ikustatinoさんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

ダークシティ(1998年製作の映画)

3.8

「ダークシティ」

エドワードホッパーの「ナイトホークス」を現実に起こしたような世界観がとても印象的な作品。画のハードボイルドな雰囲気は漫画家のフランクミラーなんかも彷彿とさせる。
少し懐かしさすら覚
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ロマンティックじゃない?(2019年製作の映画)

3.2

「ロマンティックじゃない?」

干物女がひょんな事からラブコメの世界に迷い込む痛快コメディ。
途端に美男子達が言い寄り、鳥は囀り花が咲き乱れる。よくよく考えると容姿一つでQOLが著しく変わる世知辛さに
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軽い男じゃないのよ(2018年製作の映画)

4.5

「軽い男じゃないのよ」

フランスの伊達男がひょんな事から男女逆転の世界に迷い込む発想の面白さに膝を打つ。古くから続く男性優位社会の違和感を見事に可視化した作品。そしてジェンダーに対する男性の意識の低
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惑星ソラリス(1972年製作の映画)

5.0

『惑星ソラリス』

アンドレイ・タルコフスキーの代表作。「2001年宇宙の旅へのロシアからの回答」とも評されるSF映画の金字塔。かの映画が人の可能性を未来へ押し進める作品とするなら本作は人の旅は心の中
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魂のゆくえ(2017年製作の映画)

4.0

「魂のゆくえ」

苦悩を抱え酒に溺れる牧師、自殺した若き環境活動家の妻、汚染工場の献金で運営する協会。
BGMはほぼ無いく暗澹とした空気の中、キューブリックを思わせる左右対称の画がなんとも美しい。
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SELF AND OTHERS(2000年製作の映画)

3.5

牛腸茂雄ドキュメンタリー「SELF & OTHERS」

作品は上京から写真集出版までの間に氏が姉に送った手紙の数々と、現存する写真、そして彼が見たであろう景色の映像の三竦みで展開する。牛腸氏の映像は
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インターステラー(2014年製作の映画)

4.2

「インターステラー」 

実はずっと誰にともなくひた隠しにしてきたんですけど…わりとSF映画好きなのにずっとインターステラー観てなかったんですよ。。
んで今日観たんですよ。
観てなかった事を後悔しまし
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ガタカ(1997年製作の映画)

3.8

「ガタカ」

遺伝子操作により生まれる前から子供の能力は限界まで高められ、人の優劣が検査で簡単に仕分けられてしまう世界の恐怖を描いたミステリーSFムービー。
実在のロケーションを多用したミニマルな未来
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コングレス未来学会議(2013年製作の映画)

3.0

「コングレス未来会議」

Twitterのフォロワーさんの紹介で知った純度100%のドラッグアニメ。
有象無象を剥ぎ取った先、幻覚では辿り着けない人の愛の帰結を求めてロビン・ライトは夢現を旅する。
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ハーフ・オブ・イット: 面白いのはこれから(2020年製作の映画)

5.0

「ハーフ・オブ・イット」

この物語が恐ろしいのは一見ありきたりなコンセプト、ありきたりに思える展開の中で少しずつ色んな情報を開示していき、気がつくとサラリと複雑で難解な幾つもの社会分断の壁を乗り超え
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フォードvsフェラーリ(2019年製作の映画)

4.4

「フォードvsフェラーリ」

レースシーンのクライマックスは気がつくと手に汗握り「行け!差せ!」本物さながらに白熱している自分がいた。
そういう風に虚構を忘れ熱中できた映画は久しぶりな気がする。
社内
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パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.9

「パラサイト 半地下の家族」

映画の持つ大凡の醍醐味に溢れながら、これを「面白い」と言うにはあまりにおぞましい。
物語を支配するのは持たざる者達の嘆きや渇き、禍々しい恨みの感情だ。
その闇を監督は皮
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ジョジョ・ラビット(2019年製作の映画)

4.9

「ジョジョラビット」


感動を上手く言葉にできない…。
けれど確かに言えるのはこれが「愛について」の物語で、残酷な現実と対比するユーモアもお洒落な映像も抜群の音楽も全て渾然一体となってただその一点に
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男はつらいよ お帰り 寅さん(2019年製作の映画)

4.0

「男はつらいよ 50 お帰り寅さん」


ラスト10分。正月訳もわからず寅さんの再放送を見てきた"みつお"達の為のニューシネマパラダイスが銀幕にあった。そして僕らは寅さんに育まれた子供達だったんだと思
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スター・ウォーズ/スカイウォーカーの夜明け(2019年製作の映画)

3.0

「スターウォーズ スカイウォーカーの夜明け」

フォースの覚醒、最後のジェダイ、本作。観終わってみると成る程シークエルの副題は全て一貫した意味を持っていた事に気がつく。
一応の決着はついた。
願わくば
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アイリッシュマン(2019年製作の映画)

3.8

「アイリッシュマン」

ギャング映画でありながら成り上がりの物語ではなく人生の終わりを描いていく物語。太平洋戦争以降のアメリカの繁栄の裏の立役者達の大河ドラマとも言えるのか。
豪華なキャスト達の含みた
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ドクター・スリープ(2019年製作の映画)

3.5

「ドクタースリープ」

シャイニングの数多ある魅力のどこに自分が惹かれているかで捉え方が変わる作品。
小説未読でキューブリック版の芸術的な映像と妖艶な恐ろしさにやられた僕には別の続編を観ている感は否め
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ターミネーター ニュー・フェイト(2019年製作の映画)

3.3

「ターミネーター・ニューフェイト」

過去の偉大な遺産があり、新たなレガシーを築こうとする意欲作。
やはり年老いて尚逞しい戦士サラと美しく真っ直ぐな強化人間グレース、2人の女性の英姿颯爽がこの物語の白
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ひとよ(2019年製作の映画)

3.5

「ひとよ」

消える事のない大きな傷がくっきりと今も残っている。
一晩で世界は大きく変わってしまった。何も水に流す事はできないから、血を流し涙を流しそれでも許せなくて、けれど何かに許しを必死に求めてい
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永遠の門 ゴッホの見た未来(2018年製作の映画)

3.5

「永遠の門 ゴッホの見た未来」

ただただ悲しかった…。
作品がいとも簡単に蔑まれ、言葉は遮られ、存在をへし折られ…。
僅かな優しさに寄り添い、己に宿した凶器に震えながら、無様でも彼はその目に映る景色
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IT/イット THE END “それ”が見えたら、終わり。(2019年製作の映画)

4.1

「IT/THEENDそれが見えたら終わり」

きみは一月の残り火…
手をかざせば蘇る。
友情も、初恋も、約束も、全てがまだ熱を持って真っ赤に燃えている。
また人が死ぬ。ぺニーワイズが手招きで呼んでいる
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蜜蜂と遠雷(2019年製作の映画)

3.8

「蜜蜂と遠雷」


実力の拮抗する天才達の演奏技術や表現力を観る者に伝える為の仕掛けのなんと多彩な事!
あの手この手で二時間飽きさせない。
しかもコレが丁寧すぎる程丁寧でそれでいて禁欲的。分かりやすい
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イエスタデイ(2019年製作の映画)

3.5

「イエスタデイ」

ビートルズ…。
イマジネーションとインスピレーションの原水。ジャックがそうであるようにロックを愛する者にとっての神様であり、永遠の片思い。
そのフレーズにメロディーに僕らとるに足ら
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空の青さを知る人よ(2019年製作の映画)

3.7

「空の青さを知る人よ」

言葉にならない過去と言葉に出来ない現在が交わって重なって。

大人になると押し殺したもの失ったものの一つや二つどうしたって抱えてしまうから、シンノの言葉や気持ちはスクリーンを
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ジョーカー(2019年製作の映画)

5.0

「ジョーカー」

「時計仕掛けのオレンジ」や「タクシードライバー」がそうであるように、以降"狂気"を描く上でこの作品を無視するのは不可能と言っていい。
アメコミ映画の定義も変えてしまったし、多分この先
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ヘルボーイ(2019年製作の映画)

3.0

「ヘルボーイ(2019)」


流石マイク・ミニョーラ(原作者)が監修しているだけあって原作厨には感涙なシーンとキャラクター登場のオンパレード。
ロブスター・ジョンソン、バーバヤガ、グルアガッハにラス
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サタンタンゴ(1994年製作の映画)

3.5

「サタンタンゴ」


文明も届かないハンガリーの片田舎、そこでは誰もが己より格下の者を搾取して暮らしている。
悪魔のタンゴは回り続ける。
男達は酒を煽り、女を買い、女達は強い男を漁る。この街では子供達
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ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド(2019年製作の映画)

4.5

「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド」



終わらない戦争、斜陽のハリウッド、ヒッピームーブメントにLSD。終息の69'。物語はとある史実に向かって直走るはずだった…が。
業深き人々の織り
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天気の子(2019年製作の映画)

4.8

「天気の子」


見えない事にされている場所。
いない事にされている人々。
情報の網からすり落ちた黙殺されるべき存在。もはや彼等と噂、伝説の類との違いはいかほどか。
これは望まれない者達の生存戦略。
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海獣の子供(2018年製作の映画)

4.7

「海獣の子供」

映画を観ながらゴーギャンの「我々はどこから来たのか 我々は何者か 我々はどこへ行くのか」を思い出していた。
空と海、静と動、男と女、生と死、相反する二つが円環して宇宙を織り成す。突き
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ウィーアーリトルゾンビーズ(2019年製作の映画)

4.8

「ウィーアー リトルゾンビーズ」

前作「そして私達はプールに金魚を」と作りやテーマに親和性があり姉妹作のような作品。
己の破壊と蘇生を繰り返しながらゾンビ達はダラダラと歩く。
変われない、代わること
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ハーツ・ビート・ラウド たびだちのうた(2018年製作の映画)

4.4

「ハーツ・ビート・ラウド」

かつて音楽家を夢見たしがない中年親父と才能に溢れ、医大に進学する娘。
遊びで作った曲が思わぬ転機をもたらすが人生の黄昏時と夜明け前、立ち位置も状況も違う2人の抱える葛藤と
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ゴジラ キング・オブ・モンスターズ(2019年製作の映画)

3.5

「ゴジラ キング・オブ・モンスター」


また新たな可能性の扉が開かれた。
世界は広い、だからその分だけゴジラも変化していくのだな。
ギャレゴジとドハゴジの差は言うなれば「エイリアン」の1と2のように
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プロメア(2019年製作の映画)

3.6

「プロメア」

「燃えていいのは魂だけだ!燃えて消すのが俺の流儀だ!」trigger魂を体現するような熱い台詞。
謎の人体発火により分断され、ホロコーストが肯定される悲しい世界を絶望から救うのは我らが
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名探偵ピカチュウ(2019年製作の映画)

3.3

「名探偵ピカチュウ」


ポケモンのそもそもの発想はカブトムシ同士を戦わせる子供の遊びだったらしい。しかし長い時間の中でこのゲームは別の魅力を掴み世界を席巻した。
「もしイマジナリーフレンドが沈黙を破
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