猫田さんの映画レビュー・感想・評価 - 2ページ目

猫田

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ナイチンゲール(2019年製作の映画)

3.8

復讐劇というより、痛みを知る人間同士の心の旅。身も心も理不尽に蔑まれ弄ばれ、深い哀しみと怒り憎しみに駆り立てられた人間が辿り着いたあの景色に言葉を失った。あれがあの時のあの瞬間の感情すべてを物語ってい>>続きを読む

TUBE チューブ 死の脱出(2020年製作の映画)

3.7

このレビューはネタバレを含みます

わりと面白かった。あとから冷静に考えると、あのチューブは取り返しがつかない罪を犯した人間の贖罪と人生やり直しの脳内を具現化したみたいなもんなのかもしれないなぁ。償いが命がけで壮絶すぎるけども。前半は脱>>続きを読む

レリック ー遺物ー(2020年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

認知症すらもホラーになりうるのか…。認知症患者に対して積もる違和感や恐怖を増幅させてホラーみたくデフォルメしたような作品。怖さというより霧が晴れないようなモヤモヤでずっと嫌な気分がつきまとう。やっと本>>続きを読む

ソウルメイト/七月と安生(2016年製作の映画)

4.3

このレビューはネタバレを含みます

2人の姿が、眩くて、痛くて、愛しい。七月は何にも縛られず自由に生きる案生に憧れ、案生は優しく温かい居場所のある七月に憧れていたのかも。大切に思うがゆえに傷付けるって、本当に切ない。結局、七月は彼を手に>>続きを読む

モーリタニアン 黒塗りの記録(2021年製作の映画)

4.0

9.11にまつわる話ってやっぱり闇が深い。国vsテロ組織の構図が、途中から国vs人間の構図に変わっていく闘いはすごく見応えがあった。事件に関わる犯人探しに躍起になってる側の人たちが、個人の尊厳を無視し>>続きを読む

暗数殺人(2018年製作の映画)

3.7

犯人の喋りかたが始めから終わりまでずっと腹立つ。けど、演じるチュジフンがうまい。対する刑事役のキムユンソクも犯人の過去の事件をあらい地道に着実に追いかける姿が地味に胸熱。「一度血の味を知った人間は刑期>>続きを読む

キル・チーム(2019年製作の映画)

3.8

途中から主人公以外の彼らが怪物のように見えた。殺すことが正義で人の命を簡単に奪ってしまえる環境が、倫理観も歪めてしまうんだろうな。
国のため、組織のため、仲間のため。いろんな理由で何重にも正当化しなが
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SNS-少女たちの10日間-(2020年製作の映画)

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「ゴキブリは一匹みたら百匹はいると思え」という言葉が脳裏に浮かんだ。
出てくる出てくる。ゴキブリじゃなく、変態野郎たちが。少女ホイホイにひっかかるペドフィリアたちの言動の全てがとにかく気色悪くて吐きそ
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ミッドナイトスワン(2020年製作の映画)

4.2

LGBTQの人が抱える苦しみや生きづらさをオブラートに包まずリアルに見せる描写には心が痛くなったりもしたけど、嘘なく見せる強さがあっていいなと思った。互いの欠けたパーツを補い合うような2人の関係性は、>>続きを読む

クローブヒッチ・キラー(2018年製作の映画)

3.9

このレビューはネタバレを含みます

品行方正なはずの父ちゃんが実は殺人鬼って、普通にありそうな話。親がガチで犯行に及んでる現場へ息子が乗り込むシーンにはこっちの寿命が縮んだ。要所要所で父親面を崩さない父ちゃんの言動が最終的には「保身には>>続きを読む

少年の君(2019年製作の映画)

4.5

初っぱなからショッキングなシーンに唖然。テーマがテーマなので、ちょこちょこ挟まれるいじめ描写がかなりえげつなくて見ていて辛い。そんな中、知らず知らずのうちに互いの存在に救われていく主役の2人の距離感の>>続きを読む

MOTHER マザー(2020年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

長澤まさみを本気で嫌いになりそうなほどの毒親役。終わりから始まりまで嫌悪感しか湧かない演技に拍手。共依存ってある意味、洗脳に近いのかもしれない。親と子という名の呪縛にがんじがらめになって奈落に堕ちても>>続きを読む

ザ・スイッチ(2020年製作の映画)

3.8

クリストファーランドンはこういう今時の軽いノリの変わり種ティーンホラーを作るのが上手で毎回感心してしまう。しかも、今回はLGBTQや人種関係もきっちり押さえるという意識の高さ。あくまで軽いノリなので観>>続きを読む

プロミシング・ヤング・ウーマン(2020年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

攻めたシビアなテーマなのに、重くないのが逆にリアルな軽さで怖い。女の女による女のための映画。なので、出てくる男どもがどいつもこいつもアホに見えて仕方なかった。一見良いやつに見える男も一皮剥けば結局みん>>続きを読む

すばらしき世界(2021年製作の映画)

5.0

言葉にならなくて泣いた。彼が塀の中で夢みた堅気の人間として生きるすばらしき世界があれなら、あまりに皮肉すぎて。彼を取り巻く劇中の人たちは皆して温かいのに、社会だけが彼を突き放すかのように冷たい。でも、>>続きを読む

ジョーカー(2019年製作の映画)

4.6

このレビューはネタバレを含みます

世界も彼も、どちら側から見ても狂ってるようにも見えて、居たたまれない。かと思えば、まぎれもなく悲劇なのに、なぜだか哀しくまばゆい恍惚感みたいなスポットライトがあたっているようなえもいわれぬ感覚もあった>>続きを読む

エイス・グレード 世界でいちばんクールな私へ(2018年製作の映画)

4.7

駆け寄って思わずハグしたくなるような佇まいのケイラちゃんがたまらん。音楽も彼女の心中をうまく表現していてグッジョブ。自分らしく居たいけどそうはいかない思春期の葛藤は、わかりすぎて白目むいた。学校や友達>>続きを読む

パラサイト 半地下の家族(2019年製作の映画)

4.5

コミカルとシリアスの絶妙なバランス感覚は相変わらず素晴らしいし、文句なしに面白かった。ラストのキレ味も最高。格差の問題はいつの時代もどんな国でも陽のあたらない暗闇でいつも蠢いている

ミッドサマー(2019年製作の映画)

3.6

このレビューはネタバレを含みます

あの熊男はどんだけ浮気して彼女を傷つけてきたんだろう。じゃなければ、最後の審判は免れたかもしれないのに。彼女の込み上げるような満面の笑顔を見ていたら、嫌でもそう思った。全てが絵画の世界みたく美しくてお>>続きを読む

フリー・ファイヤー(2016年製作の映画)

3.8

やたらカッコいいOPから一転、次第にドリフのコントのようにも見えてくるシチュエーション。こいつら、笑わせにきてんのか?となんだかクセになる面白さでじわじわハマった。役者陣も豪華だしスコセッシ製作総指揮>>続きを読む

工作 黒金星と呼ばれた男(2018年製作の映画)

3.7

お人好しな騙され演技もお手のものな安定のファンジョンミン。北の所長と会う辺りから後戻りは出来ない、バレれば消されかねない緊迫感が一気に加速する。故金正日に会いに行く一連のシーンは、そこまでやるかって雰>>続きを読む

ハウス・ジャック・ビルト(2018年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

悪行を尽くせば地獄へ堕ちるってのを文字通り芸術的に見せられてなんだか呆然。我にかえったら「それはそうだろう」となるんだけども。途中から本当に犯罪者に見えてきたマットディロンがとにかく気色悪くて嫌いにな>>続きを読む

ジョン・ウィック:パラベラム(2019年製作の映画)

3.6

にんじゃりばんばんと男たちの吐息が耳から離れなくなるシリーズ3作目。キアヌを観るとほっとするのは、なぜなのか。自分だけなのか。そして、このシリーズが終わる日はくるのか。そして、次も必ず観るに違いないだ>>続きを読む

ゴーストランドの惨劇(2018年製作の映画)

4.2

叫び声を聞きすぎたからか、見終えてもしばらく空耳で悲鳴が聴こえた。まぁ、こんなもんなんぼ叫んでもいいですからね。ホラーですし。少し古くさいテイストの見慣れたステレオタイプホラーかと思いきや、不思議なく>>続きを読む

ディストラクション・ベイビーズ(2016年製作の映画)

3.8

観てる方を置き去りにするくらい尖ってる。喋らずとも目で殺す柳楽優弥。本物のクズにしか見えない菅田将暉。守りたくなる哀愁の村上虹郎。暴力という意味のないものに、勝手に意味を付けて正当化する。それがいつの>>続きを読む

The Witch/魔女(2018年製作の映画)

3.9

「新しき世界」であの圧巻のエレベーター乱闘を見せてくれた監督らしく痺れる見せ方を随所でしっかり押さえてるよなーとちょっと思ったり。それにハリウッドばりのアクションが加わってキレキレの後半はたまらなく爽>>続きを読む

Diner ダイナー(2019年製作の映画)

1.0

このレビューはネタバレを含みます

ギトギトに脂ぎった料理を食べに来た中華料理屋で、超カラフルなすんごい綺麗にデコレーションされたケーキばかり出された気分で「注文と違うやんけ…」とげんなり。汚くて醜くてエグくてアンダーグラウンドなハード>>続きを読む

サスペリア(1977年製作の映画)

4.5

怖さより美しさで魅了された。光と陰、三原色の色彩の美しさよ。よく見ると、建物の窓や扉のデザインも洒落ていてディテールまで美しい。見えない何かが圧倒的に感覚を支配してく雰囲気は話の核ともリンクしてるし、>>続きを読む

知らない、ふたり(2016年製作の映画)

4.2

近くても遠かったり、遠くても近かったり。人との距離が、まんま気持ちの距離に反映してる気がした。恋愛に限らず、他人との距離感ってのは正解がなくて難しい。そんなもどかしい距離感を的確に柔らかく突かれた感じ>>続きを読む

来る(2018年製作の映画)

3.8

このレビューはネタバレを含みます

松たか子が出てきた時の圧倒的なラスボス感はさすが。海外ばりのエンタメテイストでやりたい放題していて嫌いじゃない。むしろ好き。人知れずどこかの村でこっそり行われてそうな禁断の奉り事さながらの出来事をそっ>>続きを読む

鬼畜(1978年製作の映画)

3.8

真冬に観てたのに、劇中の真夏の不快さがよみがえってくるほど話の進行とともになぜかこちらまでしっとり汗ばんでくるような不快感がつきまとう。緒方さん、大滝さん、蟹江さん。今は亡き名優たちが勢揃いするなか、>>続きを読む

ビューティフル・デイ(2017年製作の映画)

4.2

たまに絵画を見てるような映像が挟まれていて、リンラムジー監督の作品は映像がすごく好きなんですが、今回もやはり好きだった。ジョニーグリーンウッドの音楽にも酔う。防犯カメラ映像はゾクゾク鳥肌。煮え切らない>>続きを読む

下女(1960年製作の映画)

4.0

メロドラマ風だが、下女役の女優さんが出てきた辺りからその怪演でグイグイと引っ張っていく。ちょっと変わった雰囲気で小悪魔的な可愛い序盤→本性が少しずつ見えてきてやべぇ奴感が漂う中盤→頭の線が一本切れてヘ>>続きを読む

バハールの涙(2018年製作の映画)

4.0

ナディアムラドさんのノーベル平和賞受賞から、ISがこんな酷い行いをしている事実を知った。その後、女戦士たちの存在も知った。バハールはなぜ銃を手にしなくてはならなかったのか。その背景が見えてくるにつれ、>>続きを読む

愛しのアイリーン(2018年製作の映画)

4.0

なんなのか、この気持ち。人間の嫌な部分が滲み出てるし、地獄絵図が繰り広げられるのに不思議と心があったかい。下ネタのオンパレードで、そこには人間の逃れられない性みたいなもんが始終のっぺりと貼り付いていて>>続きを読む

彼の見つめる先に(2014年製作の映画)

4.8

純粋で甘酸っぱくて、爽やかで眩しい。青春の欲しい部分が大袈裟すぎずにさりげなく盛り込まれてあってすごく好み。視覚障害をこんなに素敵に見せてしまうなんて。やられた。見えないからこそ見えてくるものから伝わ>>続きを読む