榎木津さんの映画レビュー・感想・評価

榎木津

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大怪獣のあとしまつ(2022年製作の映画)

3.6

怪獣8号のアニメが始まるタイミングで思い出したように観た。事前に悪評のハードルが上がりまくっていたせいか、想像以上におもしろかったし充分楽しめた。ちゃんとドラマも成立してるだけに令和のデビルマンと呼ば>>続きを読む

パスト ライブス/再会(2023年製作の映画)

4.1

パストライブスとは前世の意味で輪廻転生は仏教の教えからくるもの。そのせいでビフォアシリーズやララランドのようなハリウッド的恋愛映画でなく、もっと馴染みが深い岩井俊二やマチネに終わりに、アニメだと秒速5>>続きを読む

少女は卒業しない(2023年製作の映画)

3.7

朝井リョウ原作の邦画に外れなし。今作はポスト岩井俊二のような雰囲気映画。卒業式2日前の日常の風景を淡々と描く。4人のヒロインによる4つのオムニバスが交差するんだけれど、事前情報無しに観たせいで最後は絡>>続きを読む

SHE SAID/シー・セッド その名を暴け(2022年製作の映画)

3.7

最初に告発した人が本人役で出てるくらいの完全実話。しかも元婚約者が被害を受けた私怨もあってブラッド・ピットが作った映画らしい。

その名を暴け、というサブタイトルだけれど犯人は最初から分かっていて、如
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オッペンハイマー(2023年製作の映画)

4.5

なんで上映を反対するアンチがいたのか疑問になるくらいいい映画だった。むしろ日本先行公開にしても良かったと思うくらい。

基本会話劇なので、途中までIMAXで観る価値あるのかと疑ったけれど、ノーランなら
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オーメン(1976年製作の映画)

3.8

オーメンの試写会、と聞いて脊髄反射で反応したんだけれど、新作『オーメン:ザ・ファースト』でなく76年のオリジナル版だった。ただてっきり観たはずだと勘違いしていたけれど初見で50年近く前の映画と思えない>>続きを読む

デューン 砂の惑星PART2(2024年製作の映画)

4.0

ストーリーは完璧だとは思わないけれども現時点での映像体験での最高到達点の映画。SFXが凄いとかでなく、デザインセンス、撮影、美術を始めの総合芸術として。加えて今回音響の良さも際立った。ハンス・ジマーも>>続きを読む

ある男(2022年製作の映画)

3.7

平野圭一郎の原作というだけで信頼できた社会派ミステリーというより、ヒューマンドラマ。いろんな役者の怪演を評価してる方が多いけれども演技というより、息子にリアルに同情した。血や過去は変えられなくとも、最>>続きを読む

枯れ葉(2023年製作の映画)

3.9

シニアのトゥルーロマンス。
アート映画とかではなく、地味だけれども分かりやすい。最後にもう一度彩りを得る枯れ葉というタイトルも絶妙で語り過ぎない 81分という長さもちょうどいい。この映画を評価するのは
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落下の解剖学(2023年製作の映画)

3.9

てっきりミステリーサスペンスかと思いきや、想像とまるで違った。どんでん返しもない。犯人は誰だみたいな追い方をするとがっかりするだろう。

劇中の裁判の傍聴席に一緒に座っているようで、裁判で語られる事実
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ボーはおそれている(2023年製作の映画)

4.0

ミッドサマー監督の新作というだけで楽しみにしていたものの、ホラー映画だと構えて観ると損をする。最後になってやっとアリ・アスター版の『君たちはどう生きるか』で冒険活劇だったんだと後悔した。

二部構成と
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女王陛下のお気に入り(2018年製作の映画)

3.8

『哀れなるものたち』が相当よかったので同監督のデビュー作から順にコンプ。これまでと違って胸糞要素は少ない。でも特別な関係性の中に外部の人間が加わることで起こる変化というこの監督のフォーマットは踏襲。相>>続きを読む

ロブスター(2015年製作の映画)

3.7

独身者は45日以内にパートナーを見つけることが出来なければ動物の姿に変えられてしまうというコメディ、という前情報で観たものの、まるでコメディには感じなかった。むしろこれを笑いながら観てる人を想像したら>>続きを読む

籠の中の乙女(2009年製作の映画)

3.5

琴線を震わせるような映画に出会うと過去作を遡って観たくなる。『哀れなるものたち』がそうで、その監督のデビュー作。こんな理由でもなければ観なかったであろう胸糞映画。ただこれまで撮ってこなかったこの監督な>>続きを読む

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.7

『Saltburn』のバリー・コーガン繋がりで薦められたサイコホラー。事前情報なしに観たせいで冒頭から、誰?誰?と混乱して始まったのに途中で、手短に話すね、と一気に解き明かされた。

おそらく細々とし
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哀れなるものたち(2023年製作の映画)

4.5

お洒落映画かと思ったらど変態ブラック映画だった。冒頭いきなりそれがオチでもいいくらいの手術があり、サイコホラーなのかと身構えるとスチームパンクな架空の19世紀はファンタジーで、なるほどブラックジャック>>続きを読む

土を喰らう十二ヵ月(2022年製作の映画)

4.0

松たか子が訪ねてくる最初の15分だけ観て、家族ドラマかなと長い間中断してたけれど、その15分以降が素晴らしく美しい映像詩だった。自分の都合でなく、暦の歩幅の合わせた生き方。精進料理のどれもが食べたくな>>続きを読む

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカット(2021年製作の映画)

3.9

マーベルよりDCが好きでジャスティス・リーグも観てたはずだけれど、まったく別の映画として相当楽しめた。監督の元にスタッフが再結集し、同じ素材を使って新しい超大作を作るという試みができるハリウッドは羨ま>>続きを読む

テオレマ(1968年製作の映画)

3.7

変態映画が好きな人から薦められた変態映画。冒頭セピアカラーの無声映画みたいで混乱したけれど、時間軸が逆転してたことが後で分かる。

ブルジョワジーが仮想敵なのか、宗教的メタファーと思えるシーンが散りば
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ゴールデンカムイ(2024年製作の映画)

3.8

実写化の不安はすぐに払拭された。キングダム並みに満足できた。つか漫画の実写化って歴史ものだと成功例が多い。未来や現代版の成功例だとデスノートくらいしか思いつかない。

いいキャスティングだった思う。杉
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17歳のカルテ(1999年製作の映画)

3.8

思春期病棟の少女たち、この場所がどれだけリアルなのか知る由はないけれど、メンヘラ版トレインスポッティングみたいにも見えた。そういう意味で必ずしも退院がゴールではない。正常とは何に対してか。
そう思わせ
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Saltburn(2023年製作の映画)

4.3

信頼できる人からのお薦めでなければ30分で中断してたかもしれない。それくらい30分毎に展開が加速する。単なる隠キャが陽キャに憧れる学園ものから、ギャツビー風『君の名前で僕を呼んで』みたいなもんかと思っ>>続きを読む

市子(2023年製作の映画)

4.3

ノーマークだったのにびっくりするくらい骨太でいい映画だった。宮部みゆきの『火車』みたいな話かなという予想は外れてなかったんだけれど、もっと現代的で重い。いろんな人の視点でヒロインを描く羅生門形式のミス>>続きを読む

パプリカ(2006年製作の映画)

4.3

ずっとそのうち観ようとしてたもののアニメだからと油断してた。全てにおいてレベチで驚いた。インセプションのモチーフにもなったと評判の原作は筒井康隆。この映像化は当時の撮影技術やCGじゃ叶わなかったろう。>>続きを読む

ファースト・カウ(2019年製作の映画)

3.7

なんて映えないタイトルにビジュアル。薦められなければ絶対観に行かない映画だった。
そんな風に事前情報無しで観たもんだから混乱した。いつの時代の話なのか、ミステリーなのか、そして1stカットの異様な長さ
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ゆれる(2006年製作の映画)

3.7

西川美和監督作品という理由だけで観たかった映画。女性に対しての偏見は覚悟だけれど、この兄弟は女同士の歪な友情に見えた。一度抱かれるところっと手のひら返しするヒロインの意地悪さもエグい。それを上手く伝え>>続きを読む

ファルコン・レイク(2022年製作の映画)

3.8

信頼できるホラー好きに人から薦められたのええ、てっきりホラー映画かと思ったら、思いっきり青春映画で、急に音楽が変わったなと思ったら結局はある意味ホラーだった。

トーンのせいで古い映画を観てる気になる
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⻤太郎誕生 ゲゲゲの謎(2023年製作の映画)

3.7

ほとんどの人がまったくノーマークだったはずなのに口コミで広がり、何度も入村したと言う人、劇場で号泣した人もいるくらいだったのでなんとか劇場で観ておきたかった。

でも正直に言うと何度も入村したい気持ち
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PERFECT DAYS(2023年製作の映画)

3.9

本質はドキュメンタリー作家のヴェンダースが切り取る日本に興味があったものの、きっとこれヴェンダースの名前を借りた日本映画。

まず主人公の淡々とした1日のルーティンが丁寧に描かれる。単純にこの繰り返し
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ザ・キラー(2023年製作の映画)

3.8

フィンチャーというだけで好意的だし、独白から入るあたりファイトクラブのような文学的ノワールを期待したんだけれど、プロフェッショナル 仕事の流儀って感じだった。同時期のノワールでは圧倒的なエンタメ、ジョ>>続きを読む

アンダーグラウンド(1995年製作の映画)

4.5

評価が高いどころか人生でナンバーワンとまでいう人がいたくらいなんでいつか観てみたいと思っていたら、運良く劇場で観ることができた。
事前情報無しだったので、コメディなのかミュージカルなのか舞台演劇なのか
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(2023年製作の映画)

3.7

戦国版アウトレイジみたいなもんかと思ってたけれど、映画版たけし軍団の風雲たけし城男色篇だった。確かに画はアウトレイジ並みにグロい。ただ秀吉、秀長、官兵衛のアドリブ(おそらく)はバラエティ番組のそれで館>>続きを読む

正欲(2023年製作の映画)

3.9

性的マイノリティの群像劇。声なき声に寄り添う系の映画は多々あれど、いつも朝井リョウ作品は実に日本的で現代的で他とは違う視点に感心する。舞台を地方都市にしたのもリアル。単なる性的マイノリティを理解しよう>>続きを読む

ゴジラ-1.0(2023年製作の映画)

3.9

素晴らしく良くできていたとは思うけれど、残念ながら演出が好きじゃなかった。

これは不幸にも直近で観たのがスコセッシの『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』邦画では岩井俊二の『キリエのうた』のせいで、
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キリエのうた(2023年製作の映画)

4.0

アイナジエンドの3時間にも及ぶPVみたいなもんかと思ってたんだけれど、岩井俊二のすべてみたいな映画だった。映像詩による群像劇の音楽映画。

本当にこの人は多感な時期の少年少女を描くのが上手い。そのせい
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キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン(2023年製作の映画)

4.5

近年やっと明るみに晒された史実の映画化。

日本最速試写会ということで上映前、上映後に解説があったんだけれど、観る方は文化も言葉も取り上げられたアメリカ先住民の歴史、FBIの成り立ち等を事前にさらっと
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