街角のアレンさんの映画レビュー・感想・評価 - 7ページ目

  • List view
  • Grid view

人生は、時々晴れ(2002年製作の映画)

4.0

どんよりとした曇り空の下、イギリスの庶民の生活が描かれる。ケンローチが扱いそうな、いわゆるプアホワイトの一家と、同じ集合住宅に住む人々の群像劇。
どこかカウリスマキの匂いもする。
でもあの幸福と苦難の
>>続きを読む

インターステラー(2014年製作の映画)

4.0

たまにふと宇宙凄い系のSFが観たくなり、やはりちゃんとおもしろい。
ノーラン監督の魅力はずばり多重構造。
層の重なった食べ物を贅沢に歯で噛みつぶす、あの愉しみがある。

4ヶ月、3週と2日(2007年製作の映画)

4.0

ルーマニア。
ルームメイトの女の子、ふたりの1日。
表題はつまり、そういうことです。
独裁政権下で、友人の堕胎に協力するとしたら。
不安が頭の中にカーテンをしたときの、あの居心地の悪さときたらない。観
>>続きを読む

ラヴィ・ド・ボエーム(1992年製作の映画)

4.2

理屈じゃない部分で繋がれたものは、ほどけないな。
フィンランドの映画で、日本の昭和歌謡曲を知るのは二度目。このハズしの妙、本当にハズレがない監督です。
これにて一先ずコンプリート。
内側からぼんやりと
>>続きを読む

痛いほどきみが好きなのに(2006年製作の映画)

3.6

理知的なんだけどオスみが強い、イメージそのまま。
好きですイーサンホーク。

ランド・オブ・プレンティ(2004年製作の映画)

4.0

テロ後のアメリカを描く、批判を含んだロードムービー。
凄く好きな温度、空気感。
勘違いしたアメリカという国を叔父に投影しているとして、日本はミシェルウィリアムズになれたら良かった、というか今からでも勇
>>続きを読む

オールド・ジョイ(2006年製作の映画)

4.0

とても良かった。
田舎の澄んだ空気を吸ったときの高揚感、不安が混じったあの感覚と、時間を隔てた友情の行ったり来たりな心の内の探り合い。
ヨラテンゴの音楽の心地好さとこの組み合わせにはかなり胸がえぐられ
>>続きを読む

ブルーバレンタイン(2010年製作の映画)

4.2

噂には聞いていたが確かにこれはやられる。
恋人と観ずとも、一人で観ても結構危ない。
ただ、恋愛映画は本来こういう部分を描きたいんだろうなという、いちばん美味しい部分が詰まっている気がする。
個人的に他
>>続きを読む

マイリトルゴート(2018年製作の映画)

3.8

偏屈な映画を観過ぎなせいか、あの狼は将来のトルクお兄ちゃん自身だったらと考えたらめっちゃ怖かった。
親からの偏愛、ひとりだけ羊の着ぐるみ、自分の姿を唯一鏡で見ていない、とか。
可愛いけどインパクト大。
>>続きを読む

(1960年製作の映画)

4.4

クラシカルでシネマティックで最高。
万人が、ひょっとしたら猫や犬まで少し面白さ分かるかもねってくらいシンプルな、飾らない映画。こういうの久しぶりに観たけど、やっぱりいいなぁ。ニュートラルな気持ちでずっ
>>続きを読む

薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.3

白昼の花火。
臭そうな革ジャンとだらしない生活からは考え難い生粋のロマンチストだなジャン。。
正義という鎖に縛られた野良犬よ。
試写で観た鵞鳥湖の夜よりも重厚で、見せ場までいくまでが長いけれど、断然こ
>>続きを読む

藍色夏恋(2002年製作の映画)

3.9

めちゃくちゃ良かった。
日本で藍色夏恋というタイトルでこのジャケ写だと、よくある子供向けのエモい恋愛映画のように見えてしまうけど、決してそういうのではなかった。
ラストの落書きで、後から描いたのにも関
>>続きを読む

mid90s ミッドナインティーズ(2018年製作の映画)

4.0

スティービーより、ラティーノキッズの気持ちの方に共鳴してしまった。分かるよ。

聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.9

表題の意味がずっと気になりつつ、なんとなく先送りにしていた作品。
観た人からよく聞く "私は好きだけどね" という感想の「私は」の重みがよく分かる内容でした。
『アメリカンアニマルズ』とほぼ変わらない
>>続きを読む

オープニング・ナイト(1978年製作の映画)

3.8

序盤長いなと感じてしまったけど、中盤からぐっと引き込まれた。
ジーナローランズほど煙草とスコッチが似合う俳優いないんじゃないかな。葛藤する姿、めちゃくちゃ格好良かった。
最近俳優で亡くなる人多いけど、
>>続きを読む

不思議の世界絵図(1997年製作の映画)

3.7

すべてを語らないまま進んでいく、ページの抜け落ちた絵本のようなロードムービー。
まさに不思議の世界絵図でした。
中欧の空気感や色味はやはり良いですね。
なにも燃えていないのに香ばしい、秋の侘しい空気の
>>続きを読む

不思議惑星キン・ザ・ザ(1986年製作の映画)

4.0

"アメリカがスターウォーズなら
ソ連は不思議惑星キンザザ" だったらしい。
今も尚ロシアでカルト的な人気を誇るSF作品。
わりと真面目にプーチンやロシアンマフィアに囚われた時、これ観てる人はクー挨拶す
>>続きを読む

鵞鳥湖の夜(2019年製作の映画)

4.3

試写にて。初ディアオイーナン。
光と影の芸術が映画なら、まさに今ずっしりと真正面から映画を観た気分。
貧しい街の、埃と汗の匂いが混ざった暗さに奇妙なネオンの色。
静かで美しい湖畔の、水の流れに見るグイ
>>続きを読む

ウェディング・ベルを鳴らせ!(2007年製作の映画)

4.5

田舎に住む12歳の男の子が、おじいちゃんの為にイコンとお土産と花嫁を街にゲットしに行く物語。
いわゆるおねショタに入るんですが、そこは置いておき、スーパーミラクル超絶よいです。
個人的にはもはや作品が
>>続きを読む

10ミニッツ・オールダー 人生のメビウス(2002年製作の映画)

4.0

「時間」がテーマの10分間作品。
贅沢なオムニバス。長いので一言ずつ。

・Aki Kaurismäki "Dogs Have No Hell"
カウリスマキの作風紹介ビデオみたいだった。結婚生活
>>続きを読む

エル・スール(1982年製作の映画)

4.0

エリセの作品は本当に毎秒美しい。
正々堂々としていて気を衒わない正面からの美というか、日常は存在しているだけで美しいと教えてくれる。とらえ方だ。
冷静に話を振り返るとまぁ酷く陰鬱な内容で、とても暗い。
>>続きを読む

ハイ・シエラ(1941年製作の映画)

3.8

"運の悪い犬" がまるでコンパスのようになって物語は進んでいき、最後は本当に"運の悪い犬" だなぁと思わせてハイシエラで終わる。
場面展開がぱっぱっとスピーディーで、文句無しに面白いです。
何気に脇役
>>続きを読む

星の子(2020年製作の映画)

3.4

そういえばいつもクラスに一人は新興宗教に入ってる子は居て、正直心のどこかで奇異の目で見ていた節があったなと。
彼/彼女たちの意思ではなく幼い頃から洗脳され育ってきた場合に、自我が芽生えた時本人の心がど
>>続きを読む

ライフ・イズ・ミラクル(2004年製作の映画)

5.0

クストリッツァお得意の細胞レベルでエネルギーが湧き出してくる感覚は勿論、この作品は特にストーリー性に富んでて、一見他の作品よりライトな印象を受けるんだけど実はぐっと完成度が高いような。本当に最高でした>>続きを読む

アンナと過ごした4日間(2008年製作の映画)

4.2

素晴らしく好みでした。
ひたすらマーキーな色味の美しい街並み。常に絵を観ているかのようで退屈しない上、内容も変態チックで一気に持ってかれてしまいました。カット割りも特徴的。
道徳的にはアウトなんだけど
>>続きを読む

不良少女モニカ(1952年製作の映画)

3.7

強い女の子が好きなので期待して観たのですが実際モニカは違って、弱さ故に奔放というか、中々観ていて苦しいものがありました。
ハリーは恐らくやりきれなさを感じつつも、あの島で過ごしたモニカとの夏を忘れずに
>>続きを読む

キルスティン・ダンストの大統領に気をつけろ!(1999年製作の映画)

4.5

ウォーターゲート事件に女の子ふたりが関与していたら。ざっくり言うとニクソン大統領にJKがエディブルクッキー渡す映画です。
パッケージと評価の低さから絶対ハズレだと踏んでいたのですが、まさかこんなに面白
>>続きを読む

テイク・ディス・ワルツ(2011年製作の映画)

3.7

言いたいことは分かるし理解もするけど、3Pのところで不覚にも笑ってしまった。最後のシーンで結局マーゴの持つ常に満たされない感覚は性格的なものだと分かり、生きるのには中々厄介だろうなと哀れんでしまった。>>続きを読む

狼の時刻(1966年製作の映画)

3.8

ベルイマン流のホラー。
リヴウルマンの感情の機微の見せ方、本当に凄いなぁ。怖いというよりも感心させられてしまった。
"1分が永遠に感じる。計ろう"
"泉が枯れて君の太腿を別の液体が伝う。運命だ"
この
>>続きを読む

ベルイマン監督の 恥(1966年製作の映画)

4.0

テーマは素直に戦争の悲惨さ。
物理的な恐ろしさは勿論だけれど、何より怖いのは自尊心や自我の崩壊だということ。
全体を通して悲しい作品ではあるけれど、釣り人の友人に会うシーンやオルゴールを聴いて待ってて
>>続きを読む