踊る猫さんの映画レビュー・感想・評価 - 12ページ目

踊る猫

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スティーブ・ジョブズ(2013年製作の映画)

3.5

キャッチコピー通り、スティーブ・ジョブズの「最低」さが強調された作りになっている。これでもまだ足りないのか……というくらいに。裸足で学生時代キャンパスを歩いていたところから始まり、学費を納めずデザイン>>続きを読む

世界から猫が消えたなら(2015年製作の映画)

3.4

『世にも奇妙な物語』で綴られる感動エピソードを拡大しました……という感じ。つまり、映画でしか出来ないことをやっていない(割りには映画について鬱陶しいほどの言及が為されていて、製作者側の計算高さが逆に鼻>>続きを読む

WE ARE Perfume WORLD TOUR 3rd DOCUMENT(2015年製作の映画)

3.6

Perfume はそんなに好きでも嫌いでもないのだけれど、このドキュメンタリーを観て彼女たちに好感を抱いた。いつだって頑張って一歩先の夢を追い掛ける姿勢に「自分も……」と励まされたような気がしたのだ。>>続きを読む

EDEN/エデン(2014年製作の映画)

3.4

なるほど DJ として生きるのも大変なんだな……という以上の感想が湧いて来ない。それはこの映画が結局音楽に依存し過ぎて、肝腎のドラマ性を犠牲にしているところから来るのだろう。音楽は流石に良いのだが(ダ>>続きを読む

SCOOP!(2016年製作の映画)

4.1

テンポの良い会話でこちらを惹きつけていくその手腕は実に見事。俳優陣の演技も良い。ただ、展開の唐突さが目立つ。もっとこのあたりを深く描き込んでいれば……と惜しく思わなくもない。例えば後半の悲劇的展開に至>>続きを読む

何者(2016年製作の映画)

3.9

就活に挑む六人の男女を描いたストーリー。ネット社会の闇の深さを強調した売られ方がされているようだけれど、その側面から観ても結局あるのは陳腐な(メイン垢とサブ垢の使い分け程度の)「闇」でしかないから期待>>続きを読む

ラースと、その彼女(2007年製作の映画)

4.0

「イタい人を見世物にしている映画じゃないかなあ……」というような序盤の印象が、少しずつこちらの心を動かすものとなって来たのは言うまでもなくライアン・ゴズリングを始めとする俳優陣の演技の賜物だろう(眉ひ>>続きを読む

エクス・マキナ(2015年製作の映画)

4.2

序盤の展開と雰囲気作り、映像の美しさ、そしてオチのつけ方の見事さに「やられた!」と思ってこの点数にした。悪く言えば中盤の展開が(というより全体的に?)まったりしている感じがあるので、サスペンスの要素は>>続きを読む

スラムドッグ$ミリオネア(2008年製作の映画)

4.4

点は高くなってしまったがなかなか難しい映画だ。観終えたあとも私の中には「このエンディングは果たして……」と言いようのない違和感が残ってしまっている。ネタを割らないのがこの「レビュー」の方針なので書かな>>続きを読む

ステイ(2005年製作の映画)

4.1

これはなかなか素晴らしい。後半になるにつれて尻上がりに面白く感じられた。とある精神科医と自殺志願者の青年が迷い込む悪夢のような世界を描いているのだけれど、映像面も綺麗で見応えがある。デジャ・ヴのような>>続きを読む

淵に立つ(2016年製作の映画)

4.4

重厚な映画だ。二時間という時間が三時間に感じられた。良く言えばそれだけ丁寧に、細かい部分に至るまで演出を施された映画ということになる。悪く言えばサスペンスとしてはテンポが些か悪い印象を受ける。町工場の>>続きを読む

怒り(2016年製作の映画)

4.8

相手を信じるか信じないか。問いは極めてシンプルだ。私にしては珍しく原作を読んでおり、傑作だと思ったのでそれをどう料理しているか楽しみにしていたのだけれど、もう少し尺を長くして各登場人物の苦悩や葛藤を描>>続きを読む

DENKI GROOVE THE MOVIE? 石野卓球とピエール瀧(2015年製作の映画)

3.8

どんなものが出来上がったのだろうかと構えて観てしまったのだけれど、結構フツーのドキュメンタリー映画になっているのでそのあたり安心したと言えば言えるし、物足りないと言えば物足りない。石野卓球氏とピエール>>続きを読む

別離(2011年製作の映画)

4.6

この監督特有の前半のネタの仕込み段階での長ったらしさをさほど感じさせず、後半から怒涛の訴訟沙汰やミステリ的な展開に持って行くあたりはなかなか他の映画にはないな……と思ってこの点数にした。社会問題を告発>>続きを読む

葛城事件(2016年製作の映画)

4.3

肝腎の構成面において意外性/サプライズに乏しいせいか、何処か予定調和的な話を観させられたという感がある。その点で同じ社会派的なアプローチを採っている是枝裕和監督や橋口亮輔監督と比べると(もっとも、この>>続きを読む

FAKE(2016年製作の映画)

4.1

なかなか難しい映画だ。思いつくところから書いて行くと、私は佐村河内守氏の騒動にはさほど興味がなかったので「全聾」を偽っている人とばかり思っていた。氏は聴覚には実際に障害があるらしく、その観点から引いて>>続きを読む

彼女が消えた浜辺(2009年製作の映画)

4.0

実に手堅く作られた作品だ。細かなところまできっちり計算してある。逆に言えばくどい。もう少しスタイリッシュにもっと削れるところを削ることも出来ただろう……と惜しまれる。ひとりの少年が溺れ、ひとりの女性が>>続きを読む

父の秘密(2012年製作の映画)

3.7

さほど期待をしないで観たのだけれど(失礼!)、全体的に漂うミヒャエル・ハネケ臭がなかなかクセになる。娘が虐められて父親が復讐するという、それだけと言えばそれだけの話で陰惨ないじめが生々しく描かれるあた>>続きを読む

未来世紀ブラジル(1985年製作の映画)

3.9

実にスットコドッコイな映画だ(褒め言葉です)。文字通りバグが原因で誤認逮捕された場面から始まって、しがない一官吏が一目惚れで恋に落ちてヒロインを救うべく奮闘するというストーリー。そんなにマジに構えなく>>続きを読む

或る終焉(2015年製作の映画)

3.4

ミヒャエル・ハネケを彷彿とさせる長回しやロングショット、そして静謐さは買いたい。それは認めるのだが、脚本があまりにも平板過ぎる。良く言えばあざとくなく病人や老人の介護についてリアルに描いていると言える>>続きを読む

讐 〜ADA〜 第二部 絶望篇(2013年製作の映画)

3.9

どうしたんだ白石晃士監督……と思わせられざるを得ない残念な出来。いや、第一部で語られなかったことを巧みに掬い上げて「なるほど、そんな伏線が張られていたのか」と思わせるトリックは流石なのだけれど、個人的>>続きを読む

讐 〜ADA〜 第一部 戦慄篇(2013年製作の映画)

3.5

第一部では謎をばら撒いてみたという感じなので、これは是非第二部を観ないとと思わせられてしまった。白石晃士氏の得意な POV 視点での復讐劇。なかなか本物らしく作られていて、スキャンダラスな秘密にある程>>続きを読む

お父さんと伊藤さん(2015年製作の映画)

4.1

タナダユキ監督の作品は不勉強にして『百万円と苦虫女』しか観ていないのだが、監督の「厳しい現実から逃げずに立ち向かうんだ」という姿勢は(あまりと言えばあまりにも、愚直に感じられるくらい真っ直ぐ)伝わって>>続きを読む

ペパーミント・キャンディー(1999年製作の映画)

4.1

冒頭のピクニックの場面で提示される不穏な空気が堪らない。その他にもロングショットや長回しを駆使した映像が、トリッキーな脚本と絡み合ってなかなかの力作を作り出していると思う。個人的には北野武『その男、凶>>続きを読む

ブルー・イン・ザ・フェイス(1995年製作の映画)

3.4

傑作にして力作である『スモーク』を撮ったその勢いでもう一本作っちゃいましょう、というノリの映画。もちろん基本的には『スモーク』を観てから観た方が良い。その軽いノリをどう評価するかが分かれ目となる。好意>>続きを読む

本日休診(1952年製作の映画)

3.8

戦後の傷跡の生々しく残った時代に上映されただけあって、精神的におかしくなってしまった青年の姿が痛々しい。だが、彼にも居場所はある。彼を存在することを許している。そのアットホームな感じがこの映画全編にも>>続きを読む

ピアニスト(2001年製作の映画)

4.0

駄作だとは思わない。ただ、「ミヒャエル・ハネケの映画にしては」点が低くなってしまった。変化球を投げ続けて来たハネケが投げた「豪速球」のラヴ・ストーリーといった感がある。そのストレートさ、例えば母親と主>>続きを読む

チェイサー(2008年製作の映画)

3.9

むせ返るような暴力描写の陰惨さは良く伝わって来る。血と汗の匂いがする。これは只者ではない……そう思って前のめりになって観てしまったのだけれど、展開に無理を感じる。幾らなんでもあの場面で気づかないはずが>>続きを読む

さざなみ(2015年製作の映画)

3.4

点は低くなったが駄作だとは思わない。丁寧に夫妻の心理、元カノに未練のある夫とその夫の執着に嫉妬を感じる妻の焦燥を見事に描いていると思う。計算された構成もまた見逃してはならないだろう。ペース配分は良く出>>続きを読む

愛、アムール(2012年製作の映画)

4.3

老いて行く妻とその看病をする夫。スジを要約してしまえばそれだけの話……なのにここまで人を惹きつけるのは何故なのだろう。むろん俳優陣の演技の賜物でもあるだろうが、それと同じくらいこの映画が「計算」され尽>>続きを読む

白いリボン(2009年製作の映画)

4.3

何故この映画がモノクロームで撮られなければならなかったのか、その理由を考えさせられてしまった。それは恐らくこの映画が子どもたちがつけさせられる、「白いリボン」に象徴される「無垢」を際立たせるためではな>>続きを読む

ヒストリー・オブ・バイオレンス(2005年製作の映画)

3.8

デヴィッド・クローネンバーグならではのクールな質感を伴った映像は流石である。だからここからは本当に好みの問題。前半部にもう少し丁寧に伏線を張っておけば……と惜しく思われる。いや、この映画には暴力(=「>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.3

何故(あたかも)ワンカットで撮ったかのような手法を使ったのだろう。アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥという監督なりの意図がそこに込められていることは間違いない。『アモーレス・ペロス』以降『BABE>>続きを読む

害虫(2002年製作の映画)

3.7

私は映画に関しては「スジ」にどうしても注目してしまうので、この脚本にさほど説得力を感じられなかったので比較的低めの点数になってしまった。だが、計算され尽くしたストーリーであることは分かる。冒頭の母親の>>続きを読む

野火(2014年製作の映画)

3.9

凄まじい映画だと思った。ただひたすら戦時下のフィリピン(?)での殺戮を描き切っている。主人公を中心に据えて、回想シーンを交えることなくエンターテイメント性にも頼らずに描写したその志は大いに買いたい。悪>>続きを読む

下妻物語(2004年製作の映画)

4.1

評価に困る。ここまでコミカルに描いて良いものかと思わされる反面(こんな荒唐無稽な脚本に「説得力」を期待しては行けないのだろう)、アニメやざらついた画質の映像などを積極的に取り入れることに依って行儀の良>>続きを読む