま思うと、2008年度版>>続きを読む

太陽にかける橋/ペーパー・タイガー(1975年製作の映画)

3.6

「燃えよドラゴン」のヒットにあやかったのか、70年代半ばに、アジアを舞台にした映画が続いた。ポラックの「ザ・ヤクザ」や「007/黄金銃を持つ男 」、そして、ケン・アナキンの本作。
ニーヴンに、世界のミ
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残穢 住んではいけない部屋(2016年製作の映画)

4.0

30代にはナレーションの仕事も増えていた竹内結子。その穏やかな語りが、異界への扉を開く抵抗感を巧みに消してくれる。実はホラーが本道の中村義洋監督が、そこに気がついたことも、本作を撮る大きな動機だった気>>続きを読む

深く静かに潜航せよ(1958年製作の映画)

4.1

前年には「眼下の敵」なんて痛快作も作られている”潜水艦映画”だが、ロバート・ワイズが名優たちを配して作り上げた本作は、前々年のジョン・ヒューストンの「白鯨」を意識している気がする。
潜水艦映画の典型と
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人間魚雷出撃す(1956年製作の映画)

3.5

2016年に、ニコラス・ケイジ主演で「パシフィック・ウォー」も作られているが、太平洋戦争末期、アメリカの重巡洋艦インディアナポリスが、日本海軍の潜水艦・伊58(回天特別攻撃隊)により撃沈されたことは、>>続きを読む

千羽づる(1989年製作の映画)

4.0

今年も新たなドキュメンタリー番組が作られ、アンネ・フランク同様、世界的なアイコンになっている佐々木禎子さん(享年12歳)。映画化にあたって、「東京大空襲 ガラスのうさぎ」や「ムッちゃんの詩」のような美>>続きを読む

祈りの幕が下りる時(2017年製作の映画)

3.5

劇場公開時に観る気になったのは、飯豊まりえが出ていたからだが、さすがに『新参者』シリーズだけに、他も納得のキャスティング。ただひとつ、監督の福澤が、ミステリーが撮れない(撮る気がない)演出家であること>>続きを読む

真実の行方(1996年製作の映画)

4.1

劇場公開当時、深夜の地上波で放映されていた海外ドラマに魅了されていた私には、『ヒル・ストリート・ブルース』や『L.A. LAW/7人の弁護士』『NYPDブルー』のグレゴリー・ホブリットが手懸けた法廷サ>>続きを読む

ダイナマイト・ファミリー(2014年製作の映画)

4.0

こちらは《義兄弟姉妹によるチーム戦》映画。家族愛を重んじる韓国でも、もちろん“ステップファミリー”は増えているはず。擬似家族的なよそよそしさから、韓国らしい家族の絆が生まれるまでを、サスペンス展開を絡>>続きを読む

操作された都市(2017年製作の映画)

4.1

戦闘ゲーム内のヴァーチャル空間映像を、実写で見せてしまうという捻った導入部が、ラストに意味を持つという仕掛けは、あの「トンマッコルへようこそ」の監督らしい妙技。悪に対抗するチーム戦という設定は、韓国映>>続きを読む

老人Z(1991年製作の映画)

3.9

劇場公開時(1991年)は、“高齢化社会問題”など意識の外で、「AKIRA」のセルフパロディという感じで観ていた。
もちろん、「大誘拐 RAINBOW KIDS」やアメリカのドラマ版『白い犬とワルツを
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千年女優(2001年製作の映画)

4.5

劇場公開時(2002年)、この映画を十分に理解できていたとは言えない。ただ、ノスタルジックでリスペクトに充ち、アニメにしかできない目まぐるしい展開の心地よさに、ジブリや“クレしん”とはまた違う存在感が>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

3.8

良くも悪くも、90年代の「ロスト・ワールド/ジュラシック・パーク」の構成やジェットコースター感を拡大再生産したような映画だが、「ロスト・ワールド」には無かった“クリフハンガー”なエンディングが余韻を残>>続きを読む

パワーレンジャー(2017年製作の映画)

4.0

突然、過去に引き戻されてしまうような思いがする映画がある。アメリカのテレビシリーズ『パワーレンジャー』が、90年代の東映・スーパー戦隊シリーズに基づく作品というくらいの予備知識はあったが、まさか、本作>>続きを読む

フィラデルフィア物語(1940年製作の映画)

4.1

ひさしぶりに観た本作は、もちろん傑作コメディで、トントンと切れ目なく進んでゆく会話劇のテンポのよさは、観たばかりの「ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス 」にも引き継がれている。「麗し>>続きを読む

ダークマン(1990年製作の映画)

-

安部公房の原作・脚本/勅使河原宏の監督作品「他人の顔(1966)」を観た直後に、本作を観返すというのは、なんとも乙な経験だった。
本作の劇場公開時(1991)は、ニーソンもマクドーマンドもまだまだ無名
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クリスティーン(1983年製作の映画)

4.0

私のトラウマ映画の1本(しかも、デート・ムービーだった)。ホラーではあるが、クルマ(ガソリン・エンジンで走る自動車)が、人を支配するほどに特別な存在になってしまう恐怖は、40年後でも、身近にある。
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ジェーン・エア(2011年製作の映画)

3.8

私にとっての『ジェーン・エア』は、1996年のゼフィレッリ版(シャルロット・ゲインズブールと故ウィリアム・ハート)で止めを刺すと思っていたのだが、その後ミュージカル化された舞台版(松たか子と橋本さとし>>続きを読む

チャンシルさんには福が多いね(2019年製作の映画)

3.7

途中で「オー・ルーシー!」を想い出してしまったが、女性監督はこういうお話が好きなのだろうか。
主役のカン・マルグムは初見だが、存在感抜群で、寺島しのぶや松たか子バリのこなれた演技力も感じられ、次回作が
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天使のくれた時間(2000年製作の映画)

3.9

1980年代。アメリカではヤッピー(日本だとヤンエグ?)とか呼ばれていた、“アッパーミドルに成り上がった青年(中年)”が、『実は、人として幸せではないんじゃないか?』という問いかけを、来る21世紀を前>>続きを読む

きばいやんせ!私(2019年製作の映画)

3.1

本作が興行的に振るわなかったのは、主演(夏帆)に関連したスキャンダル報道や、制作会社(アイエス・フィールド)の問題もあったのだろうが、やはり、作品としての焦点が、ぶれぶれになっているせいだと思う。
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ゲキ×シネ「狐晴明九尾狩」(2021年製作の映画)

4.0

本公演の観劇となると、劇場(大阪・オリックス劇場)と座席、当日の観客など、ある意味運任せになるし、休憩はあっても、昨今の時間差退場がつらい時もある。それでも、カーテンコールや幕間を含め、(新感線は特に>>続きを読む

EAST MEETS WEST(1995年製作の映画)

4.0

あの「レッド・サン」が呼び水となったのか、文字通りの“EAST MEETS WEST系映画”は、ジャッキー印の「シャンハイ・ヌーン」2部作や、韓国の「グッド・バッド・ウィアード」もあり、「パイレーツ・>>続きを読む

恋のしずく(2018年製作の映画)

3.4

“日本酒ブームの時代”(テレビドラマ『夏子の酒』や『甘辛しゃん』の頃)から、いまや“日本酒生き残りの時代”へと移り、業界は海外輸出やIoTの導入に活路を求めている。そういう時代の酒造りから、魅力あるド>>続きを読む

シー・ラヴズ・ミー(2016年製作の映画)

3.7

日本では、ジミー・ステュアート主演のエルンスト・ルビッチのコメディ映画「街角 桃色(ピンク)の店」で知られている戯曲(「ユー・ガット・メール」の原作)が、ブロードウェイでミュージカル化されたもの。白人>>続きを読む

イージー★ライダー(1969年製作の映画)

3.8

本作をちゃんと劇場鑑賞する以前から、なぜかサントラ盤は持っていた。90年代にリバイバル上映されたときに、70年代ニューシネマの先鋭さよりも、ロスからニューオリンズへと大型バイクで疾走する感覚を味わえる>>続きを読む

唐山大地震(2010年製作の映画)

3.9

“東日本大震災”の発生で、日本での劇場公開が4年延びた本作だが、私は大震災直前に行なわれた試写会(大阪)で観ている。当時は“阪神・淡路大震災”の記憶も薄れつつある頃で、それでもよそ事とは思えない地震の>>続きを読む

プルートで朝食を(2005年製作の映画)

4.1

過去のコメディ作品ではミソをつけていたニール・ジョーダンだが、本作は、見事にキメてきた。「ぼくのバラ色の人生」の大人版という感じだが、テイストはイギリスコメディの王道だね。劇場で観たときは、日本の「下>>続きを読む

わが母の記(2011年製作の映画)

4.1

映画は1959年(昭和34年)から始まるが、日本のテレビで、いわゆる“ホームドラマ”が生まれたのはこの頃のようで、お手伝いさんがいて、仕事関係の客がしょっちゅう出入りする、庶民よりは多少裕福な大家族の>>続きを読む

フリーダム・ライターズ(2007年製作の映画)

4.2

《白人の救世主》型映画の典型という感じだが、これが実話だというのだから、教師を本気でやろうとすれば、どの国であっても、自己犠牲なオーバー・ワークで挑むしかないのだろうか。とはいえ、アルバイト(副業)を>>続きを読む

サイダーハウス・ルール(1999年製作の映画)

4.1

劇場上映もそろそろ終わるかと、再度観に行った「ホリック xxxHOLiC」と、たまたま、BS放映〈日本語吹替え版)で再見した本作だが、主人公(四月一日君尋とホーマー・ウェルズ)の心の変遷を見ると、とて>>続きを読む

復讐のトリック(2017年製作の映画)

3.7

主演のコ・スが溝端淳平に見えるので困るが、早世したキム・ジュヒョクにパク・ソングンにパク・ソンウンと配役は強力。そして、まだこんな女優が隠れていたかと思わせるイム・ファヨンの確かな存在感。
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寒い国から帰ったスパイ(1965年製作の映画)

4.2

「007 カジノロワイヤル」ならいざ知らず、これを昭和の洋画劇場放映で観た覚えがあるのだから、当時から渋好みだったのかな。後年、意味が分かるようになって、名画座で観かえしたが、いまの韓流スパイ映画にも>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

3.9

初見で点数をつけるのはおこがましいかもしれないが、初代のリアルタイム視聴者としては、ウルトラマンと怪獣・宇宙人とのアナクロな戦闘シーンに、他に替えようのない宮内國郎氏の劇判が流れた時点で、いやおうなく>>続きを読む