efnさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ゴーストバスターズ(1984年製作の映画)

3.8

 昔はビルマーレイを主役にしておいれ何故ホラーなのか、という疑問があったけど、今ではそれこそがこの映画のキモなんだろうと思うようになった。
 ホラーでコメディ、コメディでホラー、謎の熱波で弾け飛ぶ卵と
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シェラ・デ・コブレの幽霊(1964年製作の映画)

3.7

 64年公開で現象を多用した幽霊映画ってだけで貴重だし歴史的な価値がある。
 POVで何かが迫って来たと思ったらわけわからん間に強風に煽られたり、何もないのに蝋燭がフッと消える演出の妙よ。勝手に崖に向
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男たちの挽歌(1986年製作の映画)

3.8

 銃撃の反動で身体ごと後ろに吹き飛ぶとか転けた勢いでそのまま回転するのが香港流。スローモーション自体はアメリカの発明だけど、それだけでは説明できないアクションの魅力がある。まぁ筋はベタなんだけど。

蜘蛛の瞳/修羅の狼 蜘蛛の瞳(1998年製作の映画)

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 車で後退しながら追いかけてくる大杉漣と前後退しながら追ってくる殺人カメラから逃げる諏訪太朗。
 今日も殺し屋に雇われたり幽霊を見たり忙しい哀川翔。いい加減に休ませてやろうよ。

蛇の道(1998年製作の映画)

4.0

 CUREより怖い。失禁とか犬食いを長回しで撮るあたりは何時もの趣味か、となるんだけど、この映画には作家性とかジャンルで説明できないヒリつきがある。
 車中で目を剥いてコンパクトテレビに映った娘に話し
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WILD LIFE(1997年製作の映画)

3.9

 やくざの尋問場面はかなり好き。逃げ延びるまでの長回しが終着点に向けてバチっと決まってる。トラッキングやパンより遠景を重視しているから黒沢というより相米なんだけど、その二人ともさらに違ってちょいちょい>>続きを読む

リング(1998年製作の映画)

3.9

 メディアホラーの傑作。アナログビデオのホワイトノイズやフリッカーが幽霊を二倍にも三倍にも怖く見せる。
 紙媒体は支離滅裂なのにビデオだけは指示している方向が明確なのも不安を煽ってる。こちらを見据える
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仄暗い水の底から(2001年製作の映画)

3.8

 怖がらせる手段だった水がフェティッシュの発露になってる。とにかく水、水、水流。天井からの雨漏れはマシな方で風呂場からも貯水塔からもエレベーターからも水が溢れ出す。
 いやそも、これはJホラーなんだろ
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学校の怪談4(1999年製作の映画)

3.9

 隠れんぼを神隠しで読み解くってのはいいけど、やり方が怖すぎる。水に濡れたランドセルが子を海に引きずり込み、プールのそこに沈んだ上靴が生徒を溺れさせようとする。ここでは水そのものも意思を持つ。貯水槽か>>続きを読む

学校の怪談3(1997年製作の映画)

3.6

 ブギーマンがいちばん怖い。どんな妖怪も包丁を振り上げた生身の人間には勝てないのだ。
 合わせ鏡は扉以上の機能がなかったから残念。トリックはいくらでも仕込めるのに何故なんだ。何なら前作のウィンクするモ
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学校の怪談2(1996年製作の映画)

3.7

 岸田今日子をろくろ首にキャスティングした功績だけでも評価してあげたい映画。二宮尊徳も笑える。
 前作に比べたら情緒はないけど、最後の車道と線路の分岐だけはよかった。都会人と田舎泥棒の運命はもう交わら
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学校の怪談(1995年製作の映画)

3.8

 ホラーとも中学生日記とも違う空気感がすごい。シチュエーションは館物でそのもので廃校に閉じ込められて逃げ回るだけだけど、用務員のおじさんや人体模型がクリーチャーだからノスタルジックな印象がついてまわる>>続きを読む

HOUSE ハウス(1977年製作の映画)

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 特撮は良質だけど大林のフェティッシュとカッティングの趣味についていけなかった。なんでディゾルブがこんなに悪趣味に見えるんだろ。

吸血鬼ゴケミドロ(1968年製作の映画)

3.8

 要所要所の赤色がゾクッとさせる。夕陽に模した円盤は捕虫器そのものだし、額がパカッと割れて液状の宇宙生物がヌルヌル時間をかけて侵入する場面も傷口の形状が血液の赤と生物の銀色を際立たせている。冒頭の赤く>>続きを読む

BULLET BALLET バレット・バレエ(1999年製作の映画)

3.8

 割窓と指鉄砲。女に自殺されチンピラに殴られ、溜まりに溜まった殺意が抗争に巻き込まれてはじめて爆発する。
 指鉄砲を元カノが残した自殺の弾痕に重ねるとか、その辺の詩情が不合理を支えてる。こういう当人が
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CASSHERN(2004年製作の映画)

3.6

 セピア調の全体主義っぽい空気感とか新古典風の建築とか近代に蒸気機関を接合したような乗り物とか...庄野晴彦の部分はすごい。シナジー幾何学の集大成と言ってもいい。
 ただCGの抽象度と生身の人間が合っ
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鉄男 II BODY HAMMER(1992年製作の映画)

3.8

 筋肉、鋼鉄、戦車と順々にかたく、でっかくなるのがいい。筋肉と工場の相性を鉄を経由して確認できた。
 鉄男にあった加速感とかMV風の編集がないから薄味だけど、無印でもたれた身としてはこれくらいで十分。
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電柱小僧の冒険(1995年製作の映画)

3.9

 冒頭の実物の電柱と背中の模型の比較ショットからモチーフを持続させてんのが偉い。いじめにはおじぎ、曇には電灯の光、オチの照れ点灯も素敵。キャリーカーチェイスもかっこいいし鉄男より好きかもしれん。

ゼイラム(1991年製作の映画)

3.7

 別れた女房とのあれこれをロングテイク五分くらい車中で語る蛍雪次郎、三度笠怪人から逃げる雪次郎、怪人にクローンを造られるも役立たずで踏み殺される雪次郎、ショベルカーで突撃するも蹴散らされる雪次郎...>>続きを読む

人造人間ハカイダー ディレクターズカット版(1996年製作の映画)

3.7

 霧を突っ切るチェイスシーンとか吹っ飛んだ歩兵の首から羽がびらびら舞う特殊効果がいい。雨宮のつくる世界観はグロテスクだけど、演出でこういう詩情を載せてくるからにくい。ただしくモンタージュ。
 首長ロボ
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アルファヴィル(1965年製作の映画)

3.8

 オーウェル的なビジュアルで出発しているのにブラッドベリに着地しているのがゴダールらしい。トリュフォーもそうだったけど、感情を抑圧する論理/機械を詩で破壊する脚本が好きだよね。
 トリュフォーはこれを
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マーズ・アタック!(1996年製作の映画)

5.0

 鳩は開戦の合図!握手に答えた奴は焼き殺す!!オベリスクもエッフェル塔もへし折る!!!ラシュモア山は火星人顔に書き換える!!!!鳩も鷹も死ね!!!!!の勢いがすごい。
 各々のイデオロギーが加速すれば
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世紀の謎・空飛ぶ円盤地球を襲撃す(1956年製作の映画)

3.5

 B29や管制塔の車窓に円盤が迫ってくるショットがいい。爆撃機や戦闘機の墜落映像へのはめ込みにも違和感がないし、こういう主観性を大事にした合成はアメリカがうまいよね。
 全体の抽象度がちぐはぐだから映
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ロード・オブ・ザ・リング(2001年製作の映画)

3.8

 ナズグルが追い付く手前で小道の被写体深度がおかしくなるとか坑道の橋の倒壊を俯角をつけて捉えたショットがいい。奥行きを掴むのはうまいんだよな。宮殿の円柱の群れも炎の渦巻きを軸にして遠近感をだせてるし。>>続きを読む

NOPE/ノープ(2022年製作の映画)

4.0

 黒人だけでマイブリッジの再現するぞ、テーマパーク化した西部劇はスクラップだ!!ってオラオラしながらも映画史の回想やっていてよかった。
 でもゴロツキながらも視線は優しい。最後の西部劇(僻地の牧場主)
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クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

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 粗筋程度で俯瞰するならCUREの催眠術師を詐欺師に換えただけの映画なんだけど、フィルムを回す目的が殺人(決定的瞬間)の演出ではなく、会話劇の引き伸ばしになっていた。夫婦の断絶やそこにつけこむ境界性人>>続きを読む

ホビット 決戦のゆくえ(2014年製作の映画)

3.7

 ロード・オブ・ザ・リングの頃からだけど、群衆を単純な線で捌くショットがやたら多い。戦列や難民が縦横にきれいに列んだ画はそれだけで楽しいし、光の差し方といいルジューヌやブリューゲルにきっちり学んでいる>>続きを読む

ホビット 竜に奪われた王国(2013年製作の映画)

3.6

 ドワーフが森や城の内部を縦横無尽に駆け巡る様を観ているとゲームムーヴィーみたいなフェティッシュもバカにできなくなる。映画としては見辛いけど、それを越えて楽しい。広い空間で十何人がそれぞれなんの役割を>>続きを読む

ホビット 思いがけない冒険(2012年製作の映画)

3.1

 これだけ規模の大きい話で潤沢な予算を注ぎ込んでいるのにショットが機能しないのはある種の驚異ではなかろか。
 食卓で豪勢な料理が並んでも手元より下は断片だし森を駆け抜けても人影ばかりを追いかける。グル
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霊幻道士(1985年製作の映画)

3.8

 清朝のオリエンタリズムを着たゾンビとカンフーで戦う際物全部盛りみたいな作品だけど、きちんと香港映画の範疇で収まっているのがすごい。ジャンル映画はこういうお気軽なところがいいし、気合を入れなくても自然>>続きを読む

シン・ウルトラマン(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

 脱/構造主義として言いたいことはまぁいろいろとあるだろうけれど、喪われかけていた邦画の技巧(岡本、実相寺)や性癖(成田)を凝縮し観せてくれただけでも良しとすべきではないだろうか。単に記号を組み合わせ>>続きを読む

絞殺魔(1968年製作の映画)

4.0

 シームレスなフラッシュバックの妙よ。封印した殺意が蘇るとき、悶絶する男のカットを跨ぐように布を引き裂く音が、テレビから漏れ出たパレードの喧騒が決定的瞬間を呼び起こす。場所を変えれば過去だってわかるだ>>続きを読む

ヒッチャー ニューマスター版(1986年製作の映画)

3.8

 豪雨をかき出すワイパーの間からヌッと現れるルトガーバウアーから画としてはキマってる。ブレードランナーもそうだけど、雨に愛されている俳優だよね。他にも砂埃のなかからシルエットで現れるショットや明滅する>>続きを読む

THE BATMAN-ザ・バットマンー(2022年製作の映画)

3.7

 ハリウッドのサイコサスペンスを性癖凝縮したような映画。特に口を塞ぐ/身体を拘束する画が印象的で犠牲者はいずれも粘着テープでぐるぐる巻きにされたり時限式の首輪を嵌められて爆発を待つ羽目になる。この辺の>>続きを読む

M(1931年製作の映画)

3.8

 ピーターローレの目がすごい。五十人は下らないであろう群衆の視線とぶつかってもまったく負けていない。暗殺者の家の半眼も良かったし、この人は目線を送るだけで人の心に残る映画的な才を持っている。
 冒頭の
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バットマン(1989年製作の映画)

3.8

 フィルムノワールに喧嘩を売ったような作風だった。ゴッサムを覆うノワール風の影、新古典主義風のビル群、そこにアクセントを刺すかのように動き回る「白」のジョーカー、緑色の絵の具で落書きされるレンブラント>>続きを読む