耶馬英彦さんの映画レビュー・感想・評価

耶馬英彦

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17歳の瞳に映る世界(2020年製作の映画)

4.0

 性犯罪は加害の対象が財産ではなく身体であることから、被害者の心を深く傷つける。同じく身体を攻撃する傷害は被害が医学的に明らかであるのに対し、性犯罪は被害を物証によって証明することが難しい。加害者側や>>続きを読む

インベイド(2020年製作の映画)

2.0

 オーストラリアのSF映画である。邦題の「インベイド」は原題の「Occupation: Rainfall」のOccupationを侵略と翻訳して、侵略するという動詞のinvadeを当てはめたのだと思う>>続きを読む

サンマデモクラシー(2021年製作の映画)

4.0

 沖縄はもともとは琉球という独立国だ。しかし江戸幕府成立時のゴタゴタした情勢の間隙を突いたのか、薩摩藩が武力で征服してしまった。そして島津は徳川家康に上手いこと取り入って、琉球の統治権を託された。それ>>続きを読む

SEOBOK/ソボク(2021年製作の映画)

3.0

 主演のコン・ユは前出演作の映画「82年生れ、キム・ジヨン」で初めて見た。自由を求める妻と封建的な実家の家族との間に挟まれて、優柔不断な態度の気弱な夫を上手に演じて見せていて、なかなか好感が持てた。本>>続きを読む

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)

4.0

 細田守監督の作品は「バケモノの子」と「未来のミライ」のふたつを鑑賞したが、いずれも説教臭いし偽善的だという印象で、あまり高い評価は出来なかった。
 ところが本作品は打って変わってニュートラルなものの
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ロボット修理人のAi(愛)(2021年製作の映画)

4.0

 ファンタジー映画である。タイトルにあるようにAIが登場する。アイザック・アシモフが紹介したロボット工学三原則の見本のようなロボットが、HONDAのASIMOやSONYのAIBOだと思うが、本作品では>>続きを読む

走れロム(2019年製作の映画)

3.5

 時代が不明である。映画紹介サイトの解説には「ホーチミン市」ではなく「サイゴン」と明記されているが、ホーチミン市の中心部のことだろうか。それともベトナム戦争が終結する前のサイゴン市のことだろうか。
 
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プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.0

 映画やドラマをたくさん観たり、小説をたくさん読んだりすると、物語に慣れてくる。そしてストーリーがある程度読めるようになる。すると次はこうなるのかなと、展開を予測しながら観たり読んだりする。それが割と>>続きを読む

83歳のやさしいスパイ(2020年製作の映画)

3.5

 人の中身はいくつになっても子供のままである。気の弱い子供が気の強さを獲得することはなく、飽きっぽい子供が粘り強い大人になることはない。それは老人ホームに入居するほどの老齢になっても同じである。
 本
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ファイアー・ブレイク 炎の大救出(2020年製作の映画)

4.0

 森林消防隊の映画では、2018年日本公開の「オンリー・ザ・ブレイブ」が記憶に残っている。実話をもとにしていたためか、アメリカ映画らしくなく、地味でリアリティのあるいい作品だった。発生する山火事は広大>>続きを読む

東京自転車節(2021年製作の映画)

3.5

 孤独である。孤独だがやるべきことをやるしかない。雨の中、言うことを聞かなくなりそうな脚を無理矢理に動かして自転車を漕ぐ。なにがなんでも商品をお客さんに届けるのだ。店から預かった大切な商品。店にもお客>>続きを読む

ブラック・ウィドウ(2021年製作の映画)

3.5

 スカーレット・ヨハンソンは2012年日本公開の「We bought a Zoo」(邦題「幸せへのキセキ」)でマット・デイモン演じる主人公の相手役を演じていて、女のたくましさと優しさを存分に表現してい>>続きを読む

シンプルな情熱(2020年製作の映画)

3.5

 恋の終わりはいつもいつも
 立ち去る者だけが美しい
 残されて戸惑う者たちは
 追いかけて焦がれて泣き狂う

 1977年(昭和52年)にリリースされた中島みゆきの「わかれうた」の一節である。古い感
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食の安全を守る人々(2021年製作の映画)

4.0

 農産物の安全を脅かすバイエル社(モンサント社)の悪徳商法と、ロビイストを経由してバイエル社を支えるアメリカの政治家と役人、彼らの言いなりにバイエル社に有利な法律を次々に成立させる日本の政治家と官僚、>>続きを読む

ナポレオンと私(2021年製作の映画)

3.0

 こういう映画もたまには悪くない。毒にも薬にもならないが、ほのぼのしていい気分になる。能書きみたいな台詞が多めで、シーンが少なめなのは予算の関係だろう。それでもヒロインの武田梨奈はよく頑張った。喜怒哀>>続きを読む

アジアの天使(2021年製作の映画)

4.0

 例えば我々がニューヨークやロサンゼルスに行ったとして、現地の白人や黒人にいきなり日本語で話しかけるだろうか。たとえ拙くても英語で話しかけるか、英語がまったくできない場合は「日本語わかりますか」くらい>>続きを読む

アメイジング・グレイス アレサ・フランクリン(2018年製作の映画)

3.0

 黒人の黒人による黒人のためのミサコンサートだと思った。なにせ場所がロサンゼルスのバプティスト教会だ。参加者の誰もが敬虔なクリスチャンで、主を崇め、神を讃美する歌を聞く会である。しかしその客席にはロー>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

4.0

 岩木山は富士山と同じ独立峰で、津軽地方の信仰の対象である。信仰といっても岩木山を神と崇め奉るのではなく、岩木山に因んだお祭りをしたり、日頃から「お山」として親しんだりする。岩木山を「大事にする」こと>>続きを読む

僕が君の耳になる(2021年製作の映画)

3.5

 渋谷のヒューマントラストシネマ。会場前でアナウンスも流れているのに、入場しようとしてドヤドヤと集まるひとたち。年配の人が多い。なぜ開場前に入ろうとするのだろうと思って、ハッと気がついた。アナウンスが>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

3.5

 人類の歴史上の岐路には屡々天才科学者の存在がある。19世紀から20世紀は天才科学者を輩出した時代で、特にマンハッタン計画に携わった沢山の天才科学者は有名だが、話が物騒なので違う例を出すと、やはりコン>>続きを読む

トゥルー・ヒストリー・オブ・ザ・ケリー・ギャング(2019年製作の映画)

3.0

 ひとりの悪人の生涯を、サイコパスの母親との共依存の精神性を中心に描いた作品である。どこか大森立嗣監督の映画「MOTHER マザー」に似ている気がしたが、「マザー」が現代日本での物語なのに対して、こち>>続きを読む

RUN/ラン(2020年製作の映画)

4.0

 主人公のクロエを演じたキーラ・アレンの演技が秀逸。足が麻痺して歩けず、喘息で激しい運動が出来ない上に吸入剤の随時の吸引が必要という肉体的に厳しい状態のときに、よりによって唯一の拠り所である母親に疑い>>続きを読む

夏への扉 ―キミのいる未来へ―(2021年製作の映画)

4.0

 ストーリーやシーンを書くとネタバレになってしまうのでレビューが少し難しいが、とにかく本作品は面白い。飽きずにワクワクしながら観られる。主人公の状況が二転三転するという意味では、同じ三木孝浩監督の映画>>続きを読む

クワイエット・プレイス 破られた沈黙(2021年製作の映画)

3.5

 前作に比べればかなりよかったと思う。意味不明だった凶暴な生物の正体が、本作では事の始まりからちゃんと説明されたのがいい。視覚のない生物が宇宙から地球に辿り着けるという無理な設定には引き続き眼を瞑ると>>続きを読む

モータルコンバット(2021年製作の映画)

3.0

 ハリウッドのB級映画である。こういう作品は何も考えずに映像と音響を楽しめばいいと思っていたのだが、このところのキナ臭い世の中の風潮を感じるにつけ、なんだか素直に楽しめなくなってしまったことを自覚して>>続きを読む

キャラクター(2021年製作の映画)

4.0

 本作品にはふたつの物語がある。ひとつは当然サイコパスによる連続殺人であり、犯人を追う刑事たちの物語だ。もうひとつは売れるマンガと売れないマンガの紙一重の差の物語であり、売れずに平凡な人生を送る人々が>>続きを読む

ザ・ファブル 殺さない殺し屋(2021年製作の映画)

4.0

 前作はほのぼのする楽しい作品だった。本作品も引き続きほのぼのしていて、笑えるシーンがたくさんある。変な言い方だが、馬鹿みたいに面白い映画である。
 岡田准一はもはや俳優に加えて特殊技能のパフォーマー
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インヘリタンス(2020年製作の映画)

2.0

 タイトルからして、相続に纏わる悲劇もしくはホラーを期待したのだが、見事に裏切られてしまった。
 ストーリーも酷いが、人物造形はもっと酷い。主人公の地方検事は、エリート検事らしくどっしり構えていると思
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漁港の肉子ちゃん(2021年製作の映画)

3.0

 ほぼ昭和の世界観だ。映倫G(誰でも鑑賞できる)だが、小学校の低学年以下は理解できないことがたくさんあると思う。
 ラストシーンは特に説明に困る親もいるのではないか。たしかに洒落は効いている。昔は赤飯
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ベル・エポックでもう一度(2019年製作の映画)

3.5

 本作品のタイトルと同じ「ベル・エポック」というシャンパンがある。日本語で言えば「いい時代」となるのだろうか。花柄の洒落たボトルに入った大変に美味しいシャンパンで、癖のないスッキリした味わいは忘れられ>>続きを読む

やすらぎの森(2019年製作の映画)

3.5

 老いと死は永遠のテーマである。人は歳を経れば必ず老いるし、必ず死ぬ。中には老いる前に死ぬ人もいる。若者の死因の第一位はこのところずっと自殺だ。老いを経験しなくても、人生を終わりにするのは常に死である>>続きを読む

はるヲうるひと(2020年製作の映画)

3.0

 佐藤二朗があまり好きではない。どんな映画でもドラマでも、いつも同じ芝居だからだ。クイズ番組の司会も同じである。つまり本人のキャラクターのままでしか、芝居ができない訳だ。だからこの人が出るとどんな作品>>続きを読む

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)

3.5

 面白かった。ホラー映画だろうと思って鑑賞したのだが、そうではなくて、父親がシリアルキラーではないかと疑問をいだいた息子の勇気ある行動の物語であった。
 とはいっても気の弱い真面目な16歳の少年で、キ
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名も無い日(2020年製作の映画)

3.0

 兄弟は他人のはじまりというが、世の中には大人になってからも仲のいい兄弟もいる。兄弟の仲というのは、親が金持ちで巨額の遺産があったりすれば骨肉の争いも考えられるが、大したことがなければ仲が悪くなること>>続きを読む

ブラックバード 家族が家族であるうちに(2019年製作の映画)

4.0

 夕暮れの空を鳥が飛んでいく。あの鳥は何という鳥だろうか。影になって黒い鳥にしか見えない。何処へ飛んでいくのだろう。リリーの目にはどのように見えていたのだろうか。

 本作品は達者な役者陣による会話劇
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Mr.ノーバディ(2021年製作の映画)

3.5

 肉を切らせて骨を断つという言葉があるように、格闘術に長けた者同士の争いは、一方的な展開になることはない。日本の時代劇ドラマのように正義の味方がやたらに強くて大勢を相手に無傷で勝ち切るなどというのは、>>続きを読む

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