COLORofCINEMAさんの映画レビュー・感想・評価

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クライ・マッチョ(2021年製作の映画)

4.0

●夕陽が映える。
あれは逆光ではない。
後光が差しているのだ。
イーストウッドが立っているだけでスコープサイズの画面が格調高くなる。そう、とにかくイーストウッドが出ているだけで評価は甘くなるのだ。仮に
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ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)

4.2

●「私はグッチ夫人よ」
何よりも名前に固執するあたり、それこそがブランド信仰。
あくまでも、その名前にこだわる。
打算丸見えのパトリツィアを演じるレディ・ガガ。
身の丈以上に振る舞う態度や言動。(それ
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チャンス(1979年製作の映画)

4.5

●『チャンス』はそのスタート時点の逸話からして好きだ。
原作者イエジー・コジンスキーの元に、一通の電報が届く。差出人は本の主人公、庭師のチャンス。「あれ?」と思って見てみると”ニワデマツ。ニワノソトデ
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ユンヒへ(2019年製作の映画)

4.5

「雪はいつ止むのかしら」
●ひたひたと雪の上にまた雪が.. と書くと吉野弘さんの詩のようだが、長い年月が経とうともユンヒ(キム・ヒエ)とジュン(中村優子)のお互いの恋しい気持ちは溶けることなく積もって
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弟とアンドロイドと僕(2020年製作の映画)

3.5

以前インタビューで豊川悦司さんが答えていたとおり「どのように宣伝したらいいのか困る」作品だ。

映画全編にわたって激しい雨が降る。
ハイコントラストにしてどこか銀残しとも呼ぶべきルック。対してのゴシッ
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ドント・ルック・アップ(2021年製作の映画)

4.5

●昔、放送していた年末年始恒例「新春スターかくし芸大会」のハリウッド拡大版のような映画。これが意外にも面白くて、振り返ると2時間25分もあったのかと思うほど、あっという間。さすがのアダム・マッケイ監督>>続きを読む

いとみち(2020年製作の映画)

4.8

●時間が経過して色々なシーンが浮かんでくる作品がある。
本作がそうだ。見た瞬間もよかったが、じわ~っと、あー、また見たい!と。
●ご当地映画としても過不足なく、そして押し付けがましくもなく上品に成立し
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オールド(2021年製作の映画)

3.7

●さて、今回の「わくわくシャマランランド」は「どっちのシャマランショー」?
●30分で1年が過ぎる岸壁に囲まれた謎のビーチ。
限定された空間。招待された人々はどこか妙な言動やそぶり。
砂浜に先に訪れて
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まともじゃないのは君も一緒(2020年製作の映画)

4.0

●コミュニケーション能力ゼロ予備校先生と、その指南役が恋愛経験ゼロ高校生という設定時点で可笑しい。
成田凌、清原果耶、息(会話)が合ってはいけない役回りで息がピッタリって、なんのこっちゃーですが、素晴
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光を追いかけて(2021年製作の映画)

4.8

●屋根の上に立つ真希(長澤樹)。
それを発見してジッと見つめる彰(中川翼)。
この序盤のシークエンスでこころ魅かれる。
メインタイトルの出るタイミングも好み。
ジャンル分け不可。もしかすると夢を見てい
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由宇子の天秤(2020年製作の映画)

4.5

●拠って立つ「正義」はそもそも脆い。規範がその人自身の見聞きし、体験してきたものの中から生まれているからだ。常に揺れている。それは傍観者である観客も。故に「物語」は映画館を出ても続く。余韻は大きい。>>続きを読む

空白(2021年製作の映画)

4.2

●英タイトル「Intolerance」と示すように「不寛容さ」について語られた映画。
100年以上前に撮られたD・W・グリフィス監督同タイトル作品も迫害や無実の罪を起こす心の狭さが描かれていた。
しか
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BLUE/ブルー(2021年製作の映画)

4.2

●直球ど真ん中のボクシング映画。
東出昌大の目つきが後半、シャープで本当にボクサーのよう。
誰よりもボクシングが好きなのに優しさからか弱さからか受けの心持ちの松山ケンイチ。
最初はモテたい気持ちで軽く
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最後の決闘裁判(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

●各章タイトルカードの出し方(見せ方)が(ある意味)答え。
しかも「羅生門」的骨格(あくまでも骨格)を利用した「藪の中」ではない現代に問う物語。
巧妙に編まれた脚本。完璧なキャスティング。
●とりわけ
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風の歌を聴け(1981年製作の映画)

3.5

●公開は1981年。
そこで描かれていたものも「失われたもの」「喪失」だが、現在において、その時のロケ地自体がもはや存在しない。
●坂田明演じるマスター・ジェイ役で出ていたジェイズ・バーは実際、三宮駅
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すばらしき世界(2021年製作の映画)

4.5

●生きにくさ、不寛容、閉塞感。そんな押しつぶされそうな空気は普通に生活していても、感じたり、見たり、聞いたりする。まして三上にとってこの社会は馴染みづらく居場所が見つけられない場所でもある。
生活保護
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.7

●まあ癖あるヨルゴス・ランティモス監督。
その魚眼レンズの多様さ(なんとVR的な!)。
悪意ある暴露的画面。
その、のぞき見世界の中での演者3人の素晴らしさ!
●ラスト、悪夢のうさぎが画面を覆い尽くす
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ムーンライト・シャドウ(2021年製作の映画)

3.5

●彼岸と此岸を隔てるものは川だ。
そして繋ぐものも、思いをはせるために横たわるのも川だ。
ある種、夢を見ているような感覚。
時間の伸縮で言うならば、それは長い。
印象としての時間と実際の時間。
●原作
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DUNE/デューン 砂の惑星(2020年製作の映画)

4.5

●いわゆる、英雄・貴種流離譚。
ティモシー・シャラメ演じる主人公、ポール・アトレイデス。
登場した時のシルエットの細さがプリンスであり、のち(PART TWO)に展開される砂漠の民フレメンのリーダーた
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テトロ 過去を殺した男(2009年製作の映画)

3.8

●デジタル、フィルム、白黒、カラー、画面サイズ、ロングショット、クローズアップ、演劇、映画、バレエ、言語、ロケ地… 様々な事柄が渾然一体となって押し寄せてくる。編集の妙、ディティールの集積。光と影。も>>続きを読む

子供はわかってあげない(2020年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

●また、夏映画の傑作が誕生した。
●それにしても、ひたすら主役の上白石萌歌が笑っていて、こちらも最後まで、ずーっとニコニコして見てた。
のびのびとした屈託のなさと勢い、間合い。
画面からはみ出しており
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ドライブ・マイ・カー(2021年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

●何を足し何を削るか、そして膨らませるか。
村上春樹原作短編小説集『女のいない男たち』
(曰くコンセプト・アルバムのようなもの)。
骨格となるドライブ・マイ・カー。
サブテキストしての木野、シェラザー
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先生、私の隣に座っていただけませんか?(2021年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

●これはまさに快作。
ほぼ2時間、気がつけば(主要)登場人物が5人だけ。
あれれ?どうなるの?と、思ったままに物語の船に乗る。
楽しめた。

●佐和子(黒木華)の路上教習を俊夫(柄本佑)が車で追いかけ
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ショック・ドゥ・フューチャー(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

●音楽が生まれる瞬間の映画。
このような描き方があったのか!
1日で語るミュージシャンの現実と希望。
78分が短い。もっと浸りたい。
●オープニングからドキドキした。
アナがベットから起き上がり、煙草
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ひらいて(2021年製作の映画)

4.8

このレビューはネタバレを含みます

●今年ベスト級の素晴らしさ。
着地点が見えないまま見続ける3人の関係性の行方。
ラスト、おぉっとなって大森靖子主題歌。完璧。
編集がいいなぁ、と思っていたら監督自身でした。
各ショットの長さ、切り返し
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草の響き(2021年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

●東京が舞台だった佐藤泰志原作を函館ロケに。
それが功を奏している。
作者の実体験が投影された本作において見晴らしの良い公園の土手やベイエリアを走る主人公・工藤和雄(東出昌大)の姿は鮮やかだ。ただ、そ
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ザ・テキサス・レンジャーズ​(2019年製作の映画)

4.2

●ボニーとクライドの物語を追う側から描いた傑作。
地平線にフォード、舞う砂塵、佇むケヴィン・コスナーとウディ・ハレルソン。その2ショットだけで、詩情が浮かび上がる。ウォーレン・ベイティ、フェイ・ダナウ
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天国にちがいない(2019年製作の映画)

4.5

このレビューはネタバレを含みます

●エリア・スレイマン監督が本人役。
●監督が出くわすシーンはどこかヘンテコリンで目を丸くしてしまうことばかり。
もう、これが可笑しくて可笑しくて。
遭遇を通り越して、もはや呼び込んでいる?
(レモンを
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夜明け告げるルーのうた(2017年製作の映画)

4.8

全編フラッシュアニメーションによる制作。シェイプトゥイーンによって処理されたルーの髪の毛や瞳の中のうるうるが、ずーっと動き続けて、ひたすら止まることなく躍動感がある。グニャグニャのグルングルンとしたモ>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

4.8

監督が既にインタビューで詳細に語っているのでネタバレではないと思うけれど、佐々木蔵之助と対する亀梨和也、リリー・フランキーのディスカッションシークエンス。スコープサイズに浮かびあがる対峙するふたり、そ>>続きを読む

カフェ・ソサエティ(2016年製作の映画)

4.2

変わらぬ語り口。
"夢は夢よ"
ロスとニューヨーク。
ある意味『ふたりのベロニカ(ヴェロニカ)』
撮影、ストラーロとデジタルカラー処理。
それでも"ウディ・アレンみ"は揺るがない。
ナレーション部分
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夜は短し歩けよ乙女(2017年製作の映画)

5.0

これが詭弁踊りだ!おともだちパンチだ!
赤玉パンチだ!李白三階建て電車だ!
偽電気ブランだ!プリンセス・ダルマだ!
韋駄天コタツだ!ジュンパイロだ!
(浅田飴も!)
もう、まさに湯浅政明監督ならではの
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未来よ こんにちは(2016年製作の映画)

4.2

イザベル・ユペール演じるナタリーがスタスタスタと前を向いて歩いて行く姿が、もうとにかくカッコイイ!この姿だけで原題のL'avenirを体現している。
そしてフィルム撮影による光のゆらめきのなんと美しい
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あの夏の子供たち(2009年製作の映画)

4.2

子供たちの生き生きとした姿。
父グレゴワールとの戯れ。
娘を抱き抱えながら庭に植えたハーブのことを聞く。
テレビレポータの真似をしてみせる次女と三女の寸劇。
家族で歩く川のほとり。
白い水に浮かぶ次女
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あんなに愛しあったのに(1974年製作の映画)

4.2

●エットーレ・スコラ監督作品は「マカロニ」「特別な一日」「BARに灯ともる頃」と好きな映画が多いのだが、その中でもフェバリットな一本。
本作は今挙げた作品より先に撮られた1974年の作品(日本では19
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ムーンライト(2016年製作の映画)

4.5

●ドキュメンタリーにならないよう、あえてスコープサイズで撮影し、すごく繊細に室内ライティング(蛍光灯の元での映像は特にドキュメンタリー色が出てしまうと思うのでカラーグレードでの調整込みで)に気を使った>>続きを読む

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