要一さんの映画レビュー・感想・評価

要一

要一

愚行録(2017年製作の映画)

4.5

愛情、執着、羨望と現実、時には恐ろしく自然な衝動から、様々な愚行にどうしようもなく走る様々な人間の心理が、その人の濃密な事情、環境、人生と共に、ドライに深奥に映し出されていく。
この愚かさと毒々しさと
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MEMORIA メモリア(2021年製作の映画)

4.5

ジェシカの耳に入る轟音。その音を探すジェシカの旅。
話だけ追えば何のこっちゃ分からないが、驚異的で美しい長回しの連続、そんな画面の圧倒的な力により、魅せられ惹きつけられ、気づけば記憶という難題について
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EUREKA ユリイカ(2000年製作の映画)

5.0

バスジャックを生き残った3人の人生にずっと残る痛み。どうにも鎮められず、いつまでも溢れ止まらないその痛みが画面の中に見事に滲み、痛みを知るものだけが分かる、人生の淵ギリギリの慰め合い、死なない理由に必>>続きを読む

move / 2020(2020年製作の映画)

4.3

すご。
たった3分、zoomの画面に映るような女性の表情一つだけで、こんなに胸が詰まる苦しさを表現できてしまうのか。

ゲームの規則(1939年製作の映画)

4.8

パーティーのために屋敷に集まった貴族たち。狩猟をしたり、余興を楽しんだりする裏で、誰1人1つに収まれない、誰もが頭を抱える恋愛ゲームを繰り広げる。
全員が欲望に素直で、でもだからこそ混沌の沼にハマって
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生活の設計(1933年製作の映画)

4.5

親友が同じ人を愛し、その人が2人共を愛す三角関係。
紳士協定など軽く破られ、恋を前に右往左往を繰り返すあの浅ましさが、どうしようもなく人間で最高。
あのラストは浅ましさのリフレイン待ったなしのようにも
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ある結婚の風景(1974年製作の映画)

5.0

1話では壊れそうな友達夫婦を尻目に、仲睦まじ気な夫婦、それが崩壊していく様を会話劇で描く。
隠して見ないでいたこと、そんな真実を見つめた瞬間に壊れていく夫婦の残酷。本心を真摯に見つめるだけで、暴れ収ま
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破れ太鼓(1949年製作の映画)

4.3

笑うしかない程に酷く、傲慢で頑固な父と、その父に抑圧の限りを尽くされる大家族。
父に対する三者三様の対抗の仕方が、弱々しくもあまりに切実で良く、それを受けた父の深い孤独と走馬灯、そして1人歯向かわなか
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ロスト・イン・トランスレーション(2003年製作の映画)

4.5

異国での言葉や価値観などの埋まらない違い。微妙に伝わらないし噛み合わない、その分からなさが絶妙で面白い。
そしてそれ故の孤独、だからこそ惹かれ合った二人。異国故に生まれる二人きり感が愛おしく、でもそれ
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知りすぎていた男(1956年製作の映画)

4.5

普通の家族が観光の途中、ある政治家の暗殺計画に巻き込まれ、夫婦は息子を誘拐される。その物語も夫婦の焦燥と切実がずっしり伝わる内容で良いし、なんと言っても本作は音楽。オーケストラ、楽譜、シンバルの連鎖に>>続きを読む

ミストレス・アメリカ(2015年製作の映画)

4.3

人間は自分の愚には気づかない。気がつくのは他人の愚ばかり。そんな人間に説く自分を見つめることの重要性。
若さを抱える人は特に、自分の愚を認めたくはないけれど、それを認めてこそ人生は進むし、相手の嫌な所
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秋立ちぬ(1960年製作の映画)

4.8

子供にはままならないことが多すぎる。親や大人、社会に従うしかなく、変化の絶えない波乱の社会に全てを委ねる子供の不自由、無垢な心の持て余しに胸が締まる。
そして子供の無垢から滲む大人の波乱にも切なるもの
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Junior(原題)(2011年製作の映画)

4.5

身体のショッキングな変化をグロテスクに見せる表現は流石だし、それをジュニア世代のリアルな葛藤や、成長していく中で起こる鋭い変化や分断などのリアルな社会と共に描き、そして普通より大きな痛みを抱える人を包>>続きを読む

秋日和(1960年製作の映画)

4.8

時間の経過と共に変わっていくこと、離れていくもの。そんなこの世に溢れる哀愁を、親子の愛と友情と、結婚の退屈とそれを埋める親父達の楽しみから描く。
親父達の滑稽な計略がコミカルで面白く、でもあの滑稽さこ
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マーティン・エデン(2019年製作の映画)

4.5

貧しい船乗りのマーティンが、エレナと恋に落ち、その愛情の増幅と共に、文法を教わり文学に目覚め、作家への想いも募らせていく。
そんな中で、文学に陶酔し社会を見つめたが故に、意識的に広がる貧富の差や思想の
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バブル(2022年製作の映画)

3.5

そもそも恋をしてはいけなかった。出会ってはいけなかった。でも出会って良かったとあの瞬間を思えば思える。そんな人形姫と重ねて語られる泡の秘密と2人の恋の悲哀、そして度々語られた集まって離れる、渦というこ>>続きを読む

M/OTHER(1999年製作の映画)

4.8

恋人の前妻の子供と三人での1月ほどの暮らし。
何気なく微笑ましい子供との会話から滲む家庭の陽も見えながら、実子ではない葛藤と生々しい不快と、子供の存在で恋人との関係が切なく変わる様が、徐々に繊細に積み
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Helpless(1996年製作の映画)

4.3

人生の中での何とも言えないやりきれなさや悲しさ。普段なら行き場が分からず迷い悩み、結局留まり続けるそれが、浅野忠信演じる高校生と光石研演じる片腕ヤクザの抑えきれない衝動によって画面に現れるよう。そんな>>続きを読む

天使の涙(1995年製作の映画)

4.5

個性的な映像が醸す、現実とは思えない、リアルから10センチほど浮いたような香港。そこで行われるこちらもリアルから浮いたような恋愛模様。荒唐無稽で幻想そのもののようなこの作品にここまで惹かれるのは、決し>>続きを読む

萌の朱雀(1997年製作の映画)

4.3

1人の悲しみから、それが伝播し、もう見ないふりはできなくなっていく様。いろんな風景や感情が繋がって重なって悲しみとなり、一つの家族に染みわたり、一人一人の想いがずれていく様。生まれて生きて死んでいく、>>続きを読む

ヤング・アダルト・ニューヨーク(2014年製作の映画)

4.5

44歳のドキュメンタリー監督、成功は程遠く、新作も着手からもう10年のジョシュと、そんな夫のプロデューサーも兼ねる妻のコーネリア。
そんな停滞と退屈の夫婦が、25歳の記録映画志望の夫婦と出会う。
若さ
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気まぐれな唇(2002年製作の映画)

4.5

すぐにキスをし繋がった、でも愛してるとは言えなかったミョンスクとの関係。
対して出会いは簡素で、そこから粘っこく発展させ、愛してると言ったソニョンとの関係。
この1人の人間の中で起こる、正反対の二つの
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2/デュオ(1997年製作の映画)

4.3

誰かに縋ってなければ生きていけない。誰かに必要とされていたい。そんな明け透けな欲望が繋ぐ関係は、時の流れや感情の変化を前にすぐに崩れ去る。そんな若者の瞬間的な愛の終わりを、激しい感情の起伏を持ってして>>続きを読む

天国の口、終りの楽園。(2001年製作の映画)

4.3

ただ漠然と退屈で、色んなことに色めき立つ青春真っ只中のテノッチとフリオが、夫に浮気されたルイサと、架空のビーチ「天国の口」を探すロードムービー。
周りなど一切気にならず、喜びも痛みもセックスや色恋のこ
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カモン カモン(2021年製作の映画)

4.5

相手のことなど分からない。だからすれ違ってイライラして、怒鳴って狂って。でもだからこそちゃんと聞いて向き合っていかなければならない。
子供も大人も関係なく、人類みんな大丈夫じゃなくて、時に人生がクソに
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人生はビギナーズ(2010年製作の映画)

4.5

漠然で莫大なる悲しみと孤独を抱えるオリバー。そしてそこに長く佇みすぎて、もう簡単には抜け出せないオリバー。
そんな彼が、ゲイだと明かし老後を謳歌する父を見つめ、父の死後アナと恋に落ち、複雑な悲しみの渦
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仮面/ペルソナ(1967年製作の映画)

4.5

人間の二面性どころではない多面性。
裏腹な行動ばかりを取ってしまう人間性を抱えて、それ故に本音とは違う自分がそこら中に生まれていって。そんな途方もないほどに多面的な人間の分からなさと、そんな自分でどう
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パリ13区(2021年製作の映画)

5.0

SNSや出会い系アプリの隆盛で、繋がりに満ちていて、出会ってすぐセックスすらありふれている現代だからこそ、より強く感じる人間関係の希薄や孤独。現代という時代は愛や本音が見つけづらい混沌の時代であること>>続きを読む

リード・マイ・リップス(2001年製作の映画)

4.5

難聴のOLカーラと出所直後のポール。
職場で色々嫌なことが積もり重なるカーラの、苦しい圧迫感と切なる欲望が、ポールに引かれて手を染める犯罪の熱が高まっていくほどに解放されていく、そんな切ないカーラの生
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

4.5

まだ子供だった頃の、溺れているような、自惚れているような、恥ずかしい恋愛。でも青春ってそうだし、のめり込み視野狭くなるようなこれこそ恋愛。
そしてそこに、時間や将来、人生の無情が降りかかる儚さ。こうや
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うたうひと(2013年製作の映画)

4.0

語られる民話自体は、方言であったり、独特の語り口であったりに慣れず、聞き取れない所が多かったが、民話を語ること、聞くこと、そうして未来へと語り継いでいくこと、これを映し出す今作が、東北3部作のラストで>>続きを読む

20センチュリー・ウーマン(2016年製作の映画)

4.3

複雑で混沌の時代や社会で、何を選び取ってどう生きていくのか、それは子供だけでなく大人にとっても大問題で、色んな知識や時代感を教え教えられもがいていく人々の姿が等身大で良い。
そしてそれぞれが生きていっ
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国境の夜想曲(2020年製作の映画)

4.5

イラク、レバノンなどの危険な国境近くで映されるのは、残酷な光景ではなく、生活やその中での言葉。残酷な争いや光景は、遠くからの銃声とそこに映る人の言葉からだけ。
そうやって紡がれるそこに住む人々の、生の
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ゴールデン・リバー(2018年製作の映画)

4.8

平穏を求める兄イーライに対し、提督になる野望を持つ弟チャーリー。
ゴールドラッシュの時代、黄金の存在やそれぞれの欲望や野望に、野望を持つことの代償を残酷に叩きつける、丁寧で繊細な作劇が素晴らしく、それ
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ナイアガラ(2014年製作の映画)

4.0

両親がいなくて育ち、施設を出る時に、祖父が死刑囚で両親が祖父に殺されていたことを知る。
それでも主人公は淡々と生きて、街に溢れる様々な音を撮っていく。
この淡々にこそ、リアルに人が生きるということが詰
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なみのこえ 新地町(2013年製作の映画)

4.5

泣くという行為の直前のリアルな悲しみと絶望が滲み出る間だったり、漁業の復興の意見の食い違いから行われる口喧嘩など、やはりただ向き合って会話をするというドキュメンタリーでなければ見ることのできないような>>続きを読む

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