HidehikoYabaさんの映画レビュー・感想・評価

HidehikoYaba

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映画は映画館で観る。ハリウッドの娯楽作も観るが、基本的には文学作品好き。

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山の郵便配達(1999年製作の映画)

4.0

 中国は漢民族と満民族、それに数多くの少数民族で成り立っている国である。山の人々は山で暮らし、あまり平地に降りてこない。そこに自分たちの居場所がないことを知っているからだ。それでも若い人を中心に、少し>>続きを読む

沖縄スパイ戦史(2018年製作の映画)

4.5

 三上智恵監督の作品は、3年前の2015年に「戦場ぬ止み」(いくさばぬとぅどぅみ)を観て以来である。前年の2014年に特定秘密保護法が施行されて、反体制の言論人は危機感を強めていたときである。よくこん>>続きを読む

ミッション:インポッシブル(1996年製作の映画)

3.5

 トム・クルーズは能天気なアメリカン・ヒーローを演じることに徹したようだ。その振り切り具合は中途半端に演技派に未練を残すことを考えると、いっそ気持ちがいい。
 本作品では、核兵器の阻止と首謀者の炙り出
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君が君で君だ(2018年製作の映画)

4.0

 かつて通っていた大学のフランス文学科は総勢66人のうち、男子44人に対して女子が22人だった。受講する科目は人それぞれなので、同じクラスといっても必ずしも仲がよくなる訳でもなく、男女比も特に意味を持>>続きを読む

カメラを止めるな!(2017年製作の映画)

4.0

 少し説明がややこしいが、ゾンビ映画を撮影していると本当にスタッフがゾンビになってしまうという生放送のドラマを撮影する人々の群像劇である。ドタバタのギャグ映画で、アイデアと瞬発力でドラマを撮り切ろうと>>続きを読む

ワンダーランド北朝鮮(2016年製作の映画)

3.5

 筒井康隆の「東海道戦争」という小説がある。有名な小説だからご存じの方は多いだろう。スラップスティックなので朝鮮半島の深刻な状況とは訳が違うが、読んだ当時は、日本が東西で分断されて戦うことになると、何>>続きを読む

ジュラシック・ワールド 炎の王国(2018年製作の映画)

1.0

 動物園や水族館で動物を飼うのは見世物にするために他ならない。人間のエゴだから、様々な問題を生じさせる。
 例えばアフリカの平原で生きている動物を日本の環境に持ってくることは、是なのか非なのか。夏バテ
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未来のミライ(2018年製作の映画)

1.0

 アニメの表情はラインのスタンプとは違って、前後の脈絡から観客がそれぞれに想像する幅がある。どんな受け取り方をするかは観客それぞれの感性や経験、世界観などによって異なる。そういうアニメの多義性が作品に>>続きを読む

志乃ちゃんは自分の名前が言えない(2017年製作の映画)

4.5

 自尊感情が低い人は世の中に多いと思う。どうしてそうなってしまったのかは、たぶん本人にもわからない。自尊感情を持つようにすすめる人はいる。そういう人は、一度きりの自分だけの人生なんだから大切にしないと>>続きを読む

菊とギロチン(2016年製作の映画)

4.0

 日本の戦後民主主義はポツダム宣言の土台の上に成り立っている。ポツダム宣言は、第二次世界大戦という悲惨な戦争を体験した世界の指導者が、もう戦争は嫌だ、国家ではなく個人の幸福を追求しなければならないとい>>続きを読む

バトル・オブ・ザ・セクシーズ(2017年製作の映画)

4.0

 エマ・ストーンは「教授のおかしな妄想殺人」で可愛い女子大生を違和感なく演じていて、「ラ・ラ・ランド」はその延長線上みたいな演技だったが、本作品ではうって変わって大人の女の複雑な心を余すところなく演じ>>続きを読む

オンリー・ザ・ブレイブ(2017年製作の映画)

4.0

 予告編を見て、ドロップアウトした若者が共同体の価値観に認められることで社会復帰を果たすリバイバルストーリーだろうと勝手に想像していた。たしかにそういう場面もあったが、全体としては森林消防士たちのリア>>続きを読む

羊と鋼の森(2018年製作の映画)

2.0

 予告編で出てくる、山崎賢人が雪景色の中で叫ぶシーンは要らなかった。全体に日常的で落ち着いた作品なので、落ち着いたままの演出で十分だったと思う。特に三浦友和の口数の少ない演技は秀逸で、この演技の雰囲気>>続きを読む

ワンダー 君は太陽(2017年製作の映画)

4.0

 ジュリア・ロバーツは大きな口でよく笑う演技が印象的で、トム・ハンクスと共演した「しあわせの教室」ではまさしくその魅力が全開だった。一方、ジョージ・クルーニーと共演の「マネー・モンスター」では冷静で頭>>続きを読む

告白小説、その結末(2017年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

 最近の発表によると、サイコパスというのは人口の1%~4%もいるそうである。サイコパスについてはいろいろ説があると思うが、私の理解では、日常的に怒鳴ったり喚き散らしたり平気で嘘をついたりと、とにかく他>>続きを読む

母という名の女(2017年製作の映画)

3.5

 人間の女は動物の雌とどう違うのか。鑑賞後にそんな疑念が浮かんでくる作品だった。雌ライオンは子供を産んで育てるが、群れを守っている雄ライオンが他の雄ライオンに負けて追い払われることがある。新参者の雄ラ>>続きを読む

女と男の観覧車(2017年製作の映画)

4.5

 ケイト・ウィンスレットは映画「愛を読む人」で、悲惨な運命を辿ったヒロインを迫真の演技で演じていて、非常に感銘を受けたことを憶えている。女優人生であれ以上の作品と役柄に出会える人は稀ではなかろうか。>>続きを読む

メイズ・ランナー:最期の迷宮(2018年製作の映画)

4.0

 前2作から随分時間が経っているので、どんなストーリーだったかうろ覚えになってしまっていたが、観ていなくてもそれなりに楽しめる内容になっている。
 人類の存続を大義とする全体主義者たちと、人間としての
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終わった人(2018年製作の映画)

2.5

 田中角栄の日本列島改造で全国の上下水道が整備されてから、この国の衛生環境は飛躍的に向上し、年々寿命が延びてきた。比例するように健康寿命も延びてきて、同じ年齢でも昔の人と今の人では見た目からしてまった>>続きを読む

デッドプール2(2018年製作の映画)

3.0

 ハリウッドのB級作品である。だから映画としての深みはないが、笑って観る分には十分である。この作品はよくできていて、アクションとエロとグロがほどよいバランスで配置されている。主人公が必ずしも正義の味方>>続きを読む

Vision(2017年製作の映画)

4.0

 河瀨直美監督は本作品と同じ永瀬正敏主演の映画「光」で高評価を得ている。当方も映画館で鑑賞し、高く評価した。
「光」も一筋縄ではいかない作品で、水崎綾女が音声ガイドに挑戦する映画の藤竜也の演技を中心と
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空飛ぶタイヤ(2018年製作の映画)

4.0

 この作品は長瀬智也が主演のはずで、本人もそれなりの演技をしていたのだが、如何せん脇役陣の演技が凄すぎて主役がボケてしまった感がある。それはプロットにも由来するところがあって、主要な登場人物それぞれの>>続きを読む

バーフバリ 王の凱旋 ≪完全版【オリジナル・テルグ語版】≫(2017年製作の映画)

4.0

 インド映画を観るのは多分初めてである。歌や踊りがあると聞いていて、場面の途中で何の脈絡もなくいきなり歌や踊りのシーンが出て来るのかと勝手に思って敬遠していたのだ。
 しかし実際に観てみるとそれほど違
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いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(2017年製作の映画)

3.0

 この作品は「いつだってやめられる 7人の危ない教授たち」の続編で、日本では順番が逆になってこちらが先に公開されている。ハリウッドのB級超大作ではないにしても東京での公開がBunkamuraル・シネマ>>続きを読む

ファントム・スレッド(2017年製作の映画)

3.5

 主演女優は「マルクス エンゲルス」で主人公カール・マルクスの妻を演じたビッキー・クリープスである。マルクスのよき理解者であり優しい妻である女性を好演していた。本作品では女の強さと優しさに加え、女の業>>続きを読む

ゲティ家の身代金(2017年製作の映画)

3.5

 アメリカ映画は自分と自分の家族さえよければ他は関係ないという価値観で溢れ返っているようで、家族だけのハッピーエンドがそのまま世界のハッピーエンドであるかのように描かれることが多い気がする。
 しかし
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海を駆ける(2018年製作の映画)

3.0

 日常的な台詞だけが続く、坦々として起伏のない作品である。インドネシアの島に暮らす、震災の復興も儘ならない内に援助を打ち切られた住民たち。将来にある漠然とした不安も、日常生活の喜怒哀楽に埋もれていく。>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

4.0

 オキシトシンというホルモンが最近になって注目されている。愛情ホルモンとも呼ばれており、他人に心を許して仲間意識や帰属意識、愛著などを持つようになる働きがあるそうだ。
 愛著と言えば、ブッダは愛著は解
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恋は雨上がりのように(2018年製作の映画)

3.0

 小松菜奈は役所広司主演の「渇き」の冷酷でミステリアスな少女のイメージが強く残っていて、無表情の存在感と不気味な笑顔が特徴的だった。
 本作品でも無表情の表情とでも言うべき演技で独特の存在感を表現する
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友罪(2017年製作の映画)

3.5

 人を殺した人間には幸せになる権利がないのか?

 人が死んだことで罪悪感を抱えつづける人々の物語である。登場人物同士は互いの接点は少なく、抱える罪悪感の度合いもニュアンスも異なる。だから苦しみを共有
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モリのいる場所(2018年製作の映画)

4.0

 熊谷守一という95歳の画家のある一日を描いた作品である。最初に画家のアトリエらしき部屋が静かに紹介されるが、部屋の主は現れない。ただフクロウが目をぱちくりしているだけである。画家は今日もいつも通り庭>>続きを読む

妻よ薔薇のように 家族はつらいよⅢ(2018年製作の映画)

4.0

 アメリカでは映画でも小説でも、家族が第一であるという価値観が金科玉条のごとく扱われているが、日本ではそれほどでもない。普通の人の普通の日常では仕事や学校が優先でどちらかというと家族は二の次だ。家族が>>続きを読む

のみとり侍(2018年製作の映画)

3.5

 数日前に松坂桃李の「娼年」を観たばかりで、あちらは現代版の男娼であったが、こちらは時代劇だ。寺島しのぶはゴールデンウィークに舞台「ヘッダ・ガブラー」を観た後に映画「オー・ルーシー!」を観た。特になん>>続きを読む

四月の永い夢(2017年製作の映画)

4.0

「ローマの休日」と並んで映画ファンなら知らない者はいない名作「カサブランカ」のオマージュだろうか、映画の中の名曲「時の過ぎゆくままに」が象徴的に、効果的に使われる。念のために書くが、沢田研二の曲ではな>>続きを読む

私はあなたのニグロではない(2016年製作の映画)

4.0

 学生時代に「マルコムX自伝」を翻訳で読んだことがある。内容はもう覚えていないが、黒人の誇りと怒りが激しい言葉で書かれていた気がする。ボールドウィンは作家ということは知っていたが作品を読んだことはなか>>続きを読む

娼年(2018年製作の映画)

3.5

 平日のレイトショーだというのに、渋谷の映画館は若い女性客で一杯だった。メンズデーなのでオッサンばかりだろうと予想していたのが見事に裏切られた格好である。一昔前なら女性が観賞することが憚られるような映>>続きを読む

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