映画男さんの映画レビュー・感想・評価

映画男

映画男

顔を捨てた男(2023年製作の映画)

3.5

なかなかおもろい。

新薬により奇形から別人になり、名前を変えて新たな人生を順風満帆に送ってきた男がある日、過去の自分にそっくりな奇形の男と出会う。

奇形の男は顔面のコンプレックスを強みに変えて人生
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ストレンジ・ダーリン(2023年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

35mmフィルムで撮影したと本編前に字幕が入るということだけあってルックスはかなり良い。期待を裏切らない。音楽も良い。チャプターを分け、時系列をねじって物語るのも嫌いじゃなかった。しかし後味がかなり悪>>続きを読む

アフター・ダーク(1990年製作の映画)

2.0

ジム・トンプスン原作。価値観の不一致。
俺の欲しかったバイブスはなかった。

炎の人ゴッホ(1956年製作の映画)

4.0

ふつうによかったな。

美術館で実際にゴッホの向日葵や自画像を見たことあるけど、絵が浮き出るほど色が塗り重ねられてすごい厚みがあったのを覚えている。当時農民を描いた風景画には深く感銘は受けんかったけど
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ドリス・ヴァン・ノッテン ファブリックと花を愛する男(2016年製作の映画)

3.5

ファッションにはかなり疎いし、半年ごとに流行を生み出して消費させながらサステナブルを謳うアパレル業界には常に白々しさを感じているのだが、食わず嫌いも良くないと思い、鑑賞した。

山本耀司やヴィヴィアン
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緋牡丹博徒 お命戴きます(1971年製作の映画)

4.0

64年「喧嘩辰」ではキャピキャピした可愛らしい演技をしていた藤純子が、圧倒的なエレガンス、大人の女性の色気、渡世を渡り歩く任侠のカッコよさを持ってお竜を演じた緋牡丹博徒シリーズ第7弾。

軍用工場によ
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車夫遊侠伝 喧嘩辰(1964年製作の映画)

4.5

めちゃくちゃ良かった。男女の出会い方がたまらんくらい好き。


主演はもちろん、ちょい役の北島三郎、ミヤコ蝶々らもいい味を出していた。桜町弘子は「骨までしゃぶる」でも最高に心意気のある女郎を演じている
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MOON GARDEN/ムーンガーデン(2022年製作の映画)

3.5

大人向けの寓話あるいはポップな悪夢。

映し出される場面の数々を文字に起こしたらとんでもなく素晴らしい詩集が出来上がる気がする。ホントに贅沢な欲を言えば「不思議の国のアリス」みたいなユニークでときめく
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アスファルト・シティ(2023年製作の映画)

3.9

日々死と向き合う緊急救命隊員の過酷な日々を説得力のあるカメラワーク、ノイズの効いた音楽、赤を基調とした大胆な色彩で描いた作品。ニューヨークの下層で暮らす人々の死と隣り合わせにある現実もしたたかに描かれ>>続きを読む

骨までしゃぶる(1966年製作の映画)

4.5

傑作。

題名通り身受けした女郎を「骨までしゃぶる」ほどこき使う廓家業のカオスをしたたきに描き、女は不屈の精神で脱走に挑む。
最後は愛で帰結。天晴れ。

メガロポリス(2024年製作の映画)

-

壮大な映画だった。たぶん、他人の寝てる時に見る夢を覗き見したらこんな感じなんだろうと思う。

別にコッポラを擁護したいわけじゃないけど、一人の人間の頭の中に渦巻く夢や狂気を余すことなく見れるって、それ
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JUNK WORLD(2025年製作の映画)

4.0

ゴニョゴニョ版で鑑賞。韓国語とドイツ語をごった煮したような独特な言い回しに、ちょいちょい既存の日本語単語を紛れ込ませるのがクセになる。

お姫様のようなキャラのクリーチャーが生まれた子供の名付け親にな
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突撃(1957年製作の映画)

4.0

敬愛する小説家ジム・トンプスンが脚本に携わっているのを知り、何年かぶりに再鑑賞。どこまでがトンプスンの仕事なのかは不明だが、無謀な突撃作戦に出動前の兵士が「殺されるならどんな死に方がいいか?」をヒソヒ>>続きを読む

血 4Kレストア版(1989年製作の映画)

3.0

ペドロ・コスタ長編第一作。白黒で陰鬱な画調。全体的に静寂なトーンであるが物語のベースとなる骨組みはクライムサスペンス。兄が父を安楽死させ、父の借金を取り立てる男らが現れ、物語は動き出す。

本作のスタ
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溶岩の家 4Kレストア版(1994年製作の映画)

4.0

長編第二作。アフリカのカーボベルデが舞台。元々「私はゾンビと歩いた」のリメイクを撮る構想があったらしい。


物語は黒人レオンが出稼ぎ先のリスボンの工事現場から飛び降り自殺を図り、看護師のマリアーナが
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骨 4Kレストア版(1997年製作の映画)

3.5

舞台はリスボン郊外のスラム。映像を通しても生モノが腐敗したような匂いや風呂に入ってない人間らの体臭が伝わってくる。

産まれた赤ちゃんを病院から家に連れて帰ってきたティナは赤ちゃんを巻き添えにガス自殺
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オールウェイズ・ベビーシッター(2020年製作の映画)

3.0

物語は完結するが登場人物らの続きが気になる短編映画だった。

チェロキー・グランドマザー(2024年製作の映画)

3.4

アイデアはシンプル。というかちょっと物足りなさもあるくらいだが、映像表現がすべてカバーしてる。見せ方って大事やな。

利用規約の男(2020年製作の映画)

3.5

発想のおもしろさが尻すぼみにならず、むしろ笑いが膨張していくような痛快さがあった。

細かい指摘になってしまうが最後の男がなんでクローゼットから出てきたのかは違和感あったので処理してほしかったなーと思
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ハイテンション 4K(2003年製作の映画)

-

劇場で観たけど途中疲れてウトウトしてしまった。スプラッターの悲鳴で目が覚めて、またウトウトして、スプラッターで起きての繰り返しだった。でもまあこれはこれで良い映画体験だった気がする。

国宝(2025年製作の映画)

3.5

歌舞伎の美しさが存分に描かれているけどそればかりではない。女の肩身が狭くて、血筋がややこしいて、金持ちが発言力持っている。そういう歌舞伎の嫌なところ、つまりは日本の伝統文化の嫌なところともいえるけど、>>続きを読む

MaXXXine マキシーン(2024年製作の映画)

2.8

80's pop、シリアルキラー、VHS、ポルノ映画など惹きつける要素は多いが中身はスカスカだった印象。

『過去を精算してハリウッドで女優として生きていこうとするマキシーンの前にそれを阻む者が現れる
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迷宮の女(1951年製作の映画)

3.5

身分の違う男女の恋を描いたよくある物語。冒頭の無人のサッカー場が二人の愛の大きさとその儚さを暗示しているようで、上手いなと振り返ってみて思う。終始そない驚く場面はないのだが、ヴェーラの触込みにもあった>>続きを読む

番兵、気をつけろ!(1937年製作の映画)

-

前情報なしで鑑賞。序盤で寝てしまった。後半は目を瞑ったり起きたり、なんかずっと歌声が聞こえて、兵隊の男と、女性の脚が映っていたな。と、それだけが記憶に残った。後半はブニュエルが撮ってたのね。ははん。

この空は君のもの(1943年製作の映画)

3.0

ナチス占領下のフランスで飛行機に魅せられた夫婦が女性の長距離飛行記録の更新を目指す話。最初は旦那がパイロットの夢諦めきれず嫁に内緒で飛んでいたのだが、怒った嫁が「そないすごいんやったら試しにいっぺん乗>>続きを読む

アラブの盗賊(1954年製作の映画)

2.5

おもろなかったが、ジャック・ベッケルがこんな古典映画も撮ってることが知れたので観て損はなかった。最後の大群衆には驚いた。あの大群がインド映画みたいに踊り狂ったらフィナーレとしてちょっとおもろいんちゃう>>続きを読む

サスカッチ・サンセット(2024年製作の映画)

3.5

だいぶ好みだった。笑ったらあかんやろけどわろてまう場面の連続で鑑賞中ずっとお腹ヒクヒクしてた。丸太に挟まって溺れるのは特にツボにハマった。浅瀬ってところがまた切ない。

今日の空が一番好き、とまだ言えない僕は(2025年製作の映画)

3.5

冴えない男がちょっと変わった可愛い女の子に惚れるというベタなボーイミーツガールを、とことん味付けしておもろくした映画やなという所感。

タイトルを標準的な文法にするなら「僕は今日の空が一番好き、とまだ
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か「」く「」し「」ご「」と「(2025年製作の映画)

-

陰ながら表現力を高く買っている奥平くんの芝居が見たくて劇場で鑑賞。

まず、「〇〇が実は△△が好き」みたいな話は元来生理的に無理なので物語については口閉じます。

それ抜きで言うなら、若者の繊細な感情
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ざ・鬼太鼓座(1981年製作の映画)

4.0

生まれも育ちも異なる若者たちが結集して鍛錬を積み重ね、心技体を極限まで鍛え抜き魅せる圧巻の演奏と加藤泰の映画美学が溶け合ってとんでもない作品になっている。

沓掛時次郎 遊侠一匹(1966年製作の映画)

4.0

寝転びながら鼻ほじって観ていたのだが、序盤の血飛沫で「おっ、おもしろい」と鼻ほじる手を止め、その後渥美清が消えたときは「只事ではない」と起き上がりその後は夢中で観た。女を失った主人公の心情を吐露する長>>続きを読む

天城越え(1983年製作の映画)

4.0

現在→回想→現在→回想という物語の組み立て方がわかりやすくて見応えあり、お手本みたいなシナリオだなとおもった。原作未読だがラストに回想をドッと持ってくる感じは「砂の器」を想起させる。

序盤に80年代
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終電車の死美人(1955年製作の映画)

3.0

昭和30年代の三鷹駅とその周辺がたくさん観れる。怪しい不動産屋役の東野英治郎がいい味出してた。悪巧みするときの顔が国会中継に映る麻生太郎そっくりだった。後の東映の「警視庁物語シリーズ」や刑事ドラマに大>>続きを読む

無名の人生(2024年製作の映画)

3.5

「無名の人生」であるが、「トップアイドルの息子の数奇な人生」ともいえる作品。

明らかにジャニーズであろう組織をモデルにして、芸能界で搾取されるアイドルを風刺的に描いている。しかしディストピアのその先
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新世紀ロマンティクス(2024年製作の映画)

3.5

過去作フッテージを交えて21世紀からコロナ禍にかけて怒涛の変遷を成し遂げた中国を舞台に、ジャ・ジャンクーのミューズ、チャオ・タオが大同を去った男を探す旅に出て長江をさすらう。

奥様方の民謡独唱から映
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It’s Not Me イッツ・ノット・ミー(2024年製作の映画)

4.5

金払って劇場まで足を運んだのだからこういう言い方は適切ではないのだけども、「怪しい人が不意に乱入して好き勝手に言いたい放題言い散らかし、あばよと退散した」ような印象を受けた。それくらいショッキングで、>>続きを読む