踊る猫さんの映画レビュー・感想・評価

踊る猫

踊る猫

基準点は 3.8 点

映画(368)
ドラマ(0)

メッセージ(2016年製作の映画)

4.8

渋い映画だ、と唸らされてしまった。原作は不勉強にして未読なのだけれど、骨太な「メッセージ」が最後の最後に熱く伝わって来る渾身の一本だと思わされたのだ。この映画はちっとも難解ではない。あらゆる瞬間を大事>>続きを読む

ONCE ダブリンの街角で(2006年製作の映画)

3.7

ビターテイストな映画だ。ネタを割るのは慎みたいが、とある男の歌を女が聴くところから(つまり「ボーイ・ミーツ・ガール」だ)ストーリーは始まる。彼らが意気投合して曲を作り、それを仲間たちと一緒に練り上げる>>続きを読む

ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール(2014年製作の映画)

3.6

流石にベル・アンド・セバスチャンのフロントマン/ソングライターが撮っただけあって、音楽は見事。音楽でこちらを引っ張って行くその展開はゴージャスとも言える。悪く言えば、音楽「だけ」でこちらを引っ張って行>>続きを読む

アメリカン・スリープオーバー(2010年製作の映画)

3.5

『イット・フォローズ』が個人的に面白かったので期待して観たのだが、「作る意味のある習作」だと思われた。「アメリカン」なひと晩の少年少女たちの物語。それを小賢しい工夫を凝らさずに、露悪的になることもなく>>続きを読む

0.5ミリ(2014年製作の映画)

3.9

難しい映画だ。スケーターズ・ワルツに載って語られる不条理にコミカルな崩壊した家庭の姿。そこで発生した事故から主人公はロード・ムーヴィーばりに様々な老いた男たちのところに転がり込み、そこで様々な出来事を>>続きを読む

エブリバディ・ウォンツ・サム!! 世界はボクらの手の中に(2015年製作の映画)

3.4

村上春樹『風の歌を聴け』のような映画だと思った。初っ端からザ・ナックの「マイ・シャローナ」を持って来て、パンクやディスコを流しながらこちらを軽やかに引きずり込む。スジとしては散漫に過ぎると思ったので点>>続きを読む

エル ELLE(2016年製作の映画)

4.1

こじらせてるなあ……イザベル・ユペールはレイプされても泣き喚くこともなく淡々と仕事をこなし、女性が陵辱されるゲームを作り男のペニスを見る。その気丈な様は人間を超えた生き物のようで、だからこの映画はエロ>>続きを読む

予兆 散歩する侵略者 劇場版(2017年製作の映画)

4.7

やるな黒沢清、という感じ。ネタを割ることになるのでこういった言及は出来るだけ避けたいのだが、『散歩する侵略者』にあったベタ甘な要素はここにはなく、脚本に高橋洋氏が加わっていることもあってかホラー方面に>>続きを読む

ブリングリング(2013年製作の映画)

3.6

ソフィア・コッポラは一貫して、女性たちの無為で無軌道な生き方を撮ることに徹しているかのようだ。この映画でもそれは例外ではなく、盗みの場面のスリルはあまり強調されておらず、かと言って豪遊する場面もそれほ>>続きを読む

三度目の殺人(2017年製作の映画)

4.5

是枝裕和監督は前進し続けている、と唸らされてしまう。近年の作品(『海街diary』『海よりもまだ深く』など)に見られた、光る「ショット」の美しさを封印してしまったかのようだ。この映画は人物がクローズア>>続きを読む

PARKS パークス(2016年製作の映画)

3.9

ストーリーの完成度という点ではアラが目立つが、それを打ち消して余りあるのは個人的にこの映画に登場する音楽に惹かれたからというのもあるのだろう(従って、この点数は私の好みが多分に反映されていることは断っ>>続きを読む

シグナル(2014年製作の映画)

2.8

連ドラでやるべき長大なドラマの美味しいところだけを摘んで編集したらこうなった……という感じ。ウィリアム・ユーバンク監督は『地球、最後の男』でもそうだったのだけれど発想/妄想の巨大さはなかなかのものがあ>>続きを読む

散歩する侵略者(2017年製作の映画)

4.7

黒沢清監督はここに来て持ち駒を全て使い尽くしたな、という感を抱く。つまりこれまでやって来たことの集大成。ストーリー自体はそれこそ『CURE』から『クリーピー 偽りの隣人』に至るまでの「他者」が自分の世>>続きを読む

ストレイト・アウタ・コンプトン(2015年製作の映画)

4.1

なかなか興味深い。ストーリー展開としては王道のサクセス・ストーリーが描かれていて、その中にパイオニアとしての苦労や社会現象の当事者となってしまった時代、仲間割れやビジネスの汚い部分に触れてしまったこと>>続きを読む

アメリカン・スナイパー(2014年製作の映画)

4.3

この映画を理解しないことにはアメリカは語れない、と言ってしまっても良いのではないか。私にとっては初のクリント・イーストウッド作品だったのだけれど、派手な劇伴を使わずにしかしタイトな演出で、渋く手堅くこ>>続きを読む

(2017年製作の映画)

3.6

私としては低めの評価になってしまう。端的に、どの登場人物の心も読めないからに尽きる。何故そこでそう振る舞うのか、あまりにも唐突で伏線が丁寧に張られていないからだ。むろん監督はそれを踏まえた上で敢えて不>>続きを読む

ダンケルク(2017年製作の映画)

3.8

良く言えばタイトに引き締まった作品だ。何処にも無駄がない。悪く言えばその分ストーリーの豊満さが足りない。例えば『インターステラー』や『インセプション』のような作品のエンターテイメント性を期待して観れば>>続きを読む

グーグーだって猫である(2008年製作の映画)

3.5

映画というより緩い映像作品というべきか。フィクションやドラマの枠組み、つまり起承転結に囚われずにやりたいことをやってみました、というような……その結果生まれたのは猫の可愛さが全面に引き出されたほのぼの>>続きを読む

たまの映画(2010年製作の映画)

2.8

言うなれば「After」たまの映画と言うべきか。たまが大ブレイクした時代の映像は全然流されず、四人もしくは三人で活動していたたまの姿も映さない。つまり回想シーンがないのだ。「今」を生きる元たまのメンバ>>続きを読む

マンチェスター・バイ・ザ・シー(2016年製作の映画)

4.7

過去と現在がせっかちに入れ違うストーリー展開。そして、終始(スラングこそ矢継ぎ早に吐き出されるものの)控え目にじわじわとこちらを惹いていく俳優陣の演技、そして演出の妙。最初は戸惑ったものの、少しずつこ>>続きを読む

武曲 MUKOKU(2017年製作の映画)

4.0

泥臭い映画だ。スタイリッシュに撮るのではなく、ふたりが竹刀や木刀を振りかざしてただ打ち合う姿を撮る。良く言えば誤魔化しはない。悪く言えばエンターテイメント的な旨味はない。いや、一応カタルシスはある。率>>続きを読む

イット・フォローズ(2014年製作の映画)

4.2

なんとも言いようのない珍品を堪能してしまった。「イット」の正体をあれやこれやと詮索するのは野暮というものか。エイズなどの性病を描いているとも受け取れるし、あるいは「死」そのものが絶えず迫り来る人生を表>>続きを読む

共犯(2013年製作の映画)

4.5

これは見事! ストーリーのどんでん返しが良い具合にキマっていて、先を読ませない作りになっている。監督のストーリーテリングの巧さは『光にふれる』でも明らかだったのだが、それに更に磨きが掛かっている。監督>>続きを読む

ドリーム(2016年製作の映画)

4.0

渋い映画だ。なんなら「燻し銀」と言っても良いのだろう。「黒人」かつ「女性」という二重のマイノリティとしてのアイデンティティを背負わなければならなくなった女性たちが NASA の中で奮闘して「The F>>続きを読む

美しい星(2017年製作の映画)

4.8

これはしてやられた! という感を抱く。もしかしたら今一番キューブリックに近い位置に居るのが吉田大八という監督なのでは……と。結構重大な突っ込みどころは幾つかあるのだけれど、それを踏まえても 3.11 >>続きを読む

哭声 コクソン(2016年製作の映画)

3.5

序盤のテンポが個人的に体質に合わず、後半で捻りが効いた展開から期待値が高まったのだが……落とし方に今ひとつしっくり来ないものを感じた。尻すぼみ……という印象を抱いたのだ(それも監督の計算の内なのかもし>>続きを読む

fuji_jukai.mov(2016年製作の映画)

1.9

系統としては『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』や白石晃士監督が撮るような POV のホラーに入るのだろうが、まず手ブレの生々しさがこの映画にはない。観ていて緊張しないのだ。だからただダラダラした素人の>>続きを読む

アリスのままで(2014年製作の映画)

3.7

若年性アルツハイマー病を描いた映画。ジュリアン・ムーアの演技は流石に迫力があり、それでポイントをだいぶ稼いでいる。だが映画としての出来はどうか? どうも病状の進行を一本調子で描いた作品という印象が拭い>>続きを読む

大人は判ってくれない(1959年製作の映画)

3.6

点数が低くなってしまったのは期待値の高さ故なのか。それとも、主人公が不良になった理由に説得力を感じないことやその他の細かい説明が足りないことを気にしてしまう私の体質故なのか。私はスジからしか映画を観ら>>続きを読む

フローズン・タイム(2006年製作の映画)

2.8

ボンクラな映画だなあ……『快楽天』あたりで展開されそうなストーリーのお話。エッチな要素をアートで言い繕っていないところに監督の誠実さを見るべきか、それとも本当にただの凡人が撮った映画として受け取るべき>>続きを読む

ジム&アンディ(2017年製作の映画)

3.4

『マン・オン・ザ・ムーン』という映画自体をさほど面白いと思えなかったせいか、この作品を観たら評価が変わるかな……と思ったのだけれど今ひとつ前のめりになって観ることが出来なかった。確かにジム・キャリーの>>続きを読む

愚行録(2017年製作の映画)

4.3

渋い映画だな、と思わされた。私には珍しく原作を読んでいたのだが原作の旨味はそのままで、しかし原作の奴隷に陥らずに独自のクオリティを保って映画化されたという印象を感じる。そこにあるのは「愚行」の数々だ。>>続きを読む

人生タクシー(2015年製作の映画)

3.0

映画製作を禁じられている条件下で、それでも体制に反抗してなおかつこのような人情味溢れた映画を作ったその心意気は大いに買いたい。しかし、どうしてもオーソドックスな映画と比べると観ていてキツかったので点が>>続きを読む

ヴァーサス/ケン・ローチ映画と人生(2016年製作の映画)

3.9

ドキュメンタリーとしては可もなく不可もなし。名匠ケン・ローチが、時に食い繋ぐためにしぶとく商業主義に屈してでも、役者となっても諦めずに映画を撮り続けて来たその道筋が関係者と本人に依って語られる。ここで>>続きを読む

わたしは、ダニエル・ブレイク(2016年製作の映画)

4.7

今回のケン・ローチは淡々としている。背後で流す音楽はほぼ皆無。ダニエル・ブレイクという人物についても、彼に救われるケイティについても語らない。ただひょこひょこ歩く姿を見せ、そしてお役所仕事の不条理を見>>続きを読む

レヴェナント:蘇えりし者(2015年製作の映画)

4.3

序盤は個人的にはかなり退屈だったのだが、レオナルド・ディカプリオが奇蹟的に生き延びるあたりから面白くなって来た。個人的にはその映像美に例えばタルコフスキーやテレンス・マリックの映画などを想起させられた>>続きを読む

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