dojiさんの映画レビュー・感想・評価

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シンドラーのリスト(1993年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「ユダヤ嫌いは前からあった。それがいまは国策になった」というセリフがある。それでも、SSのメンバーが躊躇せずにユダヤ人を射殺していく姿を見ていると、どうしてなにも感じないでいられるんだろうと思う。この>>続きを読む

砂の惑星(1984年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ヴィルヌーヴによる2作分の5時間を知ってしまってからだと、そりゃこの尺だったら駆け足にならざるをえないだろうな、と思いながら、part 2のラストの合戦シーンの省略感は本作と大きな違いもなくて、もしか>>続きを読む

ゴジラ(1954年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

『オッペンハイマー』を鑑賞してからだと、ここで描かれている芹沢博士の選択がどれだけ理想的であるかが痛いほどわかる。原爆、水爆が生み出され、その技術が広がってしまうことで、抑止力という概念が発明される。>>続きを読む

アンカット・ダイヤモンド(2019年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ドラマシリーズ「THE CURSE」を観始めて、さすがの不愉快演出…と思っていたけれど、『グッドタイム』『神様なんてくそくらえ』にはどこかセンチメンタルな雰囲気があって、本作あたりからはそういったもの>>続きを読む

アンチソーシャル・ネットワーク: 現実と妄想が交錯する世界(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

HBOのドキュメンタリー「Qアノンの正体」と補完し合うような内容というか、かつては仮想やヴァーチャルと呼ばれていたものが、ウォール街や議事堂を覆っていき、現実そのものの一部として猛威を振るう過程がわか>>続きを読む

オッペンハイマー(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭からオッペンハイマーはひどく頼りなく、天才物理学者としてのブリリアントさにも欠けるし、組合の運動と量子力学への傾倒という、アメリカではまだ少数派だったムーブメントに情熱を傾ける姿は、素朴な青年のよ>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭さっそくゴジラ登場におどろいたテンションのまま、高雄との交戦シーンのVFXのクオリティに感動した。そのあとも基本的に右肩上がりでビジュアルの鮮烈さは増していき、日本映画でここまでのクオリティのもの>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ポールとチャニのあいだに徐々に親密さが生まれていく様子をみているのはなんだか幸福で、ふたりが海原の光景を夢見ながらキスをするシーン、なんでこんなにエモーショナルなんだろうと思っていたら、そうか、そうい>>続きを読む

ビリーバーズ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

日本はオウムの事件があったのでカルト宗教に対するある種の元型のようなものが、あらゆる人のあたまやこころに入り込んでいるので、それをそのままトレースするような展開や設定は、ある意味でそこまで含みを持たせ>>続きを読む

アメリカン・フィクション(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

他者が捉えるステレオタイプに縛られた「リアル」と、とにかく生きているだけで目の前にあらわれてくる「リアル」とのギャップを知的なユーモアで描いていて、観終わったあとにそれぞれが独特の味わいとともに残る。>>続きを読む

ジョン・ウィック:コンセクエンス(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ストリートペイントや甲冑、ドラクロワの絵画など、「鑑賞」を目的とするようなものが随所に散りばめられていて、動く絵画としてのアクションムービーが模索されているのがわかる。よく、あたまからっぽにして観れる>>続きを読む

シック・オブ・マイセルフ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

さだまらないじぶん、についての映画としては『わたしは最悪』が浮かんだりしたけれど、シグネにとって悲劇なのは、彼女はあのあと『sick of myself』を手記として書くことができなかったことだと思う>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「気を遣わせているのもハラスメントなんじゃないの?」というセリフがぐさりと刺さった。ぼくも30代でひとりで生きていると、いろんなことを言われたり聞かれたりする。そのたびに、それこそ気を遣わせないように>>続きを読む

リトアニアへの旅の追憶(1972年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

3つパートに分かれた撮影の時期はばらばらとはいえ、フィルム映画という媒体そのものに焼き付けられていることをそのまま映画としてまとめ上げているところに、1972年の映画ということを忘れてしまう不思議な感>>続きを読む

東京夜曲(1997年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

これはインターネット前夜ぐらいの時代の感じだなと思いながら観た。下町のコミュニティへのノスタルジアって、どこか大昔のように感じてしまうところがあったけれど、本作ぐらいの時代だと、感じたり経験したりした>>続きを読む

ニモーナ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

ラストでニモーナが姿を変えてしまってから、復讐心で街を破壊していくのかと思いきや、彼女が最初に社会からの拒絶を感じたシーンをかたどった巨像に刺されて自殺しようとしていることがわかる。彼女がずっとふざけ>>続きを読む

ナイアド ~その決意は海を越える~(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

挑戦することに年齢は関係ない、というメッセージは数あれど、ここまで説得力と現実的な描写でやりきった映画はそうないのだろうなと思う。主演ふたりはレッドカーペットにあらわれたらこころを奪われずにはいられな>>続きを読む

落下の解剖学(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「夫婦生活はときにカオスに陥ることがある」というようなセリフがあったけれど、もしかしたらfallというのは落下であり、ふたりの関係性の終わりであり、ある男の終焉のことなのかもしれないと思った。もしかし>>続きを読む

ダム・マネー ウォール街を狙え!(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

なぜ価格が下がるごとに利益が出る仕組みが存在するのかはよくわからないけれど、マネーショートを踏まえた上で本作を観ると、値上がりし続ける保有株の描写にはぞくぞくするのと同時にほんとうに怖くなって震えてし>>続きを読む

僕らの世界が交わるまで(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

すれ違い続けるふたりにくすくす笑いながら、ものがたりのラストのシンプルな帰結にはしっかりこころを動かされた。ふたりの胸の中でなにかの感情が動いていることをじっくりカメラのズームで描くのにはなんだかユー>>続きを読む

ストップ・メイキング・センス 4Kレストア(1984年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

IMAXで観たら音がよすぎて、デヴィッド・バーンがストラトキャスターをリアのピックアップで弾いてるのが音と映像を通してありありと感じられる。それにシンセサイザーのソロの発音の明瞭さに驚いた。ピッチベン>>続きを読む

夜明けのすべて(2024年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

アルプラゾラムが出てきて、ぼくも飲んでいた時期があったから、思わず山添くんの症状が出るところでぽろぽろ泣いてしまった。経験のあるひとはちょっといろいろと思い出される描写かもしれない。

PMSとパニッ
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アクアマン/失われた王国(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

開始5秒でバイヴス高めだし、全作同様ご機嫌に走り抜ける2時間がずっと楽しい。美術と衣装とクリーチャー描写のバラエティの豊かさは期待通りで、タコのトポがかわいすぎてもっとみたかった。水中カンティーナもと>>続きを読む

哀れなるものたち(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

家父長制をぶっ壊すために生まれたようなベラ・バクスター、そして彼女の創造主たるウィレム・デフォー演じる神=ゴッドという人物が、愛を受けずに生きてきた孤独な科学者である描写になんだかぐっときてしまって、>>続きを読む

ショーイング・アップ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

あるアーティストの数日間を描きながら、同時にアーティストたちのコミュニティのありようを生き生きと描いていて、悩みながら表現に向かっていくことの美しさに溢れた映画だと思う。「ほんと勘弁して…」と音になら>>続きを読む

アアルト(2020年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

資料映像とインタビュー音声からなるドキュメンタリーとしての手堅い形式を守りつつ、あくまでインタビューイたちの姿をまったく映さない姿勢には、アルヴァのことをあくまで客観的な史実から捉えようとする監督の意>>続きを読む

3-4x10月(1990年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

全体として散文的だしラストの感じからすると夢落ちを匂わせるのだけれど、武的文法が成立しているから(逆に言えばそれしかない)観れてしまうという不思議。沖縄のくだりはバランスとしてあきらかに必要以上な長さ>>続きを読む

ソナチネ(1993年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

もういいや、と思ってしまった男の最後の数日間についてなので、ずっと死の匂いがただよっているし、そのどろりとした空気の重さが、どういうわけか夢の中にいるような心地よい気持ちにさせる。すべての美しいシーン>>続きを読む

ゴーストワールド(2001年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

10年以上前に観たときは、イーニドのラストの行動のように、旅行鞄ひとつだけもってだれにもなにも告げずに消息を断ちたいというアイデアに、取り憑かれたように魅了されていた。でも、なんでシーモアみたいなおじ>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

リューベン・オストルンドはたしかにずっと『バービー』みたいな映画を撮っているなあと、この作品を観てあらためて気づいた。男女の会計で問われる「平等」、ハイファッションのコレクションで謳われる「平等」、富>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

「ありえたかもしれない人生」を思うのはマルチバース映画に限らずすべての映画にも言えることで、痛みとともにそんなことを想像してしまう観客に対して、映画はなにを語るべきなんだろうと考えると、この作品が言っ>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

男性にトラウマを植え付けるのが得意な俳優ことミシェル・ウィリアムズの存在感に、胃が痛くなるような映画だなとあらためて思った。キャンプでのダンスシーンを形容するのに、悲しいとか痛々しいとかいろんなものが>>続きを読む

フィンガーネイルズ(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

じぶんにパートナーがいて、愛されているし愛している実感はあるのに、なぜか孤独を感じてしまうこと。こうやって書くと、そんなのあたりまえじゃないか…とか思ったりもするけれど、ぼくは当事者じゃないのでよくわ>>続きを読む

PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

毎日の繰り返しの中に楽しみを見出すことを、役所広司の演技だけで説得力を持たせているのがすごいなと思う。木漏れ日を記録するように、ちょっとしたことに美しさを見出す平山さんの造形がとてもいきいきと描かれて>>続きを読む

ポトフ 美食家と料理人(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

冒頭のウージェニーの料理シーンは開放的かつ協調的、料理をつくる喜びにあふれた笑みが口元に浮かび続け、こちらも胸の高鳴りが抑えられなくなる。一方、体調を崩したウージェニーたったひとりに料理をふるまうドダ>>続きを読む

(2023年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

武映画はある種の割り切りがあってこそ楽しめるというか、裏をかいたりはぐらかしたり、開き直ったりする監督の姿勢がこれまでの作品を観てきて積み上げられているので、俗物性と即物性を受け止めた先になにを感じら>>続きを読む

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