踊る猫さんの映画レビュー・感想・評価

踊る猫

踊る猫

基準点は 3.8 点

映画(408)
ドラマ(1)

(2016年製作の映画)

3.2

あまりこういう言い方は気取りが過ぎるのでしたくないのだが、「3.11」以降の映画を作ろうとする姿勢が見える。愚直に悲劇と向き合い、そこから希望をどう見出すか、あるいは希望などないと居直るか……ジェフ・>>続きを読む

スプリング・ブレイカーズ(2012年製作の映画)

4.0

音楽の使い方の巧さは流石。だが、逆に言えば音楽の援用に淫して肝腎の筋立てがおざなりになっているという印象をも抱く。例えばソフィア・コッポラ『ブリングリング』を想起させるところもあるのだけれど、『ブリン>>続きを読む

(1954年製作の映画)

4.1

毎度ながら頓珍漢なことを書くが、観ながら『じゃりン子チエ』を思い出した。マッチョなだけが取り柄のテツと、その横暴さに辟易しながらなんだかんだ言ってついていく(し、フォローもする)チエの姿が思い出された>>続きを読む

スリー・ビルボード(2017年製作の映画)

3.5

こちらの期待値が高過ぎたからなのかもしれないが、あまり心に響いて来る映画だとは思えなかった。発端となるレイプ事件について丁寧に描かれないため、一体それによって娘を失った母の怒りがどれくらいのものなのか>>続きを読む

あん(2015年製作の映画)

4.1

原作は未読。ハンセン病から来る差別を描いた映画……と前以て観ると肩透かしを食らうだろう。そういう要素もないではないが、むしろこの映画では主要な人物がいずれも運命に雁字搦めになっていることが強調されてい>>続きを読む

ワンダーウーマン(2017年製作の映画)

2.2

観ていて居たたまれない気持ちになった。厳しい、とも思った。ヒロインの葛藤や成長が描かれない。苦悩が描かれない。人を倒すために人を倒さなければならない矛盾を自問自答しない「ワンダーウーマン」……だから当>>続きを読む

セールスマン(2016年製作の映画)

4.4

アスガー・ファルハディは現代のドストエフスキーになりたがっているのだろうか? と書くとこれもまた頓珍漢か。だが、これまでの作品を振り返ってみれば彼が「罪」を、そしてその「罰」を描かんとしているそのこだ>>続きを読む

BPM ビート・パー・ミニット(2017年製作の映画)

4.0

渋い。もっと華やかな、あるいはデーハーな映画を期待していたのだが、この映画は手堅いアプローチで攻めて来る。エイズに対してなんの措置も取れない企業や政府を相手に戦った当事者たちの物語なのだけれど、引っ張>>続きを読む

わたしはロランス(2012年製作の映画)

3.5

微妙なものを感じてしまう。この映画を高く買えない。愚直過ぎるカメラワーク(あたかも、被写体をポンと置いてそれを撮れば映画になる、とでも思っているかのような)、伏線もなにもあったものではないストーリー展>>続きを読む

ブレードランナー 2049(2017年製作の映画)

4.1

人間とレプリカント、本物と贋物、シミュラクル……といった問題はここに来てより掘り下げられている感がある。最初は『オイディプス王』やドストエフスキーよろしく「父殺し」の問題で展開して行くのかな……と思い>>続きを読む

インビクタス/負けざる者たち(2009年製作の映画)

4.3

実にシブい映画だ。重厚で、敢えて言えばやや難解か。ネルソン・マンデラの獄中での苦悩や、あるいは根強く残るアパルトヘイト政策が生み出す白人とアフロ・アメリカンの対立を、意図的に/計算高くセンセーショナル>>続きを読む

ゴースト・イン・ザ・シェル(2017年製作の映画)

3.5

大味な映画だ。悪く言えばそれだけ荒っぽい。コンピュータ・グラフィックスを多用して未来都市を再現したその努力は見事としか言う他がないのだけれど、その分「スジ」に手が回っていないという印象を受ける。この映>>続きを読む

WE ARE YOUR FRIENDS ウィー・アー・ユア・フレンズ(2015年製作の映画)

3.4

悪い映画ではない。観たあとこちらをポジティヴな気持ちにさせてくれる良作だと思う。テーマは「這い上がれるか」だろう。落ち目の DJ や彼を慕う主人公、うだつの上がらない女性やボンクラな友人たち(「WE >>続きを読む

ザ・サークル(2017年製作の映画)

3.5

アンドリュー・ニコルの影響を受けたのだろうか。『トゥルーマン・ショー』を踏まえたとしか思えない場面がチラホラ出て来る(カヤックで海上に出る場面に、特に強烈にそれを感じる)。場面が共通しているだけではな>>続きを読む

オン・ザ・ミルキー・ロード(2016年製作の映画)

4.4

「奇蹟」をどう捉えるか? それを問い続けているのがエミール・クストリッツァではないかと考える。この映画では起こりそうにないことが何度も起こる。蛇がミルクを飲む。時計が常軌を逸してグルグル回る。戦争が呆>>続きを読む

ギミー・デンジャー(2016年製作の映画)

3.5

ドキュメンタリーとして観ると可もなく不可もなく。ジム・ジャームッシュらしさというものが殆ど伝わって来ない印象を受ける。いや、全体的にオフビートであることは分かるのだけれど、「間」を活かした演出が為され>>続きを読む

ポエトリー アグネスの詩(うた)(2010年製作の映画)

4.4

「タテ」の関係に彩られた映画だ。アグネスは橋から飛び降り自殺という手段を経ないといけなかったし、その死体は奥(つまり画面的には上部)から手前(下部)へと流れて来なければならなかった。この映画は切り返し>>続きを読む

彼女がその名を知らない鳥たち(2017年製作の映画)

4.3

サスペンス/ミステリとして観ると、間延びしている感が否めない。だから中盤はかったるくてしょうがなかったのだけれど、後半の阿部サダヲの行動の意味が明らかになるあたりから尻上がりに面白く感じられたので(あ>>続きを読む

パターソン(2016年製作の映画)

4.1

法月綸太郎に倣って、この映画を「二の喜劇」と名づけることが許されるだろう。昼と夜をめぐる映画、地名としてのパターソンと人名としてのパターソンをめぐる映画、男と女、アボットとコステロ、ロミオとジュリエッ>>続きを読む

ケンタとジュンとカヨちゃんの国(2009年製作の映画)

2.8

俗に言うロード・ムーヴィーなのだけれど、解放感をこちらにもたらす類の映画ではない。逃げれば逃げるほど閉塞感は増すばかり……むろん、それがこの映画の造り手の狙いなのだから、その閉塞感を生々しく感じさせた>>続きを読む

ムーンライト(2016年製作の映画)

4.0

渋い映画だ。燻し銀、という言葉がしっくり来る。こちらを惹きつける色気は何処にもない。「黒人」であることや「ゲイ」であること、「いじめられっ子」「売人」であることの苦悩をこちらに突きつけて来るところはあ>>続きを読む

雨の日は会えない、晴れた日は君を想う(2015年製作の映画)

3.9

破壊と再生。縮めて言えばそういうストーリーになるのだろう(ちなみに原題「Demolition」を直訳すると「破壊」となる)。妻が亡くなった後も冷めた態度で自販機の会社にクレームをつける男、平然と出社す>>続きを読む

ハッピーエンド(2017年製作の映画)

4.5

当たり前の話をすれば、私たちは座って映画を鑑賞する。つまり、動かないわけだ。そしてそこから私たちは食い入るように画像を観る。ハネケはこの「観る」という行為を行っているのが他でもない私たちであることを再>>続きを読む

南瓜とマヨネーズ(2017年製作の映画)

4.1

点は高くなってしまうが、具体的な評価はどうしたものか困る。ソツのない映画だな、という印象を受けた。男女関係を描いていながらドロドロしたところがなく、それでいてありがちなスカしたセックスレスな関係をいか>>続きを読む

ナラタージュ(2017年製作の映画)

3.0

こちらの期待値が高過ぎたせいなのか、あまり前のめりになって観ることが出来なかった。平板なストーリー展開が延々と続く……もちろん印象に残るショットはある。風呂場で散髪する場面、土下座、制服のままプールに>>続きを読む

ブレックファスト・クラブ(1985年製作の映画)

2.9

こちらの期待値が高過ぎたのかもしれない。点数をつけるとなると低くなる。後半の登場人物たちの自分語りはこちらの胸を熱くさせるものがあったのだけれど、前半の仕込み段階が退屈に感じられた……もう少しギャグを>>続きを読む

勝手にふるえてろ(2017年製作の映画)

3.2

寒い映画だなあ、と思った。過剰な思い入れがギュンギュン空回りするところをラブコメとして描きたいのは分かるのだけれど、ギャグもミュージカル仕立てな展開もこちらの肌に合わず……松岡茉優氏のフォトジェニック>>続きを読む

パーティで女の子に話しかけるには(2017年製作の映画)

2.8

いわゆる「フツー」に出来た映画を観たいなら、この映画はお薦め出来ない。ツッコミどころ満載の設定、チープな特殊効果、そして素人臭い芝居。その意味で点はどうしても低くなってしまう。だが、この映画のメッセー>>続きを読む

バニラ・スカイ(2001年製作の映画)

3.6

音楽を多用したポップな作り方は流石で、脚本も完成度は確かに高い。かなり丁寧に伏線が散りばめられており、リメイク元よりも格段に分かりやすい作りになっている。裏を返せばそれだけ分かりやす過ぎるとも言える。>>続きを読む

横道世之介(2013年製作の映画)

4.3

キレッキレにテンポの良い掛け合い、映像のデーハーさ、俳優が大袈裟に泣き喚き走り回る……という邦画のメインストリームの真逆を行く作品。つまり地味なのだけれど、俳優陣が芝居掛かっていない喋りでこちらをリラ>>続きを読む

マイ・マザー(2009年製作の映画)

3.3

エモい映画だな、と思った。ストーリーテリングの妙から言えば洗練された映画ではない。むしろド下手で愚直であるとさえ言える。だが、ゲイの子どもとその母親の愛憎が複雑に絡まった関係を描くことには成功している>>続きを読む

映画 夜空はいつでも最高密度の青色だ(2016年製作の映画)

3.5

インテリの大学生が作った芝居の台詞のような不自然な言い回しが最初の内は癇に障ったのだけれど、作品世界に惹き込まれるにつれてそういう不自然さも味なのではないかと思えるようになって来た。点数は低くなってし>>続きを読む

ときめきサイエンス(1985年製作の映画)

3.0

アメリカのヤング・アダルト、つまりティーン・エイジャーのボンクラさが極まった映画。女の子とパーティのことで頭が一杯で、必死でイケてるサマを見せようとして、不良に勇敢に立ち向かって行くヒーローになりたく>>続きを読む

手紙は憶えている(2015年製作の映画)

3.5

なかなか評価が難しい。低予算の中で撮られた燻し銀の渋さが魅力的な映画であることは認めたい。脚本の勝利だろう。だが、やはりテーマの重みと映画の面白さがマッチしていないというか、ナチを弾劾する内容にしたい>>続きを読む

万引き家族(2018年製作の映画)

5.0

時間を忘れて、食い入るように魅入ってしまった。この映画には是枝裕和監督の全てが入っている。家族(特に父と息子)の親密な関係、独特の死生観、四季の移ろいの美しさ、子どもたちのイノセンス、そして社会派的な>>続きを読む

フェリスはある朝突然に(1986年製作の映画)

4.1

いやあ、細かいなあ……最初の内はどうしても「古臭いな」と感じてしまい話に入り込めなかったのだけれど、ところどころに散りばめられたギャグの細かさ、脚本の出来栄えに感心させられてしまった。ここまで細かい人>>続きを読む

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