cyphさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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肉屋(1969年製作の映画)

3.8

シャブロルは人間の悪性を信じてていいな 肉屋と女校長とが恋愛チキンレースをじりじり進めていく一方、その田舎町では凄惨な殺人事件が続いていて…というお話 戦争帰りの肉屋のどことない不気味さに反して、学校>>続きを読む

オルエットの方へ(1970年製作の映画)

4.6

女の子3人がずっと笑ってる映画って聞いてたけど大体そうだった パリの職場から始まり職場で終わるバカンス映画 違う服を着て違う場所で男女が出会い直す話、という骨格はメーヌオセアンと同じだけどバカンスパー>>続きを読む

セーラー服と機関銃(1981年製作の映画)

3.9

年始の京都でおすすめされて鑑賞 何観てんだっけ!??と100回くらいなるすごい作品 薬師丸ひろ子さん♡の気持ちでみることになるんだろうと思ってたら渡瀬恒彦♡♡となった 「だってわたしはあのひと(父)の>>続きを読む

バカ塗りの娘(2023年製作の映画)

3.9

だいすきなシネマ尾道でちょうど時間が合ったので、というささやかなきっかけで鑑賞したけれど思いがけずとてもよかった バカ塗りとは津軽塗の別名で、バカ丁寧に何度も塗りと乾燥の工程を繰り返してつくられるから>>続きを読む

窓ぎわのトットちゃん(2023年製作の映画)

3.3

正直期待しすぎた この世界の片隅にと並べて語られてるのをあちこちで見かけてそれなら、と腰を上げたけど大した爪痕も残さず通りすぎてしまった

原作を読んだ小学生のころにはトットちゃんがお金持ちのお嬢さ
>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

3.8

物語の中心にいるのが猫と鳩なのがよすぎ ライカート作品は動物に対しても忖度なく中心人物の座を譲るのがいさぎよくてかっこいい 個展初日というXデーに向かって苛々が募っていくかんじ、ずれた家族のひりついた>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.6

こんなに派手さのない映画でしっかり魅せるんだからやっぱりライカートって格好いい ドーナツが出来上がるまでの退屈さ(大学の講義のような噛めば味のする退屈さ)すごい 経済の映画って基本ドライでゲーム感覚な>>続きを読む

義父養父(2023年製作の映画)

4.3

映画の原石を叩いて確かめるような慎重で実直な映画 カメラの置き方・絵の美しさ・衣擦れや咀嚼音の拾い方・家そのものの魅力・役者の顔への迫り方 何から何まで華美を排することに心を砕いていてかっこよかった >>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

10段階で2なので星1.0です おっさんと為政者の夢(都合のいい妄想)を延々見させていただきまして…という感想 公衆トイレという公共の場のプロモーションのためにつくられた映画でこんなんしたらただのファ>>続きを読む

プリズン・サークル(2019年製作の映画)

4.2

海外では主流な更生プログラムTCを日本で唯一取り入れている島根にある官民協働の男子刑務所を舞台にしたドキュメンタリー 半年程前に『聞く技術 聞いてもらう技術』『言葉を失ったあとで』とセットで坂上監督に>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

2.5

地方×思春期の嫌さを煮詰めたような女の子が無双し続けてるのを見るのストレスすぎて映画観てて初めてチック出ちゃった 思春期の女の子という生き物を「泥」と呼ぶひとがTLにいてわかりすぎ…て思ったのを思い出>>続きを読む

未来の想い出 Last Christmas(1992年製作の映画)

3.3

藤子F不二雄の反自伝的SF作品を主人公を女ふたりにして映画化、ていうのはいいんだけど女ってなった途端「男に愛されることこそが幸福な人生!」てなるのキビしすぎ〜〜とモヤモヤしながら観た けど授賞式パーテ>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

4.7

100億点、アディオスを撤回してもう一度映画を撮ってくれてありがとう 特集上映観まくったため予告を10回くらい観てから臨んだけど尚光ってた マッチ工場の少女に天安門事件が刻まれていたように、2023年>>続きを読む

コントラクト・キラー(1990年製作の映画)

3.7

ジャン・ピエール・レオはいくつになっても絶妙にダサくて絶妙に間が抜けててでも自然災害的にモテが発生してて最高!外国人労働者の悲哀というテーマはもうこんなときからやられてたんだ ロンドン水道局でエッフェ>>続きを読む

カラマリ・ユニオン(1985年製作の映画)

3.5

めっちゃ寝ちゃった(支離滅裂な映画はたまにこてんと寝ちゃう) 15人のフランクが"貧しくて惨めでバスはいつも混雑してて時刻表はめちゃくちゃで坂道も多い世界一不便な町"を抜け出して高級住宅地エイラを散り>>続きを読む

浮き雲(1996年製作の映画)

4.6

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 カティ・オウティネンが最初から最後までデレという点でも貴重な作品 町一番(少なくともかつては)のレストランを施錠して、夜の街角で夫が運転>>続きを読む

希望のかなた(2017年製作の映画)

4.4

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 ル・アーブル〜も見返そう 裕福から遠くある人間たちがなお失わずにいる条件反射的な優しさを固く信じてる彼が難民たちに眼差しをうつしたことの>>続きを読む

街のあかり(2006年製作の映画)

3.6

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 やっぱり急に圧倒的に負け犬 カウリスマキはユーモアに包まなくても底辺にいる(と思われてるし自分でもそう思ってる)人間の美徳を描けるって信>>続きを読む

過去のない男(2002年製作の映画)

4.7

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 そうだこんな風に大好きなんだった、とじんわり胸がいっぱいになる 前の住民が凍死して空き家になったボロボロのコンテナに電線引いて捨てられて>>続きを読む

マッチ工場の少女(1990年製作の映画)

3.6

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 『パラダイスの夕暮れ』『真夜中の虹』と並ぶ労働者三部作のひとつ、らしいけどいきなりブレッソンでびっくりした マッチ工場で黙々と働き、毒親>>続きを読む

真夜中の虹(1988年製作の映画)

3.9

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 炭坑の閉山、父の自殺、チンピラ強盗に全財産奪われる、チンピラを見つけて殴ったら逮捕される、女を馬鹿にされて看守を殴って檻房に入れられる、>>続きを読む

パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

4.0

特集『愛すべきアキ・カウリスマキ』35mmフィルム上映にて鑑賞 女っ気のない労働者であるマッティ・ペロンパーがおうちデートのためにおめかししてカーネーションを買って果物を盛りつけてワイングラスを磨いて>>続きを読む

東京クルド(2021年製作の映画)

4.3

日芸映画祭『移民とわたしたち』にて鑑賞 全員見てくれ、の気持ちでいっぱい 川口在住のクルド青年ふたりの残酷な日常を世に訴えるドキュメンタリー作品として、というのがもちろん第一義ではあるけど、それに加え>>続きを読む

月はどっちに出ている(1993年製作の映画)

3.7

日芸映画祭『移民とわたしたち』にて鑑賞 めっちゃ面白いよ!と周りに激賞されていたけれど当時にしては新しい、だったんだろうな〜という印象 癖のある関西弁で喋る出稼ぎフィリピーナは確かに魅力的だけど、根強>>続きを読む

スワロウテイル(1996年製作の映画)

4.5

日芸映画祭『移民とわたしたち』にて鑑賞 数年ぶりに観ても未だ色褪せず奇跡みたいな作品 バランスを欠いた脚本や全体を貫く厨二感すら欠かすことのできない素晴らしいパーツの一つとして機能してる 移民というテ>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

異常性癖に苦しむマイノリティの話、ていうテーマは面白そうなんだけどなんだか 地方の・地元の・実家の"生きづらさ"の解像度が荒すぎてお遊戯会みたいだし(タッチパネル式の回転寿司などアイデアはいいので映像>>続きを読む

ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

3.7

うとうと観てしまった ちぎり蒟蒻、女の死体から這い出る蟹、妻の肌に浮かぶ赤い湿疹、腐りかけの水蜜桃、眼球舐め、トンネル 幻想的な悪夢を見たらこんなモチーフがフックになって思い出されることだろう、みたい>>続きを読む

ガザ 素顔の日常(2019年製作の映画)

4.2

たとえば漁師の子どもの少年 難民キャンプの一室に15人だったかの大家族とすし詰めで暮らす「夏の夜なんかは兄弟と毛布を持って浜辺で寝るんだ そっちの方がずっと快適だから」 美しい地中海、そこに集う海水浴>>続きを読む

ガザの美容室(2015年製作の映画)

3.3

電気が一日に数時間しか使えない街 停電と暴動が日常の街 美容室の女たちの感情的な衝突になかなか感情移入しづらく、ストレスフルが勝ってしまっていた 『ガザ 素顔の日常』の方が映画としてもガザの現状を知>>続きを読む

マンガをはみだした男 赤塚不二夫(2016年製作の映画)

3.7

映像作品としてもひとりの人物の多角的ポートレートとしてもかなりよく出来たドキュメンタリー作品 満州で幼少期を過ごしたこと、引き揚げてくる道中で幼い妹は亡くなったこと、奈良の田舎で不良になったこと、映画>>続きを読む

トキワ荘の青春 デジタルリマスター版(1995年製作の映画)

3.7

まんが道読んでトキワ荘マンガミュージアム訪ねてNHK特集『わが青春のトキワ荘』 とアニメ『ぼくらマンガ家 トキワ荘物語』流し見して、くらいのタイミングで鑑賞 トキワ荘の中心人物にしてトキワ荘で最も歴史>>続きを読む

・ふ・た・り・ぼ・っ・ち・(1988年製作の映画)

3.5

好きとも嫌いとも言えないけど見てほしい、て薦めてくれた友だちの感想(「ダサイ!と奇跡!の気持ちが混ざってる」)がその通りすぎてなんも言えない 泡立て器みたいなヘッドスパ器具で頭をぞわぞわされる感覚と近>>続きを読む

驟雨(1956年製作の映画)

3.7

成瀬の原節子は毎回陰キャなんですか?顔立ちは綺麗なのに落ち込みやすくて嫌味っぽくて内弁慶なメランコリック妻と、のれんに腕押しってこのひとのための言葉?てくらいちょうど配偶者にいてほしくないレベル感でモ>>続きを読む

ダイナマイトどんどん(1978年製作の映画)

3.7

ヤクザが真剣に野球をしてる絵の面白さに良くも悪くも執着せず殴りこみや殴り合いなどヤクザものっぽい絵をじっくり見せにくるので集中力の持たない時間は多くありつつヤクザが真剣に野球をしてる絵の面白さはピカイ>>続きを読む

Love Letter(1995年製作の映画)

3.5

紐解かれるための謎がバーンと用意されててそれを順番に明らかにされていく形式の作品が基本的にノレない すっかり暗くなった学校の自転車置き場でペダルを手で回しながらライトで答案を照らすシーン、送られてきた>>続きを読む

キリエのうた(2023年製作の映画)

3.8

もはや古典芸能と化した岩井俊二 身勝手でナイーブな男のべそかき顔と、男の罪(下半身)をすべて透明化してくれる無垢なる少女性、美しいちいさな親愛を引き裂こうとする体制=大人たち…こんなん2023年にもな>>続きを読む