細かいところまで、よく考えられている。笑いながら、感心しながら、楽しく鑑賞した。
愛子と竜太郎のイニシャルAとRは、そのまま、尼ロックのイニシャルになっている。映像の見せ方で、語らずとも分かる仕掛>>続きを読む
主人公が同じとあっては、どうしても滝田洋二郎監督、野村萬斎主演の「陰陽師」と比べてしまう。佐藤嗣麻子監督は、ご主人の山崎貴監督の「ゴジラ-1.0」にあやかってかどうかはいざ知らず、本作品を「陰陽師」>>続きを読む
タイトルの意味はラスト近くになって、ようやく分かる。少なくとも、マンティコア=怪物ではない。原題は単にマンティコアである。邦題は観客を惑わす方向でつけられていて、よろしくない。
ただ、ラスト近くに>>続きを読む
ギョーム・ニクルー監督の作品は、2020年に「この世の果て、数多の終焉」を観た。2018年製作の戦争映画だが、公開は2年後だった。
本作品も製作は2022年だが、公開は2024年だ。そして、本作品>>続きを読む
本作品は、作画もVFXも日本のアニメに比ぶべくもないが、独特な表情があり、そこはかとない味がある。目指す方向性がまったく異なるのだ。本作品には説教がましさも、妙にこねくり回した理屈もない。ひたすらリ>>続きを読む
ソフィア・コッポラ監督は、2020年の「オン・ザ・ロック」では、上手くまとまったホームコメディで女性の人生のターニングポイントを描いてみせた。本作品では同じく女性のターニングポイントを描いているのだ>>続きを読む
荒唐無稽なストーリーではあるが、悪くない。前半の日常的なシーンに、後半の急展開の布石が置かれている。また12という数字、劇中劇がコラージュであること、娘の健康診断結果、No.10というタイトルなど、>>続きを読む
タイトルを見たとき、先ず「ストックホルムでワルツを」という、似たようなタイトルの映画を思い出した。歌手デビューに憧れるシングルマザーの物語で、ビル・エヴァンスを尊敬している。タイトルは、彼の作曲した>>続きを読む
よくわからない。ホラー映画のはずだが、特に怖くもなかった。映画「オーメン」シリーズを観ていないと、よくわからない作品なのかもしれない。観ている人は、多分、最後のダミアンの名前が出るシーンで、おーっ、>>続きを読む
終始、重低音の音楽が流れ続け、不穏な空気を醸し出す。独特なリゾートアイランドのホテルが舞台で、ミア・ゴスが出演するとなると、怪しさ満点である。一筋縄では収まらない物語になるだろうと期待するが、何故か>>続きを読む
原題の「a la belle etoile」は直訳すると「美しい星の下で」となる。しかし前に「dormir=寝る」がつくと「野宿する」という意味になる。野外で寝ることを美しい星の下で寝ると表現すると>>続きを読む
自然にとって人間は邪魔者だといった議論はあるし、生態系の維持だとか絶滅危惧種の保護だとか自然環境の保全だとか、もっともらしい正論も幅を利かせている。しかし地球の長い歴史からすれば、人類もその極く一部>>続きを読む
山田火砂子監督の作品を鑑賞するのは、本作品で2作目だ。監督は多分、クリスチャンだと思う。前作「われ弱ければ 矢嶋楫子伝」は、キリスト教色が強すぎて辟易したが、本作品はそれほど強くない。原作は読んでい>>続きを読む
ロバート・オッペンハイマーの伝記である。若い天才物理学者が30代でマンハッタン計画の責任者に任命されてから、開発した原子爆弾2発が実際に使われるまでの話が主体だが、並行して、マッカーシーが主導した赤>>続きを読む
あまり面白い作品ではない。ナン・ゴールディンという写真家が自分を語る一方、麻薬中毒になった過去から、合法の麻薬で死んだ人たちの弔いのように、麻薬で莫大な利益を上げた会社と戦う様子を描く。
出てくる>>続きを読む
予告編からして、かなり重そうな内容だったので鑑賞を先送りにしていたが、若葉竜也の「ペナルティループ」を観て、こちらも観る気になった。
本作品の長谷川役の演技もよかったのだが、それよりも市子の存在感>>続きを読む
三上智恵監督の沖縄に関する作品は、東京ではたいていポレポレ東中野で上映されている。いずれの映画も、理屈よりも住民の気持ちに寄り添った作品で、全国ロードショーとまではいかなくても、もう少し話題になって>>続きを読む
ストックホルム症候群という言葉をご存知だろうか。ストックホルムの銀行に立て籠った強盗犯たちに人質にされた人々の話だ。犯人たちと長時間を一緒に過ごすうちに人質たちは愛着みたいな感情を抱いたらしい。病気>>続きを読む
とてもよかった。精神科医の主人公と、婚約者と、元カノの3人の人間模様が主体なのだが、時間を前後させつつ、徐々に関係性が明らかになっていく。状況が緊迫している訳ではないが、主人公の喪失感と焦燥感が伝わ>>続きを読む
妊娠中絶の是非を巡る議論はずっと続いていて、現在でもかなりの数、法的に認められていない国が存在する。
宗教的な理由が多く、たとえばイスラム教は中絶を禁止している上に、子作りを奨励している。世界の宗>>続きを読む
高度な軍事技術を背景にした巨大で広大な舞台だが、支配層を中心とした登場人物だけのこぢんまりとした物語である。
一作目のレビューをそのようにまとめたが、続編も同じことが言える。権力闘争と縄張り争いの>>続きを読む
白石和彌監督の一作目を鑑賞したのは2018年の10月である。若松孝二という圧倒的なバイタリティに引きずられるようにして生きる若者たちの、青春群像を描いた佳作だった。門脇麦が演じた助監督のめぐみが主人>>続きを読む
「原作はホラーじゃなかったよね」と、終映後の観客が話していた。相手も頷いていたから、おそらく原作はホラーではないのだろう。オカルト小説といったところだろうか。ジャンプスケアが殆どなかったから、製作側も>>続きを読む
なかなか味のある刑事モノで、観ごたえがあった。
フランスの田舎町が舞台だ。日本と同じく、都市は個人主義が進んでリベラルな雰囲気なのに対し、田舎は保守的で息苦しい。独善的な人間も多く、パターナリズ>>続きを読む
リュック・ベッソン監督だけあって、アクションシーンはリアルで、容赦がない。犬たちのアクションシーンはどうやって撮影したのだろうか。見事で痛快だった。
監督はフランス人だ。現代のフランスでは、無宗>>続きを読む
面白かった。法律にはあまり詳しくないが、罪と罰について、改めて考える機会にもなった。
刑法では、違法性阻却事由が規定されていて、正当防衛や緊急避難に相当すると判断されれば、たとえその行為が、責任>>続きを読む
社会がスラム化すると、犯罪は低年齢化する。衣食足りて礼節を知るという諺の通りだ。貧しくなって、しかも収入増や生活向上が望めない状況だと、人は犯罪に走ったり、自殺したりする。共同体の中で犯罪が増えると>>続きを読む
至るところに綻びが見えるストーリーで、やや興ざめになるシーンがいくつかある。その度に少し白けるので、ホラー作品としての出来はあまりよくない。
29歳の娘が父親の昔の不倫に怒ることはあまりないと思う>>続きを読む
認知症という言葉にずっと違和感がある。かといって痴呆症という言葉を使いたい訳ではない。認知症という言葉が独り歩きしているのが、少し変だと思うのだ。
以前は認知症ではなくて、ボケるという言葉が使われ>>続きを読む
アクションコメディ作品だが、笑えるシーンはそれほどない。多分だが、アメリカ人だったら大笑いするだろうという感じである。日本人とはちょっと笑いの感覚が違うが、楽しめることは楽しめる。
謎解きは面白い>>続きを読む
タイトルは「52ヘルツのクジラたち」だが、作品中に出てくる台詞は「52ヘルツのクジラ」である。タイトルだけ、語尾に「たち」がつくところに、本作品を読み取るポイントがあると思う。
成島出監督の作品>>続きを読む
1豪ドルはだいたい100円だから、500万ドルは5億円だ。5000万ドルは50億円。ちなみにロールスロイスは5000万円、高級ベンツは2000万円。このあたりの数字を頭に入れておけば、戸惑うことなく>>続きを読む
刑事裁判は、有罪か無罪か、量刑はどれくらいにすべきかという争いであると同時に、権力との駆け引きでもある。検察の行政権力、裁判官の司法権力が相手だ。三権分立の考え方では、それぞれの権力が互いに牽制しあ>>続きを読む
青い月夜の浜辺には
親をさがして鳴く鳥が
波の国から生まれ出る
ぬれた翼の銀のいろ
夜鳴く鳥のかなしさは
親をたずねて海こえて
月夜の国へ消えてゆく
銀の翼の浜千鳥
1919年(大正8年)発表の>>続きを読む
面白かった。戦争は容赦がないと改めて実感した。銃撃戦は、いつどこから弾丸が飛んでくるかわからず、いつ死んでもおかしくない。戦闘シーンはとてもリアルで迫力があって、ガイ・リッチー監督の面目躍如と言って>>続きを読む
未来が見える設定の映画というと、ニコラス・ケイジ主演の2007年の映画「ネクスト」を思い出す。主人公は2分後が見えるという設定だったが、物語が進むにつれて段々と整合性が取れなくなって、終盤は何でもあ>>続きを読む