『馬を放つ』の冒頭も橋を渡るシーンから始まった。細い橋を渡っていると向こうから誰かがやってくる。『馬を放つ』ではそれはイスラム教徒で、あの時は存在感を強めつつあるとはいえイスラム教はキルギス社会とは別>>続きを読む
どんな小説読んできたらこんな仕上がりになんねん。登場人物が学会でピロピロ笛をピロピロするところの共感性羞恥がやばかった。
無観客ソーシャルディスタンス演劇。こんな話だっけと思いつつキレキレのパンチラインの続出にぼこぼこにされた。全為政者の課題図書。カメラが見下ろす位置からスッと動いて誰も人物のいないただの地面を捉えたまま>>続きを読む
暗い木々を抜けてゆっくりと家に近づくオープニングショットでいきなり観客を運動に投げ込んだ直後、こちらの理解を上回る速度で繰り広げられる蘇りのくだりが凄まじくて完全に持っていかれた。ショットとショットの>>続きを読む
うとうと鑑賞。『帰郷』が本調子じゃないというのがやっとわかった、アレはかなり外部からのいろんな制約でやりたいことをやれてなかったんだなと思う。片時もじっとしない長回しが素晴らしい。たとえば家に向かって>>続きを読む
いつのまにか登録されてた。『マルチニックの少年』のユーザンパルシー監督作。『白く乾いた季節』でアフリカの凄絶な現実に直面し創作意欲ガン萎え中だったパルシーが啓示のように開き直って撮ったスーパーテンアゲ>>続きを読む
田村正毅の手になる撮影がさすがに匠の技で安定感あったが話自体はなんか高校生とかでも思いつきそうな感じだった。めそめそしないでほしい。鼻炎には刺さる。
ガラスへのドローイングを3つのカメラで収める。ガラスの表面のテクスチャーをフィルムのオルタナティブとしてスクリーンに映し出しているのはデジタル時代のあまりに抵抗なく見えてしまう映像をいかに映画として異>>続きを読む
露悪的で空虚。観客が見たいものを見せてやる方法論をひとつ確立すれば言いたいことなどなんにもなくても新宿ピカデリーを満員にできるのか。撮影はアイデアに溢れて悪くないのだけどそれらに一貫性を与える作品とし>>続きを読む
動きのない上半身のショットと物陰で繰り広げられる窃盗の素早い手の動きのショットが交互に並べられることで、それ単体では美しくもなんともない画面から突如として意味が溢れ出す。ブレッソンの映画言語の粋を見ら>>続きを読む
終始地味な画面が続くのに全く注意を逸らさせない緊張感はやはりすごい。「ある男が脱獄する」という題名どおり本当にただある男が脱獄するだけ、作中でも「顔を拭いた」というナレーションに合わせて顔を拭いたり、>>続きを読む
またしても規格外のシロモノを観てしまった、一体なんだこれは。演出もすごいが他では見たことのない異様な撮影に圧倒される、こんなの唯一無二だろう。ショットのひとつひとつが映画として完成しているレベル、とい>>続きを読む
ノワールなのに根が真面目なイイ奴が作ってるのがバレバレで純朴な世界だった。傑作というから色々犠牲にして観にきたがそこまででもなかったな。切り返しかと思ったら場面が飛んでたりみたいな語りのサクサク感、大>>続きを読む
結構残業した後でも観に行ける立地に映画館ができたのは有難いのだけど業後に観るには眠すぎるラインナップだった。映画が意味を生成するあらゆる作用を前景化する後期ゴダールの手つきにはやはり鬼気迫るものがあり>>続きを読む
初アンゲロプロス。本調子じゃないと聞いて油断してたがそもそも凡百のメロドラマとはベースが違いすぎた。息子を乗せた汽車を見送る手のクローズアップ、喘ぎ声の漏れる路面電車の暗い車内へゆっくりと吸い込まれる>>続きを読む
"I'm just no good."
わかりみが深すぎて不適合者にはつらい。笑うには他人事じゃなさすぎる。傍目にはどうにでもなりそうだけど当事者的には回避不能な些事に捕まってる間にここぞというイベ>>続きを読む
これは面白かった、ギリギリ人間が追いつけない速度でセグウェイ移動する怪人のたたずまいがおもしろすぎる。シュヴァンクマイエル先生へのストレートな架け橋を感じる。
業務改善ムービー。キントーンが作っとるんか。
全自動というかバワーズの運動神経にかかっているので実用化は難しいと思う、こちらもすっとぼけた欲望機械の造形がとてもよい。
バワーズよりも邦題考えた奴がすごい。割れない卵を作るために夥しい割れる卵が犠牲になっていて心が痛んだ。テープスピードをいじったり逆再生したりしてるのは偉い。マシンの動きは少し前に小樽で見かけたオブジェ>>続きを読む
つまんなくはないが楽しみ方がよくわからず、まあロメールもそんなに響いてないしな。起伏のない話なのに結局は男が女をモノにするのを物語の最終目的地に据えてるのがあまり好ましくない。
珍しく自己主張を抑えて技巧に振り切った感じだったのでくすんだ色彩と美しい照明の味わいを素直に楽しめた。観客が何を観るかは俺が全てコントロールするのだ!といういつものスタンスがクドさに転ばずショット相互>>続きを読む
65年頃のストーンズ。演奏の上手い下手とか全くわからず、ただカメラの前で群衆が次第に暴徒化してステージが強制的に中断される過程が何かの祭祀を捉えた人類学の資料映像のようだった。前年に出たビートルズの『>>続きを読む
ただ演奏するだけならこの体裁じゃなくてもよかったような気もするがさすがに全員くそかっこいいので良かった。律儀にちょっとだけサーカスも見れる。タジマハール浮きすぎて若手の飲み会に紛れ込んだ管理職のようだ>>続きを読む
こんなとっ散らかった話でも何となく説得力ある感じにまとめてしまうのはさすがフォード。蒸気船レースって平和島みたいなのかと思ったら全然違ったがちゃんと高揚感あってすごい。映画ってでかい船が湿っぽい川を遡>>続きを読む
我々が映画を覗き込むとき、映画もまた我々を覗き込んでいる。過去イチよくわかんねえ話だったがとりあえず途方もなくどでかいものを凄まじいカメラワークで堪能できたので満足感がすごいのと、あまりにも感性が白石>>続きを読む
白石晃士が!白石晃士のまま!シネコンに!!
『貞子vs伽倻子』『地獄少女』に金を落としてくれた全員に支えられて何の悔いもないよう全力でやりたいことをやってる感じがひしひしと伝わる総決算。霊体ミミズも大>>続きを読む
全体的に優れて美しい画面が続くのだけど特に中間部の教会襲撃のくだりがまじですごい、凄まじい強度のショットが次々に繰り出されてグルジア映画祭観てるみたいだった。炎をあげて坂を転がり落ちる馬車などさながら>>続きを読む
「私が「抵抗」と言う時には、何かと何かが闘争状態にあることを意味しています。確かに闘争には暴力的な要素もあるでしょう。しかし、私たちにのしかかってくるという意味での暴力ではないのです。(…)暴力を峻別>>続きを読む
アイランドとの関係など特に前半はもうちょい説明がほしいところもありつつ、学ぶところが多い一本だった。ジャマイカ移民が大量にイギリスに流れたのは1955-63年(この期間に10万人)、つまりレゲエ誕生を>>続きを読む
フォード暫定ベスト。美の極致。アメリカ大陸の「激躍する風景」に晒されながら必死に文明的であろうとする人間たちの、その足掻きが途方もなく卑小であることを本能的に悟った底なしの諦念が、これほどくっきりとス>>続きを読む
今までで一番スタントがやばい。たぶん何人か死んでる。弾をひとつ残した銃がゆっくりとヒロインのひとりに向けられるとこ震え上がった。最後の街に着いてからのショットも冴えきっている。飲んだくれの医者がイケメ>>続きを読む
展開も語り口もCGのクオリティも上質感が微塵もなく、バッタモンのB級映画みたいだった。『ジュラシック・シャーク』あたりと間違えたかと思った。全登場人物の偏差値が前作に比べて30ずつぐらい下がってるし、>>続きを読む