喜連川風連さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

南部の唄(1946年製作の映画)

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DVD化されていない幻の作品。スプラッシュマウンテンの元ネタ。実写とアニメの融合に凄まじい技術力。

エンタメ作品として面白いものの、黒人差別をディズニーテイストにするとあたかも差別はなかったように錯
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ロード・オブ・ザ・リング/二つの塔(2002年製作の映画)

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キリスト教的神話世界を描くエンターテインメント戦闘ファンタジー。

物語終盤、圧巻の戦闘シーンや人の心をくすぐる騎士道精神、堅固な要害、敵の様々な飛び道具そして壮大な音楽。

前作と比べてより叙情的、
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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART2(2011年製作の映画)

4.5

ジョーゼフ・キャンベルの言う典型的な通過儀礼「死と再生」が物語の軸。

ボルデモートの復活始まり、ハリーの復活に終わる。

前作まで周囲に「俺は選ばれし者だから」と語るハリーは、なんて嫌なやつなんだと
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ハリー・ポッターと死の秘宝 PART1(2010年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

お願い、死なないでハリーポッター!あんたが今ここで倒れたら、ロンやハーマイオニーとの約束はどうなっちゃうの?ライフはまだ残ってる。ここを耐えれば、ボルデモートに勝てるんだから!

次回、ハリーポッター
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ハリー・ポッターと謎のプリンス(2008年製作の映画)

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ダークなお話に童貞恋愛フレイバーを振りかけて珍味の完成だ。

ただいまいち、ボルデモート軍団が何をしたいのかがわからない。

単に悪いことしたい!人殺ししたい!純血以外殺したいって動機が薄っぺらすぎや
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団(2007年製作の映画)

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賢者の石→3人で協力プレー
秘密の部屋→ハーマイオニー抜き
アズカバンの囚人→ロン抜き
炎のゴブレット→孤独
不死鳥→孤独から集団戦

手を変え、品を変え、毎度少し違う映画を提供してくれる。

今回は
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ハリー・ポッターとアズカバンの囚人(2004年製作の映画)

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各方面から傑作の呼び声が高い本作、キュアロン監督の演出がキマっている。

前作とは好対照。陰影を使った照明の色合い、画面の色味、序盤のカットバックのテンポ、ちゃんと「映画」になっている。

ハリーポッ
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ハリー・ポッターと秘密の部屋(2002年製作の映画)

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個人的には持たざる者の物語が好きなので、ハリーくんのような生まれつき天才のお話はあまり興味はないものの、つい最後まで見てしまう。

才能あふれるハリーくんにも悩みがあり、自分の力が善悪両方に通じている
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ハリー・ポッターと賢者の石(2001年製作の映画)

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懐かしの。自分も子どもの頃は、ある年齢を超えると、大人だけが知ってる秘密を明かされるものだと思ってた笑

ハリポタパークがオープンするのに合わせてネトフリ解禁か?

後から見ると、序盤のネグレクトシー
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斬る(1968年製作の映画)

4.5

暗いテーマの中に、朗らかな明るさがある岡本喜八映画が好きだ。

テンポのいいギャグの数々!炸裂する高速カットバック!「江戸から大目付が来たぞ〜!!!」と叫び、一同静まり、振り返るも何も起こらない、あの
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君が生きた証(2014年製作の映画)

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架空の話がベース。

主人公、サムはヨットという地に足のついていない場所に逃げ、苦しい過去を上書きするように、塗装の仕事をしている。

息子の過去が明かされるシーンでは、逆に墓への落書き(塗装)を落と
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お早よう(1959年製作の映画)

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高度成長期寸前。都市化の進行と無駄の生滅を鋭く捉えている名作映画。

家族の諍いが集合住宅のコミュニティに少しずつ影響する脚本の妙。日本文化が抱えていた無駄の美学がテーマ。

お世話になってないのに、
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シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

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ホモ・離婚・堕胎が犯罪の超保守カトリック国家だった1980sアイルランドのロック映画。

カトリック国家アイルランドにおいて、デュランデュランやTHE CUREのような服装をすることは、反抗を表現して
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あの頃ペニー・レインと(2000年製作の映画)

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それはリアルか?15歳の少年がバンドに帯同して、初恋と現実に直面する。

「空を飛ぶ」という事象がこの映画では効果的に比喩として用いられている。

スチュワーデスを夢見て姉は家を飛び出し、ペニーレイン
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バーフバリ 伝説誕生<完全版>(2015年製作の映画)

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ヒット映画の公式とされる神話の構造に則った王道脚本。それを彩る大戦闘シーン。

なろう系が流行る昨今の日本だが、インドでも俺TUEE系が流行ったのが面白い。

全体的に大味な出来で、ラーメン硬め濃いめ
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涼宮ハルヒの消失(2010年製作の映画)

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空間・時間を描くことに成功した映画。

アニメ版ではわからなかった、教室と部室の位置関係が階段などを利用して精細に表現されている。

新海誠作品が写実性によって真実味を持たせる映画だとすれば、この映画
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バットマン ビギンズ(2005年製作の映画)

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人はわからないもの・目に見えないものを恐れる。

正義は秩序のために。復讐は自らのために。

カット割りは普通。殺陣のシーンに黒澤明の影響多数。

マトリックス/ロードオブザリング時代のアクションと演
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フミコの告白(2009年製作の映画)

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たまんねえな。短時間に監督のフェチズムが大爆発してる。跳躍、パンチラ、全力疾走、赤らむ女の子、坂のある街。

動き(アニマ)の宝庫。

すずめの戸締まり(2022年製作の映画)

4.0

衰退国家日本に捧げる人間讃歌。川村元気×新海誠三部作で、1番好き。

童貞ジュブナイル要素のあった過去作の香りは全く無くなり、女性が主人公になることで一気にスタジオジブリ味が増す。

主人公・鈴芽ちゃ
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ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)

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オーダーメイドのイスとオーダーメイドのように毎回変わる顔。強烈なルッキズム社会の韓国に一石を投じる。

今田美桜と中森明菜を足したようなヒロインがめっちゃかわいい。

日本へのオマージュも多数。缶ビー
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ファウンダー ハンバーガー帝国のヒミツ(2016年製作の映画)

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実質のファウンダー(創業者)だが、本当の創業者ではない。

このテーマに基づき、主人公を成功のためには手段を問わないダークヒーローとして描いている。

とはいえ、他の文献を見るとマクドナルド兄弟にも落
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秒速5センチメートル(2007年製作の映画)

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再視聴。ギャルゲー由来の没個性的な主人公が、叶わない希望を抱えたまま大人になる話。

四季を使い、起承転結が表現され、分かりやすい。

主人公の意志(主体的な足掻き)は、物語のノイズとして極力排されて
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悪の教典(2012年製作の映画)

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昔の熱血教師風の男が、ルールの下に歪んでいく。もし金八先生がサイコキラーになったら。

正義を執行するが、その正義も行き過ぎると悪に通ずる。

スタイリッシュに人を殺すあまり、もっとぶち殺せ!と思う自
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四畳半タイムマシンブルース(2022年製作の映画)

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上映館が少なすぎる!!見たいリスト数の多さに対してマークが伸びていないのが本当にもったいない。四畳半神話大系の同窓会のような本作。

湯浅政明作品のようなトリッキーな画角やアングルはないものの、四畳半
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パーマネント野ばら(2010年製作の映画)

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ノバラの花言葉は素朴な可愛らしさ。まさに菅野美穂のためにあるような言葉だ。

パーマネントに「髪のパーマ」と「永遠」という意味が乗っかっている。田舎の人々が繰り返す永遠のような日常が淡々と映される。
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ある夜、彼女は明け方を想う(2022年製作の映画)

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「明け方〜」のスピンオフ。
黒島ちゃんがとった本編の不自然な行動も合点がいった。

こっちの方が好き。人間のあいまいでどうしようもない感情を描いててめちゃ好み。

昨今、不倫を必要以上に叩く世の風潮が
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明け方の若者たち(2021年製作の映画)

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コロナ前の大学生の日常の切り取り方上手い。

インターン、飲み会のディテール、現実を知らない新卒だからこそ吐ける大言壮語の数々。

「エモい」をマーケティングしてしっかり映画化した感。

ただ、黒島さ
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スカーフェイス(1983年製作の映画)

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ジャケット写真がギャラガー兄弟にそっくりと思っていたが、主人公の性格もそっくりだった。

ファックファック言いながら、周りの気に入らない人間をぶち殺し、権力の掌握とともに、周りの人間が信頼できなくなり
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007 ドクター・ノオ/007は殺しの番号(1962年製作の映画)

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スパイ映画の隆盛は冷戦が生んだ落とし子。荒唐無稽な展開の中に、それっぽい時勢が入ってくる。

初回作のボンドは、想像以上にパワー系。重要な局面は大体殴って解決してる。

殴って口説いて一発やって大爆発
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クレヨンしんちゃん ヘンダーランドの大冒険(1996年製作の映画)

4.5

自分の血肉になってるクレしん映画を振り返る。湯浅正明作画のラストシーン、大好き。

ギャグ映画の面を被ったホラー映画。アングルや色指定が不可解で言葉に表せない不安感の煽り方がうまい。

例えば初めてヘ
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愛の渦(2013年製作の映画)

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最近、性におおらかだった時代の本をよく読む。そこに多くの現代人が感じているような罪悪感や気まずさの描写はほとんど皆無で、隣の後家さんが13歳になったばかりの子どものイチモツを握って筆下ろすなどの描写が>>続きを読む

座頭市あばれ火祭り(1970年製作の映画)

4.5

新文芸坐でチョイスされる映画はどれも面白い。35mmフィルム上映にて鑑賞。撮影はあの宮川一夫。ピン送りのタイミングやフレームインのタイミングがどれも完璧で、職人の一品を堪能。

座頭市というヒーローに
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御用牙(1972年製作の映画)

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三隅研次節炸裂。エキセントリックな自主映画のような実験的編集の数々に痺れた。

画面を2分割して右側には勝新太郎が歩き、左側には江戸の巨大な地図がスクロール。

左側が北町奉行所にズームインした瞬間に
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トップガン マーヴェリック(2022年製作の映画)

4.5

スターウォーズとバックトゥーザフューチャーの面白い部分を詰め合わせたかのような超良質娯楽映画。ここまで面白いとは正直思わなかった。

フィルムカメラの制約から解き放たれた戦闘機が劇場の画面すら狭しと飛
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