LEONkeiさんの映画レビュー・感想・評価

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さらば映画の友よ インディアンサマー(1979年製作の映画)

3.3

『キャーンヌだよ!キャンヌ!、キャンヌ映画祭でゴダール君が…』

1968年学生と機動隊が激しく衝突し、府中では三億円強奪事件が起き、キング牧師、ロバート・ケネディ大統領暗殺事件、ベトナム戦争の激化、
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ハッシュ・マネー(2016年製作の映画)

1.5

穏やかな絵を描く人間が穏やかなココロを持っているとは限らない。

根は真面目であるはずの美術教師が裕福な娘を攫って身代金誘拐をするが、計画性もなく杜撰で感情的すぎる行動が馬鹿らしいがコメディと捉えて良
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ブラック・ムーン(1975年製作の映画)

3.5

例え飢え死にしてもいいから自分は黒光りしチョロチョロしたコオロギだけは絶対に食べない。

何でもない人にはなんて事はないだろうが、昆虫嫌いの自分にとっては辛く目を背けたくなる耐えられない前半のあるワン
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潜水艦クルスクの生存者たち(2018年製作の映画)

2.0

軍事費を無意味に削減し腐敗した社会主義の慣習は、結果的には自国民を苦しめ尊い命は軽んじらる。

ソ連の原子力潜水艦技術の極致を顕わす史上最大の攻撃型潜水艦〈クルスク〉が、2000年に演習中に起こした沈
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サンダーバード 劇場版(1966年製作の映画)

3.3

表情が全くないのに感情が伝わる。

それは人形の冷たい無表情がまるで能面のように様々な角度によって感情を作り出す演出。

展開が緩いのとピンクのロールスロイスに乗るペネロープ嬢の吹き替えが黒柳徹子と言
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拳銃王(1950年製作の映画)

3.5

伝説のガンマン〝ワイアット・アープ〟に勝るとも劣らない実在した希代のガンマン〝ジョニー・リンゴ〈別名リンゴ・キッド〉〟晩年の物語。

〝ジョニー・リンゴ〟と言えば数々の西部劇に登場するし真っ先に思い出
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アイアン・カウボーイズ ミーツ・ゴーストライダー(1994年製作の映画)

2.0

鉄の掟を破った逃亡者は残酷で無慈悲な亡者に地獄の果てまで追われ続ける、ただそれだけのコメディは製作〝アキ・カウリスマキ〟の色が出ているようで全く出ていない。

全く役柄は違うが〝マッティ・ペロンパー〟
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KAFKA/迷宮の悪夢(1991年製作の映画)

3.3

悪夢を書き続け、悪夢に冒される。

第一次世界大戦後のプラハは渾沌とした暗黒の時代、権力者に支配され官僚社会に従属するのは〝フランツ・カフカ〟も同様。

悩める〝カフカ〟が巻き込まれる悪夢を独創的な物
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パラダイスの夕暮れ(1986年製作の映画)

3.7

清いものは常に汚れたものの中から生まれ、光り輝くものは常に暗闇の中から生まれる。

社会の片隅で静かに息をする落伍者にとっては夢を描く希望も絶たれ、真っ黒な影に覆われたマイナス100℃でも凍らないアパ
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DAICON FILM版 帰ってきたウルトラマン(1983年製作の映画)

1.5

話は全く違うが髪型の〝ツインテール〟の語源は『帰ってきたウルトラマン』に登場するサソリが激怒したような、或いはシャコのお化けのような気持ち悪い〈古代怪獣ツインテール〉から来ている和製英語。

英語では
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木靴の樹(1978年製作の映画)

3.9

事実 〈fact〉と虚構〈fiction〉を情緒的且つ耐え難き不条理を容赦なく描く、それは正にファクション〈faction〉映画の極み。

この映画の出演者はベルガモ地方の農民たちで、19世紀末イタリ
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女ガンマン・皆殺しのメロディ(1971年製作の映画)

2.5

虫の知らせかタランティーノが『キル・ビル』の製作にあたりインスピレーションを受けたひとつがこの作品で、20世紀最大のグラマー或いはセックスシンボルとして一世風靡をした〝ラクエル・ウェルチ〟が昨日202>>続きを読む

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)

2.0

果てしなき欲望は枯渇することはないが、盲目者は底沼の愛に溺れ浸っていることを知らない。

乗り換えが上手な方が良いのか苦手な方が良いのかは一概に善し悪しは言えない、乗り換えられた側を考えなければ再び同
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いつか、きっと(2002年製作の映画)

2.0

花言葉が何で存在するのか考えたくなる。

17世紀頃のトルコで文字や言葉ではなく花に思いを託し相手に贈る風習があったとか、日本では明治初期頃にイギリスをはじめ西洋から伝わったとか思いを伝える為に花言葉
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ダイヤモンドの犬たち(1975年製作の映画)

2.2

この邦題をデヴィッド・ボウイの『ダイヤモンドの犬(Diamond Dogs)』から引用したかどうかは知らないが、涎を垂れ流し宝石に群がる犬たちは姿勢を低くし尾っぽを股に挟んで静かに獲物を狙う。

灼熱
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ザ・ガーデン(1990年製作の映画)

1.1

カタツムリは同一個体が卵子と精子を持ち合わせた独立受精型の雌雄同体だが、それでも他の個体と交尾することによって受精し産卵する。

何故交尾をするのかと言えば子孫を残す以上に求める〝快楽〟の素晴らしさを
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原爆下のアメリカ(1952年製作の映画)

2.5

米国本土各主要都市に無慈悲にも次々とボンボンボンボンと核爆弾が投下され、手も足も出ない米国政府や軍や神に縋っても阻止できない無力感に支配される人々。

一方的で反撃すらできず想定外の核攻撃によって滅茶
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安宅家(あたかけ)の人々(1952年製作の映画)

3.5

謹厳実直な妻〝田中絹代〟に献身的に支えられ、純粋で鮮美透涼な義妹〝乙羽信子〟を慕う、頭の弱い夫を演じる〝船越英二〟は適役で素晴らしい天使。

ショパンの独奏ピアノ曲〈練習曲作品10第3番ホ長調〉、いわ
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ポゼッサー(2020年製作の映画)

2.0

蛙の子は蛙、その真意の原点はオタマジャクシ(お玉杓子)に有り、お多賀杓子(おたがしゃくし)〉から来た縁起物。

よく見るとグロテスクなオタマジャクシも父譲りの遺伝子をどれだけ受け継ぎ創造していくのか。
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居酒屋(1956年製作の映画)

3.7

この世が不条理に満ち溢れているのか、或いは醜類の悪縁が世俗にまみれるのか。

パリの若き洗濯女ジェルヴェーズの深奥なる真誠は、チンケな社会領域を超越し絶望に打ち拉がれる。

一度割れた酒瓶をいくら修復
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罪の声(2020年製作の映画)

1.0

多分小説は違うのだろうが映画の短い枠内では仕方ないにせよあまりにもトントン拍子で確信に迫り過ぎ、また自我の欲望にトチ狂ったガサツな犯人グループのチンケな劇場型犯罪にしか映らないのも残念。

状況証拠を
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テルアビブ・オン・ファイア(2018年製作の映画)

2.0

風刺やコメディのレベルは優しくクリーミーなアラブの伝統料理〈フムス〉並だが、食に国境は無くてもアイデンティティの国境線はキッチリと引かれている。

現実が深刻なだけにあまり深く考えずに観れば其れなりに
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高度7000米 恐怖の4時間(1959年製作の映画)

2.0

良い意味で怪演して来た奇人変人役者の加藤嘉・殿山泰司・左卜全が、ひとつの画に収まっていることが恐ろしい高揚感で満腹満足。

脱いだら墨を彫り込んでいそうな高倉健の機長も危なっかしいが、上空7000米の
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ローマに消えた男(2013年製作の映画)

2.2

イタリア総選挙が迫る中、支持率低迷に悩む最大野党党首が突然ローマから消えてしまう。

その党首の身替りとして単独で秘書が内密に、双子の兄を探し党首として据える事になるコメディだが…。

非現実的で馬鹿
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噂の女(1954年製作の映画)

3.7

何でこの世は自分の思い通りに行かないのか、それは自分ひとりで生きている訳ではないからだ。

親と子の関係性は理屈ではない逃れられない強固な結びつきが有るが、その前に意思を持ったひとりの人間で有ることも
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求むハズ(1960年製作の映画)

2.5

こちらが相手の望むモノだと思い込み良かれと思い与えても、相手が違うモノを望んでいたら永遠に距離は近づかず遠のくばかり。

何を求め何を拒むのか…。

当たり前のことだが当たり前なことが実際には分かって
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シェフ 三ツ星フードトラック始めました(2014年製作の映画)

2.0

キューバサンドは今でも好物だが、都内の店を数年前にはよく食べ歩いた。

その中でも今でも仕事で近くを通りかかった時には立ち寄る茅場町の〈CUBANO CUBANO〉、細い裏路地にひっそり構える小さなキ
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にがい米(1948年製作の映画)

3.0

にがい米を食べる経験をしなければ、美味しい米の味は決して分からない。

苦しみや痛みを知るものは、強く逞しく生きることができるだろう。

広大な土地に敷き詰められた田んぼで働く女達の姿はミレーの『落穂
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東京のえくぼ(1952年製作の映画)

3.0

本日で2022年の最後のレビューとなります。皆さま本年も誠に有難うございました。
映画の中身云々と言うより自らの過去から養われた感性と人生観を照らし合わせた、単なる戯言を綴るだけのレビューでしたがまた
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ファーザー(2020年製作の映画)

3.0

死の世界は死んでみないとその存在すら分からないが、痴呆の世界も痴呆にならなければ決して分からない。

理解しているようでまったく理解していない其々の異世界に、誰もが踏み入れる可能性が有り誰もが戸惑い凄
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ねじの回転(2009年製作の映画)

1.5

原作〝ヘンリー・ジェイムズ〟を映画化した1961年版『回転』を観ているからこそ観た本作品だが、もし仮に観ていなかったら完全スルーしてたであろう『ねじの回転』。

嫌でも比較してしまうのは仕方ないが本作
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キャノンフィルムズ爆走風雲録(2014年製作の映画)

3.0

イスラエルからやって来たメナヘムとヨーラムは低予算&短期間で映画を次々と制作しまくり、実にハリウッド映画全体の20%もの興行収入を納め大手映画会社を脅かし大帝国を築いたキャノンフィルムズ。

二人の男
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いぬ(1963年製作の映画)

3.9

この映画の中の〈いぬ〉とは警察に犯罪情報を流したり捜査協力する密告者、〝ジャン=ポール・ベルモンド〟がスマートでクールな警察の犬を演じるフレンチ・フィルム・ノワール。

絶妙なライティングで光と影を描
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ユモレスク 〜逆さまの蝶〜(2006年製作の映画)

3.3

何ものにも縛られず破天荒で気まぐれ、掴めそうで掴めない華やかな蝶よ美しい花よ。

10代の少女の揺れ動くココロは分からなくても、こう言う映画を一度は撮りたい気持ちは良く分かる。

理解できるかできない
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夜の配当(1963年製作の映画)

2.8

巨悪な大企業への反逆。
これは善と悪の問題ではなく悪と悪、正義と不正義の闘争。

業界最大手の繊維会社〈世界レーヨン株式会社〉を相手に、法律の隙を巧みに利用し巨額の資金を奪い取るひとりの男。

紳士を
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唇からナイフ(1966年製作の映画)

3.0

唇からナイフ・指先から毒針・瞳からレーザー・耳から煙幕・肘からマシンガン・つま先から火炎放射は全くでませんが、生身のカラダひとつで〝モニカ・ヴィッティ〟のお洒落なファッションや髪型が沢山見れる007も>>続きを読む

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