ぴこマーキュリーさんの映画レビュー・感想・評価

ぴこマーキュリー

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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.1

核分裂と核融合、民主主義と共産主義、科学と政治、米国と敵対国、色々な場面での二極化が時間軸を越えて断片的に描かれる。終盤はそれらが集約していきカタルシスを感じる。反して主役のオッペンハイマーやその妻、>>続きを読む

もっと超越した所へ。(2022年製作の映画)

4.0

本作の男性キャラ達のクズ要素が、少なからず男である自分の中にある。それなのに(だからなのか)、後半の女性陣の怒りと叫びには心からスカッとした!

加えて男性陣が性別や年齢を越えて、観客の身近な誰かに見
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正欲(2023年製作の映画)

3.6

原作小説が良かった分、映画では少し物足りなさを感じてしまった。そもそも描写や表現の難しさはあったと思うので、致し方ないところか。

とは言え新垣結衣の演技は良かった。事務所から離れて新たなチャレンジに
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デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.8

最高の劇場体験が出来た。ハンス・ジマーの音楽の素晴らしさは勿論だが、それに負けていない映像美。原作への愛情だけでなく、その後に影響を与えたスターウォーズ、マトリックス、風の谷のナウシカ等のSF映画への>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.3

今まで杉咲花が出演した映画を何本か観てきて、その演技力の高さから、逆に浮いて見える事があった。しかし本作は彼女に相応しい舞台、箱であり、その演技と脚本、演出が相まって見事な作品になっている。

市子の
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ある男(2022年製作の映画)

3.7

ある男を探るミステリー要素を軸としつつ、現在も課題として残る差別やヘイトの問題、そして新たな人生への憧れ(過去と現実からの逃避)を静かに描いていく。

良作であるが、人々の苦悩の描写は抑えめで、悩みは
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ARGYLLE/アーガイル(2024年製作の映画)

3.4

大好きなキックアス、キングスマン路線だったので期待していたが、残念な出来栄えだった。マシュー・ヴォーン好きだけど最近の作品には失速を感じる。演出自体はいつもの感じで面白いのに、本作の演者がおじさん、お>>続きを読む

ポゼッサー(2020年製作の映画)

4.1

インセプションで感じたエンタメ的面白さとは異なる角度で、他人の意識に入り込む快感と異常さ、意識のつぎはぎ感を映像で見事に表現した良作。

映像は美しく、残酷でかつ挑戦的。人格を乗っ取るSF的要素をベー
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.9

最後に少年が心に決めた結論が「真実」なのだろう。事実は違っていたり解釈が割れようとも、彼が決断に至るまでの物語。

陪審員或いは傍聴者である観客は、真相を知りたがるしそこにドラマ性を求める。物語を提供
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コヴェナント/約束の救出(2023年製作の映画)

3.7

ガイ・リッチーの演出が随所に光る。通訳者が妻子とタリバンから逃げるシーンは、無線で敵が迫ってくる様子が観客に伝わり、より緊迫する。

そんな丁寧なシーンがある一方、タリバン兵がバタバタとあまりにも簡単
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非常宣言(2020年製作の映画)

3.6

古き良き航空機パニック映画。最近この手のエアポート物を見ていなかったので最後まで楽しく観れた。

後半がやや雑なのと肝心の飛行シーンのCGの安っぽさは減点ポイント。しかしパニック映画として十分及第点の
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.6

映画って本当に面白い。若者にとってはホラーだろうし、親にとってはムナクソだろうし、独立した大人にとってはコメディ映画であろう本作。見方によってはキリストと聖母マリア、マグダラのマリアの物語にも思える。>>続きを読む

黄龍の村(2021年製作の映画)

3.2

阪元裕吾に飽きてきている自分がいて少し悲しい。予算がない中でアクションシーンを中心に意欲的に作品を作り続けている点は評価したいし、前半のコメディホラー部分は意外と楽しかった。
でも本来カタルシスとなる
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.4

過小評価されていると感じる本作。Part2に備えてIMAXリバイバル上映を再鑑賞。

物語が急に収縮していく終盤がテンポが悪く、かつ絵がわりも少ないためやや退屈に感じる。

しかしそれを差し引いてもS
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スイート・マイホーム(2023年製作の映画)

3.4

シネフィルな監督だけあって、他作品の良い所が沢山盛り込まれているし、絵造りの丁寧さも伺える。

ただ、作品として面白いかと言われると、それは少し別問題。

良く観るトリックなので割と序盤から気づいてし
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ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー(2023年製作の映画)

3.3

2作目ってやっぱり難しいんだな〜と再認識。日常系と役者陣が体当たりで挑むアクションシーンのギャップは前作通り面白い。ただ、まったりシーンが長すぎてテンポ悪い。

前作では敵役、脇役陣のキャラ立ちで飽き
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.7

最高に美しく面白い映画だが、とっても人に薦めにくい。極悪でエロティックなおとぎ話。

絵画あるいは塗り絵の様な世界や象徴的なファッションはどれも印象的で魅了される。

「聖なる鹿殺し」では物語が難解な
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BAD LANDS バッド・ランズ(2023年製作の映画)

3.9

貧困、特殊詐欺をテーマにシリアスとエンタメのバランスが良く、最初から最後まで楽しめた。

監督の前作、前前作ではやや蛇足的なシーンが気になったが、本作は程良くシェイプされていたと思う。

主演の安藤サ
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哭悲/The Sadness(2021年製作の映画)

3.9

チープさはあれど、キモさは全開。前半の地下鉄シーンは正に地獄。その後も血みどろぐちゃぐちゃ展開が押し寄せる。グロ系ホラーとして十分評価出来ると思うし、ゾンビ(正しくは感染者)の自我が残って欲求が増幅す>>続きを読む

TALK TO ME/トーク・トゥ・ミー(2022年製作の映画)

3.9

ちょうど良いホラー映画。恐怖演出は程よく、テーマもちょっとしたメッセージや示唆はあれど、説教臭さはない。演出もシンプルだが十分怖さを感じられる。

実際にこんな子いるよなぁ〜という感じの主人公で、リア
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REBEL MOON ー パート1: 炎の子(2023年製作の映画)

2.9

良い部分有るのに作品毎に面白さが失われていると感じるザックスナイダー作品。今回もその下降線に乗ったままだった。
名作映画のオマージュシーン盛りだくさんだけど、それが絶妙に面白くない。いっそリメイクかリ
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健太郎さん(2019年製作の映画)

3.4

短い時間の中で起承転結しっかり描かれていたし面白みや気味悪さも味わえた。
ツッコミ所は色々はあれど、最後までどんなオチなるのか興味を惹かれた。

死霊のはらわた ライジング(2023年製作の映画)

4.0

オープニング最高。そして全体的に丁寧に作ってるし造形的にも良い。死者の書に棘(爪?牙?)が生えていたり観ていてワクワクさせてくれる。

ミニマルな展開なので中盤で中弛みはあるものの、食いちぎった目玉を
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終わらない週末(2023年製作の映画)

3.6

最近よく観る終末系映画。内容は分かりやすくオチもシンプルなので、たまにはこう言う作品も良い。

演出上キャラクターをやや無機質、突き放した形で描いている。それが序盤と終盤ではコメディ的だったり隠喩的で
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ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

3.3

個人的に当たり外れの差が激しい、シャマラン監督作品。今回は(も)残念ながらはずれの方だったかな。言わんとしていることは分かるけど(或いは解るだけに)、やっぱり退屈。

宗教的な要素から暗喩表現が多くな
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スマイル(2022年製作の映画)

3.8

色々なホラー映画の良いところ詰め合わせで楽しいし、結構怖い。ただ、多用されるジャンプスケアシーンのため中盤から飽きてしまう。せっかく面白いし造形的にも光るものがあるのに勿体ない作品。

「スマイル」と
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.7

子供、親、親の年齢になった子ども、それぞれが目的別に互いの視座を理解しようとしている様子を一つの物語の中で描くというアイデアには好感が持てる。説明的なセリフや演出を極力省いて、観客に想像させるアプロー>>続きを読む

ヴァチカンのエクソシスト(2023年製作の映画)

3.9

観やすくて面白いホラー映画。恐怖演出は少なめだけど、お馴染みの悪魔表現はしっかり盛り込まれているし、少しのミステリー要素やアクションも入っていてエンタメ作品として楽しく鑑賞できる。

意外な事に台詞回
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コンティニュー(2021年製作の映画)

3.8

タイムリープあり、おバカさあり、バイオレンスありで予想どおりに楽しい映画。細かいことは気にせず、ただ楽しめる。

キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.2

先住民族へのリスペクトは勿論の事、殆どの登場人物の狡猾さと愚かさの両方をしっかり描いていて好印象。加えて映像の美しさと構図の上手さで長尺を感じさせない。

ディカプリオ演じる主役が抱く、欲望と愛情、愚
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ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.6

ゴジラ出演シーンは最高。それ以外のシーンがクド過ぎ。人物描写が安直で、展開も殆どないので感情移入もしづらく冗長に感じる。でもこの感じはalwaysや永遠のゼロでも感じたので、自分が山崎貴と合わないんだ>>続きを読む

最後まで行く(2023年製作の映画)

4.0

最初、作品の雰囲気を掴むまでは「よくある悪徳警官物かな〜」とダラダラ鑑賞。中盤から主役二人のコメディとシリアスがちょうど良い形で入れ替わり展開される。そのルールが理解できた瞬間、俄然楽しくなって最後ま>>続きを読む

楽園(2019年製作の映画)

3.4

実際に起こった事件を題材とした2編の短編小説が原作とのこと。

この系統の作品では、加害者あるいは被疑者の背景や感情をどの程度描くかが肝になるだろうと思う。本作では敢えてその辺りはそれほど深く描かず、
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SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.8

セクハラとパワハラを題材にしながら、それを派手に描かず敢えてお仕事ムービーに落とし込むのは中々の手腕。

話自体は実はあまり大きな展開もなく結果も既知。しかし主人公達の家庭の様子を丁寧に差し込む事で、
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バービー(2023年製作の映画)

3.7

女性讃歌ではなく、母性讃歌。コメディで和らげてはいるが、作品のメッセージはかなり強烈。特にラストのオチは、女性や親としても色々な選択肢が増えてきた昨今にそんな描き方して大丈夫か⁉︎と心配になってしまう>>続きを読む

アステロイド・シティ(2023年製作の映画)

3.9

これが観たかったんだろ?と言わんばかりの可愛らしく美しいルックと作品全体に織り込まれたコミカルさ。一方でトリプル劇中劇のメタ的演出で、終いには「理解できない」と役者自身に言わせる始末。中々にいやらしい>>続きを読む

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