街角のアレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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鏡の中にある如く(1961年製作の映画)

3.9

風通しの良い陰鬱さが美しい。
現実が崩壊することへの畏怖や、人は円を描いて現実から身を守るという話にははっとした。
神についても、これ以上腑に落ちる例えはない気がする。冷酷だけど、さすがお父さん。
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ラ・ジュテ(1962年製作の映画)

3.8

同じ30分でも映像と写真の連続では大分違うなぁ。自然と丁寧に視るせいか、脳が間を縫うように補う。おもしろい。
結局はじめに空港で眺めていた男とは、自分(の死)だったのか。これは誰だとか、どうなるとか、
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探偵物語(1983年製作の映画)

3.8

やはり松田優作かっこいい。
さわりだけ漁る予定だったのに面白くて最後まで観てしまった。
岸田今日子さんの「言葉にしたら減るから言いません」が良かった。粋なかわし方!
昭和の良作、人間も為すことも全てめ
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蘇える金狼(1979年製作の映画)

3.7

最高、痺れました。
松田優作を見てるとかっこいいとは何かを考えてしまう。
「あんたんとこの部下は、なりばかりはでかくても銃に関しては全くのトオシローだねえ。(中略) ベートーベン!続けるんだよ!」
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私をくいとめて(2020年製作の映画)

3.8

一人暮らし始めた頃、独り言が多くなり心配になったのを思い出しました。
独り言ってそれ自体は問題なく、返事が返ってきたら医者に行くべきらしいです。。のんちゃん。
でも捨てたい真面目さが年々重たくなる感じ
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フォロー・ミー(1972年製作の映画)

4.0

今年はつかみどころのない好きを探してるんですが、この作品かなり的を射ていました。
映画は何かを伝えたいものがほとんどで、ある程度の魅力がパッケージから分かると思うし蓋を開ければ入っているものだけど、こ
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修道女(1966年製作の映画)

4.0

肌もメンタルもブルベの極み、息苦しいアンナカリーナの130分。
教会の反感を買い上映禁止になるのも分かる内容でした。
ただ、暗い話の中にもやはりジャックリヴェットの嬉々とした女性たちの描き方はずば抜け
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黒水仙(1946年製作の映画)

3.8

禁欲生活のなかの一滴の香水。
黒水仙の匂い、一体どんなだろう。
ビガイルドや白い肌の異常な夜のような雰囲気。
テクニカラーの映像がひたすらに美しく、高地で散歩したくなる🏔

裏窓(1954年製作の映画)

3.8

大人は退屈だと子どもになる。
これ以上ないステイホーム映画でした。
ヒマラヤガイドを秒で閉じてハーパースバザー開くグレイスケリー最高。
きっと数十年経っても観たなと思い出せる、特に過激なことはしていな
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

3.2

どメタなものよりも規律や論理を求めているのか、完全に今じゃなかった。
ぴーぴーどんしゃか騒がしい映画です。
いつかちゃんと観直します。

ポルトガル、ここに誕生す ギマランイス歴史地区(2012年製作の映画)

3.6

・カウリスマキ『バーテンダー』
キャベツの一番外側の硬い葉と塩のスープ、不味そうだけど頼みたい。ミルク。安定の優しさ。

・ペドロコスタ『スウィートエクソシスト』
アスペクト比。凄さは分かるけど、やは
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台北の朝、僕は恋をする(2009年製作の映画)

3.7

心がほぐれて揺蕩う。その時間と場所として、明け方のマジックアワーの台北というのはきっと至上だ。
僕はアンバー・クオにスクーター乗せられた瞬間、パリのこと忘れます。

ジプシーのとき(1989年製作の映画)

4.0

クストリッツァお得意のめでたしめでたしを期待していたら、どんまいどんまいで終わった。
大好きな『ウェディングベルを鳴らせ』の裏地のような作品。
現実を受け入れ覚悟を決める度にどんどん男前になっていくベ
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アップサイドダウン 重力の恋人(2012年製作の映画)

3.6

二重引力の世界。
上が富裕層、下が貧困層。
キキとスタージェスが抱き合うと真ん中で留まる。ロマンチック!
細かいところに目を瞑れば、おしゃべりなギレルモデルトロのようで結構好みでした。
でも今見るとふ
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アリス(1990年製作の映画)

4.0

傑作。透明人間はやっぱり動機が不純で、このくらいふざけていてほしい。
ミアかわいいファローのボブ好き過ぎる。
ドクターヤンは上野御徒町あたりにいそう。

透明人間(2019年製作の映画)

3.5

透明人間はクスリ飲んでルートじゃないとしっくりこないなと思った。
一歩間違えるとB級になりそうなところをギリギリ回避してる。

少女ムシェット(1967年製作の映画)

4.1

バルタザールを超えて哀しかった。
同じ奔放さでも『不良少女モニカ』のモニカくらいがめつく生きてほしいなと思ったけど、アルコールさえ飲めないムシェットは少し幼なすぎた。
同じクロワッサンでも『並木道』の
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バルタザールどこへ行く(1964年製作の映画)

4.0

ロバファンにはたまらない作品。
孤独を好み30年ほど生きる、愛くるしい脇役の生きものロバ。
ようやく真ん中に立てて良かったね、と思ったら散々な、こんな悲哀しか見せることが出来ないなんて、やはりたまらな
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楽日(2003年製作の映画)

4.0

てっきりDragon Innに出演していた俳優ふたりも亡霊として鑑賞しに来ているんだと思った。
何も起こらないけれど、見応えのある映画。
ツァイ・ミンリャンはやはり凄い。

アルプススタンドのはしの方(2020年製作の映画)

4.0

どこから視るか。
打ち上げ花火でも野球のことでもなく、人の立ち位置の映画でした。
狙った過剰さはあるものの、脚本や演出に無理がなくて秀逸。
戦う人を僻んだり、卑下したり、妬いたり、挫折にもならないかっ
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ソワレ(2020年製作の映画)

3.5

ずしんとくるボーイミーツガール。
辺境の街で出逢い、二人の影は踊り、別れた後に邂逅する。
若さと脆さはほぼ同義。
なんとも言えないけど、どんよりとずっとソワレ。

男性の好きなスポーツ(1964年製作の映画)

3.9

オープニングが完璧過ぎて惚れた。
"男性の好きなスポーツは女性" という歌で始まるものの、ほぼ男が弄ばれる映画。
服のジッパーアクシデントで台無しになる天丼に、けらけら笑った。
ビールの泡がふわっと下
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ブラック・ムーン(1975年製作の映画)

3.6

"これは理屈の通じない別世界の話です。
夢のような旅をどうぞ -ルイマル "
意味のない欠如、はたまた過剰な描写、侵されるタブー、度々登場する脇役アイコンたち。
夢の具現化が上手すぎて怖い。
思えばユ
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私の中のもうひとりの私(1989年製作の映画)

4.5

久々のシリアス系アレン。
とても面白かった。
80分でまとまりが良く、完成度の高さに自然と続けて2回観てしまった。
リルケの詩の豹は柵の中から外へ、迷えるジーナローランズは通気口から隣室へ想いを馳せる
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ジョンとメリー(1969年製作の映画)

3.7

69年、ニューヨーク。
いい温度感の恋愛映画。
とにかくミアかわいいファローと
cowboy,cowboyではなくright here,right hereと連呼するダスティンホフマン。
ありきたりな
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フランス式十戒(1962年製作の映画)

4.3

蛇がナビゲーターとなり、十戒の教えを曲解していくオムニバス作品。
渋谷遺産を今すぐやめて発掘良品だけ真面目にやればいいのでは蔦屋.. と思うくらい素晴らしかった。
メインの"汝、父母を敬うべし" の解
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並木道(1960年製作の映画)

4.5

傑作でした。ジャンピエールレオ、めちゃくちゃ元気で困ってしまう。まるで陽気バージョンの『大人は判ってくれない』
虚栄やジェラスの混じった彼の気持ちは、男なら誰しも分かりそうな、多分一生消えはしないやつ
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反撥(1964年製作の映画)

4.0

ひたすら美しく狂いゆくカトリーヌドヌーブ。
ヒッチコックの目眩ショットを天井に向けて使ってるあたり頭いってて良いなと思った。
画と音楽が美しくて体感45分くらい。
チコハミルトンのドラムロールかかると
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袋小路(1965年製作の映画)

3.8

カフカと逆の、城から中々抜け出せない話。
まさかのコメディタッチで面白かった。
フランソワーズ・ドルレアック、妹ドヌーブにない感じの意思のある奔放さが素敵だった。懐に入るの上手いなぁ。
クシシュトフコ
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ローズマリーの赤ちゃん(1968年製作の映画)

4.5

ホラーほぼ観ないけど凄く面白かった。
ふつうの人も悪魔教徒に見えてくるし、魂をラフに売る旦那が何より一番怖い。
タニス草の匂い、想像ではパインツリー。
しかし翌年にシャロンテートの一件、数年後にダコタ
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水の中のナイフ(1962年製作の映画)

4.0

なんだこれは。素晴らしい。
逆説的だけれど、記憶に残る良い作品って心底魅力が分からない。
シャネルが初めて作った香水には人が不快に思うアルデヒドの匂いを少し入れたそうで、例えるならそんな感じです。退屈
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ハロルドとモード/少年は虹を渡る(1971年製作の映画)

4.0

陰鬱とした少年とぶっ飛びおばあさんの恋愛映画。
普通は気持ち悪いから省くところを、2人はちゃんと寝るし、顛末も綺麗事で済まさないのが今にない感じで凄く良かった。
最近見つけて笑った筒美京平さんの作曲し
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グロリアの憂鬱/セックスとドラッグと殺人(1984年製作の映画)

3.9

これがこの監督の毛色ではないと思うのが他を見ずとも分かるくらいに偏屈でやばい内容だった。
ここに社会の本音が反映されていると思うと笑えないし結構暗いんだけど、そんなこと言ってても何も始まらないので笑い
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ヴァンダの部屋(2000年製作の映画)

3.3

劇場の皆よく耐えてるなと思うくらい結構な苦痛だった。特に音。
いわゆるこの手の刺激はよくあるといえばあり、決してこの現実をコンテンツとして消費するわけではないけど、ああ3時間も回すんだなと思ってしまっ
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溶岩の家(1994年製作の映画)

4.0

誰が誰とどういう関係か正直掴めきれなかったけどイネスの美しさの前にはどうでも良かった。
途中ちょっとステラドネリーのPVみたいだった。

(1989年製作の映画)

4.3

終始誰かが誰かを、何かを探してる印象。
満たされないというレベルではく、何かごっそり欠けている人物しか出てこなくて常に不穏で不安定。それがまた一層光の陰影の美しさを際立たせる感じ。
しかしイネス・デ・
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