カツマさんの映画レビュー・感想・評価 - 19ページ目

はじまりのボーイミーツガール(2016年製作の映画)

4.0

響きあうのはプレリュード、その目に映る恋の気配。それは視線の先を照らす灯火、一度ほどけた手の温もりが青春と刹那の時を思わせる。この映画のタイトルは『Heartstrings』。『深い愛情』と『心の琴線>>続きを読む

コーラス(2004年製作の映画)

3.9

一枚の写真が忘れ得ぬ恩師の面影を連れてくる。どこからか聞こえてくるのは郷愁に佇むハーモニー、そして日記の中へと閉じ込められた恩師の想い。これは先生と不良生徒達との交流を、コーラス、その一点に集中してお>>続きを読む

ファースト・マン(2018年製作の映画)

4.3

月面では静寂という名の音が鳴る。影は左右に割れ、その隙間を人類初の一歩が巨人のような足跡を付けた。星条旗を建てることに焦点は当たっていない。その足跡を残したその人にこそスポットライトは当たっていた。ニ>>続きを読む

桜桃の味(1997年製作の映画)

3.9

人生最後だと思っていた日は美しかった。夕陽は自らを照らすかのように暖かく、月の光が見守ってくれた。彼は桜桃の味を忘れてしまうのか?あの味を、生きるというその味覚を、忘れてしまうのか。それが本心ならば、>>続きを読む

ソウル・ステーション パンデミック(2016年製作の映画)

3.4

ドン底とは底が見えないアリ地獄。地獄のような現実と、ゾンビが蔓延る死者の世界の二択を迫られる究極の鬱アニメーションがここに完成。『新感染 ファイナル エクスプレス』の前日譚ということになっているが、共>>続きを読む

ポリーナ、私を踊る(2016年製作の映画)

4.0

もはやそれはダンスという次元を越えた現代アート。刹那に舞うその瞬間、はらはらと降る雪と白の絨毯が確かに見えた。バレエで培った技術、コンテンポラリーから得た表現、それら全てを束ねて生まれたのは彼女の人生>>続きを読む

スターリンの葬送狂騒曲(2017年製作の映画)

3.8

これぞ笑い事ではないコメディ映画!フィクションだったら少しは笑えただろうが、実話ベースとなると話は違う。スターリンの死後混迷を極めた権力闘争はさながら命を賭けたイス取りゲームのよう。狂乱に次ぐ狂乱、路>>続きを読む

バジュランギおじさんと、小さな迷子(2015年製作の映画)

4.4

何て清々しい気持ちにさせてくれるんだろう!王道の感動、正面突破の物語展開、なのに、終演後には浄化されたかのように涙の海に濡れ果てる!一人の男の真っ直ぐ過ぎる愛が宗教の壁も歴史上の憎しみをも乗り越えて、>>続きを読む

我は神なり(2013年製作の映画)

3.6

そこにあるのは天国という名のラベルを貼られた地獄絵図。悪魔たちがお互いを悪魔だと罵り続ける出口無き不幸の連鎖。現実からの逃避はやがては真実へとすり替わり、尊いはずの幸福の意味をも歪めていった。神はいる>>続きを読む

愛を綴る女(2016年製作の映画)

4.0

チャイコフスキーの旋律が忘れえぬ人の面影を連れてくる。燃え盛る激情、愛の嵐、それら全てを抱き締めるのは真実の愛だった。愛し方も分からなかったある女性が、本当の愛に出会うまでを描いた物語。人は感情に流さ>>続きを読む

冬の光(1962年製作の映画)

3.7

彼はその一言が言えずに苦悩する。神は本当に存在しているのか?神などこの世にはいないのではないのか?彼は自問自答する、だが、その答えは永久に出ることはない。この作品は宗教の根底を揺るがすタブーを神の代弁>>続きを読む

メメント(2000年製作の映画)

4.1

砕かれた記憶の破片。バラバラのピースをどうにか拾い集めても、完成するのはイビツなままのモンタージュ。そう、追憶の底で稲光るフラッシュバックが、何度でも時計の針を巻き戻すのだ。結末から始まり、結末で終わ>>続きを読む

ゴッズ・オウン・カントリー(2017年製作の映画)

4.5

その風景が美しいことにすら気付けなかった。寂しさばかりで埋め尽くされた世界の中で。ただ一つの灯火を追って彼は行く、その先にある孤独とは違う明日を掴むために。
この映画が男性同士のラブストーリーであるこ
>>続きを読む

ライオンは今夜死ぬ(2017年製作の映画)

3.9

水面にうっすらと浮かぶ過去、背中越しに駆けてくるのは未来、その二つを繋ぐのはヌーヴェルヴァーグの生き証人、ジャン・ピエール・レオー。これは人生の晩年に差し掛かった大俳優の生の声が焼き付けられた魂の授業>>続きを読む

ベルベット・バズソー: 血塗られたギャラリー​(2019年製作の映画)

3.7

これは消費され続けてきたアートの復讐。金満ゲームへの終止符を打つ、あるアーティストの血みどろの鉄槌。『ナイトクローラー』のタッグ、ダン・ギルロイ監督とジェイク・ギレンホールがNetflixを介して送り>>続きを読む

ニーゼと光のアトリエ(2015年製作の映画)

3.9

いつまでも開かないドアをノックし続ける、何度でも、何度でも、強く、強く。この映画には真の意味での強さがあった。実在の人物、ニーゼ・ダ・シルヴェイダという魂に導かれ、物語は奇跡の実話として蘇る。
くすん
>>続きを読む

FYRE: 夢に終わった史上最高のパーティー(2019年製作の映画)

3.6

ハリボテの楽園、瓦解した城、音楽への愛情も、アーティストへの尊敬も感じられない無謀なフェスが、そのメッキが剥がれおちボロボロになるまでを描く、もはや酷すぎて笑えない衝撃のドキュメンタリー!FYRE F>>続きを読む

サスペリア(2018年製作の映画)

3.9

鮮血の炎は悪夢のように。それは真紅の中へと濁流のごとく血飛沫が上塗りされる死者の舞踊。踊れば踊るほどに突き進む悲劇の連鎖は、いつしか地獄ような入り口へと辿り着く。生きながらにして死んでいるような混沌と>>続きを読む

ポーラー 狙われた暗殺者(2019年製作の映画)

3.6

眠れる獅子は眠らせておくべきだったのだ。起こしてしまったが最後、彼の前には無尽蔵に死体が転がり、死神はその全貌を現すことになる。
世界屈指のイケおじ、マッツ・ミケルセンが最強の暗殺者として降臨!ファン
>>続きを読む

ディープ・ブルー(1999年製作の映画)

3.8

数あるサメ映画の中でも『ジョーズ』に肉薄するほどのA級サメ映画がこの『ディープブルー』!海底からの脱出という『ポセイドンアドベンチャー』にも似たクローズドサークル要素に、ジョーズをコラボレートさせ、閉>>続きを読む

ルイの9番目の人生(2015年製作の映画)

3.7

謎の数珠繋ぎが連なりながら噴出し、本当の謎の輪郭は海の底へと隠された。記憶の断片がパズルのピースのように散らばりながら、時間軸を迷宮の中へと惑わせる。捻くれた子供、美しい母親、消えた父親、何かがおかし>>続きを読む

孤狼の血(2018年製作の映画)

4.2

渡るも地獄、渡らぬも地獄、その綱渡りの先に待っているのは飛び降りるしかない断崖絶壁。修羅を食らわば、また生まれるのは新しき修羅。それは死のスパイラル渦巻く闇の戦争。正義など元々存在していなかった世界に>>続きを読む

クリード 炎の宿敵(2018年製作の映画)

4.4

もう涙が止まらない!熱き魂の叫び、聞こえてくるファンファーレに背中を押され、何度でも彼は立つ!目の前で見守る愛する人に問われた、その答えを導き出すために・・!彼は何故戦うのか、何を証明したいのか、一人>>続きを読む

ミスター・ガラス(2019年製作の映画)

4.0

シャマランの情熱がもう絞り取れないほどに注がれたであろう、純度120%のシャマランムービーが誕生!!誰も待ってなかった『アンブレイカブル』の19年後、きっと待ってた『スプリット』の3年後、シャマランは>>続きを読む

ブルー・マインド(2017年製作の映画)

3.9

もう思春期という海では泳げない。ユラユラとたゆたう青紫のオーロラ、それはもう戻れない残酷なまでに広がる海の上。秘密にし続けた孤独という名のドラッグは、彼女の身体に収まりきれずに無自覚なまま変容を繰り返>>続きを読む

コンタクト(1997年製作の映画)

3.8

テレビの画面の中で『私はUFOを見ました!』と言われても、100%信じることは難しい。でも、もしその目で実物を見ることができたとしたら?宇宙人はすぐそこにいるのかもしれないのに。そんな未見の地へと想い>>続きを読む

特捜部Q カルテ番号64(2018年製作の映画)

4.3

これぞ現代ミステリーの最高峰!デンマークの誇る大ヒットシリーズ特捜部Qシリーズの最新作が『未体験ゾーンの映画たち』にて登場!シリーズ累計部数1000万越えの実績はダテではなく、シリーズ最高傑作の呼び声>>続きを読む

蜘蛛の巣を払う女(2018年製作の映画)

3.9

凍てつく冷気の中へと堕ちゆく記憶、捨てたはずの過去がリスベットを追憶の彼方へと連れ去ろうとする、それは悪夢の所業。
死んだはずの妹の赤いドレスが雪上を鮮血のように染める、ハリウッド版ミレニアムの二作目
>>続きを読む

クリード チャンプを継ぐ男(2015年製作の映画)

4.3

伝説は終わらない!かつてリング上で合間見えた唯一無二のライバルにして、永遠の友、アポロ・クリードの遺伝子が現代に蘇る、感動と興奮のロッキーシリーズ7作目!

すでにスタローン自身の手で降ろされていた緞
>>続きを読む

ロッキー4/炎の友情(1985年製作の映画)

3.6

唯一無二の盟友アポロの死。悲劇と慟哭、そして熱き友情を結晶化したロッキーシリーズ4作目!倒れゆく友の姿を呆然と見守るしかなかったロッキーは、アポロの屍を背にソ連からの刺客、死神イワン・ドラゴとの復讐戦>>続きを読む

ロッキー3(1982年製作の映画)

4.0

最強の敵が最大の友となる!頂点に君臨したロッキーを奈落の底へと突き落とす敗戦、そしてミッキーの死。ドン底でもがくことすらできないロッキーへと、かつてのライバル、アポロ・クリードが手を伸ばす。男同士の熱>>続きを読む

アンブレイカブル(2000年製作の映画)

4.3

ヒーローものの第1話というのは大抵重い。ショッカーに無理やり改造人間にさせられた仮面ライダーや、主役のハヤタ隊員が冒頭でいきなり死亡するウルトラマンのように、日本のヒーローものにもその例は多い。この映>>続きを読む

女と男の観覧車(2017年製作の映画)

3.9

頂上から見えた景色はゆっくりと運命のように堕ちていく。その観覧車は出口という名の入口へと恋人たちの幻想を吐き出して、また次の幻想へと向かう。激情の真紅、冷酷な青藍、混ざり合うと燃え上がるのは嫉妬の炎。>>続きを読む

ロッキー2(1979年製作の映画)

4.1

その熱き闘志は誰のために。ボクサーとして、一人の男として、ロッキーは再び死闘へと向かっていく。彼は何故闘いへと身を投じるのか、誰のために、何のために闘うのか、その意義をはっきりと示したロッキーシリーズ>>続きを読む

ドラゴン・タトゥーの女(2011年製作の映画)

3.9

漆黒のシンセリフ、カレンOのヴォーカルが、スタイリッシュに画面上を侵食するインダストリアルな移民の歌。トレント・レズナーのサウンドトラックがオープニングから炸裂するハリウッド版ミレニアムの一作目。原作>>続きを読む

ロッキー(1976年製作の映画)

4.2

スタローン自身の人生とシンクロする奇跡の大逆転劇!一度きりのチャンスを掴み、汚泥のような現実を打ち砕け。アメリカンドリームを体現し、映画史に残るほどの名作となったロッキーシリーズの一作目!

『クリー
>>続きを読む