Cucumberさんの映画レビュー・感想・評価

Cucumber

Cucumber

ハンス・ジマー&フレンズ:ダイアモンド・イン・ザ・デザート(2025年製作の映画)

4.0

目を瞑れば、広がる光景も、風のざわめきも、感じた温度も、揺れた心も全て思い出せる。言葉より鮮明で、迫真。

音楽は素晴らしい。耳が空白を許さないほどに、音楽を聴いている私にとって人生にBGMは欠かせな
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流浪の月(2022年製作の映画)

3.8

「人って、見たいようにしか見てくれない」

その言葉が重く心に伸し掛かる。
第一印象で塗られた色が一番濃くて、重ね塗りされた鮮やかさや印象に潜む輝きは見過ごされてしまう。"印象"はその人が持つ本質では
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リロ&スティッチ(2025年製作の映画)

3.6

"悪い子"
そんなレッテルを貼られたリロとスティッチの共鳴が愛しい。

人が持つ柔らかさや変わりゆく部分を決めつけたくないと思う。ネガティブな印象の裏にある明るい部分を信じたいと思う。
フラの発表会で
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ありふれた教室(2023年製作の映画)

3.8

暴力や暴言の指導があった時、それを隠蔽して矮小化しようとした学校組織に反発した。私は、子どもにその話を打ち明けられた唯一の教員であり、自分の大切な子どもたちの顔を見た瞬間、「許せない」と言う感覚が身体>>続きを読む

ぼくたちの哲学教室(2021年製作の映画)

4.5

「こんな謝られ方なら、謝られない方が良かった。」

この言葉を聞いた時の頭が白くなる感覚。瞼の裏が熱くなって、身体中に苦味が巡る感覚。怒りに震えて、でも拳を握ることしかできない無力感。この言葉を聞いて
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

3.5

巡って、恋。

心の片隅にいるあなた。鯉が落ちて、風に吹かれて、物語も私たちもみんな繋がっている。

まさに、私の世界の見え方!と興奮した。
みんなに見えないものが見える気がする。言葉にできないものは
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リバー、流れないでよ(2023年製作の映画)

3.6

繰り返したい特別な2分間は、人生の中にいくつもある。

最近、あるスピーチの中で私の名前を出してくれた人がいて、そのシーンを何度も頭の中でなぞっている。2分程度の短いスピーチ、でも思い出す度に冷え切っ
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パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.6

もし、あなたと同じ学校へ進んでいたら。
もし、あなたと同い年に生まれていたら。
もし、あの時、「また会いたい」と伝えられていたら。

そんな叶わなかった「もし、できたら」という小さな"ズレ"が願った運
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ライオン・キング:ムファサ(2024年製作の映画)

4.0

Scarの面影であるTakaの描き方が秀逸。

王族の血筋ながら、Takaにはその能力がない。母親や想い人のことを守れないし、周囲を巻き込み引っ張っていくリーダーシップがない。そしてそれは1作目でも描
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ライオン・キング(2019年製作の映画)

3.7

想いは受け継がれ、命は巡る"Circle of Life"。

生き物の関係は、一見、縦に繋がる弱肉強食のように思える。でも実は、誰かの命が誰かの生に繋がり循環し続けているのだ。あまりにも美しすぎる。
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セッション デジタルリマスター(2014年製作の映画)

5.0

崩壊、悔恨、戦意。崩壊、悔恨、戦意。

この繰り返しこそ、唯一無二への道のり。
負けず嫌いではある、一方で心をよく折る。打たれ弱いし、小さな自分の間違いは永遠に引きずるし、周りからの見え方を気にするタ
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白雪姫(2025年製作の映画)

3.5

Zeglerちゃん推しの私は満足だった。"West Side Story"の時から彼女の歌声が大好き。

亡き父の言葉を常に身につけ、彼の想いを何度も自分の中に灯らせる姿は今の自分と重なるところがある
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片思い世界(2025年製作の映画)

4.5

「色々、ごめんなさい。」

1年ぶりに私と向き合った彼の一言目が謝罪だった。違う、そうじゃない、それを言って欲しかったんじゃない。
まるで、そこにいないかのように振る舞い合った1年間、そんな貴方とも、
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Flow(2024年製作の映画)

3.8

心の薬として求めていたのは、"繋がり"と"優しさ"の映画で、まさにその両方だった。

一緒にいると大切にしたいと思う気持ちは強まっていく。敵だと見做したアイツが、わがままなアイツが、愛しい存在に変わる
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そして、バトンは渡された(2021年製作の映画)

3.9

愛というものは。
気付けなくてごめんなさい。分かってあげられなくてごめんなさい。愛とはそんなことばかり。

愛というものは。
相手の幸せを願うこと。例えそれが自分の望むものではなくても、その人の幸せを
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ANORA アノーラ(2024年製作の映画)

1.5

居心地が悪かったし、罵り合いや暴力のシーンが無意味に繰り返されるのもストレスフルだったしで何度も観るのをやめたくなった。
全員が一斉に話して混沌とするシーンなんて、イライラして仕方なかった。

欲望を
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ウィキッド ふたりの魔女(2024年製作の映画)

3.9

社会の重圧に逆らい、自由になりたいと願うことへの賛歌"Defying Gravity"。

昨年、そんな思いがあり、空を飛んだ。といってもそれはスカイダイビングのことだが、あの時の私は何もかもから解放
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aftersun/アフターサン(2022年製作の映画)

3.8

社会人になった1日目から毎日欠かさずメモを残している。その日にあったこと、感じたことを書いた日記に至らないメモ。殴り書きのように粗い日もあれば、文章から空気の色すら鮮明に蘇るほど丁寧に状況を説明された>>続きを読む

時々、私は考える(2023年製作の映画)

3.6

人生は突然彩られ、突然モノトーンになり、そしてまた彩られる。
無関心なように見えて、静かに音に耳を傾けているFran。よく耳を澄ましているからこそ、世界に心を折られたりすることも沢山あって、だからこそ
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生きる LIVING(2022年製作の映画)

4.5

逆らうほどの気力もなければ、諦めるほどの潔さもない。物事と真正面から向き合うことに疲弊してしまった。辞めたい、死にたい、重いような軽い言葉を平気で自分の中に吐き捨て逃げてばかりいる。何もかもうまく行か>>続きを読む

ケイコ 目を澄ませて(2022年製作の映画)

3.8

有り触れているから聞き慣れてしまった世界の音なのに、一つひとつがくっきり聞こえてくるから徒ならない気持ちになる。言葉が少ない映画なのに、うるさい。外界の音だけれど、ケイコの胸のざわめきのようにも聞こえ>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

3.0

「大丈夫?」という一言は、傷口を塞がないし体調を回復させるわけではないのに、みんなそれを言われたいものだ。気にかけてほしい気持ちは暴走すると「ウザイ」に変わることは誰もが知っている。それを分かったうえ>>続きを読む

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

3.4

人と関わる時、その距離が縮まれば縮まるほど相手に絶望してしまうことがある。逆に、自分も相手に絶望されているのではないかと勝手に落ち込むこともある。絶望の深さは好きであればあるほどだし距離が近ければ近い>>続きを読む

マイ・オールド・アス ~2人のワタシ~(2024年製作の映画)

3.3

過去と未来、どちらかに行けるなら「過去」と答えていた。それは、一秒前の失敗を、数年前の黒歴史を思い通りに正し、無かったことにしたかったから。

でも、過去は変えなくて良いものなのだと、最近の私は少しず
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プレイモービル マーラとチャーリーの大冒険(2019年製作の映画)

3.0

紫メッシュのAnya様がミュージカルする至高映画。かと思ったらそれが続くのも開始15分程度で、あとはプレイモービルのフィギュアになってしまうのだから許せない。しかし、声すら可愛いから許す。Anyaのハ>>続きを読む

ベルサイユのばら(2025年製作の映画)

3.3

フランス産のマリーアントワネットの肖像画キーホルダーをランドセルにつけていた渋い小学生だった。それは紛れもなく"ベルばら"の影響である。小学生の頃読んだことがある唯一の漫画が"ベルばら"だった。

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パトニー・スウォープ(1969年製作の映画)

3.1

この映画のことや感じたことを言葉で説明しするのは野暮であるような気がしている。

世界に興味があったし、社会問題にも興味が強くあった学生の頃と違い、世界との繋がりを断絶していると言っても過言ではないほ
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ホームシック(2018年製作の映画)

3.4

東日本大震災について考えている。

もう、15年前。私は今、ちょうどその時0歳だった子どもたちを教えているわけだがそれが今や立派に中学2年生なのだから、時が進むのは何とも早い。そして、東日本大震災を知
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フィールズ・グッド・マン(2020年製作の映画)

3.4

印象が一人歩きをし、肥大化する世界。
それが始まってしまえば、誰にも止めることができない。
悲しい世界だと思う。自分の無邪気さが悪意に変えられた時、本質を蔑ろにされて嫌なヤツとして不当に扱われた時。
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小学校~それは小さな社会~(2023年製作の映画)

3.8

「ごく普通の日常って感じ。」
映画館を出ようとした時、隣の席の2人組の片方がそう言った。もう片方がボロボロと号泣している中でのその一言に、見てるこちらもヒヤリとしたが、私も心の中で「そうだよね」と頷い
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ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ(2023年製作の映画)

5.0

あまりにも心地の良い心の温まり方をしている。孤独や虚栄で空いた心の穴をこの映画が温めていくようだ。流れ落ちる涙も熱を帯びている。

一人でいる時よりも誰かといる時の方が孤独を感じてしまう。みんなが笑っ
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女神の見えざる手(2016年製作の映画)

4.0

そんなつもりはないけれど、気付いたら仕事に全てを全振りしている私にとって、ハッとさせられる映画だった。

何かに夢中になることや執着すること、それを極めることはとてもかっこいいことだと思う。達成したい
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レ・ミゼラブル デジタルリマスター/リミックス(2012年製作の映画)

5.0

正義とは何だろうか。

自分の正義は、誰かの人生を妨げるものかもしれない。このように、正義の定義は一つではなくてそれぞれが自分の正義を生きている。ほとんどの人が悪くないし正しくもないこの映画はただひた
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#スージー・サーチ(2022年製作の映画)

3.3

罪悪感を知れ。承認欲求に塗れた愚か者が自分の罪を隠しながら、他人に褒められることで心を満たそうとする。Susieの気持ちを理解できないことはないが、進んで理解したいとは思わない。「どんなに活躍してもダ>>続きを読む

モアナと伝説の海2(2024年製作の映画)

3.6

混沌とした現代に何かを伝えなくてはならないような使命感をディズニーは自身に架しているような気がするが、これはキャラクターをただただ生かし、その成長過程をファンに見せるためだけに作られたような作品。だか>>続きを読む

ヒューマニスト・ヴァンパイア・シーキング・コンセンティング・スーサイダル・パーソン(2023年製作の映画)

3.9

人は殺せないけど、輸血パックから人の血を飲むサシャ。"Humanist"という言葉が引っ掛かる。サシャはそうありたかっただけなのではないだろうか、と。

"自分の手は汚さずに利益を手に入れようとする"
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