mさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

5.0

スピルバーグ最高傑作だと思う。「リリイ・シュシュのすべて」の時の岩井俊二じゃないけど『自分で遺作を選べるならこれを選びたい』ってレベルの作品じゃないかな?本人としてはこれ作れたらもう悔いはないと思う(>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

4.8

物語の中心が娘がクィアである事は絶対的に良かったし、クライマックス〜ラストにかけての胸を撃ってくる熱量は圧倒的で素晴らしかった。表現のぶっ飛び具合も含めて現代の王道という感じがする。
ただ、割と家族中
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逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

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やりたい事は分かるし良いとは思うけど、なんぼなんでもこのネタでこれは長すぎるし、長いと感じるのは風刺がモロすぎるというかベタすぎるからだと思う。社会を分かりやすく撃つ事に注力している故に映画自体がやや>>続きを読む

バビロン(2021年製作の映画)

4.9

「セッション」「ラ・ラ・ランド」「ファースト・マン」そして今作を観て確信したのは、デイミアン・チャゼル監督は完全に現代映画監督の中でもトップレベルの監督だという事。何故か日本の映画クラスタに舐められが>>続きを読む

ベネデッタ(2021年製作の映画)

4.9

イエス・キリスト夢女子が自分の極悪さに無自覚なまま、イエス・キリストそのもの(的な存在?)に成るまで。グッチャグチャでドス黒いのに清く美しい。ヴァーホーベン映画、「ELLE」に続きやはり凄い。ヴァーホ>>続きを読む

アラビアンナイト 三千年の願い(2022年製作の映画)

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傑作という訳ではないのだけど、ジョージ・ミラー監督の中の可愛らしい部分というか優しい部分が全面に出ていて好きだった。全編で密かに冴える音響のテクニック。

あなたがいてこそ(2010年製作の映画)

4.8

「バーフバリ」に続く「RRR」で全世界で爆ブレイク中のS・S・ラージャマウリ監督の過去作。あのねこれ超絶面白いんで、もし観れる機会があったら是非観て下さい。

悪運と幸運の両方に猛烈に好かれた冴えない
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遠い声、静かな暮し(1988年製作の映画)

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前半は【父親】という存在の嫌な部分や面倒な部分、それでも愛おしい部分を、無秩序にふと思い出していくような記憶の旅。そこには誰しもが思い当たる普遍性と複雑さがあった。
後半は父親亡き後の子供達の人生の苦
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東京リベンジャーズ(2021年製作の映画)

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いつの間にか英勉映画がなんか大ヒット作になっちゃった!?「トリガール!」の頃からのファン的には状況の変化にびびってます。

原作未読ですが、【時を駆けるヤンキー】っていうヤンキー・タイムリープ物のジャ
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ちひろさん(2023年製作の映画)

4.7

自分はこの映画は一部で言われているようなミソジニーの映画ではないんじゃないかと思う(ただし原作に関しては少し読んでウッとなってしまいやめたので何とも言えない)。ちひろを言われているような【都合のいい聖>>続きを読む

別れる決心(2022年製作の映画)

4.9

トリッキーな映像演出で紡がれるメロドラマは、ジャンルの枠組みの中で不可思議にうつろう。事件よりも人間の心そのものが不可思議でミステリアスであり、その心の謎と愛の迷宮をパク・チャヌク監督と脚本家チョン・>>続きを読む

ノースマン 導かれし復讐者(2022年製作の映画)

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ロバート・エガース監督にこんなに予算と豪華キャスト預けて大丈夫??この人結構好き勝手やる人だよ??と観てるこっちが心配になるくらいゴージャスな、でもこれまで通りのキレたロバート・エガース映画。楽しそう>>続きを読む

エゴイスト(2023年製作の映画)

4.8

実在感に満ちた繊細な演技によって織りなされる恋愛映画が、予告編から察する事のできる展開によってありふれた日本映画的な悲劇に収まっていく(とはいえそれもまた原作者の実体験が基にあるので簡単にそう言い切る>>続きを読む

銀平町シネマブルース(2022年製作の映画)

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観る前も観ている最中も観終わった今もどうしても色々考えざるを得ない企画ではあるのだけど、城定秀夫監督×いまおかしんじ脚本という今まであったようで無かった(たぶん初だよね?)夢の座組に惹かれて鑑賞。城定>>続きを読む

グッドバイ、バッドマガジンズ(2022年製作の映画)

4.7

エロ本がコンビニから無くなった理由ってそれだっけ?という疑問が観る前はずっとあったけど、この映画自体は消えていくエロ文化への未練や被害者意識ではなく、それとは違う類の普遍的な哀愁を描いていてそこが良か>>続きを読む

小公女(2017年製作の映画)

5.0

信じられないくらい美しい映画だった。

煙草・ウィスキー・恋人があればそれで良い主人公が家賃や物価の上昇により家無しになり、かつてのバンド仲間の家を巡る旅。
それぞれの家で向き合う、かつての仲間達の現
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イニシェリン島の精霊(2022年製作の映画)

5.0

まず一言、圧巻です。圧倒的な凄まじさと完成度に打ちのめされた。

言ってしまえば、1920年代のアイルランドの小島でオジさん2人がケンカするだけの物語。そのミニマム極まる筋書きに観る前は流石に不安にな
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「鬼滅の刃」上弦集結、そして刀鍛冶の里へ(2023年製作の映画)

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アコギな商売しやがって・・と思いつつ、まんまと観に行きました。

まず遊郭編については、テレビ版の作品ページに書いた文にちょっとだけ追記して下に貼っときます。

○「遊郭編」10・11話について

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FALL/フォール(2022年製作の映画)

4.5

そもそもこんな所登る訳ねえだろというツッコミを、『まぁこの人達ならやるだろう』と納得させつつ『(ちょい無理はあるけど)主人公がこれをやる理由は感情的に腑に落ちる』と共感できるようにする序盤の前振りがま>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

4.8

忘れるな、絶対に忘れるなとこの映画は静かに語り続ける。

まずワインスタインの問題に入る前に、プロローグとして2つのシーケンスがある事がこの映画にとってもの凄く大事な事だと思う。
まずは告発者の一人と
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ヘルドッグス(2022年製作の映画)

4.8

「最後の決闘裁判」への感想ブログや撮影現場での振る舞いから分かるように原田眞人監督は人間的には本当に駄目なんだけど、それに反して映画監督としての原田氏はまだまだ優秀というかどうやら今最盛期が来つつある>>続きを読む

ハケンアニメ!(2022年製作の映画)

4.8

アニメ制作にまつわる作品なのだけど予想外に硬派というか、アニメ的にならずにしっかり地に足着けて腰を据えて作られていて良かった。監督や現場が良かったのか静かな熱気が俳優部にも確かにあって、これは好きな映>>続きを読む

さよなら、私のロンリー(2020年製作の映画)

5.0

ミランダ・ジュライ監督は以前長編監督デビュー作「君とボクの虹色の世界」を観た時に、その独特でユーモラスで鋭く何か本質を突いてくる表現に本物の天才だと震えたのだけど、監督最新作である今作がまたしても独特>>続きを読む

ザ・メニュー(2022年製作の映画)

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このレビューはネタバレを含みます

傲慢な映画だと思う。この映画を書いた脚本家の気持ちが分からなくはないけど、それでも傲慢だと俺は思う。(最初に言っておくと、この文章は『思う』というワードが頻出します。つまり結構勝手な想像で書いてる部分>>続きを読む

Arc アーク(2021年製作の映画)

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息子との部分にフォーカスを絞るのは構成としてやりやすいだろうからよく分かるんだけど、80代と130代の間の彼女が最終的にああいう風に思うに至る部分(それと親友との別れの部分)をこそもっとフィーチャーす>>続きを読む

シャドウ・イン・クラウド(2020年製作の映画)

4.7

ミソジニーたっぷりな話を聞かない男達&神出鬼没の日本軍の零戦&謎の怪物グレムリンという三つの困難に立ち向かいながら、ある目的を果たそうとするクロエ・グレース・モレッツの孤軍奮闘。単なるB級映画かと思い>>続きを読む

ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密(2022年製作の映画)

2.8

ファンタスティックビースト・シリーズはとにかく1作目が良くて、あの素晴らしい美しいラストシーンはずっと記憶に残っているのだけど、一方シリーズの方は作品を重ねるごとに出来が悪くなっていくのだった。
目的
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恋のいばら(2023年製作の映画)

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鬼才・城定秀夫監督の2023年新作連打第一弾は「ビヨンド・アワ・ケン」のリメイク。宣伝されているようなドロドロした映画では全くなくて、城定監督らしい人間への優しさに満ちた映画なのでむしろ爽やかな映画で>>続きを読む

ギレルモ・デル・トロのピノッキオ(2022年製作の映画)

5.0

ギレルモ・デル・トロによるピノキオのコマ撮りアニメ映画化は、ただ原典の物語をなぞるのではなくデルトロらしいテーマ性と更なる深みを携えた全く新しい映画として再誕した。

時代設定を戦時下に移した事で、デ
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ファイアー・オブ・ラブ 火山に人生を捧げた夫婦(2022年製作の映画)

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火山研究に人生を賭けた学者夫婦のドキュメンタリー映画。今年のアカデミー賞で長編ドキュメンタリー映画賞を獲る可能性高そう。

滝沢秀明に見せたら滅茶苦茶興奮しそうな貴重な火山や溶岩の映像が満載。それでも
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ナイブズ・アウト:グラス・オニオン(2022年製作の映画)

3.8

ミステリーとしての奇抜さ斬新さを狙うあまりに後出しジャンケン・掟破り・雑な飛躍を乱発、それを作り手自身が自覚している故に台詞でその乱雑さを茶化し誤魔化し始めて、もはやミステリーの皮を被ったブラック・ギ>>続きを読む

そばかす(2022年製作の映画)

4.7

アロマンティック・アセクシュアルである故に周りから理解されない苦しみと孤独を抱く主人公を、この映画はそっと寄り添い励ます。この映画に存在を肯定されたような気持ちになる人はきっといるはず。誰かの力になれ>>続きを読む

夜、鳥たちが啼く(2022年製作の映画)

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鬼才・城定秀夫監督の2022年監督・脚本作連打最終作。とうとうメジャーになってしまったけど、メジャーになってもエロVシネやピンク映画を撮ってた頃と作品撮るペースが変わらないというかむしろ加速してるのが>>続きを読む