iceblueさんの映画レビュー・感想・評価 - 3ページ目

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エタニティ 永遠の花たちへ(2016年製作の映画)

3.7

‘人生は死者を見送ることなのだ’
    
何気ない一瞬こそが幸せの欠片なのだと思わされるあのスローモーション。
満ち足りていた瞬間が際立つ演出。
  
ピアノ曲にのせて、台詞を抑え映像で綴る、上流階
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ロング・エンゲージメント(2004年製作の映画)

4.0

戦争映画なので悲惨なシーンに目を背けることも…
でもジュネ監督にかかるとやっぱりどこかおとぎ話風。映像がファンタジック。
細部がとても凝っているし、おまじないや私立探偵、郵便配達夫などユーモアのあるエ
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人生はシネマティック!(2016年製作の映画)

4.0

ぼんやり見始めたらなかなか好みの映画だった!こういうの嬉しい。
プロパガンダ映画製作の舞台裏。人々を鼓舞するため実話にこだわる製作陣。
プロットの組み立てからワクワク!でも映画の性質上数々の制約が…。
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メリー・ポピンズ リターンズ(2018年製作の映画)

4.2

懐かしい大切な人に再会したような気持ち。彼女の登場でじーんと…。
前作のジュリーは最高に輝いていたけれど、エミリーのすました佇まいもまた原作のイメージに近い気がして素敵。クラシックな衣装がよく似合って
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ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

3.7

マカヴォイさん、役が増えてた…
ギネス級の役作りに驚愕!
   
勿論、突飛な話です。
唖然としたり笑っちゃいそうになったり
なるほど…となったり。
でも背景には切なさや苦悩が。
アンブレイカブルの頃
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スプリット(2017年製作の映画)

3.5

大人の過ち…心の傷は怪物を生む。
        
23人の人格。
ワクワクしてましたがまさかまさか。
全員は無理ですよね。
でも一つのシーンで別人格へ変わるところはマジックを見せられたよう。仕草や声
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

3.8

オープニングはすごく好き。
並木道のドライブ。夫婦の会話は聞こえない。
妻の綺麗なうなじと肩のライン。
そしてヒッチハイクの若者が現れる。
ここからあとは奇妙な心理ゲーム。
優位に立とうと子供じみたや
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手錠のまゝの脱獄(1958年製作の映画)

4.0

‘俺たちは鎖で繋がってるんだ’…

面白かったです。
脱獄じゃなくて‘脱走’だったけど。
ハラハラの逃走劇と人種問題。
あからさまな黒人への差別。
そんなの当たり前だろ、という空気がやるせない。
誰も
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ライ麦畑の反逆児 ひとりぼっちのサリンジャー(2017年製作の映画)

4.1

皮肉屋なホールデン。自意識過剰な文体。10代で読んだライ麦が苦手で…。でも村上春樹訳が出た頃読み直したら見方が変わりました。
インチキ臭い大人、嘘や偽善に敏感で、無垢なものを求めていたのだなと…
サリ
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ナチスの愛したフェルメール(2016年製作の映画)

2.8

フェルメール展に行ったので、興味がわき鑑賞。
 
自らの筆で偽物と証明する贋作裁判
フェルメールとファン・メーヘレンの差
他人の名を騙る時点で
芸術家としては魂を売り渡している
復讐という名の自己愛に
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ヒトラーへの285枚の葉書(2016年製作の映画)

3.6

一枚また一枚
ナチスの批判をカードにしたためて
人目に触れるようそっと置く
ただそれだけ でも命を賭けて
3年間黙々と続けた夫婦の実話
 
戦死した息子の誕生日を祝う切なさ
機械工の夫とその妻の静かな
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IT/イット “それ”が見えたら、終わり。(2017年製作の映画)

3.3

悪い‘気’は次第に淀み、溜まってゆく
井戸や下水 地下深く暗いところへ
人の心の負の感情も
放っておくと淀んでいって
悪い‘何か’にとりこまれる…
    
ろくな大人がいない中、子供達が忌まわしい事
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大陸横断超特急(1976年製作の映画)

4.2

こういう心おきなく楽しめる映画は、
休日前の夜、ご飯も食べてあとは寝るだけ、でもちょっとお酒なんか用意して、ソファーにすっかり寄りかかっちゃって…という状況で観るのが最高なのではないでしょうか!
いか
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邪魔者は殺せ(1947年製作の映画)

4.0

地味な映画と思ったけれど、2度目の鑑賞は見所が多くて気に入りました。
まず邦題が格好いい。
でもストーリーがわかると、‘邪魔者’って?
はぐれ者っていう方が近いかな。しかも殺せって…。そんなに強硬な話
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モンパルナスの夜(1933年製作の映画)

4.0

メグレ警視って小説読んだことないのですが、こんなに古くからの刑事さんだったとは。シブい貫禄。
 
伯母が死んだら自分に遺産が転がり込む。男は酒場で‘誰か殺してくれたら10万フラン出すんだが…’と呟くと
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ミス・ペレグリンと奇妙なこどもたち(2015年製作の映画)

3.5

ギレルモ監督作品を観たのでバートン作品も。この二人のファンタジーは美術が凝っていて目にも楽しい。ダークなところもいいですね。
   
ストーリーがなかなか難解!映像も怖くて子供にはトラウマかも。甥っ子
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シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

3.7

気に入ったのは、寂しげで可憐な音楽と
カラーコーディネートの素晴らしさ。
深いブルーグリーンの濃淡は水中を思わせて神秘的。
   
主人公は健気だけど、情熱を秘めている。ベレー帽やタップの姿は可愛らし
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早春(1970年製作の映画)

4.2

少年が自転車で駆け抜ける冒頭のシーンが鮮烈。
50年も前の映画のなんと瑞々しいこと!
 
若いってこんなにも性急で
恋するってこんなにも独りよがり
紅顔の美少年と蠱惑的なお姉さん
 
公衆浴場の仕事っ
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ボヘミアン・ラプソディ(2018年製作の映画)

4.0

あの頃のロックスターの輝きが甦る…。
伝説のバンド!‘空に穴を開ける’シャウト!
タンクトップ姿のフレディも覚えてるし、懐かしい曲ばかり。
当時はわかりやすい王道のイメージを持っていたけれど、改めてク
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ぼくの伯父さん(1958年製作の映画)

5.0

お気に入りリピート映画の一本。
ジャック・タチの職人ぽいこだわりが好き。
   
ちょっとずれてるユロ氏。厄介者だけど甥っ子はなついてる。パイプをくわえて自転車に乗る飄々とした姿がトレードマーク。
 
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素晴らしき哉、人生!(1946年製作の映画)

4.4

‘もしもボックス’ではないけれど
人生に絶望した主人公に、羽根の無い守護天使が‘彼の存在しない世界’を見せてくれる。
この天使見習い、むちっとした可愛いおじさんなのがお茶目。
 
仮に自分がいなくても
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イーナちゃんとテディベア(1999年製作の映画)

4.2

とっても可愛い5才の女の子と
なくしてしまったぬいぐるみのお話。
このぬいぐるみノノーの旅が面白い。
  
スウェーデンの雪のクリスマス。
北欧ならではの絵本のような世界。
なぜこんなに愛らしいのでし
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セレンディピティ(2001年製作の映画)

4.2

本当に縁があるなら運命は二人に味方するはず…

一度出会っただけの風変わりでキュートな女性に惹かれ、わずかな手がかりを追って右往左往する話。ニアミスだらけで笑っちゃう。好きな映画が‘暴力脱獄’ってい
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サンセット大通り(1950年製作の映画)

4.6

なんといってもグロリア・スワンソン!
よくぞ引き受けたという強烈な役。哀れでもあり滑稽でもあり。生きた亡霊のようなかつての大女優。
意地の悪い映画です。‘まるで蝋人形’なんてセリフ、昔のサイレントスタ
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恐怖の報酬 オリジナル完全版(1977年製作の映画)

4.5

渋い…渋すぎる!
クルーゾー君のことが好きだったのに、格好いいフリードキン君が現れてどうしよう…という感じ。
昔観たクルーゾー版は洒落た演出があったり、互いの人間関係が描かれていたり。難所ももっとあっ
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動くな、死ね、甦れ!(1989年製作の映画)

4.5

純粋で強烈!1989年の作品とは思えない厚み。きっと監督の撮りたかったものが全部詰まってる。
人々の生々しい描写。狂った人。囚われた人。貧しい暮らし…
少年ワレルカの生き生きとした悪童ぶりは、何となく
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キャリー(1976年製作の映画)

4.0

怖さにも色々種類があるけれど。
哀しいホラーは心に迫る。
 
あの母親。
あの人に育てられたら私はきっと別人になってるはず…。可哀想なキャリー。悲惨な悪夢。彼女の心の叫び。
         
昔、血
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ホテル・ファデットへようこそ(2017年製作の映画)

3.3

しょうがない人ばかり出てくる。
そこがいい。
フランスの田舎街の小さなホテル。何にもしない女主人カトリーヌ・ドヌーブの余裕の開き直り。煙草の似合う貫禄とカラフルなゆったりワンピを着こなす美貌。腹の立つ
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ライ麦畑で出会ったら(2015年製作の映画)

3.5

レトロな水色の車。色づく木々が美しい晩秋の田舎道。隠頓生活を送るJ.D.サリンジャーを探す旅の物語。
どんなに冴えない学生生活だとしても、こんな愛らしい女の子が自分探しの旅に付き合ってくれるなんて素敵
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インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌(2013年製作の映画)

4.4

この色合い、風景、たまらなくいい。些細なシーンにも細やかなセンスが溢れていて素敵。猫がまた可愛らしいんです。
          
あの奇妙に狭い廊下のように、人生に行き詰まってるルーウィン。滑稽に思
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ヘレディタリー/継承(2018年製作の映画)

4.0

ふう~。大丈夫でした!(←何が?)
 
ちょっと置いてきぼりになったような感じでポカーンと…。でもじわじわとくる‘継承’というワード。そういう恐ろしさなのね。抗えない血の呪い。
 
最初の葬儀から感じ
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.4

頑なな心をほどくもの。
激しい怒りや絶望に寄り添うもの。
それは愛とか赦しとか、そういう血の通ったもの以外に無いかも知れない。
手紙。オレンジジュース。事件のファイル…
登場人物やその過激な行動に共感
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真夜中のサバナ(1997年製作の映画)

3.4

‘この油絵の下には実は別の絵が描いてあるんです’…

この殺人事件も街の住人達も、表面にみえているものと真実では違いがあるのでは…?と暗示しているよう。
容疑者となった富豪の告白にライターが翻弄される
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心みだれて(1986年製作の映画)

3.0

お気楽な80年代の懐かしさがいっぱい。
女性脚本家自身の体験も踏まえた結婚生活のあれこれ。二代スターが夫婦役。結婚を決める時は情熱的なのに、夫婦の関係って少しずつ変化してしまう。
男ってダメねと思う宝
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トーチソング・トリロジー(1988年製作の映画)

4.3

ウサギのスリッパやラジオのリクエスト。心にすーっと沁みるラストシーン。ずっと観たかった隠れた名作。
 
女装して歌うゲイのショーマン、アーノルド。ダミ声なのに乙女な心。ケバケバしい化粧を落とせばピュア
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A GHOST STORY ア・ゴースト・ストーリー(2017年製作の映画)

4.3

物言わぬ主人公。想いがあるからとどまっている。
長い長い‘間’に慣れてくると時間の観念が歪み、死者と同じまなざしを体感するようになる。せつなくも生者とは決定的に違う観念。
あの家、あの場所への心残り。
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