えふいさんの映画レビュー・感想・評価

えふい

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オールド(2021年製作の映画)

4.2

ある作品が多大なるネームバリューを獲得し、それが産みの親自身のいうなれば魂めいたものすべてを物語るかのように人々に錯覚されてしまうのは、間違いなく「成功者」の証であると同時に作家としての彼・彼女らに解>>続きを読む

くれなずめ(2021年製作の映画)

3.9

はっきり言って、細緻な脚本だの斬新な演出だのとは無縁の代物だ。日常と非日常のあわいを整合性も脈絡もなく横断し、あげく時間ですらも弄ぶ人を食ったような脚本は、CGを用いたあの演出が「稚拙」と酷評されがち>>続きを読む

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)

3.9

いまこうして映画という芸術の一種を趣味にしていることが不思議なほど、私はとりわけ音楽や美術の成績がかんばしくなかった。だから本作に何事かもの申したりするならば、それはたちまち無教養もしくは芸術的才能へ>>続きを読む

機動警察パトレイバー2 the Movie(1993年製作の映画)

4.5

「戦線から遠のくと、楽観主義が現実に取って代わる。そして最高意思決定の段階では、現実なるものはしばしば存在しない。戦争に負けているときは特にそうだ」

この、本作を観た誰もが言及せずにはいられないだろ
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機動警察パトレイバー THE MOVIE(1989年製作の映画)

4.0

高度経済成長の功罪とテクノロジー信仰の危うさを、軽快なエンタメと重厚なサスペンスの明快なコントラストで描いた一作。劇場版ではあるものの、公式からパラレルワールドだという旨のお墨つきをいただいており、多>>続きを読む

映画大好きポンポさん(2021年製作の映画)

3.7

かつてサッカー選手やケーキ屋さん──いささか例が古いのは見逃してもらいたい──を夢見た子どもたちのおおよそがそうであるように、漫画家や小説家を志すも挫折し、民間企業の勤め人として働くことになる人は数知>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.5

「悲しみとは使い古した喜び(=OLD JOY)」──これこそが本作のほぼすべてで、八十分に満たない尺でありながら、セリフの多寡以上にそこで語られる含意の豊饒さに頭が下がる思いだ。
男ふたり、一泊二日の
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リバー・オブ・グラス(1994年製作の映画)

4.0

おそらくは中流階級かもう少し下層の人であろう女性と、いい歳して親のスネをかじる男性との、ケイパーものともラブロマンスともロードムービーとも定義できないこの代物は、そうした格式張ったジャンル映画的枠組み>>続きを読む

機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(2021年製作の映画)

4.3

モビルスーツとは殺戮兵器である。
1/100スケールのプラスチック模型になろうとも、ビデオゲームの操作キャラクターになろうとも、その根本はかわらない。本質的には、B級アクション映画におけるシュワルツェ
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劇場版 少女☆歌劇 レヴュースタァライト(2021年製作の映画)

4.0

演劇に命さえ燃やしかねない少女たちは、荒野を目指す。
頂きを競い合う彼女たちのMADがMAXに至った刹那、少女は再生産される──。

まずはじめに、テレビアニメ版の総集編である前作『少女☆歌劇 レヴュ
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ゴジラvsコング(2021年製作の映画)

2.4

誰ひとり人類存亡について真剣に考えてるとは思えないほど、迂闊で後先考えない行動のオンパレード。
そのおかげで怪獣側に肩入れしたくなってしまうのは、ひょっとしたら製作側の思うツボなのだろうか……。
『キ
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ファーザー(2020年製作の映画)

4.7

"「惚け老人だから何をするかわからぬという怯えた顔をしとるが、わしはお前らの言う認知症などではないぞ。わしは謂わばパラフレーズ病なのだ。別名互換病」"
これは本作の台詞ではなく、筒井康隆による短編『ペ
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エンジェル ウォーズ(2011年製作の映画)

3.6

【戦う少女シリーズ in アメリカ】
「戦わなければ生き残れない!」

「ザック・スナイダー's ベストは?」と問われて、『300』や『ウォッチメン』を挙げる人は多いだろう。実際、映像美に途方もない執
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カランコエの花(2016年製作の映画)

3.8

序盤の、露出補正をかけたようにまぶしく陰が少ない映像は、フィクション的「理想の青春」をその色彩で表現したかのよう。中盤以降は一転、曇天のもとに褪せた色調が画面を支配する。
保健教師のあまりに迂闊で道徳
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The Witch/魔女(2018年製作の映画)

3.5

【戦う少女シリーズ in 韓国】
「チョウチンアンコウ作戦です!!」(ただしトドメも己で刺す)

「復讐なんてむなしいだけだ」とジョン・ドウは言う。まったく同感だ、と私は心の中で首肯しながら、手にした
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バトルシップ(2012年製作の映画)

3.6

既視感たっぷりのキャラクターたちと、既視感たっぷりの起承転結と、既視感たっぷりのセリフ群──しかしなぜだろう、嫌いになれない。いやむしろヘタに気取ったB級作品に比べて、無駄に陰鬱なシーンも凝ったようで>>続きを読む

街の上で(2019年製作の映画)

4.5

あなたが明日、国外追放により海外移住を命じられるとして、「出来らあっ!」と即答できる人はそう多くないだろう。では国内移動にかぎるならどうだろう?ひとまず生活するぶんには問題なさそうだ。われわれは日本人>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

3.8

【GW短文感想】
いつぞやの学生時代、暇を見つけては筒井康隆の短編を読んでは心の中で笑うという暗い青春を送っていたが、中・長編はほとんどスルーしていた。なので本作視聴後に原作をパラパラと立ち読みしたの
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イコライザー(2014年製作の映画)

4.0

【GW短文感想】
とにかく渋い大人のヴィジランテ・ムービー。
殺しの手筈がスマートならば作品の雰囲気もスマート。やたらと説明的な台詞を駄弁らせるような野暮さはなく、人物のちょっとした所作や日常会話から
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ウォッチメン(2009年製作の映画)

3.5

【GW短文感想】
「この街の通りはドブも同然だ。人の血が流れるドブだ。いつか下水道が溢れれば、クズどもは全員溺れ死ぬだろう。セックスと人殺しに耽ったあげく、己の罪に腹まで浸かった売春婦と政治家どもは、
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JUNK HEAD(2017年製作の映画)

4.3

大衆受けとはほど遠い、アクの強すぎる登場人物(「人物」なのかすら怪しい)たちやクリーチャー造形、排泄物や「クノコ」等の強烈なビジュアル。反してストーリーテリングやギャグはむしろスタンダードかつ古典的で>>続きを読む

プリンセス・プリンシパル Crown Handler 第1章(2020年製作の映画)

3.8

架空のヨーロッパを舞台に、美少女スパイが東奔西走するスチームパンク。キャラクターデザイン・黒星紅白氏の丸っこく優しい絵柄もあいまって、一見いかにも萌えアニメ風な装いだ。しかしスパイものの醍醐味たるスニ>>続きを読む

ガールズ&パンツァー 劇場版(2015年製作の映画)

5.0

「ガルパンはいいぞ」──その言葉に潜む無邪気な饒舌。

日々、稚拙ながらレビューというものに興じていると、作品を解体・解釈することが目的化し、「脚本」「テーマ」「撮影技法」「演技」等々の要素に言及する
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ハーモニー(2015年製作の映画)

3.2

エンターテイメントの臨界点、あるいは陳腐な表現が捨て去ってしまったもの。

お花畑版『北斗の拳』とでもいうべき、核戦争後の過剰なまでに健康で文化的な「最低」の平和社会が本作の舞台。そこにほのかな窮屈さ
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藁にもすがる獣たち(2018年製作の映画)

3.8

ネオンきらめく、極彩色の欲望がたむろする街並み。その煙たいほどに薄汚い絵面と、プロットに操られるがごとく駆動して噛み合う登場人物たちの様は、意図された非現実の表出。すべての境遇は行動原理として以上の意>>続きを読む

モンスターハンター(2019年製作の映画)

1.9

鑑賞中、拭えない疑問がひたすら脳裏にこびりついていた。「この映画は誰に向けてつくられたのだろう?」と。
ファミリー向けにしては過剰にグロテスクで、大人向けにしてはあまりに起伏がなく粗雑な脚本。ゲームを
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ガールズ&パンツァー 最終章 第3話(2021年製作の映画)

4.0

1話・2話と新機軸で「ガルパン」の可能性を披露しながらも、折り返し地点で展開を想定の範囲内に「置き」にきたという印象。そのためこれまでに比してカタルシスは希薄。
しかしながら、"音"で魅せるアニメ映画
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コマンドー(1985年製作の映画)

3.6

数え切れないほど存在するB級アクションそれ以上でも以下でもないのだが、吹き替えの妙によってそのなかでも唯一無二の地位を確立してしまった奇妙な作品。
ぶっちゃけスルーしても映画人生になんら差し障りないが
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シン・エヴァンゲリオン劇場版(2020年製作の映画)

3.7

まず私は、エヴァについては新劇場版を序からリアルタイムで追っていること、TVシリーズおよび旧劇場版についてはその顛末を聞き及んでいる程度であり、そうした人間の感想だということを前置きしておく。

まず
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ARIA The CREPUSCOLO(2021年製作の映画)

4.0

「ありふれた日々に潜むかけがえのなさ」を描き続けてきた『ARIA』シリーズは、例えば「優しい世界」などの言葉で広くカテゴライズされているアニメーションのひとつだ。15年という時の積み重ねによってついに>>続きを読む

Tokyo 7th シスターズ 僕らは青空になる(2021年製作の映画)

4.0

ちょいとそこのお兄さんお姉さん、アイドルはお好き?ならよかった、「ナナスタ」知ってる?聞いたことない?そりゃぁアナタ、人生を半分ぐらい損してるよ!だからさ、ちょっと話だけでも聞いてってよ。ね?

まず
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燃ゆる女の肖像(2019年製作の映画)

4.5

今日もまたわれわれは、いくばくかの労力と金銭を犠牲にしてまで映画館に赴き、どうかくだらない作品でないようにと心の片隅で祈りながら席に着く。仮に恋人とのデートの場として、あるいは仕事をサボるための隠れ蓑>>続きを読む

さらば愛しきアウトロー(2018年製作の映画)

4.5

"映画は「救い」ではない。救いとなる映画はあるかもしれませんが、救いが目的では絶対になくて、映画とは現在という時点をどのように生きるかということを見せたり考えさせたりしてくれるものです。"
前書きにそ
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ラブライブ!The School Idol Movie(2015年製作の映画)

5.0

本作が封切りされた2015年当時、TVアニメやアプリゲームの影響もあり、μ’sの人気はまさに飛ぶ鳥を落とす勢いであった。
かくいう私もファンのひとり……というより、私が足繁くライブイベントに通うように
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夏目友人帳 石起こしと怪しき来訪者(2021年製作の映画)

3.8

実質、テレビアニメシリーズ2話分の構成。主人公・夏目のこれまでの境遇や周囲との関係もことさら語られることなく、ほぼほぼ既存ファン向けに割り切った内容だ。
加えて今回は、キーアイテムたる友人帳の出番さえ
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銀魂 THE FINAL(2021年製作の映画)

4.0

これまでの劇場版に比べてギャグもそこそこに、真の、一応の、おそらくの、ようやくの完結が描かれる。最終決戦まっただ中からストーリーが展開されるため、ここまでのあらすじを紹介する親切設計が施されているもの>>続きを読む

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