HidehikoYabaさんの映画レビュー・感想・評価

HidehikoYaba

HidehikoYaba

映画は映画館で観る。ハリウッドの娯楽作も観るが、基本的には文学作品好き。

映画(174)
ドラマ(0)
  • List view
  • Grid view

のみとり侍(2018年製作の映画)

3.5

 数日前に松坂桃李の「娼年」を観たばかりで、あちらは現代版の男娼であったが、こちらは時代劇だ。寺島しのぶはゴールデンウィークに舞台「ヘッダ・ガブラー」を観た後に映画「オー・ルーシー!」を観た。特になん>>続きを読む

四月の永い夢(2017年製作の映画)

4.0

「ローマの休日」と並んで映画ファンなら知らない者はいない名作「カサブランカ」のオマージュだろうか、映画の中の名曲「時の過ぎゆくままに」が象徴的に、効果的に使われる。念のために書くが、沢田研二の曲ではな>>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

 学生時代に「マルコムX自伝」を翻訳で読んだことがある。内容はもう覚えていないが、黒人の誇りと怒りが激しい言葉で書かれていた気がする。ボールドウィンは作家ということは知っていたが作品を読んだことはなか>>続きを読む

娼年(2018年製作の映画)

3.5

 平日のレイトショーだというのに、渋谷の映画館は若い女性客で一杯だった。メンズデーなのでオッサンばかりだろうと予想していたのが見事に裏切られた格好である。一昔前なら女性が観賞することが憚られるような映>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.5

 役所広司という人は本当に器用な俳優である。「三度目の殺人」では無私の犯罪を犯すおとなしい男、「山本五十六」では穏やかで寛容な軍人、「渇き」では家族の愛を失ったチンピラみたいな無法者、「日本のいちばん>>続きを読む

サバービコン 仮面を被った街(2017年製作の映画)

4.5

 ジョージ・クルーニー監督は現代という時代に相当な危機感を抱いているのではないか。この映画の制作のモチーフについてそう感じた。

 映画は、マット・デイモンが主人を演じるリッジ一家の話と、町に越してき
>>続きを読む

Oh Lucy!(2016年製作の映画)

4.0

 女というのはかくも哀しい生き物なのかと、改めて慨嘆した。それほど寺島しのぶの演技は圧巻だった。
 43歳の独身女。見栄があり諦めがあり孤独があり、そして日々の暮らしがある。歳を追って老いていく自分を
>>続きを読む

マルクス・エンゲルス(2017年製作の映画)

4.0

 学生のときに一度は「資本論」の読破に挑戦した人がいるだろう。かくいう当方もそのひとりであるが、残念ながら第一巻で断念してしまった。
 神保町の岩波ホールは歴史ある映画館で、本作品はその単館上映作品で
>>続きを読む

ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

4.0

 タイトルがサークルでなくてスクエアなのは、何か意味があるのかもしれない。英語のスクエアには四角四面で融通が利かない人というイメージがある。四角形には円にはない角があり、場合によってはボクシングよろし>>続きを読む

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

3.5

 スピルバーグの監督作品は1週間前に「The Post」(邦題「ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書」)を見たばかりだ。自由と権利を脅かす権力者と真っ向から戦うジャーナリストと新聞社の社主の勇気を描く>>続きを読む

インデペンデンス・デイ:リサージェンス(2016年製作の映画)

2.5

 IMAXの3Dでもやっていたが、最近は「Alice through the Looking glass」みたいに3Dの意味がないのにその分だけ無駄に高い映画が多いので、今回は2Dで観た。あえて2Dと>>続きを読む

好きにならずにいられない(2015年製作の映画)

4.0

 童貞で中年の大男が憐れにも恋に落ちる話だ。この男が見掛けに似合わず素直で寛容で優しくて純情で一途なものだから、それだけでも泣けてくる。
 ジオラマやラジコンが好きで子供も好き、しかもきれい好きでマメ
>>続きを読む

トランボ ハリウッドに最も嫌われた男(2015年製作の映画)

4.5

 アメリカはナショナリズムの精神構造を代表とする同調圧力の非常に強い国で、それは今も昔も変わらない。アメリカ人のナショナリズムこそ、世界を駄目にしてきた元凶なのだが、誰もそのことに触れない。ナショナリ>>続きを読む

ブルックリン(2015年製作の映画)

4.0

 まだインターネットも携帯電話もない時代に、アイルランドの田舎町で鬱屈した生活を送る推定18歳くらいの女の子がニューヨークに行って暮らす話だ。
 大都会に戸惑いつつ、ホームシックと闘いながら徐々に慣れ
>>続きを読む

ロング・トレイル!(2015年製作の映画)

4.0

 人付き合いの苦手な老作家と破天荒な友人が山道をひたすら歩く話だ。
 山があり川があり、事件があり事故があり、そして本音の会話がある。遭難した崖で夜空を見上げると無数の星が見えて、その中の俺たちはとて
>>続きを読む

奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ(2014年製作の映画)

4.0

 フランスの高校の落ちこぼれクラスがコンクールに出る話だ。日本のドラマでも似たようなものを放送している。寺尾聰主演の「仰げば尊し」だ。ドラマは吹奏楽コンクールだが、この映画は歴史コンクールというなんと>>続きを読む

ニュースの真相(2016年製作の映画)

4.0

 George.Walker.Bushはアメリカ史上最悪の大統領だ。同時期に総理大臣だった小泉や暗愚の宰相アベシンゾウを選んだ日本国民も同レベルであると言える。他の国も似たり寄ったりで、要するに世界中>>続きを読む

ストリート・オーケストラ(2015年製作の映画)

3.5

 先日観た「Les Heritier」(邦題「奇跡の教室 受け継ぐ者たちへ」)も落ちこぼれの学生たちが歴史コンクールを目指して努力するうちに、様々な問題に立ち向かえるようになっていくという映画だったが>>続きを読む

イレブン・ミニッツ(2015年製作の映画)

2.5

 登場人物の全員が俗物であり類型的である。だから誰にも感情移入できない。人物が映画に登場するためには、多かれ少なかれ、理由が必要だ。典型に対する類型、正義に対する悪、または特別な生い立ちや体験など、映>>続きを読む

栄光のランナー 1936ベルリン(2016年製作の映画)

4.0

 オリンピックイヤーに日本で公開されるというタイムリーな映画ではあるが、アメリカ映画とは違って、世界の問題と正面から向き合う真摯な姿勢がある。
 主人公は貧困と公的な人種差別の厳しい状況の中で、ささや
>>続きを読む

リトル・ボーイ 小さなボクと戦争(2014年製作の映画)

4.5

 アメリカ映画ではあるが、メキシコの監督Alejandro Monteverde(アレハンドロ・モンテヴェルデ 39歳)の演出で、第二次大戦の末期を冷めた観点で映している。往々にしてナショナリズムやヒ>>続きを読む

ティエリー・トグルドーの憂鬱(2015年製作の映画)

4.5

 現在、もはやどの文明国も大きな成長を望めない段階にきている。右肩上がりは20世紀でほぼ終了し、下り坂の時代になったのだ。そこにグローバル化の波が押し寄せ、人も金も物も国境を越えて自由に行き来するもの>>続きを読む

ハイ・ライズ(2015年製作の映画)

4.0

 だだっ広い土地にいくつかのマンションが建っている。ひとつのマンションはひとつの国家として描かれる。国家には階層があり、上の階ほど金持ちで権力がある。最上階に住むマンションの設計者が支配者だと思われて>>続きを読む

超高速!参勤交代 リターンズ(2016年製作の映画)

4.0

 人を支配するための基本的な方法は暴力だ。殺されたり痛い目に遭わされたりするとわかれば、そうされないように暴力にひれ伏すことになる。権力の歴史は、そこから始まった。
 民主主義の時代になって国民が権力
>>続きを読む

四月は君の嘘(2016年製作の映画)

2.0

 スポーツにしろ、音楽にしろ、世界的な名プレーヤーになるためには幼い頃から始めることが必要だ。大人になってから楽器を始めた人間がショパン国際ピアノコンクールに出場できることは絶対にない。
 楽器はそれ
>>続きを読む

映画 聲の形(2016年製作の映画)

4.5

 意外だったが、原作者も監督も若い女性だ。だから登場する子供たちの気持ちが豊かに表現されているのは当然としても、大人たちの感情も繊細に描かれているのは見事である。
 アニメの表情は柔らかくて主張しすぎ
>>続きを読む

コロニア(2015年製作の映画)

4.0

 ドストエフスキーの「悪霊」の登場人物が次のように言う。
「生は苦痛です、生は恐怖です、だから人間は不幸なんです。いまは苦痛と恐怖ばかりですよ。いま人間が生を愛するのは、苦痛と恐怖を愛するからなんです
>>続きを読む

怒り(2016年製作の映画)

4.0

 凄惨な殺人事件の犯人らしき3人の男たちの話だ。
 テーマは人を信じられるかどうか、ということだと思う。人を信じるというのはどういうことか、その人の言葉を信じるのか、人格そのものを信じるのか。非常に哲
>>続きを読む

白い帽子の女(2015年製作の映画)

2.0

 Pitt夫妻の離婚訴訟が報じられたばかりだが、平日16時45分のシアターは閑散としていた。「ハドソン川の奇跡」とはえらい違いである。話題性は必ずしも興行成績に結びつかないということだ。
 舞台が南仏
>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.5

 俗物の自分としては、本当にこんな人がいたのか?と思ってしまう。主役のTom Hanksが演じるのは聖人のような機長だ。

 ハドソン川の奇跡の実話は有名な話なので記憶にある人も多いだろう。凡百の映画
>>続きを読む

ある天文学者の恋文(2015年製作の映画)

4.5

 女心の映画である。
 だから観客は主演女優の表情を延々と見続けることになる。しかしそれがちっとも嫌じゃない。心の変化が手に取るようにわかるほど演技が昇華されていて、まったく飽きないのだ。
 愛おしい
>>続きを読む

歌声にのった少年(2015年製作の映画)

4.5

 「祖国」という言葉を世界からなくした方がいいと主張すれば、世界中から反発を食らうだろう。しかしいまやグローバル化の時代である。ヒトもモノも自由に行き来する。映画をはじめとして文化も自由に国家間を行き>>続きを読む

君の名は。(2016年製作の映画)

4.0

 よくできたアニメである。
 主人公は三葉と瀧の二人。三葉は家族や家柄などが詳しく描かれているが、瀧は個人情報が少ないように思える。それでも、父親との会話などからいくつかわかる部分がある。
 朝食を父
>>続きを読む

SCOOP!(2016年製作の映画)

3.5

 一般に人が社会生活を営むには、社会から存在意義を認めてもらう必要がある。そのために大半の人は労働をする。モノやサービスを生産することで対価を得て生活するのだ。
 人は自分の労働から対価だけではなく、
>>続きを読む

だれかの木琴(2016年製作の映画)

4.0

 人間は問題を抱え続ける生き物だ。まず衣食住が不足していれば、自分の生まれや不運を嘆く、または絶望する。そして衣食住が足りると、さらなる不足を感じ、欲求不満が心に渦巻く。〝衣食足りて礼節を知る〟という>>続きを読む

カノン(2016年製作の映画)

4.0

 人間関係の破綻と再生の物語だ。バラバラの人生を生きている3姉妹が祖母の葬儀で集まるところから映画がはじまる。現在の状況と過去の振り返り。かつては誤解と不信、不安による精神疾患、そして離別があったが、>>続きを読む