ikustatinoさんの映画レビュー・感想・評価 - 4ページ目

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

5.0

「ビューティフル・デイ」

何気ない日常と狂気の端境は何処か?
ジョーは殺し屋という不穏な生業でありながらいとも容易くあっさりと日常に溶け込み、己の爆発しそうな狂気に身悶えている。そして訪れる運命とも
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レディ・バード(2017年製作の映画)

4.8

「レディ・バード」

17歳。
自分では無い誰か、此処では無い何処か、欲しかったのは自分の掌には無い物ばかりだった。

少女達は語り合う。

「何で泣いているの…?」
「幸せになれないから…」

それ
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犬ヶ島(2018年製作の映画)

4.8

『犬ヶ島』
陰影が印象的な映像表現、近未来を描いた世界設定、カットインされるセルアニメ、彼の過去作には無い試みがいくつも発見できる。けれどその何れも全くウェス監督の世界観を損なわない!しかも今やロック
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フロリダ・プロジェクト 真夏の魔法(2017年製作の映画)

3.9

「フロリダプロジェクト」
子供達の無邪気さ、カラフルな色彩、透明感のある映像はひたすらハードな現実を覆い隠す幻覚剤のようだった。
この作品における善意も絆も全く事態を好転させず、考え得る最悪の方向に物
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アイ, トーニャ 史上最大のスキャンダル(2017年製作の映画)

4.7

誰もが望んだリングで闘える訳ではない。辻褄合わせの虚構を人に見せつつ、血反吐を吐いてリングに上がる。
どれだけ彼女が嘘にまみれていようと氷上で美しく舞ってみせたトーニャの姿とその努力だけは真実であった
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デッドプール2(2018年製作の映画)

4.6

「DEADPOOL2」
この作品をいち早く観られた幸運をとても嬉しく思います。
ありがとうFilmarksさん。
不死身の男デッドプールが文字通り粉骨砕身、更に過激に血を流し、なりふり構わず、笑かす、
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ザ・スクエア 思いやりの聖域(2017年製作の映画)

3.4

終始不穏な雰囲気の漂う物語。自身のセイフティ・スペースを犯され、人がいとも簡単に善人の皮を剥がされる事実は分かっていても気分が悪くなる。そしてこのタイトルが物語を超えて人の持っている"器量の狭さ"を表>>続きを読む

君の名前で僕を呼んで(2017年製作の映画)

4.1

美しき者達の一夏のモラトリアム。
優雅なイタリアの自然の中でエリオ少年の秘密の恋心が少しずつ花開く。
奏でるピアノの音色、たゆたうプールの水面、光輝くオリヴァーの胸元。
"かけがえのないもの"と出会う
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いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち(2017年製作の映画)

3.9

縁あって日比谷で「いつだってやめられる 10人の怒れる教授たち」の試写会を観てきました。
イタリア発の3部作からなる社会風刺コメディ作品。Part2になる今作を見るにあたっての僕の予備知識はゼロだった
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レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)

4.9

天才が駆け抜けてきた時代の記憶と追いかけてきた夢の世界を追体験していくような作品だった。
映画を観終わってみると、懐かしいキャラクターとイースターエッグの数々は僕らの享受してきた夢であると同時に課せら
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彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

3.8

『彼の見つめる先に』
穏やかな陽の光、優しい静寂。
プールサイドで無邪気に打ち明け合う漠然とした不安の数々。
今過ごしている何気ない時間がどれ程美しく輝かしい青春だったとしても、少年少女の焦燥感を解消
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さよなら、僕のマンハッタン(2017年製作の映画)

3.8

僕達は時に理不尽な煮湯を呑まなければならない。恋も友情も、夢も未来もその輝かしさの分だけ苦々しい。
けれど青臭さを踏み躙られ、痛みを知る事で見える世界は確かにあるのだ。
ディランもルーリードもサイモン
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パシフィック・リム アップライジング(2018年製作の映画)

3.0

パシフィックリムに対する愛情、続編への忸怩たる思い、新たに見出した希望、その全てをここに書き記しました。
これはある意味で僕のアップライジング(反乱)です。見解の違いなどで気分を悪くさせる方もいるかも
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ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル(2017年製作の映画)

3.5

ジュマンジの続編として観るより単体の作品として観たほうがノイズ無く楽しめたように思うけど、エピローグの「これだけは!」という部分を現代版にアップグレードする事には成功していたように思った。
悪役がね…
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ヴァレリアン 千の惑星の救世主(2017年製作の映画)

4.0

監督はこの作品を"父に捧ぐ"とエンドクレジットに載せていた。
その言葉の重みがどんな物か僕には知る由も無いけれど、少なくともこの映画はノリで世界は救ってない。
儚く無邪気な祈りの様に"愛の強さ"を訴え
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さよならの朝に約束の花をかざろう(2018年製作の映画)

3.5

"あの花"と"ここさけ"の脚本家、岡田麿里の初監督作品。
綺麗なものを描きつつ、それらを自分の血で汚す様な底意地の悪さの見え隠れする作品でした(褒めてます)。
清濁合わせた女性の気高さを恐れず叩きつけ
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ラッキー(2017年製作の映画)

3.8

同じ喫茶店、いつものコーヒーとクロスワードパズル。店長と交わす同じ軽愚痴。
同じBAR、いつものカクテルと風変わりな友人、女店主につく悪態。
老人が繰り返す"1人"の毎日。
吐き出す煙草の煙に漏れ出す
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アナイアレイション -全滅領域-(2017年製作の映画)

3.5

突如として現れたシマー(揺らめく光)の中に広がる美しい極彩色の世界。草木が生い茂り色鮮やかな花が咲き乱れる異界で、"絶滅"は思いも寄らぬ形で始まる。グロテスクで残酷な異界の理がゆっくりと心と身体を蝕ん>>続きを読む

シェイプ・オブ・ウォーター(2017年製作の映画)

5.0

怪獣大好きジレルモ監督の新作云々…
今時代に求められるメッセージ云々…
水と愛には形がない云々…
そんな中に見え隠れするエロとグロ云々…
映画と音楽がイライザと怪物お互いを寄り添い合わせていくも、悲し
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ブラックパンサー(2018年製作の映画)

4.0

黒人のヒーローも珍しくは無くなってきた昨今。ヴィランだけでは無く差別や貧困とも彼らは戦う。
そんな中立場を超えて黒人としてのルーツ、終わり無き恨みの連鎖とも戦うブラックパンサーと戦士達の姿には涙を禁じ
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空海 ーKU-KAIー 美しき王妃の謎(2017年製作の映画)

3.1

「空海 -KU-KAI- 美しき王妃の謎」たしかに色んな所で言われてる通り看板通りの作品ではなかった。
でも空海(僧侶)と白楽天(詩人)という2人の偉人が歴史のミステリーに挑むという設定が凄く面白いと
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blank13(2017年製作の映画)

3.8

‪この映画の持っている前後編からなるシュールな二面性の持つ意味を鑑賞中はずっと考えあぐねていたのですが、名曲「家族の風景」を聴きながらプロローグとエンドロールがこの物語の全てだったのだと気がつくと監督>>続きを読む

坂本龍一 PERFORMANCE IN NEW YORK : async(2017年製作の映画)

4.4

「CODA」と姉妹作になるライブ映像作品。病と向き合い、過去と向き合い、何とも繋がらない音楽をと作られた作品「async」。魂を削り、一つ一つの音に存在を擦り込むように演奏が静かに続く。それはまるで音>>続きを読む

グレイテスト・ショーマン(2017年製作の映画)

3.9

然るべきタイミングで然るべき音楽と演出が秒でブチ込まれ、もはや感動麻薬かと思うほど頭から終わりまで感動を促される。エンドロールの頃には感動しすぎて泣き疲れてしまった。
非常に満腹感のある作品だった。し
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スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

4.3

家族を失う悲しみを形容できる言葉なんてないし、喪失感からの回復は暗く長いトンネルのようだ。絶望する人、怒る人、自分を顧みなくなる人もいる。
死は受け手にとって世界の崩壊だ。
この映画は喪失の強烈な傷そ
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ジュピターズ・ムーン(2017年製作の映画)

4.0

邦を追われヨーロッパに溢れる難民。居場所のない彼らにもし人智を超える力を持つ者が現れたら…その人物はこの世界を許してくれるだろうか?
この作品は今この現実の世界の問題を映画によって改めて問いかける鋭利
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勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

4.0

10年越しの想い人イチと言い寄ってくる同僚の二の間で揺れるヨシカ。捩じくれ果ててお一人様で完結していたはずの世界に様々な煩雑な感情が流れ込んで、人と関わる事から逃れられなくなった彼女の生存戦略が始まる>>続きを読む

キングスマン:ゴールデン・サークル(2017年製作の映画)

3.4

「キングスマン ゴールデンサークル」
観てきました。前作が作り上げた物語のお題目を最後に「ブルシット!」と言わんばかりにぶち壊す物語だったのに対し、今作はブルシットの中から最後にお題目と結末を救い出す
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ブライト(2017年製作の映画)

3.2

デヴィッド エアー監督のNetflix作品「ブライト」出遅れた感ありますが鑑賞しました。
人種差別問題を下敷きにエルフやオークがL.Aに存在する架空世界を描いたコップストーリー。「スーサイドスクワッド
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オール・アイズ・オン・ミー(2017年製作の映画)

3.5

仲間である筈の黒人同士が生きる為に殺し合う壮絶な環境で育った2PAC。ゲットーのリアルを唄い革命を目指す彼を時代がスターダムに押し上げていく。しかし成功は多くの裏切りと暴力を産み、ギャングスタラップの>>続きを読む

エンドレス・ポエトリー(2016年製作の映画)

4.4

強烈な自己批判を繰り返す若き日のアレハンドロに88歳の彼自身が時に優しく、時に怒号をもって語りかける。「ありのまま愛せ。人生は光で満ち溢れ、こんなにも美しい」と。
これぞシュールレアリズム。歪んだ世界
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スター・ウォーズ/最後のジェダイ(2017年製作の映画)

4.4

このレビューはネタバレを含みます

「スターウォーズ 最後のジェダイ」ルークの衣装にみる個人的考察。ルークの衣装の色は常に彼の心情を映していた。

「孤島での生活」

物語の冒頭、ルークはアイボリーの道着にグレーのローブを被り、洗練され
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