filmoutさんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

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セルフィッシュ・サマー ホントの自分に向き合う旅(2013年製作の映画)

4.0

山火事の後の道路に線を引きながら歩く男二人。
お互い仲良く会話したり喧嘩したりしながら進んでいくロードムービーで、会話に登場する場所や人物はほぼ出てこないのだけどダラダラと引き込まれていく。

原題『
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テイク・シェルター(2011年製作の映画)

3.3

ジェフ・ニコルズ監督、『MUD』とは全然趣を異にしてポランスキー的な偏執狂、またはシャマランみたいなトンデモ超常現象系か?という作品。

しかし本当に嵐が来るかどうかよりも主人公自身が家族を巻き添えに
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薄氷の殺人(2014年製作の映画)

4.0

撮り方、物静かな語り口が素晴らしいノワール。
リャオ・ファンのくたびれた風貌、グイ・ルンメイの憂鬱な表情、寂れた街のネオン、クロースアップのカットで反射する陰影のカラーなど、大好きなツァイ・ミンリャン
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ロスト・ボディ(2012年製作の映画)

3.0

どちらかというと謎解き系の映画だけどご都合主義的すぎてさすがにオチは読める。
全ての登場人物がパズルのためだけの駒のようにも見え、特に話の中心人物であるマイカの心情は全然描かれない。
つまり何が描かれ
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湿地(2006年製作の映画)

3.4

北欧の湿地帯というよりも青みがかったカラーリングによって今が語られているのか過去が語られているのか序盤はよく分からず、終盤になってなんとなく全貌が掴めてくる。
だいぶ昔にハマったイングランド、アイルラ
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隣の影(2017年製作の映画)

3.7

隣人トラブル。
この隣人同士のやりとりもそうだが、それ以外の部分でお互いの家族の背景など真相が明らかにされないエピソードばかり。
それらの細々した問題に対して"隣人である"というだけで矛先がそちらに向
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特捜部Q カルテ番号64(2018年製作の映画)

3.7

四作目。
この作品が最もほっこり系というかまあ全然犯罪は酷いのだが、珍しく救いのある話。

特捜部Q Pからのメッセージ(2016年製作の映画)

3.6

特捜部Qは未解決事件を扱う部署なのに謎解きが必ずしもメインというわけではないところが面白いのかもしれない。
内容が重いだけに過去と並行して物語を進行し、説明することでかなり感情的な人間ドラマになってい
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特捜部Q キジ殺し(2014年製作の映画)

3.7

前作に続き今回も犯罪の内容があまりに重い。
そもそも特捜部Qというものが警察の未解決事件などを扱う部署なので自ずとそうなるのだが、レイプとか妊娠とか本当に犯人に対して心底ムカついてくるので分かりやすく
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特捜部Q 檻の中の女(2013年製作の映画)

3.5

北欧サスペンス。
とにかく犯罪の内容がエグいが、映像表現の部分で見れば映画のスケール感ではなくほぼTVドラマ。
犯人が犯行に至るまでの動機を全部回想シーンなどで説明してくれるので終わった後の余韻とかこ
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パララックス・ビュー(1974年製作の映画)

3.7

完全にアメリカン・ニューシネマな感じで全体がぼんやりしている。
パララックス社で見せられる反社会的人間を見つけ出すモンタージュが良かった。
社会派サスペンスだがゴードン・ウィリスの撮影が素晴らしく、あ
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MUD -マッド-(2012年製作の映画)

3.8

久々にこんな青臭い青春ものを見た気がする。
『フランケンシュタイン』や『ミツバチのささやき』『スタンド・バイ・ミー』のように子どもが森の中で事件に出会う話。

14才の少年が「愛する」という強さを純粋
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マーシュランド(2014年製作の映画)

3.6

1980年なのでフランコ独裁政権は終わって数年経っているが、まだ影響が残っている状態のスペイン・アンダルシアが舞台。

さすがにオチというか中盤明らかになることは序盤で読めるが、ドラマの『TRUE D
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トマホーク ガンマンvs食人族(2015年製作の映画)

3.9

『ブルータル・ジャスティス』を見てこの監督のテンポにやられたので。
本作もグダグダと無駄っぽい会話があるが何か事が起こる前後がカットされていないので、目の前で急に撃たれるとかそういう事件がリアリティを
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知りすぎた少女(1963年製作の映画)

3.7

見てて自分はマリオ・バーヴァの何が好きだったんだっけ?と思ってたんだけど、それは中盤ダレる感じがしたからでこれに関しては終わり方が粋すぎて「こういうとこだよ!」と。
サスペンスホラーを意識的にコメディ
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ブルータル・ジャスティス(2018年製作の映画)

4.4

最高。
もっと長くてもこの監督は登場人物の背景をじっくり丁寧に描くだろうし冗長にすらならないだろう。
CMのように短いカットで割らないことで暴力描写はよりリアルに見える。
ライフルを構える時のダラダラ
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恍惚(2003年製作の映画)

4.1

音楽がマイケル・ナイマン、というクレジットだけで見始めたら「不倫疑惑の夫を逆ナンしたら100%引っかかる説」という感じでこのド下ネタドッキリ感に目が離せなくなり没頭した。
音楽だけでなくプロデューサー
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血ぬられた墓標(1960年製作の映画)

3.6

モノクロ2階調かよってくらいバキバキのコントラストがすごい。
穴に落ちただけでズタボロで死んでしまうのもすごい。
蘇るときの棺桶の蓋が吹き飛ぶのもすごい。

かなり正当なゴシックホラーなので原作が何な
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オマールの壁(2013年製作の映画)

3.8

ラストのカットも含めて全く良い話ではないところにこの映画の良さがある。
メインとなるのはオマールとナディアのラブストーリーだけど、イスラエル捜査官のラミの背景が垣間見えたりパレスチナの現状を政治的に描
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ツィゴイネルワイゼン(1980年製作の映画)

4.8

ツィゴイネルワイゼンとは『ジプシーの旋律』という意味で、これを録音したレコードに演奏するサラサーテ自身の話し声が入っている。それを内田百閒が『サラサーテの盤』として小説にし、更にそれを原作として鈴木清>>続きを読む

エスケープ・フロム・L.A.(1996年製作の映画)

4.2

『ニューヨーク1997』の続編とされているんだけど作る意味がないくらいプロットがほぼ同じ。
だけどこっちの方が断然好きなのはスノビズムのないシニカルさとピーター・フォンダの意味のない登場シーン、お金が
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幕末太陽傳(1957年製作の映画)

4.0

品川宿にあった相模屋という遊郭を舞台に繰り広げられる群像劇(グランドホテル形式)でキャストがかなり豪華。
現代の品川とは言ってもこれは1957年の作品なので今の品川では全くないのだが1982年までは相
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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア(2017年製作の映画)

3.6

鑑賞後に胸糞悪くなるタイプの映画なので苦手な人は苦手だと思うが物語の途中で何度か違和感を覚えるシーンがあり、事前情報なしで見た場合その辺で大体察しがついてくる。

主人公は医者だが医療ミスで患者を死な
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和製喧嘩友達(1929年製作の映画)

3.2

1929年、全編フィルムは残っていないが短縮された最古?の小津作品。
食卓に並ぶサイダーの瓶や醤油差しなどが良い。

一緒に暮らす友人同士の男二人が車を運転中に身寄りのない女性をナンパして彼女も一緒に
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モン・パリ(1973年製作の映画)

3.4

コメディとは言え男性が妊娠することに対して受け入れる早さというかそのパリっぽさみたいなのものが漂っている。
マストロヤンニはイタリア人だけど。

そしてオープニングテーマが良すぎる。
シャンソンの歌唱
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マウス・オブ・マッドネス(1994年製作の映画)

3.7

ジョン・カーペンターによるメタメタのメタ。
モロにスティーヴン・キングとかラヴクラフトを参照してるっぽい。

先読みしてそれが現実に起こるまでの映像の示唆、暗喩が秀逸。
終幕後に思い返してみれば序盤で
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サイゴン・クチュール(2017年製作の映画)

3.9

展開はベタで粗いけどファンタジー要素もあって更には不意に泣けるシーンもある。
何よりもアオザイのかわいさと少しだけど60sのベトナムのファッションも見られる。

1969年のベトナムから2017年のベ
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ヘイル、シーザー!(2016年製作の映画)

3.4

ちょっと渋すぎる。
50年代頃のハリウッドへの憧憬と皮肉が入り混じり、赤狩りとカエサルとキリスト教を掛け合わせながら豪華スター共演させて且つ二時間以内に収めるという荒業というか。

これ宗教、歴史、イ
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タイム・オブ・ザ・ウルフ(2003年製作の映画)

3.9

何が起きてディストピアになっているのか原因は一切語られずその後の人の行動が描かれている。

生きていくのが辛く最悪な状況だ。
窃盗殺人強姦してでも生きていこうとする大人とどこまでも純粋で倫理的な子ども
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メランコリック(2018年製作の映画)

4.0

結構ファンタジックな話だとは思うんだけど役者や演出がぶっ飛んでいるわけではなく淡々としている。
見た目ほどの危機感もあまりない。
なんとなく物事がぼんやりと進んでいて突っ込むべきところにあまり突っ込ま
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グリーンブック(2018年製作の映画)

4.0

ピーター・ファレリーの作品で最近見たものの中にドラマのラウダーミルクがあった。
あれは依存症をテーマに率直すぎる言葉遣いでまくしたてる主人公が荒々しくも周囲の人を巻き込んで人間本来の生き方や楽しみに気
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マーラー(1974年製作の映画)

4.4

最初のショットから妄想狂っぽくて最高。
グスタフ・マーラーを生い立ちから音楽とケン・ラッセルの悪趣味美術で神経症的に描かれた作品。
ケン・ラッセルとは言え音楽家の伝記か、と思って見るのを先延ばしにして
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ことの次第(1981年製作の映画)

3.5

映画の制作自体がある一つのコミュニティであり旅である。
途中でお金がなくなり空中分解のように彷徨い路頭に迷うさまや、映画そのものが持つ芸術性、とりわけ陰影を描くと言う点とカメラを向ける事の意味など映画
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ラストムービー(1971年製作の映画)

3.6

お蔵入りだったのも納得と言えるほどモンタージュの狂った映画。
これを作ろうとして実際完成させているのだからデニス・ホッパーがどれだけ異端児かってとこなんだけど。
ペルーの村に映画という暴力を持ち込む流
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タコの性生活(1967年製作の映画)

3.7

たまに動物の生態や人が飼ってる動物をYouTubeで見たりするんだけどそういう"動画"とはやっぱり全然違う。
動機は似たものもあるのかもしれないけどタコの性生活を撮ってそこにナレーションをつけ、更に電
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エビのはなし(1964年製作の映画)

3.5

身体が透けてたり、透けてるのに脱皮したり不思議。
でもこの監督の作品ならタコの性生活の方が良い。
オープニングの子供とコミカルな表情が全体のコメディチックなトーンを方向づけていて良い。