Tatsuさんの映画レビュー・感想・評価 - 6ページ目

EO イーオー(2022年製作の映画)

4.5

意表をつくサイケな映画で最高だった。スコリモフスキの前作『イレブン・ミニッツ』よりもシンプルで、ブレッソンよりも感覚的。それらと違う映画で素晴らしい。途中でEOが見るあの闇に説得力があること。

ウィリーが凱旋するとき(1950年製作の映画)

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面白すぎ。ある種の退屈な時間を描く停滞についての作品ながらとんでもない速度を湛えている。あっという間。ウィリーがアホすぎて最高。コントのような場面の連続で、フォードはコメディこそ暴力的に撮る作家である>>続きを読む

TAR/ター(2022年製作の映画)

3.8

初トッド・フィールド。映画としては、切り貼り的な編集やオープニングロールの大胆さとか、作り手の作為が透けて見える感じであまり好みじゃない。『ジョーカー』と同種のドヤ感も薄っすら感じる。権力についての考>>続きを読む

パリ、18区、夜。(1994年製作の映画)

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当てもなしに居処もない我々は夜に居所を探す。移動と生活の映画。

ジンクス! あいつのツキをぶっとばせ!(1982年製作の映画)

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シーゲル遺作。素人殺人コメディの前半からベッド・ミドラーの宝探しを映す後半と、前半と後半で違う映画を見ているよう。ジグモントの撮影が内容に反して贅沢。

ラスト・シューティスト(1976年製作の映画)

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若い頃のロン・ハワードって結構ムカつく顔してるよね。ジェームズ・スチュワートにガン宣告されるのは凄すぎ。あれは良いシーン。スローペースで進んでいく中で、ラストの散り方のドライさがシーゲル味。というかシ>>続きを読む

ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー:VOLUME 3(2023年製作の映画)

3.5

楽しいは楽しいんだけどシリーズで1番乗れなかったかも。悪趣味全開のビジュアルとカラフルなデザインはもちろん目を惹くしスリルがあって面白いけど、活劇として躍動する場面が少なく感じた。ロケットの過去の明か>>続きを読む

タバコは咳の原因になる(2022年製作の映画)

4.0

ヒーロー戦隊が団結心回復のため与えられた施設で休暇を過ごし、その中で様々な挿話が飛び交うという極ユルの内容ながらデピュー的シュールさと残虐性が光り、楽しく見れる。

ライ・レーン(2023年製作の映画)

3.7

コンパクトでキュートでカラフル。アングラアート界隈の話でもあり新鮮。

ピーター・パン&ウェンディ(2023年製作の映画)

3.9

ワンカット目の長回しからカメラが躍動し心が掴まれる。ネバーランドの描写よりも、ロンドンのウェンディ家の描写や、彼女が見る過去、未来の図のクラシカルと質感にこそ惹かれる。面白悪役的なポジションのフック船>>続きを読む

レッド・ロケット(2021年製作の映画)

4.5

暫定マイベスト。今やUSインディ映画の担い手はサフディ兄弟かショーン・ベイカーかという感じ。ただ、サフディ兄弟は現行カルチャーに対してアッパーで自作をストレートにクールなものとして提供してて、そこがベ>>続きを読む

聖地には蜘蛛が巣を張る(2022年製作の映画)

4.1

前作を凌ぐ傑作。アッバシは個人にではなく社会にこそ絶望を感じている。2部構成の冷酷さが見事。前半ではドラマティックな活躍を見せる主人公が、後半では傍観することしかできなくなる。前半でアクションを起こし>>続きを読む

午前4時にパリの夜は明ける(2022年製作の映画)

4.1

ミカエル・アース、前作に続いて素晴らしい。身近な人の喪失をテーマに物語を紡いできたアースだが、本作でも中心人物の不在を徹底して描き、一貫性を感じる。暖かみのある作風に対して、人の離別に対してドライに描>>続きを読む

ノック 終末の訪問者(2023年製作の映画)

4.0

テーマや結末の倫理的危うさは孕みつつも、スリラー作品としては素晴らしい。微妙なニュアンスを持った作品だとは思う。すでに指摘している人もいるが、間違いなく『ファニーゲーム』や『実録連合赤軍 あさま山荘へ>>続きを読む

ゴーステッド Ghosted(2023年製作の映画)

3.2

『ナイト&デイ』の下位互換。男女逆転はいいが、アルマスのキャラクターにあの映画のトム・クルーズのような空虚さや孤独の感触がないことに物足りなさがある。

故郷の便り/家からの手紙(1977年製作の映画)

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ニューヨークの当時の景色が映されるだけで豊穣な作品であることの強みにひれ伏すしかないが、手紙の送り主である母親の孤独に思いを馳せてしまうところがさらにすごい。手紙の朗読が地下鉄の音に掻き消される瞬間に>>続きを読む

街をぶっ飛ばせ(1968年製作の映画)

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街に根付く破壊願望は部屋に収束する。部屋の中の暴力を映す主題がアケルマンにはあるのだろう。

ゴールデン・エイティーズ(1986年製作の映画)

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カラフルで狂ったエイティーズの世界。前半の引きの絵の少なさは、窮屈な印象を与え、箱庭的世界観を創造する。ラスト、初めて映画が外に出るときの自然光の柔らかさと解放感。親友のフィアンセの情事を目撃してしま>>続きを読む

一晩中(1982年製作の映画)

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カップルの抱擁、出会い、別れのモンタージュ。常にそこにある暗闇の存在は、それらの有限性を湛える。

スマイル(2022年製作の映画)

3.8

目新しさはないけど洗練されたホラーで面白い。ジャンプスケア祭りだけど、会話シーンの編集も気を使っていて、映画におけるリズム感覚をしっかり意識していることだけでも好感。

ザ・ホエール(2022年製作の映画)

4.0

アロノフスキー演出の成熟。終盤、セイディー・シンクの顔に光があたる瞬間の映画性。

ダークグラス(2021年製作の映画)

3.4

ドラマ性には興味をそそられたけど、後半の森に入ってからとか、最早惰性で作ってる感しかなく…。

AIR/エア(2023年製作の映画)

4.3

最高。アーティスト、プレイヤー、パフォーマーとの誠実な向き合い方をストリーミング時代に投げかける。終盤のデイモンとアフレックのやりとり泣けた。

ダンジョンズ&ドラゴンズ/アウトローたちの誇り(2023年製作の映画)

4.0

『フリークス学園』のあの子達が、という感慨も前提に、現代的な、GOTG以降のチームもの、ルーザーものとして最上の作品かも。ゼロ年代であればファンタジー大作として映画化されそうなところを、コメディとして>>続きを読む

デヴィッド・ボウイ ムーンエイジ・デイドリーム(2022年製作の映画)

4.0

IMAX最高だった。音声による死者の蘇生。構成として1番似てるのは『トゥパック・レザレクション』だけどあちらよりも筋がなく、よりモンタージュ的で寧ろ近年のゴダール映画に接近している。

ボストン・キラー:消えた絞殺魔(2023年製作の映画)

3.8

現代版ゾディアックでフィンチャーからの影響大。ナイトレイの久々の当たりだけど、クーンの渋さがいい。徹底して捜査難航と報道の過程の映画になっているのが地味だが良い。

チャイナ・ガール(1987年製作の映画)

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序盤のクラブシーンからの追いかけっこ。人物が現れるときの闇がいい。ニューヨークの苛烈。ネオンが反射する濡れた路面の艶かしさ。

シン・仮面ライダー(2023年製作の映画)

2.7

ウルトラマン未見だけど、やはり庵野とは決定的に作家として合わず、かなりキツかったけど、柄本佑だけは良すぎる。

長ぐつをはいたネコと9つの命(2022年製作の映画)

4.0

情報量過多な画面、それぞれのストーリー、世界線の同時進行におけるインターネット世代映画としても、精神疾患を扱った映画としても、今日的な家族映画としても、『エヴリシング・エヴリウェア…』よりも全然推せる>>続きを読む

仕組まれた罠(1954年製作の映画)

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非情。男側が最初のイメージと何も変わらずに、グロリア・グレアムが何も報われずに終わる。

マジック・マイク ラストダンス(2023年製作の映画)

4.0

パンデミック禍における経済問題と性欲望の解放。ほとんど『ピッチパーフェクト』のようなこの3作目を、コロナを通過したソダーバーグが撮ろうとしたのも納得。曲のテーマを尊重するマイクの演出家肌な側面が前面に>>続きを読む

BODIES BODIES BODIES/ボディーズ・ボディーズ・ボディーズ(2022年製作の映画)

3.9

スマホ一台が殺人動機になる時代のスラッシャーていう感じ。キャスティング超良いし、上映時間のほとんどが若者の痴話喧嘩で終わる感じも新鮮。トラップビートメインの選曲やスカスカな劇盤が作品にあってる。明度の>>続きを読む

フェイブルマンズ(2022年製作の映画)

4.5

半自伝映画というところよりも、スピルバーグがファミリーメロドラマと青春映画の傑作を撮ってしまったという方が正しいだろう。ダノとウィリアムズ、ローゲンの三角関係は、視線の交差を含め、繊細に演出が施される>>続きを読む

エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス(2022年製作の映画)

3.7

『スイスアーミーマン』に比べて随分とスイートな映画だと思う。個人的には全然楽しめるけど、乱立されるオマージュやフレーム変化を、自分はあまり映画に求めていないので。市井の人々の生活に宇宙を見つめる視点は>>続きを読む

逆転のトライアングル(2022年製作の映画)

3.8

前半とかめっちゃ面白いんだけど、終わらせ方しくじってる。