猫田さんの映画レビュー・感想・評価 - 5ページ目

猫田

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名もなき塀の中の王(2013年製作の映画)

3.8

ラストのあの一言で、すべてが浄化されたような気分。刑務所内での囚人たちの姿がすごく生々しい。どの映画で見る刑務所もだいたい同じような雰囲気なんで、海外の刑務所ってあんな感じなんだろうな。刑務所内での粗>>続きを読む

黒猫・白猫(1998年製作の映画)

4.0

毎日つまらんことでくよくよ悩んでる自分がアホらしくなるほど、陽気でにぎやかな人たちとその物語。生きることをエネルギッシュに謳歌する人たちの姿がひたすらまぶしい。大半が本物のロマの人たちを起用してるらし>>続きを読む

イット・フォローズ(2014年製作の映画)

4.0

それを解明されたら面白さが半減しそうだし、分からないからこそ得体の知れないもんへの恐怖が増幅してゆくような設定が上手く利いていた。全力疾走で追いかけてくるわけでもなく、脇目もふらず一定の速度でズンズン>>続きを読む

バクステール/ぼくを可愛がってください。さもないと何かが起こります。(1988年製作の映画)

3.6

思わせぶりな邦題にまんまと嵌められ思わず鑑賞。単なるサスペンスだと思っていたら、なんだか不快指数も高め。劇中のフランス語と哲学的なセリフの相乗効果でアンニュイ雰囲気がしていたかと思えば、低い犬目線のカ>>続きを読む

天の茶助(2015年製作の映画)

3.4

人物設定にやたらインパクトがありすぎて、面白いように話がぶっ飛んでいく感覚。大筋のストーリーがベルリン天使の詩に似たような設定で、SABUさんこんなロマンチストだったっけ?と一瞬考えてしまった。でも、>>続きを読む

さよなら、人類(2014年製作の映画)

3.8

やっと三部作コンプリート。長かった。緻密に作り込まれた構図は、相変わらずデザイン画や絵画を観てるよう。切なくて可笑しくて少し毒のある様々なシチュエーションの人間たちの姿や、漂う厭世感みたいなもんも病み>>続きを読む

舞妓はレディ(2014年製作の映画)

3.0

主人公の子の素朴な可愛さに癒された。東宝シンデレラガールなのか。これからますます可愛くなりそうだなぁ。とんでもない訛りの田舎娘が磨かれて一人前の舞妓デビューするまでの王道ストーリーはすごくいいんだけど>>続きを読む

ジョン・ウィック(2014年製作の映画)

4.0

キアヌ兄さんは、孤独な役がよく似合う。以前から哀愁漂う悲しげな目が好きだったけど、あのパパラッチ写真を見て 以来、あれは本物の哀愁だったのだと確信して、そっと見守りたくなる。そんな彼にうってつけの孤独>>続きを読む

マーシュランド(2014年製作の映画)

4.2

真上から俯瞰するような映像が、この田舎の閉塞感を表しているようで印象的。
じっとりとまとわりつくような不穏な空気とロケーションもかなり好き。でも、これは観た人の好き嫌いが完全に別れるだろうなぁ。
19
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ファンボーイズ(2008年製作の映画)

3.8

再現したようなシーンを現実の状況に巧妙に重ねてあったり、所々にSWのキーワード的な要素がストーリーに散りばめてあって、なんだかんだ上手く作ってあるなとちょっと感心。小道具類は見てるだけでもテンションが>>続きを読む

ハドソン川の奇跡(2016年製作の映画)

4.0

このレビューはネタバレを含みます

喜びだけじゃなく、むしろ、その喜びの裏にある影が機長を通して描かれていた感じ。事故後の心が晴れず浮かない顔した機長の姿や、奇跡だと騒ぐ人たちとの温度差がすごくリアルだった。
自らも事故の被害者になって
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トライアングル(2009年製作の映画)

3.5

このレビューはネタバレを含みます

良い母親になれなかった主人公が堕ちた無限地獄の話なのかなと見終わってなんとなく思った。じゃなきゃ、息子と母親の関係をあんなに強調する必要もない気がするし。
あのタクシー運転手も、優しいふりをした悪魔に
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フランシス・ハ(2012年製作の映画)

3.7

モノクロ映像と適度に力の抜けたポップさが、なんとなくヌーベルバーグ時代のフランス映画っぽい雰囲気。
大人になりきれていない主人公と周囲との温度差とか、10代とは違う30前のそれはそれで微妙な年頃の女の
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題名のない子守唄(2006年製作の映画)

4.0

トルナトーレ監督の作品で、まさかこんなに重い話だとは思いもしなかった…。
だがそれ以上に、上手く組み立てられているミステリー。途切れない緊張感と共に、点と線が繋がってくように少しずつ紐解かれていく物語
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ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅(2013年製作の映画)

3.8

この監督さんは、ほんとに家族の姿を描くのが上手。
思わぬ騒動に巻き込まれていく内に、心の氷が少しずつ溶けてくような父親と息子の姿に思わずジーンときた。
淡々と過ぎてく日々の中で浮き沈みありながらも、劇
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女神は二度微笑む(2012年製作の映画)

4.2

このレビューはネタバレを含みます

インドの女優さんって、ほんと綺麗な人が多くて、見ててうっとりしてしまうなー。
男性が主役のエネルギッシュさを感じるものが多い気がするインド映画だけど、この映画は主役を女性に添えてサスペンスのわりに繊細
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サンキュー・スモーキング(2006年製作の映画)

3.7

初っぱなのTV討論会で嫌煙家たちを論破してく主人公に、口下手な自分はちょっと感心。華麗なべしゃり。
ニコチンパッチで瀕死の状態に陥りながらも、それすらも仕事に結びつける主人公の仕事はタバコ研究協会の広
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ゼロの未来(2013年製作の映画)

4.5

ラストが最高に泣けた。
近未来に舞台を移した偏屈な引きこもりのおっさんの物語が、こんなに胸に響くとは。
小難しく見えて、実は込められたメッセージは意外とシンプルな気がした。
社会の中で生きてはいるけど
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地下に潜む怪人(2014年製作の映画)

3.8

初めからこの女ただもんじゃないなという匂いのする、精神力の強い主人公。ああいうことを生業にしているからか肝がすわっている。
進むにつれ、浮き彫りになってゆく男どもの頼りなさ。でも、よく考えたら彼らの反
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インヒアレント・ヴァイス(2014年製作の映画)

4.0

この映画のジョシュブローリンのキャラクターがすごく好き。初め何語か分からなくて、坂本九の曲が流れ出して、日本語だ!と気付いた時はめちゃくちゃ笑った。
あと、小汚ないホアキンフェニックスが個人的に好きな
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サンドラの週末(2014年製作の映画)

3.6

初めてダルデンヌ兄弟の作品を観たけど、他のもこういう感じなんだろうか。
だとしたら、他の観るのに結構気合いいるな…と思うくらい、現実味のあるえげつない設定で辛すぎた。
バックに音楽でも流れれば、少しは
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セブンティーン・アゲイン(2009年製作の映画)

3.7

人生やり直し系の映画で、こういうタイプのやつを初めて見たので新鮮で面白かった。
コメディタッチだけど、主人公が17歳に戻って、本当は何をやり直して何を取り戻したかったのかが分かってくる終盤ではちょっと
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サンバ(2014年製作の映画)

3.7

最強のふたりみたく清々しくとはいかないシビアな内容。でも、場面によってはコミカルで、そのバランスが丁度いい。
映画の中の出来事だと割り切ってハッピーエンドにするのは簡単かもしれないけど、結果的には自分
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ニコラス・ケイジの ウェザーマン(2005年製作の映画)

3.6

大した盛り上がりもなく淡々と進む話。主人公の晴れない心のごとく、劇中ずーっと冬の曇り空。寒波のせいで大地は凍り、道路は渋滞。家族はバラバラ。地方のお天気キャスターで顔が少し知られてるばっかりに、地元の>>続きを読む

ソレダケ that’s it(2015年製作の映画)

3.7

ギターの轟音にのって繰り広げられる疾走感のあるストーリー。話を楽しむというより、スタイリッシュな映像と鳴り響く音楽の融合を楽しむための映画という感じ。
とにかく、映像はめちゃくちゃカッコいい。モノクロ
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パンク・シンドローム(2012年製作の映画)

4.0

ヴォーカルの声がトムウェイツみたいな渋いしゃがれ声ですごく好きな声質。音楽もちょこちょこ挟まれるライブ映像もかっこいい。
4人の抱える知的障害さえも、これを観てるとそれぞれの個性に見えてきてすごく魅力
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ハッピーボイス・キラー(2014年製作の映画)

3.0

このレビューはネタバレを含みます

観終わって、この気持ち悪さはなんなのかずっと考えていたら、神は死んだのかを観た時の気持ち悪さと似ている気がする。あの偽善的な気持ち悪さ。あれと同じく、この映画にも宗教が絡んでるからかもしれない。ただ、>>続きを読む

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド(2007年製作の映画)

5.0

このレビューはネタバレを含みます

石油で富を手にし、そのために大切なものを失ってゆく悲しすぎる男の半生。
他人を頼らず自らの手で切り開いて生きてきた男が、我が子に降りかかった悲劇をどうすることも出来ずイーライに掴みかかるシーンは、きっ
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ウイークエンド(1967年製作の映画)

3.8

変態との情事を事細かに語る女、インディアンの格好で叫び散らす子供、長い渋滞と鳴りやまないクラクション、森で出会う不思議の国のアリス、公衆電話で歌う男、羊の群れ、死屍累々と流れる血、ひっくり返って炎上す>>続きを読む

誰よりも狙われた男(2014年製作の映画)

3.8

地味ながらも途切れない緊張感。安全を脅かす存在から守る側の人間たちが作り出す濃密な人間ドラマもそうだけど、テロ組織へじわりじわりと距離を詰めてゆく諜報機関のスパイ活動の裏側もリアリティがあって、見応え>>続きを読む

バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)(2014年製作の映画)

4.3

いつもの暗い・お堅い・真面目が嘘みたいで、本当に監督の映画なのか疑ってしまうほどコメディテイスト。
自己愛、親子愛、芸術への愛。愛についての戯曲に沿うように、色んな愛が交錯するショービズの世界を皮肉た
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チャッピー(2015年製作の映画)

4.2

動きだけで、ああも喜怒哀楽を表現出来るってのか。しかも、細かい所にまですごく人間らしさを感じるからまた凄い。
ダディから教え込まれたクールな歩き方で相手に詰め寄るシーンとか、ここ一番って時にそれをやる
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空中庭園(2005年製作の映画)

3.5

普通とはどこか違う一家の朝の食卓シーン。そこから家庭不和の原因によくありそうな問題がブラックに描かれていく。
コンビニで振り返った時の小泉今日子の顔が、すごくリアル。
とにかく女性陣が皆して強烈なので
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カンパニー・マン(2002年製作の映画)

3.0

近未来的なセットも出てくるのに、とにかくチープに見えて仕方ない。
でも、脚本はわりとよく出来ているので、途中で展開が読める部分はあっても見てるぶんには飽きない。
題材は産業スパイ。製作陣は007的なス
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トム・アット・ザ・ファーム(2013年製作の映画)

4.1

このレビューはネタバレを含みます

亡き人の面影を探し、孤独が3人を狂わせているような気味悪さ。
火が消えたような雑然とした影のある室内や、色みが少ない田舎の風景が心象を表してるようだった。
孤独から這い上がる者と、這い上がれない者を見
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私の少女(2014年製作の映画)

4.2

キムセロンとペドゥナも相変わらず演技が上手いので、個人的には2人の共演が見られただけで満足だったけど、扱うテーマは重い。
希望の行く末に影を落とすようなラストがすごく印象的。正直、見終わって諸手を挙げ
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