飯さんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.2

人物と環境の関係性はこの作品に於いて極めて重要になっている。人物が扁平化になったというか、人物が環境に融合され、同一化されたと言った方が良い。壁に貼られた新聞、写真、(ストーリーに関係のない)昔のニュ>>続きを読む

欲望のあいまいな対象(1977年製作の映画)

4.0

SMの内核。

爆発がもたらした心の震え。

実験的な作品だが、固すぎず、渋すぎず、未加工の原材料のような香りがする。ブニュエルによって芸術加工をされたあと、キャラクターと幻覚への信任感が破られ、批判
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親愛なる同志たちへ(2020年製作の映画)

4.9

修正主義の路線を歩むボリシェヴィキが鮮血で社会主義のDisenchantmentに空白を創り上げたとき、この土地の真の神ーー民族主義と宗教が登場せざるを得ない。

神父役割の転覆(戦艦ポチョムキンと比
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いまを生きる(1989年製作の映画)

-

ジャンルのなかで「ジャンル」を訴えるジャンル映画。

ほんとうむり。

世紀の光(2006年製作の映画)

4.1

アピチャートポンの「日蝕映画」。

カメラが光を収束し、折り畳まれた時間が次第に展開される。

巣窟としての病院。

カメラが光線/視線に駆除される。

欲望の時間は塑像の凝視に固定されたとき、初めて
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ジュニア(2011年製作の映画)

-

「青春」の肉体化

形式だけが良かった。とても。

鋼のピアノ(2010年製作の映画)

-

クストリッツァin Northeast China.

ソビエト・ノスタルジア

白日夢(1964年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

「病院の壁の色や手術服や医療機械なんかも、日本人を相手にする以上、あゝピカピカするものや真っ白なものばかり並べないで、もう少し暗く、柔かみを附けたらどうであろう。もしあの壁が砂壁か何かで、日本座敷の畳>>続きを読む

燃え上がる生物(1963年製作の映画)

-

これは神話であり、ここには神話的世界としての真実がある。

「映画批評家は作家であり、彼らは視覚的現象の現前に常に敵対し不安を駆り立てられる。」ジャック・スミス

迷宮物語(1987年製作の映画)

4.0

映画館で観るべき。

光と影の舞踏会。
形式が内容に溶け込む。

夢に包まれた意識の欠けら。
群体の中のある個体意識の異化。
群体の世界自体の異化。

夢のアスペクトに留まったところがよかったかもね。
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Heaven and Earth Magic(原題)(1962年製作の映画)

-

影絵、魔術師、2D platformer + point&click

“Mind, Medium and Metaphor” (Noel Carroll)

台風クラブ(1985年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

クローズアップと近景の不在+
(代わりに遠景と中遠景、長回しの統治)

エスタブリッシングショツトと自主移動+

被写界深度の深さと自然光

=客観的視点

儀式的構図+恣意的なカメラの動き
=ドキュ
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Serene Velocity(原題)(1970年製作の映画)

-

4-50mm
4-55mm(60inch)
45mm~60mm(60inch)

……

“Gehr filmed it in the basement hallway of a Binghamton
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ウォールデン(1969年製作の映画)

5.0

“There's nothing experimental about my life. ´Experimental´will only mislead people.” (Jonas Mekas)>>続きを読む

罪の手ざわり(2013年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

胡文海貪官殺戮事件
周克華強盗殺人事件
鄧玉嬌防衛殺人事件
フォックスコン社員自殺事件

副線には温州市鉄道衝突脱線事故と東莞性産業
(莞式サービスの発想力に脱帽する)

中国、転換期の陣痛。

賈樟
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五人少女天国行(1991年製作の映画)

-

「わたしもやっぱり女性だ。彼等はわたしを食いたいと思っている。」

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.8

「人はみなひとりで地心の上に立っている。太陽のひとすじの光に貫かれ、そしてすぐに日が暮れる。」ーサルヴァトーレ・クァジモード

一瞬一瞬の拡大。
東洋的な、story-telling的な哲学。

「真
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赤い殺意(1964年製作の映画)

4.4

ほとんどの映画における人物は、叙事を進める道具(記号)として使われている。しかし今村映画は常に人の主体性を絶対視する。つまり人物が叙事の罠から逸脱し、叙事を左右する権力を持つことで「人間」になる。>>続きを読む

砂の女(1964年製作の映画)

4.5

濃厚すぎる寓言ドラマ。
男性=文化/女性=自然、エデンの園コンプレックス、ストックホルム症候群、自由と制限、無限と有限、個体と社会の弁証法。
シーシュポス式の存在主義窮境。

映像の肌理と触感。
砂漠
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浮雲(1955年製作の映画)

4.5

「男と女と光と影」のミニマリストを極めた一作。

『浮雲』は、生活空間の連続性を排したかたちで成立している。
非日常的な光線の中で、一組の男女が出会うときに出現する排他的な時空の中で、
孤立する二人の
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お茶漬の味(1952年製作の映画)

4.3

ロマンポルノの時代が迫る前の保守主義。

めし、お茶漬けの味、淑女は何を忘れたか

イデオロギーの対立を一回の食事だけで収拾するのはあまりにも理想主義すぎて

小津映画に滅多にないトラッキングショット
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