踊る猫

踊る猫

基準点は 3.8 点

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

3.9

実にスットコドッコイな映画だ(褒め言葉です)。文字通りバグが原因で誤認逮捕された場面から始まって、しがない一官吏が一目惚れで恋に落ちてヒロインを救うべく奮闘するというストーリー。そんなにマジに構えなく>>続きを読む

或る終焉(2015年製作の映画)

3.4

ミヒャエル・ハネケを彷彿とさせる長回しやロングショット、そして静謐さは買いたい。それは認めるのだが、脚本があまりにも平板過ぎる。良く言えばあざとくなく病人や老人の介護についてリアルに描いていると言える>>続きを読む

讐 〜ADA〜 第二部 絶望篇(2013年製作の映画)

3.9

どうしたんだ白石晃士監督……と思わせられざるを得ない残念な出来。いや、第一部で語られなかったことを巧みに掬い上げて「なるほど、そんな伏線が張られていたのか」と思わせるトリックは流石なのだけれど、個人的>>続きを読む

讐 〜ADA〜 第一部 戦慄篇(2013年製作の映画)

3.5

第一部では謎をばら撒いてみたという感じなので、これは是非第二部を観ないとと思わせられてしまった。白石晃士氏の得意な POV 視点での復讐劇。なかなか本物らしく作られていて、スキャンダラスな秘密にある程>>続きを読む

お父さんと伊藤さん(2015年製作の映画)

4.1

タナダユキ監督の作品は不勉強にして『百万円と苦虫女』しか観ていないのだが、監督の「厳しい現実から逃げずに立ち向かうんだ」という姿勢は(あまりと言えばあまりにも、愚直に感じられるくらい真っ直ぐ)伝わって>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.1

冒頭のピクニックの場面で提示される不穏な空気が堪らない。その他にもロングショットや長回しを駆使した映像が、トリッキーな脚本と絡み合ってなかなかの力作を作り出していると思う。個人的には北野武『その男、凶>>続きを読む

ブルー・イン・ザ・フェイス(1995年製作の映画)

3.4

傑作にして力作である『スモーク』を撮ったその勢いでもう一本作っちゃいましょう、というノリの映画。もちろん基本的には『スモーク』を観てから観た方が良い。その軽いノリをどう評価するかが分かれ目となる。好意>>続きを読む

本日休診(1952年製作の映画)

3.8

戦後の傷跡の生々しく残った時代に上映されただけあって、精神的におかしくなってしまった青年の姿が痛々しい。だが、彼にも居場所はある。彼を存在することを許している。そのアットホームな感じがこの映画全編にも>>続きを読む

ピアニスト(2001年製作の映画)

4.0

駄作だとは思わない。ただ、「ミヒャエル・ハネケの映画にしては」点が低くなってしまった。変化球を投げ続けて来たハネケが投げた「豪速球」のラヴ・ストーリーといった感がある。そのストレートさ、例えば母親と主>>続きを読む

チェイサー(2008年製作の映画)

3.9

むせ返るような暴力描写の陰惨さは良く伝わって来る。血と汗の匂いがする。これは只者ではない……そう思って前のめりになって観てしまったのだけれど、展開に無理を感じる。幾らなんでもあの場面で気づかないはずが>>続きを読む

さざなみ(2015年製作の映画)

3.4

点は低くなったが駄作だとは思わない。丁寧に夫妻の心理、元カノに未練のある夫とその夫の執着に嫉妬を感じる妻の焦燥を見事に描いていると思う。計算された構成もまた見逃してはならないだろう。ペース配分は良く出>>続きを読む

愛、アムール(2012年製作の映画)

4.3

老いて行く妻とその看病をする夫。スジを要約してしまえばそれだけの話……なのにここまで人を惹きつけるのは何故なのだろう。むろん俳優陣の演技の賜物でもあるだろうが、それと同じくらいこの映画が「計算」され尽>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

4.3

何故この映画がモノクロームで撮られなければならなかったのか、その理由を考えさせられてしまった。それは恐らくこの映画が子どもたちがつけさせられる、「白いリボン」に象徴される「無垢」を際立たせるためではな>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

3.8

デヴィッド・クローネンバーグならではのクールな質感を伴った映像は流石である。だからここからは本当に好みの問題。前半部にもう少し丁寧に伏線を張っておけば……と惜しく思われる。いや、この映画には暴力(=「>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.3

何故(あたかも)ワンカットで撮ったかのような手法を使ったのだろう。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという監督なりの意図がそこに込められていることは間違いない。『アモーレス・ペロス』以降『BABE>>続きを読む

害虫(2002年製作の映画)

3.7

私は映画に関しては「スジ」にどうしても注目してしまうので、この脚本にさほど説得力を感じられなかったので比較的低めの点数になってしまった。だが、計算され尽くしたストーリーであることは分かる。冒頭の母親の>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

3.9

凄まじい映画だと思った。ただひたすら戦時下のフィリピン(?)での殺戮を描き切っている。主人公を中心に据えて、回想シーンを交えることなくエンターテイメント性にも頼らずに描写したその志は大いに買いたい。悪>>続きを読む

下妻物語(2004年製作の映画)

4.1

評価に困る。ここまでコミカルに描いて良いものかと思わされる反面(こんな荒唐無稽な脚本に「説得力」を期待しては行けないのだろう)、アニメやざらついた画質の映像などを積極的に取り入れることに依って行儀の良>>続きを読む

SWEET SIXTEEN(2002年製作の映画)

4.8

強烈な映画を観た、と圧倒された。二度目の鑑賞になるが、肝腎な場面をすっかり忘れた上で臨んだのでこの映画を舐めて掛かっていたことを恥じた(初見では 4.5 点をつけただろう)。だが、何処から語れば良いの>>続きを読む

スクラップ・ヘブン(2005年製作の映画)

3.9

これは日本版『ファイト・クラブ』である……と書けば呆れられるかもしれない。デヴィッド・フィンチャーのあの作品のような映像美は期待出来ないし、意外なオチが待っているわけでもない。だが、「クソ」を洗い流し>>続きを読む

BORDER LINE(2002年製作の映画)

3.4

例えば同じく「子ども」の鬱屈した内情を描いた塩田明彦『害虫』『カナリア』などを想起しつつ、しかしそういった作品と比べて本作がさほど心に響かなかったのはこの映画が時流の波に揉まれて古びてしまったからだけ>>続きを読む

キャロル(2015年製作の映画)

3.7

上品な作品だ。同性愛がタブーだった時代の禁断の愛を描いていて、しかしこちらを煽り過ぎることなく(言わば「俗情との結託」に触れずに)丁寧に描き切ったその真摯さは評価に値する。悪く言えばそういうセンセーシ>>続きを読む

渇き。(2013年製作の映画)

4.2

点数は高くなったがアラはある。話が分かりにくい。過去の事件と現在の事件が交互に語られるので、時としてどちらを描いているのか判断が難しいところがある。また、同監督の『告白』を観ても思ったことなのだけれど>>続きを読む

ラ・ラ・ランド(2016年製作の映画)

3.1

酷い。なにが酷いかって、主演している俳優が「演技」をしていないことだ(彼らがアカデミー賞を受賞したのはその意味では酷い皮肉だ)。嬉しければ笑うし、逆に言えば笑うと嬉しそうな感情を見せている……と「表出>>続きを読む

サンドラの週末(2014年製作の映画)

3.6

ダルデンヌ兄弟の作品は不勉強にして『ある子供』しか観ていないのだけれど、二度流れるカーステレオからの音楽を除けば BGM は流されず、扇情的にこちらの気分を持ち上げたり下げたりさせないあたりはダルデン>>続きを読む

クリーピー 偽りの隣人(2016年製作の映画)

4.3

セオリー通りに作った脚本に忠実に(本当に「忠実に」)撮ったという感じ。なるほど黒沢清氏らしさはところどころに見られる。冒頭の取り調べ室の場面は知る者なら『CURE』を想起せざるを得ないだろうし、不吉に>>続きを読む

リップヴァンウィンクルの花嫁(2016年製作の映画)

4.1

「おっ! ラース・フォン・トリアー!?」と思わせる管弦楽器とスローモーションの結びつき、並びにせっかちなカメラワークは美しい。しかし、スマホの導入(それは撮影の媒体としても登場するので、これ自体は極め>>続きを読む

シークレット・サンシャイン(2007年製作の映画)

4.3

なんだろうこの全体に漂うミヒャエル・ハネケ臭は……不勉強にして韓国のキリスト教の影響力の大きさとかそういうものを知らずに観てしまったので、調べてみて恥じさせられたことを告白しておく。このようなある種キ>>続きを読む

海よりもまだ深く(2016年製作の映画)

4.7

ケン・ローチが、あるいは橋口亮輔氏が挑んでいることに(良い意味でも悪い意味でも)愚直に是枝裕和監督らしく取り組んだ一作。つまり、現実から逃げずに何処まで泥臭く、しかしさり気ないユーモアを含んだ作品とし>>続きを読む

永遠の僕たち(2011年製作の映画)

4.1

加瀬亮氏が主人公をぶん殴る場面にハッとしたのでこの点数に。もう少し丁寧に登場人物の「死」との戯れや根底にある恐怖、恋人同士の触れ合い、等などディテールを掘り下げればより傑作になっただろうと惜しまれる反>>続きを読む

シング・ストリート 未来へのうた(2016年製作の映画)

3.5

「アメリカン・ドリーム」ならぬ「アイリッシュ・ドリーム」はこれは果たせたのか? 私はこの映画を観て『トレインスポッティング』を連想した。ネタを割らないのがこの「レビュー」の方針なので深くは語らないが、>>続きを読む

愛しき人生のつくりかた(2015年製作の映画)

4.2

結果的には高評価になったのだけれど、なかなか悩ましい。もう少し時間を掛けてパパのマザコンぶりや夫婦の不仲、お婆ちゃんと孫の触れ合い、同居人の事情などを丁寧に描けばもっと良くなったのではないかと惜しまれ>>続きを読む

おくりびと(2008年製作の映画)

4.8

落涙してしまった。アラがないわけではない。ムダを削ぎ落として(主人公がチェロを河原で弾く場面を削って)、父親との確執をもう少し丁寧に描いていたらと思わなくもない。だが――私の狭い観測範囲になるが――ど>>続きを読む

おみおくりの作法(2013年製作の映画)

3.6

良く言えば手堅く作られたムダのない映画。悪く言えば何処までも地味な映画。自らの「死生観」を問い直すにあたってこの映画に臨んだのだが、どんな逆境に置かれても堅実に仕事を続ける主人公の姿は確かに感動的だ。>>続きを読む

悼む人(2015年製作の映画)

3.9

天童荒太氏の原作は例に依って未読。だから原作を何処まで周到に活かしたものかは分からないが……そもそもの設定自体ツッコミどころ満載だし、「死」と「生」をテーマに重く描こう/問おうとしている意欲は大いに買>>続きを読む

COBAIN モンタージュ・オブ・ヘック(2015年製作の映画)

3.1

悩んだが、この点数になってしまった。ニルヴァーナの誕生と成功がかなり端折られて語られているからというのもあるし、彼らが支持された背景を分析していないからでもある。また、これは好みの問題でしかなくなるの>>続きを読む

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