mさんの映画レビュー・感想・評価 - 17ページ目

テロルンとルンルン(2018年製作の映画)

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ルックは良くて一見しっかりした映画なのだけど、登場人物の言動や芝居の演出にはあざとさや嘘臭さがあった。登場人物の人物造形も非常に平面的。そういう意味でCM的な作品だった。歌の使い方もくどい。
あと、あ
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れいこいるか(2019年製作の映画)

4.9

これは素晴らしい。いまおか監督にしかできないかたちの『人間讃歌』だった。

人生は続いていく。震災で娘を亡くしても、それが不倫相手とセックス中の出来事であっても、目が衰えていっても、怖くてセックスがで
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新聞記者(2019年製作の映画)

1.0

今このタイミングで望月記者を題材にメジャーな役者で政権に批判的な娯楽映画を作る、というプロデューサーの志は高かった。本来報道機関がやるべき事をメジャー娯楽映画でやる、その決断と行動力は絶対に評価される>>続きを読む

The Stunt Double(原題)(2020年製作の映画)

4.8

「ラ・ラ・ランド」「セッション」「ファースト・マン」と傑作連打のディミアン・チャゼル監督によるiPhone撮影の縦長画面短編。現場で死に瀕したスタントマンが走馬灯で映画史を駆け抜ける。映画愛とロマンス>>続きを読む

CLIMAX クライマックス(2018年製作の映画)

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そりゃギャスパー・ノエだからこういう感じになるよね。

ダンサー達の身体能力の高さのお陰で、狂気や煩悶がアグレッシブな身体の動きで映像的に表現される。元々ダンサー出身のソフィア・ブテラの身体能力の高さ
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プロジェクト・パワー(2020年製作の映画)

4.6

脚本は大雑把だし不満が無い訳ではないのだけど、監督が「NERVE」の監督コンビなので演出にキレがある&エモーショナルな瞬間をしっかり印象的に演出してくれるので、愉しく観れた。

娘を探す謎の男ジェイミ
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放浪記(1962年製作の映画)

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訳あって久々の鑑賞。成瀬なら「乱れる」派ですが、「放浪記」も良いですね。流石の演出・演技・そして撮影の巧さ。主人公を美化せず、彼女の人間性に向き合ったのが良かった。
高峰秀子は言わずもがなお見事で、宝
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マー ―サイコパスの狂気の地下室―(2019年製作の映画)

4.3

「ヘルプ 〜心がつなぐストーリー〜」のテイト・テイラー監督×オクタヴィア・スペンサーが再び組んだスリラー。テイト監督の前作「ガール・オン・ザ・トレイン」から引き続き「アイ、トーニャ」のオスカー女優アリ>>続きを読む

地獄少女(2019年製作の映画)

4.6

まず最初に言っておきたいのが、玉城ティナは最高です。「惡の華」で完全に女優開眼したティナさん、実は今回登場時間はかなり少ないにも関わらず強い存在感で映画に影を落とし、絶妙に抑えて異形の者に成り切った演>>続きを読む

ミンボーの女(1992年製作の映画)

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訳あって鑑賞。これは伊丹作品らしく『お仕事物』として快調。演出も撮影も冴えている。

今回もオープニングクレジットから早速無駄な濡れ場とヌードがある。子供の頃から思ってたけど故・伊丹監督はどの映画でも
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あげまん(1990年製作の映画)

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訳あって鑑賞。30年前の日本映画とはいえ、価値観があまりにも古臭いというかオヤジ臭くて観ていて辟易した。これは古い映画だからというよりも故・伊丹監督の価値観の問題だったと思う。そういえば伊丹映画ってい>>続きを読む

春のしくみ(2010年製作の映画)

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ユーロスペースで特集上映の予告を観て気になったのでYouTubeで鑑賞。アートでキモ可愛い謎のアニメーション。

なんかこう脳みそを変な感じで刺激されてる的な妙な快感があって、クセになりそう。動きの快
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破壊の日(2020年製作の映画)

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限りなく『怒り』に近い『祈り』。のっけから爆音で流れるGEZANの「証明」(歌詞が最高)と共に○○○○○○○○○する。そして台詞で明示されるオリンピック(に群がり食い物にする人々)への皮肉。怒りだ。>>続きを読む

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.8

日本映画界の隠れ鬼才・城定秀夫監督、と、このアカウントで何回も書いてきたけど遂に『隠れ』ではなく一般の人達に城定監督の才能が知れ渡る時が来た。あ〜〜〜嬉しい、城定監督おめでとうございます!10年近くず>>続きを読む

ザ・ファイブ・ブラッズ(2020年製作の映画)

4.9

前作「ブラック・クランズマン」では珍しくストレートに勧善懲悪な愉しい娯楽映画を繰り広げてみせた後で最後の最後に現実の冷や水を観客にぶっかける見事なタフネスっぷりを見せたスパイク・リー監督。「セントアン>>続きを読む

魚座どうし(2020年製作の映画)

4.7

機能不全に陥っている家庭で育つ子供達の心象風景を、禁欲的かつ躍動的に描く。その独特のトーンに惹かれる。
終盤の端折り方や先生の過剰なヒステリックさ、2人の邂逅の無説明な唐突さは乱暴過ぎるとも思うが、リ
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8日で死んだ怪獣の12日の物語(2020年製作の映画)

3.9

‪SFファンタジーでコロナ禍を描く試み。それはささやかなエール、祈りのような。
とても可愛らしい映画だったのだけど、このコロナ禍を描くのならもっと現実への批評性を持っても良かったのではと思う。ここまで
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思いやりのススメ(2016年製作の映画)

4.7

素敵なロードムービー。

筋ジストロフィーのトレヴァーの母親が単なる心配性で過保護というこの手のものでよくある存在ではなく、トレヴァーとの間に毒のあるコミカルな信頼関係を築いていて、その2人の丁々発止
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エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.8

キレッキレの演出と音楽センスで紡ぐ、中学最後の学年を迎えた冴えない女の子の血の滲むような奮闘劇。自意識が未熟な時期のもがきはかつての自分の事も思い出しつつ大人になった今客観的に観るとイテテテとなる事が>>続きを読む

ファミリー☆ウォーズ(2018年製作の映画)

1.0

ここまで醜悪・劣悪な映画(と呼べる代物ではないですが)はそうそうないです。映画(という代物ではないですが)としても極めて醜悪・劣悪だし、これを面白い・良しとする監督の価値観も極めて醜悪・劣悪です。監督>>続きを読む

ドロステのはてで僕ら(2019年製作の映画)

4.6

よくこのワンアイデアからここまで話を転がしたな!絶妙な『すこし・不思議』的SFをワンパターンに陥らずに沢山の工夫でやり切った脚本家の見事な力量と、撮影するのが超大変なこの脚本を完璧にやり切った現場のス>>続きを読む

Doodlebug(1997年製作の映画)

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クリストファー・ノーラン、学生時代の監督作品。謎の厭な円環構造が出来上がっていて、その辺りにそこはかとなく現在まで続くノーランの興味の対象が垣間見える。
そういえば初期は今よりもこういう感じで悪夢的だ
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ダークナイト(2008年製作の映画)

5.0

フルサイズIMAXで観るのは初、待望の機会です。
驚いたのは冒頭のジョーカー初顔見せショットでジョーカーの顔面全体がフルサイズIMAXの画角にちょうどピッタリと収まって大写しになる事で、もう何度も何度
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スーパーティーチャー 熱血格闘(2018年製作の映画)

3.9

3年B組ドニー先生!というコンセプトは最高だけど、色々雑です。映画じゃなくて連続ドラマ向きのネタだったのでは。

多動性障がいを抱えている生徒がいたり、パキスタン人の生徒がいたり、男をえこひいきする古
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PMC ザ・バンカー(2018年製作の映画)

4.8

北朝鮮が非核化を開始し国連が北朝鮮への制裁を解除、中国企業が北朝鮮から輸入を開始した事で結果的にアメリカ経済の低迷に繋がり、米政府が北朝鮮の総書記(劇中では『キング』と呼ばれる)に多額の懸賞金を懸ける>>続きを読む

ダンスウィズミー(2019年製作の映画)

4.6

ミュージカル映画というジャンルそのものをいじる試みなのだけど、とにかくミュージカル演出がてんで駄目なので序盤30分は観ていて全く高揚しなくて辛い。役者が派手に歌い踊れば映画が躍動する訳ではない、それが>>続きを読む

劇場(2020年製作の映画)

3.8

ひたすら悪い意味で芸術家気質の男と彼に健気に尽くす優しい彼女、彼らの日々のエピソードの点描は映画的な時間の流れとしてまとまっている。撮影・照明や美術といったスタッフワークの良さが映画を支えている。行定>>続きを読む

天使の欲望(2013年製作の映画)

1.0

『痴漢を狩る女子高生達』と聞いてフェミニズム的な側面が少しはあるかなと思ったら、まあそういうものを求めるのが間違いだった。ここにはそういう思想や女性への思慮は一切無い。むしろ無自覚なミソジニーに満ちて>>続きを読む

残された者-北の極地-(2018年製作の映画)

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ストイックな映画!
いくら名優マッツ・ミケルセン主演とはいえ、これは監督の作劇の力が無いと映画を引っ張れない、かなり度胸のいる企画。それでもこれを長編監督デビューに選んだ監督の度胸と、しっかり映画を牽
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わたしたち(2016年製作の映画)

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大人になると忘れがちだけど、子供の世界は恐ろしくシビアだ。ちょっとした出来事や感情で学校内での立場や関係性は激変し、人生が大きく変わる。そして大人はそんな子供達の苦しみなどちっとも理解しない(特にこの>>続きを読む

のぼる小寺さん(2020年製作の映画)

4.6

古厩智之監督と言えば青春映画の傑作「ロボコン」だけど、これは久々に「ロボコン」を想起する良い作品だった。

正直導入はあまり上手くいっていないと感じた。近藤君が小寺さんの登る姿を『見る』事がポイントな
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オールド・ガード(2020年製作の映画)

4.8

THEマンガな設定や物語を、超一流俳優陣のガチの熱演と、短い場面で的確に感情を描写するジーナ・プリンス=バイスウッド監督の優れた演出力で強引に捻じ伏せて、やたらエモーショナルで愉しいアクション快作が誕>>続きを読む

はちどり(2018年製作の映画)

5.0

韓国映画史に残る名作。「パラサイト」を抑えて韓国の映画賞で脚本賞を受賞したのも納得、これは今年トップレベルでは?

主人公ウニ=作者の分身である『わたし』だけでなく、両親や友人、後輩、そして大切な先生
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透明人間(2019年製作の映画)

4.9

ジャンル映画のフォーマットに現代的なフェミニズムが注ぎ込まれたリー・ワネル渾身の一作。息を呑むサスペンス演出の優れた技巧とDV被害者の苦難を観客に体感させる志の高さ、そして主演エリザベス・モスの熱演に>>続きを読む

ブラッドショット(2020年製作の映画)

4.7

正直ナメてました、これは思わぬ拾い物!予告も粗筋も一切見ないでおくと物語の予想外の展開と意外な見せ場の多さに新鮮な驚きと興奮を得られます。

日本では緊急事態宣言解除直後に特に宣伝もされずひっそりと劇
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